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2008/11/10

【ニシキプリントNEWS】

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                        >> 2008.11.10 177号

 ★今回のコラムはよくわかる印刷講座「図書館の現状」です。
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皆さん、おはようございます。今年もはやあと2か月を切ってしまいました。
ちょうど昨日で読書週間も終わったところですが、今回のメルマガは、「図書
館の現状」と題してお送りします。「図書館」については、メルマガ143号で
取り上げました。その際には都道府県の予算の格差によって、図書の更新など
が不十分な学校図書館の問題に触れました。今回は図書館に関して、また別の
問題が近年深刻になっているというテレビの報道を見たことがきっかけで、今
回のテーマに選びました。最後までおつきあいのほどを。
(成人検診の結果、恐れていた再検査は何とか免れ、少しホッとしているシン)

             ※このメルマガは等幅フォントでお読み下さい。
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 ★よくわかる印刷講座
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           ▼知っておくと便利な印刷知識や印刷用語をご紹介。


 ■ 今図書館の抱える問題

   先日、テレビをつけたところ、ちょうどニュースで図書館で貸し出され
   た本の汚損・破損、不明本についての報道がされていました。不明本と
   いうのは、貸し出された記録がないのに、図書館内からなくなり、返却
   されることもなく、行方不明になった本のことです。
   どこの図書館でも、こうした問題は以前から大なり小なりあったという
   ことですが、最近はこの問題が特に深刻になっているということです。

 ■ 貸し出し本の汚損・破損の対策

   まず、貸し出した本が汚損・破損したりする被害ですが、ニュースでは、
   ペンで線引きされたり、一部分をカッターで切り取られた状態の本の映
   像が報道されていました。ネット上でも、外から普通に見ただけでは分
   からないほどきれいにページの奥の方から数ページまるまる切り取られ
   た本があったという記事がありました。その本を読んでいた方は、これ
   にはとてもがっかりし、怒りを覚えたと書いておられました。
   せっかくの読書の楽しみをこのような心無い行為によって台無しにされ
   てしまうのですから、この方の怒りは当然のことでしょう。
   
   ページの切り取りをした人は、そのページをコピーするお金も惜しかっ
   たというのでしょうか。複写機のなかった昔ならいざしらず、今は簡単
   に印刷物を複写できる時代です。(もちろん、著者に無断で図書を複写
   するのは違法ではありますが、複写したものを個人の範囲内で使用する
   限りは、公共物を破損するより、よほどましではないでしょうか。)

   このような行為で公共の本を破損したりする行為を平気で行う人が増え
   ているとすれば、それは図書館を利用する人のモラルそのものの低下が
   最大の原因であるということになるでしょう。
   テレビなどの報道や図書館の広報などによって利用者の良心に粘り強く
   訴えて行くほか、この問題の有効な対策はないように思われます。

 ■ 不明本の原因と対策

   不明本は図書館にはつきもののようで、中にはもちろん図書の貸し出し、
   返却の際の手続きのミスによるものや、返却されるべき場所に返却され
   なかったことによって探せなくなったものも含まれていると思われます
   が、図書館では、そういったミスをチェックするために定期的に蔵書の
   在庫の確認作業をしています。そうして館内の蔵書をくまなく調べた上
   で、なお行方が分からなくなっている本が不明本として扱われるのです。

   図書館の規模によりますが、近年では、年に数百冊から多いものでは数
   千冊が不明本扱いとなり、図書館を大いに悩ませているようです。
   利用の多い本で、現在も手に入るものであれば、新たに補充することも
   可能ですが、絶版になってしまった本ではそれもできません。

   テレビでは、図書館から無断で持ち出した本を古書店などに売る行為が
   行われているという報道もありました。もっとも、図書館の本というの
   は見ればそれとすぐに分かる本なので、古書店側でも買取りしにくいと
   いうことでした。

   図書館の予算は近年横ばいになっているものが多いため、不明本を補充
   する費用がかさむと、それだけ新規の図書を購入する予算は減ってしま
   うことになり、図書の充実を妨げることにつながります。

   こうした不明本は、利用者がかばん等に手続きをしていない本を入れて
   館外に持ち出すことによって発生していると考えられますが、図書館か
   らの利用者への訴えもあまり効果を上げていないのが実情のようです。

   こうした中、最近大きな図書館では、蔵書一点一点にタグをつけ、手続
   きを済ませていない本を持ち出そうとすると、ゲートでブザーが鳴るこ
   とで不正に持ち出されるのを防ぐシステムを導入する例が増えています。
   私たちに身近な例で言えば、DVDなどのレンタルや販売などでおなじ
   みの商品盗難防止システムと言えば分かりやすいかも知れません。
   確かに、このシステムを導入したことで、大きな効果を挙げ、年数千冊
   にものぼっていた不明本を年数百冊にまで激減させることに成功した図
   書館もあるようです。

   しかし、問題はシステム導入にかかる費用です。このシステムの導入に
   は数千万円もの費用がかかります。先ほどの図書館では、不明本による
   被害が甚大だったため、不明本の補充の費用の差額でシステム導入費用
   をまかなえたそうですが、規模の小さな図書館ではなかなかそこまでの
   予算が出せないというのが現状です。

   費用の問題の他、近年の図書館が目指している、「開かれた図書館」と
   いう理想と、この盗難防止システムは相容れないという問題もあります。
   ほぼ完璧なセキュリティシステムを備えた国会図書館の例を挙げてみま
   しょう。

   国会図書館では、入館の際、ICカードが必要です。ICカードは、自
   動発行機で端末を操作して作成することができます。そのICカードを
   ゲート(首都圏のJRの改札のような)に通して入場します。持ち込め
   るカバンの大きさには制限があり、筆記具等も外から確認できる袋に入
   れたもののみ持ち込めます。借りたい本は、窓口で申請して、探しても
   らってはじめて閲覧できる仕組みです。
   退館時には、ICカードを再び通し、もし返却手続きを済ませていない
   本があれば、ゲートが開かないので退館できず、本の不正な持ち出しは
   できない仕組みになっています。

   このように、高度なセキュリティシステムを導入すれば不正な持ち出し
   は防げますが、国会図書館のものは例外的で、それ以外の一般の図書館
   で導入されているセキュリティシステムはまだ完璧とはいえず、本のタ
   グ以外のものに反応して誤動作が起こることがあります。実際に、本を
   不正に持ち出していない人がブザーによって持ち物を調べられという事
   例は後を絶たないようです。不正な持ち出しをしていないのに調べられ
   た人は、中には気分を害して、図書館を利用する意欲を失くすかも知れ
   ません。これでは図書館の利用促進の観点から見てもマイナスです。
   国会図書館の場合は、国の財産としての書籍を保護するという観点から
   導入されたシステムですが、利用者の中には、利用しにくいという不満
   の声があるのも事実です。

   また、システムの導入によって本を借りたり、返したりする手続きが煩
   雑になるとすれば、利用者にとっては本が借りにくくなり、サービスの
   低下にもつながりかねません。

   不明本増加の原因として、利用者のマナーの低下に加えて、図書館の職
   員の人数に比して、業務が過密になっていることも原因になっているの
   ではないかという指摘もあります。

   最近は図書館の職員の業務は図書館の運営にかかわる従来の業務以外に
   も、読書会や本の著者の講演など、図書館利用促進のための様々なイベ
   ントの準備などが加わり、結果として、職員の人数に対して業務が過密
   になり、利用者や本に対しての監視がなかなか行き届かなくなっている
   といいます。

 ■ 最後に 〜これからの図書館〜

   図書の破損や紛失を防ぐために、将来的に最も理想的なのは、図書館の
   電子化・オンライン化という方法でしょう。
   すでに、蔵書の一部をオンラインで公開するサービスを行っている図書
   館も確かにあります。

   しかし、パソコンやブロードバンドの普及などでインフラが整備されつ
   つある現代でも、図書につきものの著作権の問題をどうするかという大
   問題があります。これを解決しない限り、「電子図書館」は絵に描いた
   もちのままです。

   一方、著作権の問題さえクリアできれば、色々な可能性が出てきます。
   たとえば、岡山県のある図書館は、地元の菓子メーカーの了解を得て、
   かつてその菓子メーカーが販促のために景品として作製した日本や世界
   の名作のダイジェスト本の現存するものをスキャナで読み取って電子化
   してオンラインで閲覧できるようにしています。

   閲覧用のソフトをパソコンにインストールする必要がありますが、今で
   も読み継がれている名作から、今はあまりお目にかかれなくなった作品
   まで、色々な物語があって、なかなか興味深く読めました。
   もちろん、数十年前に子供向けの菓子の景品として作られたものですか
   ら、品質は現在の観点からするとかなり粗悪で、読みやすいとは言えま
   せんが、これも当時の時代を反映していて興味深いものがあります。
   興味のある方は以下のURLにアクセスしてみてください。

    http://www.libnet.pref.okayama.jp/mmhp/kyodo/kabaya/bunko/

   また、このメルマガを書いている途中で、米国Googleが提供するGoogle
   Book Searchの書籍プレビューのサービスがさらに拡充され、ネット上か
   ら書籍全体にアクセス(具体的には有償でのPDFダウンロード)ができる
   よう、米出版業界と和解、合意したというニュースも入ってきました。
   この合意により、米国内では絶版となった書籍を含む、著作権保護期間
   内にある書籍へもアクセスできるようになるということです。
   (詳しくは以下のURL)

    http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/10/29/21350.html

   しかし、これはあくまでも米国内での話。日本では一体いつ解禁になる
   ことやら…。

   このように電子化をすることで、貴重な書籍の散逸や劣化を防げるばか
   りでなく、今のように図書館まで足を運ばなくても本を借りれるように
   なり、本を借りる順番待ちもなくなるなど、いいことずくめなのですが、
   実現にはまだまだ時間がかかりそうです。

   夢の「電子図書館」が実現するまでは、私たち利用者一人一人が、図書
   館の本は公共の本であり、自分の都合で汚損したり勝手に私物化したり
   することなく、大切に扱うという大原則を守って行くことこそ、これか
   らも図書館を存続して行く上で必要不可欠だということを忘れないよう
   にしたいものです。


   〜次号(11月25日配信)は「電子ブック」をお届けします〜

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