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『デジタル印刷会社宣言』をしてオンデマンド印刷、可変印刷に特化している。オリジナル下敷き、三国志下敷きなどが得意。ネット受注では、北海道から九州までを網羅。

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2009/05/08

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◆┃印刷だより #78┃◆◆◆◆  http://business.hey.ne.jp
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                                  株式会社ビジネス印刷センター
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 融通手形

数年前に世界的に飛躍していたエンロン社(*1)の破綻で、循環取引(*2)と
いう金融用語を初めて知った。
  (*1)Enron Corp(2007年3月にEnron Creditors Recovery Corp.に改称)
        米国Texas州ヒューストンに存在し、総合エネルギー取引とITビジ
        ネスを行う
        企業だった。
    2000年度年間売上高1,110億$(全米第7位)、2001年の社員数
        21,000名という有数の大企業だった。しかし、巨額の不正経理・
        不正取引が明るみに出て、2001年12月に破綻に追い込まれた。破
        綻時の負債総額は、簿外債務を含めると400億$を超えていたので
        はないかとも言われている。
    Enronの起源は、1931年に数社のエネルギー(ガス・電力・パイプ
        ライン)関連企業が集まってできたノーザン・ナチュラル・ガス
        にさかのぼる。1979年に同社は企業再編を行い、持株会社として
        インターノースを設立した。「ガス業界の規制緩和」によって業
        界再編が進む流れの中で、1985年にインターノースがヒュースト
        ン・ナチュラルガスと合併してエンロンが誕生した。
  
    (*2)Round-trippingとは、複数の企業・当事者が互いに通謀し、商品
        の転売や業務委託などの相互発注を繰り返すことで、架空の売上 
        高を計上する取引手法のこと。架空売上によって企業価値が増大
        して、株価も上昇し、金融機関からの借入金利低減等で有利にな
        る。

その後我が国でも、ライブドアメディアリンクス・NECエンジニアリング・
IXI・加ト吉・富士通関西システムズ・ニイウスコー・GSユアサライティン
グ(旧ユアサ電池子会社)・伊藤忠商事などの不祥事≒循環取引を耳にし
ていたが他人事として捉えていた。
 
ところが広島においても、「広島ガス開発」が総額440億円の循環取引をし
ていたことが明らかになった。同社のみならず、広島ガスリビング他「広
島ガス子会社グループ」数社も事件に関与していた。当然の成り行きで広
島ガス開発は倒産したが、民間関連企業も連鎖倒産が続出している。その
中には、以前当社と取引していたお客様も見受ける。 
奇しくもEnronと同業の、親会社「広島ガス」はいわば「公的企業」であり
道義的責任は重いはず。刑事責任などは司直の手に委ねられるが、広島ガ
スの深山秀樹社長はこの時期に広島商工会議所の副頭取に選任されている。
「トカゲのしっぽ切りして副頭取になるのはけしからん」が巷の声だが、
私には判断しかねる。

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「循環取引≒融通手形」として捉えるなら、かつて当社にも修羅場の経験
がある。ある教育産業K社との取引が始まったのは20数年前にDrasticなきっ
かけがあった。いきなり折り込みチラシ50万枚くらいの引き合いだった。
K社には何となく頬に傷ある臭いがしなくもなかったが、社内は活気に満ち
あふれていた。「今週は資金繰りが悪いから、折り込み代金とも来週末決済
にしてくれ。その条件を飲んでくれたら今後は全ての印刷物を発注する」と
の申し出には、初取引だから拒否するのが経営常識であろう。
現に拒否した印刷会社も見受けた。K社内の活気と、Paper Company(*3)
独占受注と言う将来性を計算して「危険な掛け」を受諾した。
  (*3)Paper Companyの本来の意味からは誤用になるが、「印刷物使用に
        より成り立つ会社」のことをそう呼んでいる。つまり印刷物
       (チラシ等)でフランチャイズ経営者を募り、印刷物で生徒募集し
        印刷物(テキスト等)を使用することで事業運営している会社の
        ことを、敢えてペーパーカンパニーと呼んでいる。製造業・宗教
        関係・学習塾は当時「印刷物の宝庫」と呼ばれていた。

その後は約束通り、K社の全国展開に合わせて目が回るほどの取引が継続さ
れて、10年間で5億円以上の受注実績になった。しかも後半は年間一億円に
る勢いだった。
1社の売上が60%を越すのは、事故発生時には危険なことであり、
受注Shareを下げるために、必死でK社以外の売上拡大を目指した。運良く
M&A(郊外の印刷会社買収)も出来て、K社からの受注比率は30%以下になっ
ていた。
K社の信用不安情報を入手したが、継続取引の恩義もあり、熟慮に熟慮を重
ねて総発注量の50%位引き受けて、他社参入を許諾した。実は100%受注して
いた当社が受注を断れば、他の印刷会社も受注拒否しかねないので、当時
では最良の選択だと判断した。覚悟はしていたが、案の定K社は倒産して
5,000万円くらいの不良債権が発生した。私個人の有価証券売却益等で当座
を凌いだが、実質的にはその倍以上の負債を背負うことになった。
K社のオーナー会長から「迷惑掛けたから5,000万円の手形を渡す、その替
わり御社からも同額の手形を発行してくれ」との申し込みがあった。
融通手形が行き詰まれば、当社には倍の金額の負債が残ることになる計算
式を描いた。既に当社はそれに耐えられる体力はなかったので、丁重にお
断りした。毎週のようにK社に呼びつけられ、2時間位の軟禁状態に苦しめ
られた。「お互いに資金繰りが楽になるではないか」の半ば脅迫状態にも
表面上はのらりくらり(内面は生きた心地はしなかったが)「当社は手
形取引はしておりませんので」とか何とか言ってかわすことしかすべがな
かった。
「一緒にビルから飛び降りて死のう」には、本気で死を覚悟したが不思議
と恐怖心はなかった。家内や娘にまで危害が及ぶ杞憂が発生したので、急
遽私だけ住民票を社宅に移して別居状況を演出しなければならなかった。
そして保有している有価証券と3件の不動産処分方法と、従業員を路頭に迷
わさないようにと、遺言書も作成した。
K社の雇われ社長のY氏は常識的な人だったが、スキャンダルの犠牲者と言
うべきか、奥様が首つり自殺され、Y氏も精神状態に支障を来され失踪され
たとの報をかなり後から知らされた。
Y氏から「お前、この極言状態でも冷静沈着そのものでよく耐え凌げるな」
といわれたが、内心は真反対でビクビクし通しだった。ただ自分でも不思
議なことなのだが、普段は飄々と軽佻浮薄を演じているが、何故か修羅場
に立たされると、気の弱さ(動揺)を隠して落ち着いた振りすることが身
に付いてしまった。

Post Script
社長業も40年間続けていれば何度かの修羅場に遭遇するはず。修羅場から
逃げることもひねくれることも簡単だが、それを体験しても厭世観に陥ら
ず、自分の心に正直に生きてこられたこと自体に大きな手応えを感じる。
体調不良は偽りなく不都合だが、それこそ「振り」でなく、冷静に自分を
見つめて毎日を過ごせることに言いしれぬ幸せを感じている。
誰にでも嫌な体験はあるはずで、大人になるには、それらを「開かずの引
き出し」にしまい込むすべを身につけることも必要であろう。数十年前に
訪問した、中国や韓国での嫌な体験などは完全に封じ込めて、渡航経験は
ないことにしている。言わなかったことでも「言った」と言わざるを得な
いことも、知っていることでも「知らなかった」と言わざるを得ないこと
もあり得る。例え自分の立場が不利になっても、内心の良識に背くことな
く、そして柵の中での熟考した判断は、幼児的嘘つきとは意を異にしてい
るはず。不都合な真実を隠蔽する(≒偽る)素直さも大切にしたい。

                             OGRE


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