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『デジタル印刷会社宣言』をしてオンデマンド印刷、可変印刷に特化している。オリジナル下敷き、三国志下敷きなどが得意。ネット受注では、北海道から九州までを網羅。

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2008/04/30

印刷だより

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◆┃印刷だより #65┃◆◆◆◆  http://business.hey.ne.jp
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                                  株式会社ビジネス印刷センター
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両親へのRequiem #2


両親の命日が近づくと、何故か京都第二日赤に入院していた当時のこと
が想い出される。
下京区に住んでいた親戚のおばあちゃんが見舞いに来て、12才から20才
まで封印していた「開かずの引き出し」の話を聞かされた。それは、敢
えて忘れていた小学校5年生の晩秋の苦い思い出である。

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休みになると「高野のおばちゃーん」と近所の割と裕福な子供達が我が
家に遊びに来ていた。食事時になっても帰らず、我が家の質素な食事を
好んで食べていた。お茶屋の恵子ちゃんも、不動産屋の邦ちゃんも、卓
袱台の前に行儀良く座って、好き嫌いも言わないのを目にした母親達は
不思議がり、有り難がっていた。
邦ちゃんの家に遊びに行くと、豪華なおかずがあるのに、好き嫌いは甚
だしく、あちこちウロウロしながら食事している様は別世界だった。
弟は子供達が我が家で食事することを良しとせず、「金持ちにタダでめ
し食わすのは損だ」と言って母親にたしなめられていた。私もそのよう
に思わないでもなかったが、長男がそんなこと言えば父親にぶん殴られ
るのは、既に承知していた。

日曜日の午後遅めに「雁木」に釣りに出かけた時に事件が起こった。
道すがら、邦ちゃん(6才の丸々とした元気な男の子だった)に出くわ
した。月光仮面に扮して、風呂敷をなびかせながら、どうやら後追いに
川まで付いてきていたらしい。
夕闇が迫り始め、帰り支度をしていた矢先に「ドボン」の音がした。そ
の方角を確認すると、邦ちゃんが川に落ちていた。広島の川は三角州特
有の現象があり、満潮時には海水が逆流して満々と水をたたえる。
「誰か助けてやらんと、溺れ死ぬで」と言う声はするものの、誰も動こ
うとしない。邦ちゃんは、どんどん沖へ流されている。
気づいたときには、川の中だった。水の冷たさで息がし辛かったが、何
とか邦ちゃんのところまで泳ぎ着いた。邦ちゃんが抱きついてきて、首
を絞めるので溺れそうになった。一旦、水の中に潜り、邦ちゃんが息苦
しくなって手を離すのを待った。再度背中から抱きしめて岸へと向かっ
た。流れが速く、体力を消耗しているので川岸が遠くに感じた。釣り竿
を差し出す人がいたので、それに捕まり、やっと岸へ辿り着いた。

焚き火を大きくして貰い、邦ちゃんをフリチンにして身体をこするよう、
周囲の大人に頼んだ。私も同じ格好になって、火傷するほど焚き火に近
づき、身体をこすり、服の水を絞った。「こんなあ、人命救助で表彰さ
れるで」などと喝采されたが、何となく白々しかった。ぐったりしてい
る邦ちゃんを背負って帰路についた。
邦ちゃんの暖かさを背中で感じだしたら、邦ちゃんも「お兄ちゃんの背
中は温いね」と言ってくれた。寒さに震えながらも、二人とも何となく
ほのぼのとした気分で邦ちゃんの家に着いた。

二言三言説明し始めると、いきなり邦ちゃんの母親から「あんた、うち
の子殺す気か!」と罵られた。「違わい、誘っていないのに邦ちゃんが
勝手に付いてきていたんじゃ」と発するのが精一杯で、逃げ帰った。

濡れ鼠の状態で、正座させられ、ぶるぶる震えながら一部始終を報告せ
ねばならなかった。父親は聞き終わると「あの馬鹿母親はワシも好かん
が、お前も言い訳するのは良くない。今日のところは功罪相半ばで咎め
無しにしよう」で解放された。
大人と子供を同等扱いにされて、何となく不公平感を感じたが、口にす
ればぶん殴られるので我慢した。お酒を飲まされ(美味かった)熱い風
呂に入って寝たのだが、翌朝は風邪を引いて学校を休んだ。
頑固オヤジと言われている町内会の世話役が「学校や警察に言って、表
彰して貰うよう手続きするが、ええじゃろう?」と説得に来られたが、
父親は「息子のためにならんから、申し訳ないが遠慮させて頂く」と頑
なに拒否した。

数か月後、近所の道路工事が始まり「砂利トラ」の喧噪が始まっていた。
エンジンが掛かったままの停車中のトラックの後ろで遊んでいた邦ちゃん
が轢かれて死んでしまった。邦ちゃんを見た頑固オヤジが母親に注意した
らしいが、逆に言い返していたと聞いた。「せっかく繁ちゃん(=私)が
助けたのに、馬鹿母親のセイで台無しになった」と言う風評が流れたが、
あまり良い気はしなかった。腑が飛び出しかなりむごい死に方だったらし
く、葬式には出させて貰えなかった。
後味が悪く、それ以来この苦い思い出は私の記憶の中から抹消させられて
いた。

───────────────────────────────── 

下京区のおばあちゃんから「あんたの父ちゃんが『並み居る大人が尻込み
しているのに、小学生のあいつは無意識にでも飛び込んで子供を助ける奴
だ。あいつはワシの子だから、車いすを使用する身になっても、しぶとく
生き様を見つけ出す筈だ』とたいそう褒めてはったよ」とニコニコ顔で告
げられるまで、邦ちゃんの話は忘れていた。

何と不器用な子育てなんだろう、もう少し優しく躾されていたら、と父親
を恨めしく思った。それと同時に、こりゃあ弱音や泣き言は一生吐くわけ
にもいかんな、と感じた。

                                                       OGRE

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