2005/01/25
★chottoHHG★ Vol. 57: 「津波ャ塔O」で広まるHot 97ボイコット運動
ヒップホップ・ジェネレーション
Hip−Hop Generation
−ヒップホップ・カルチャーがつなぐ人種、年代、思考 、政治−
Vol.57: 「津波ソング」で広まるHot 97ボイコット運動
E-mail to: kokosoultrane1@yahoo.co.jp
2005.01.25
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i.n.d.e.x.
◇What’s Happenin’:メルマガ読者数700人突破!
◇HHG Vol. 57:「津波ソング」で広まるHot 97ボイコット運動
◇今日のMC格言:Mos Def & Shirley Chisholm
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◇What’s Happenin’: メルマガ読者数700人突破!
ロングバージョンは去年の9月4日以来という、超久々の更新をしようと思って
いたら、なんとこのメルマガの読者数が700人に達していました。
ひゃー、びっくり! ご愛読、どうもありがとうございます!
最近登録された方はご存知ないかもしれませんが、短いバージョンの「chottoHHG」
を始める前は、こんな長いメルマガばっかり書いていました。
なかなか忙しくてできなかった、でも本当は一番やりたかったこのメルマガにな
かなか手をつけられないでいましたが、今年は「意識して」更新していきたいと
思っていますので、今後もぜひご愛読ください。
Let’s get goin’ ...
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★お知らせ★
実はこんなこともやっています。
よろしかったらこちらもチェキしてくださいね。
★2004米大統領選 NY編 (カフェグローブ)
http://www.cafeglobe.com/news/uselections/us041028.html
★セレブリティーOops! (InCeleb.com)
http://www.inceleb.com/oops/
★「ヒップホップ・ジェネレーションvs.ブッシュ」 (NYニッチ)
http://www.nyniche.com/soul/hiphop/21_index_msg.html
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◇HHG Vol. 57:「津波ソング」で広まるHot 97ボイコット運動
NYで人気のヒップホップ系ラジオ局「Hot 97」が、この度の津波災害の被害者
を笑いものにしたパロディーソングを流し、社会意識の高い(というより常識
のある)ヒップホップ・コミュニティーの間で、ラジオ局のボイコット運動が
広がっている。
■NYの人気ヒップホップ系ラジオ「Hot 97」
わたしがアメリカに来て間もなく、ヒップホップに夢中になり始めた頃、ニュ
ーヨークベースのヒップホップ系ラジオ局で最も人気のあるFMラジオ局、Hot97
(ホット・ナイティーセブン)をカーラジオでいつも聴いていた。
とにかく新しいヒップホップを24時間流していることが新鮮だったし、トーク
ショーでいろんなジョークやスラングを聴けるのも楽しかった。
でもそのうち慣れてくると、レコード会社からゴリ押しされた新曲を流し続け
ることにうんざりしたり、朝のトーク番組「スター&バックワイルド・ショー
feat. ミス・ジョーンズ」の過激な笑いの取り方に唖然とし、とっとと飽きて
さっぱり聴かなくなってしまった。
スターとバックワイルドの二人組みは、過激でショッキングな物言いやジョー
ク、罵り言葉や人種差別的ジョークで話題を呼び、高い聴取率を誇っていた。
R&Bシンガー、アリーヤの飛行機事故を笑いものにした時にはさすがにリスナー
から苦情が殺到したが、それでも1週間の謹慎と間に合わせの謝罪でまさかのカ
ムバックを果たした。
その後また、インド人に対する人種差別的なジョークとも言えないジョークで
問題事を起こし、結局は首になった。しばらくフィラデルフィアのラジオ局に
雇われてたが、最近「Hot 97」のライバル局「Power 105.1」に採用され、NY
に返り咲きした。
どの局にしても、絶望的な聴取率戦略のために、少しでもよりショッキングな
ホストを採用し、無知さを強調したトークを推進する動きには歯止めが効かな
いのが現実のようだ。どんな形であろうと、若いリスナーの注意を引くために
必死になっている姿は、なんとも滑稽ではあるが、彼らも生き残り戦争に必死
なのだろう。
そしてその戦争のなかでは、人種差別をジョークにするショッキングささえも
容認されいてる。
■“We Are The World”のパロディー「津波ソング」
自分の耳を疑わずにはいられない「津波ソング」のことを知ったのは、わたし
がいつも聴いているラジオ局の「Underground Railroad」という深夜番組だっ
た。急いでホストのJay Smoothが運営するブログhiphopmusic.com をチェッ
クした。
そこには信じられない事実が掲載されていた。
1月17日からの1週間の間に、以下のような曲が、“We Are The World”(*1)
のメロディーを替え歌にし、マイケル・ジャクソンの下手な物まねシンガーや
数名の素人シンガーに歌わせた仰々しい曲がHot 97で流されたというのだ。し
ばらくは特に苦情も上がらず、当たり前のように何回か流されていたという。
(曲の最後では、マイケル・ジャクソンの幼児虐待をギャグにしている)
「津波ソング」の一部翻訳
突然、中国人野郎(*2)の叫び声が聞こえる
波から逃れられる奴がいるわけないだろ
アフリカンが溺れてる、ちびっこ中国人野郎どもが押し流されてる
神様が笑ってるぜ、「泳げ、ビッチ、泳げ」
もうあんたもこれでお終いだな、津波にはかなわないだろ
急いだほうがいいぜ、でなきゃ地獄行きだ、ママでも探してな
そういやあんたのママが流れてくのを見たぜ、流れてきた木に埋もれてた
これで子供らは奴隷に売られてく
★“Tsunami Song”はこちらで聴けます
http://www.thesilent1.com/USA_For_Indonesia.mp3
(www.okayplayer.com) より
一度聴いたら背筋が凍るほどの嫌悪感と、あまりにも無神経な人種差別ギャグ
に唖然とさせられる。
20万人ともいわれる死者や犠牲者を笑いものにした曲がが、2005年にニューヨ
ークの人気ヒップホップ系ラジオで平然と流されていたのだ。
アメリカ人にとって、アジア人は全員中国人、と決め付ける風潮がある(とい
うか違いを知らない、知るチャンスも興味も少ない)。同じ黒人でも、アフリ
カ人はアフリカン・アメリカンに見下され、二級、三級市民のように扱われる
傾向がある。この曲はそのステレオタイプを笑いものにしているのだ。
この曲が流されたHot 97のモーニングショーのホスト、ミス・ジョーンズは、
以前物議を呼んでクビになったホスト、スター&バックワイルドと一緒にショ
ーのホストを担当していた女性である。
彼女を筆頭にした現在のモーニングショーで、一緒に出演しているミス・イン
フォというジャーナリストがいるのだが、半分はアジア人(半分は黒人)の血
を引いている彼女が、「アジア人としてこの曲に不快感を感じる」、と憤りを
コメントにした。
その瞬間、頭に血が上ったミス・ジョーンズは、「あんたはどうしていつも自
分だけ他人より優秀だと思うわけ!? ゴシップはゴシップでいいじゃない!
あんたはアジア人なんかじゃないわよ!」(*3)と興奮極まりなくまくした
て、ミス・インフォに説明の余地さえ与えなかった。
それに対して、もう一人の男性ホストでコメディアンのトッド・リンなどは、
「俺がアジア人をみんな撃ち殺してやるぜ」と調子にのってコメントしている。
そのコメントは一見、ミス・ジョーンズの無知さと無神経さを強調するもので
あるように聞こえたが、同時に、何百年も昔からアメリカ社会によって脳に焼
付けられてきた、「黒人であることの事実」から逃れようとする者に対する、
嫉妬と嫌悪が垣間見えたような気がして、なんとも複雑でまた悲しくもあった。
★ミス・ジョーンズvs.ミス・インフォのバトルの一こま
http://www.thesilent1.com/longer_hot97_tsunami.mp3
★Hot 97 モーニングショーのホスト4人
http://www.hot97.com/airstaff/morningShow.aspx?origin=nav
■ヒップホップ・コミュニティーに広がるHot 97ボイコット
Hot 97では、先週末までに殺到した苦情やメディアでの取り扱いに、慌てて短
い謝罪文をHPに挙げている。しかしトップページの“Funny Shit”という話題
の曲のリンクセクションには、それでもしばらくはこの曲のタイトルのリンク
が載ったままだった。
コンシャス系のヒップホップ・コミュニティーを代表するhiphopmusic.comを始
め、Okayplayer.comや各種メディアでこの事件が取り沙汰され、情報を広げ、番
組やスポンサー(携帯電話のスプリント、マクドナルド、リーボック、など)、
ラジオ局の親会社に苦情を出し、ボイコットしようという運動が急速に広がって
いる。
ちょうど同じ頃、カリフォルニア在住の日系アメリカ人の知り合いで、女性ラッ
パーの、Miwa Lyricさんからもこの事件に関するメールが送られてきて、この情
報を広げようと活動していることを知った。彼女はあれからも毎日、関連記事や
ボイコット、苦情の連絡先情報などをせっせと送ってくる。
★Miwa LyricさんのHP
http://www.angelfire.com/poetry/miwalyric/
多彩で公平、バランスの取れたアジア系アメリカ人に関する情報を取り上げるサ
イト「アジアン・メディアウォッチ」でも、早速この事件のことが取り上げられ
ていた。
http://www.asianmediawatch.net/missjones/index.html
ニューヨークポスト紙でもこのことは報道され、Hot 97の謝罪文を取り上げてい
る。この記事によると、このモーニングショーのスタッフ7人は、謝罪の意を表
明するため、彼らの1週間分の給料を津波災害の義捐金として送ることに合意を
したそうだ。
http://www.nypost.com/news/regionalnews/38657.htm
実際に給料を送金したかどうかは別としても、明らかに謝罪の気持ちもない者た
ちが、物事をお金で片付けようとする姿勢は明白だ。
Hot 97の親会社であるエミス・コミュニケーションズに送る嘆願書を制作したサ
イトもある。この嘆願書は、この事件に対する不快感、世界的悲劇に対する粗暴
な人種差別の表示、無知さと無神経さを批判し、エミス・コミュニケーションズ
に広告を出している会社に対する警告も含まれている。
http://www.petitiononline.com/tsunmai7/petition.html
■ヒップホップ・アメリカと人種差別の現実
Hot 97などの大規模なメディアで流されるヒップホップは、アンダーグラウンド
で純粋にこの音楽を楽しむ多くのファンの存在を簡単に透明人間にしてしまうほ
どの、誇大な公共イメージを容易に作り出す。
後者にしてみれば、自分たちのヒップホップが、前者のイメージと同一と思われ
ることに、多大なる迷惑を被っていると感じている。
それ以上に、人類の歴史上最悪の災害のひとつと言われるこの津波災害による被
害者や死者への人種差別的な言動を、無神経にエンターテイメントやゴシップと
して笑いものにできるメンタリティーが存在することに、反感と嫌悪感の声が寄
せられているのだ。
しかし、ヒップホップ・コミュニティーに限らず、自国以外で起こっている惨事
に非常に無関心である国民性は、悲しきかな、アメリカには少なからず存在する
のも事実だ。
自分の生まれ育った街を一生出ることもなく過ごす人が多い広大なこの国では、
海の向こうで起こっていることが他人事としか写らないのも事実だ。それは、確
固たる証拠もないままイラク戦争に押し切ったブッシュ政権を再選させてしまっ
たお国柄からも見て取れる。NYのようなリベラレルな多人種他民族が住む都市に
いると、それは痛烈に感じることだ。
もちろん、ボランティア先進国であり、キリスト教精神が根付くアメリカでは、
今回の津波災害に心を痛めて義捐金や物資を寄付した市民が非常に多かったのは
事実である。だからこそ、今回の人種差別的な「津波ソング」に対する批判やボ
イコット運動が必然的に起こったのだ。
しかし、このニュースがマイナーな事件として留まってしまっている背景には、
虐げられた歴史も持ちつつ、アフリカン・アメリカンほどに団結して国家権力と
戦ってこなかったアジア系アメリカ人の存在も浮き彫りにしているように思う。
経済力ほどの政治勢力を持たないアジア系アメリカ人のこの国でのまだまだ低い
地位も、この事件を更に目立たないものにしてしまっている。
それでもその怒りの声を高らかと上げているMiwa Lyricのようなヒップホップ・
ジェネレーションが存在することを、同じ日本人の血を引く者として誇りに思う
し、高く評価したい。
* * * 注釈 * * *
*1)“We Are The World” ……1985年にバンドエイドという、マイケル・ジャ
クソン、ライオネル・リッチー、ボノ、ポール・マッカトニー、スティングなど
の大物ミュージッシャンが、アフリカ飢饉を救うために制作された曲で、収益金
6千万ドルがエチオピア、スーダンなどの貧困に喘ぐ国々に寄付された。
*2)中国人野郎(Chinks)…人種差別的な中国人の名称
*3)「あんたはアジア人じゃない」…「ワンドロップ・セオリー」といって、奴
隷制度からの名残で、一滴でも黒人の血を引いている者が、黒人意外の人種であ
ることを主張しようとする行為を「パスする」といって認めない歴史的風潮。ア
フリカン・アメリカンの父とタイ人の母を持つタイガー・ウッズが、自分は黒人
であるだけでなく、タイのルーツも大事にしたいと主張して、世間(特に多くの
アフリカン・アメリカンから)から散々バッシングされた。同時に、勤勉なアジ
ア系アメリカ人の二世、三世の若者は、学校の平均成績も非常に良いため、その
アジア人であることを鼻にかけているととらえられたものと思われる。
**参考文献**
“Racist Hot 97 Skit Mocking Tsunami Victims”
http://www.hiphopmusic.com/archives/000759.html
“New EVEN WORSE Hot 97 Audio, and List of Sponsors”
http://www.hiphopmusic.com/archives/000760.html
“Hot 97 Mocking the "Chink" Tsunami victims”
http://www.okayplayer.com/dcforum/general2/390253.html
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★★★今日のMC格言★★★
ブルックリン
俺が生まれ育ったところ
時々ふと考えてみるんだ
世界の流れを見ながら、俺の思考がコネクトする
過去を思い、未来を思う
俺がまだ幼くて生意気だった頃のベッドスタイへの追憶
近所のイベントによく行って
若気の至りで生意気なことを言ってみたり
俺がまた子供だった頃、まだサグになる前のこと
俺とシャーリー・チズム(*)でさ、冗談だよ
Artist: Mos Def
Album: Black on Both Sides
Song: Brooklyn
「わたしは生き残れる、闘志だから
わたしのふたつのハンディーキャップ
『女性』であることは『黒人』であることより
もっと大変な障害だった
我々の社会で非常に多くの才能が失われた
ただ単にその才能がスカートをはいている、という理由で
奉仕はこの地球上に生きる特権に支払う家賃なのです」
byシャーリー・チズム
*シャーリー・チズム…黒人女性で初の下院議員。ブルックリン生まれ。
(1924.11.30-2005.1.3)
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One Day It’ll All Make Sense...
Peace, Love and Justice!
■発行人:塚田桂子 (Keiko Tsukada)
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Peace and Justice Radio from New York, NY “WBAI FM 99.5”
★NYが誇る平和と正義のラジオ局WBAI! (オンラインで聴けます!)
http://www.wbai.org/listen.php
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★筆者のお勧めメルマガ・ブログ★
■『ブラックカレッジコネクション』
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■『ヒップホップフリークスマガジン』by Tah
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■『ほぼ日刊ヒップホップ』by Tah
http://www.mag2.com/m/0000102713.htm
■『男と女のインテリア』by高田みどり
http://www.mag2.com/m/0000124841.htm
■『ブラックカルチャー知識箱』
http://blog.livedoor.jp/sistah/


