2009/12/19
【メールマガジン『杜の本屋さん』 2009.12.19-00171】
オランウータン王国 ことばの杜 ☆★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ メールマガジン『杜の本屋さん』 2009年12月19日 No.00171 号 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆ …………………………………‥‥‥・・・‥‥‥………………………………… 【もくじ】 …………………………………‥‥‥・・・‥‥‥………………………………… ◎連載『優愛物語』 第4話 ◎編集後記 ◎お知らせ ※このメールマガジンは、等幅フォント(Macintosh)、固定ピッチ(Window s)で正しく表示できるように編集しています。 …………………………………‥‥‥・・・‥‥‥………………………………… 【連載『優愛物語』 第4話】 …………………………………‥‥‥・・・‥‥‥………………………………… むかし、むかしの私。その頃の私は、両親のことを守らなければならないと いう気負いがあった。気負いと言うよりも、使命感なのかな。大袈裟ではなく て、本当にそう思っていた。周りの人たちからも、そうすることが当たり前の ように思われていた。大人へなっていくにつれて、より強く、よりはっきりと、 私は感じるようになっていった。 『大変ね。身体の不自由なお父さんと一緒で…』 『可哀想にね。まだこんなに小さいのにね。健気すぎて見ているだけで泣け ちゃうわ。優しい子、頑張ってね』 『貴女しかいないのだから、しっかりとお父さんのことを支えてあげてね』 そうなんだよね。そうすることこそが当たり前なんだ。そう見られてもおか しくはないんだよね。 一体、当たり前ってなんだろうね。私自身のことなんて関係なしに誰が決め たんだろう。当たり前なんてね。まったく勝手すぎるよ。もしも、もしもだよ。 それが神様だったら、こんなにも残酷なことなんてないよ。いくら神様から試 されていることだとしても、そんなのは、ぜんぜん違うと思うし、私は嫌だ。 たとえ神様であろうが、誰であろうが、私には関係のないお話。他の人たち が、どんなふうに私たち家族を見たとしても、そんなのは、どうでもいいんだ。 誰がなんと言おうと、私にとって、父は父なんだし、母は母なんだ。 世界中で一番、大切な私の家族。 大好きな、大好きな父と母。 どこにでもある普通の家族。 普通の親子。 そのはずだった。そうさせてほしかった。だけど、私たちの家族には許され なかった。 そう。ある意味、特別な家族。父親が障害者であるという特別な家族。たっ た、それだけのことなのにね。それだけの普通の家族なのにね。 それでも私は、いつ頃からか周りの人たちからの視線や言葉に、必死になっ て応えようとしていた。どれほど押し潰されそうになっても、いつも私は、元 気な私でいようと明るく振る舞っていた。 何故って? どうしてだろうね。 これ以上、私のことで、余計な心配を父や母にかけたくなかったから? 周囲に応えられるいい子になろうとしたから? そうすれば、みんなから褒められ、みんながいてくれて寂しくなかったから? どれも嘘じゃない。みんな、ほんとうのこと。ほんとうの私自身。 だからなのかもしれない。私は、いつも周りの人たちの視線や言葉に、とて も敏感になった。 怯えた。 怖かった。 痛かった。 私たち家族や私を可哀想だなんて看ないでほしい。ほんとうの父や母、私自 身のこころを看て欲しい。こころから解って欲しい。そう、こころの中で叫び 続けた。いつも、いつも一生懸命に叫び続けていた。 でも、誰にもとどかなかった。誰も応えてはくれなかった。もがけばもがく ほど、私の中にいる私自身が傷ついていった。 いくら私が叫び続けようが、一向に応えようとしない周りの人たち。 変わらない周りの人たちのこころ。 私のこころ。 私自身。 やがて、私は、私のこころを、私自身を閉ざし、叫ぶことさえもしなくなっ た。こころから失望し、人間不信になった。私の親しい友人でさえ、私の家族 のことでこころを許すことはなかった。 すべては、私の力不足。 私のおごり。 これっぽちも両親のことを考えていなかった独りよがりの傲慢な私自身。 でも、それも、いまでは懐かしい昔話のひとつ。いまでは、誰にでも笑って 話せるようになったよ。貴方にも感謝しなくちゃね。 ひとっていうのはね。こう思うんだ。こんなにも長い遠回りをすることでし か、本当のこころを看ることが出来ない。本当のこころを看る方法を学ぶこと ができない。そう言う存在なのかもしれないってね。私は、他の人の二倍や三 倍も遠回りをしたおかげで、しっかりと父や母、そして私自身に向き合うこと が出来た。もし、私が私自身と向き合うことが出来なかったら、親としての父 を認めず、ずっと拒絶し続けていた。父のような人を愛し、私を育てた母を一 生恨み続けていた。自暴自棄になって、私は、私自身が嫌いになり、こころの 底から私という人間を死ぬまで憎み続けていたと思う。 いまでは、すべての人が、私の周りにいてくれるみんなが、父や母が、私自 身が、本当に大好きだし、何よりも愛おしい。だからこそ、いまでは、父と母、 二人の想いが痛いほどよく解る。切ないほどに胸を締め付けてくる。ほんとう にこころが痛くなる。 いやだなぁ。書くのに夢中になって、こんな時間になってしまったよ。お肌 の美容には、よくないのにね。 「いまさら手遅れだよ。皐」 そんな貴方の笑い声が聞こえてきそうよ。 気のせいなのかな? きっと、気のせいだよね。 多分…。 まっ、いいよね。どちらにしても今夜は、眠れそうにないよ。 だから…。 「もう一人では、お酒なんて飲まないよ」 いつかした貴方との約束。また破ってしまったよ。しかも、明日は、私にと って、大切な日だって言うのにね。二日酔いのお嫁さんだなんて、やっぱりお かしいよね。 ごめんね。少し悪酔いしたかもね。 でも、今日だけだから…。 最後だから…。 貴方に甘えるのは、これで最後にするから…。 でも、どうしてだろう。ビールだけど、いくら飲んでも、少しも酔えないよ。 何もかも忘れられるぐらい酔いたい気分なのにね。 いま、私が飲み干してしまったビールの空き缶くんたち。あちこちに部屋中、 コロコロと転がっています。こんな私を見たら、きっと貴方に怒られてしまう かな? ごめんね。ほんとうにごめん。 でもね。私自身なんだよ。いまのほんとうの私自身なんだ。だから、いいね。 いいんだよね。 仕方がない! 最後の夜だからこそ、貴方の好きだったあの曲でも聴きながら、このまま静 かに夜を明かそうかな。 勿論、ビール片手にね。 えっへ、冗談ですよ。 冗談…。 ジョウダン?。 (つづく・・・) …………………………………‥‥‥・・・‥‥‥………………………………… 【編集後記】 …………………………………‥‥‥・・・‥‥‥………………………………… 今朝は、一段と冷え込んでいる。 室内ヒーターを付けていても、なかなか暖まらず白い息がはける。 外は雪。銀世界。 やっと、本格的な冬がやってきたようだ。 そして。。。 今年一年も、もうすぐ終わる。 「早いものだ」と書きたいが、年々、その速さが感じられなくなってきてい る。 なぜだろう。私だけなのだろうか。これが『老い』なのだろうか。 ただ漫然と、日々を過ごしてきただけなのかもしれない。 反省の意を込めて、来年は、何とかしたいものだ。 ただ、何事もなく一年を過ごせたことは、本当にしあわせなことだと思う。 今回も、このメールマガジンを最後まで読んでいただき、本当にありがと うございました。 このメールマガジンは、今回が今年最後の配信となります。 今年は、『こころの瞳』を一区切りにして、新たに『優愛物語』の連載を開 始しました。 いかがでしたでしょうか。 相変わらずの下手な文章ですが、それでも書き続けることができたのも、読 者のみなさんがいたからだと思います。 こころからの感謝しかありません。本当にありがとうございました。 もし、よろしければ、ご意見、ご感想などをいただけたら幸いです。 そして、来年も引き続き、このメールマガジンを読んでいただけたら、本 当に嬉しく思います。 どうかよろしくお願い致します。 厳しい寒さになるにつれて、インフルエンザが猛威を振るう季節。 どうか十分にお気を付けください。 そして。。。 よいクリスマス、よい新年をお過ごしください。 みなさんにとって、来年こそ、平和で、すべてに優しい、笑顔あふれるしあ わせな良い年でありますよう、こころから祈りながら・・・。 今年一年、本当にありがとうございました。 次回の発行は、新年2010年1月16日(土)を予定しています。 もし、よろしければ、引き続き読んでいただければ幸いです。 本当にありがとうございました。 …………………………………‥‥‥・・・‥‥‥………………………………… 【お知らせ】 …………………………………‥‥‥・・・‥‥‥………………………………… 現在、配信中の『優愛物語』は、自主出版本として刊行しております。 若干ではありますが、在庫があります。 自主出版『優愛物語』の書籍購入をご希望される方がみえましたら、お届け 先住所、氏名、希望の書籍数をご記入の上、メールをいただければと思います。 メールを確認次第、書籍の発送をさせていただきます。 書籍代金のお支払いにつきましては、書籍の到着後、書籍代(一冊1,800円) と送料(310円)を同封し、現金書留にてお送りいただきますようお願い申し上 げます。 なお、書籍の送料及び現金書留の代金につきまして、ご購入様のご負担と なってしまい、本当にこころ苦しいのですが、自主出版ということで、何卒 ご理解いただきますようお願い申し上げます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ランウータン王国・ことばの杜 メールマガジン『杜の本屋さん』 ◇発行日 2002年07月06日創刊 毎月第1・3土曜日発行 ◇発行責任者 櫻町 浩 ◇ホームページ http://www.f-welfare.net/ ◇ご意見・ご感想 postmaster@f-welfare.net ◇メールマガジンHP・バックナンバー http://www.f-welfare.net/information/mailmagazine/ ◇メールマガジンの登録・解除の方法 ・『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/m/0000092892.html ・『melma!』 http://www.melma.com/backnumber_69420/ ・『めろんぱん』 http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=004084 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Copyright:(C) 2002-2009 Hiroshi Sakuramachi All Rights Reserved. 発行責任者の許可無く、文章の転載・引用することを禁じます。
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