名詩メ−ルマガジン/吟遊に乾杯!
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◆◆◆ 名詩メルマガ/吟遊に乾杯! 2008.2/20 Vol−68
◆漢◆ ♪漢詩鑑賞・漢詩朗読・漢詩吟詠を楽しみましょう♪
◆詩◆ 詩仙李白、詩聖杜甫等の名詩が癒しと感動を与えてくれます
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皆さん、お元気ですか? 吟遊詩人/井上洸霊です。
寒いですね〜。夏に強く冬に弱い私は今冬の厳しさは身に凍みます。
比較的温暖な千葉も今朝はマイナス5度の冷え込みでした。
こんな寒い日は温泉にでも浸かって熱燗で雪見て一杯やりたいものです。
嘗て、四百年余りに及んだ中国の漢王朝は新という王朝を挟んで前漢と
後漢に別れますが、わずか15年程の王朝だった新の帝「王莽(おうもう)」
の言葉に「酒は百薬の長}という名言があります。
愛酒家の私にとって、これは百万の味方を得たような有難い言葉です。
これまでに多くの詩人が酒に纏わる詩を作っていますが、なかでも自らを
「酒中の仙」と称していた李白の「酒なくして何の人生ぞ」と詠った
「将進酒」はまさに酒賛歌の名詩と言えましょう。
そこで、今月はその酒に因み、盛唐の都長安にその名を馳せていた李白を
始めとする八人の酒仙の酒豪ぶりを見事に描いた杜甫の名詩「飲中八仙歌」
をお届け致します。さて、あなたは8人の酒仙の中の誰に似ていますか?
少々、長い詩ですが、どうぞじっくり味わってみて下さい。
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飲中八仙の歌 杜甫
知章(ちしょう)馬に騎(の)るは船に乗るに似たり
眼花(がんか)井に落つれば水底に眠らん
汝陽(じょよう)は三斗にして始めて天に朝(ちょう)し
道に麹車(きくしゃ)に逢えば口に涎(よだれ)を流し
封(ほう)を移して酒泉に向かわざるを恨む
左相(さしょう)は日興(にっきょう)して万銭を費やし
飲むこと長鯨の百川を吸うが如し
杯を銜(ふく)んで聖を楽しみ賢を避くと称す
宗之(そうし)は瀟灑(しょうしゃ)たる美少年
觴(しょう)を挙げて白眼して青天を望み
皎(こう)として玉樹の風前に臨むが如し
蘇晋(そしん)は長斉す繍(しゅう)仏の前
酔中往往逃禅(とうぜん)するを愛す
李白は一斗 詩百篇
長安市上 酒家に眠り
天子呼び来れど船に上(のぼ)らず
自ら称す 臣は是れ酒中の仙
張旭(ちょうきょく)は三杯 艸聖(そうせい)伝う
帽を脱して頂を露(あら)わす 王公の前
揮毫して紙に落とせば雲烟の如し
焦遂(しょうすい)は五斗 方(まさ)に卓然
高談雄弁 四筵(しえん)を驚かす
<漢詩原文>
飲中八仙歌 杜甫
知章騎馬似乗船
眼花落井水底眠
汝陽三斗始朝天
道逢麹車口流涎
恨不移封向酒泉
左相日興費万銭
飲如長鯨吸百川
銜杯楽聖称避賢
宗之瀟灑美少年
挙觴白眼望青天
皎如玉樹臨風前
蘇晋長斉繍仏前
酔中往往愛逃禅
李白一斗詩百篇
長安市上酒家眠
天子呼来不上船
自称臣是酒中仙
張旭三杯艸聖伝
脱帽露頂王公前
揮毫落紙如雲烟
焦遂五斗方卓然
高談雄弁驚四筵
<酒豪の解説>
知章・・・賀知章のこと。詩文と書に優れ、盛唐の今でいう文部省次官
にまで上り詰めた。退官後晩年は放埓な生活を送ったという。
盛唐の8酒仙の一人。
汝陽・・・李璡のこと。玄宗皇帝の兄の子。盛唐の8酒仙の一人。
左相・・・盛唐の左大臣であった李適之のこと。盛唐の8酒仙の一人。
宗之・・・崔宗之のこと。李白の良き詩友であり飲み友達だったという。
盛唐の8酒仙の一人。
蘇晋・・・玄宗の腹心の一人で今でいう総務省次官。盛唐の8酒仙の一人。
張旭・・・盛唐随一の草書家で盛唐8酒仙の一人。
焦遂・・・生涯を無位無官で通した唐代随一の講談家。盛唐8酒仙の一人。
<通釈>
酔った知章が馬に乗っている姿は、ゆらりゆらり、まるで船に乗って
揺られているようだ。目がかすんで井戸に落ちても恐らくは水底でその
まま眠っているに違いない。
汝陽は、三斗の酒を飲んでから朝廷に出仕する。その途中で麹を積んだ
車にでも会おうものなら口から涎(よだれ)を出し、また水が酒になると
いう酒泉を自分の領地に移してもらえないのをいかにも残念に思っている。
左相は、一日に巨額の遊興費を使い、その飲みっぷりはまるで大きな鯨が
百川の水を吸い込むかのようだ。
宗之は、水も滴る良い男。酔えば俗世を白眼視して遠く青天を望む。その
姿はまるで玉樹が風に揺れている風情がある。
蘇晋は、仏教に熱心でいつも仏の前で精進している。しかし、酒が入ると
これこそが自分の修行だと言い張って酒にふけっている。
李白は、一斗の酒を飲む間に、百篇の詩を作るという。
都長安の街中の飲み屋で酔っては眠りこけ、天子からお迎えの船が来ても
乗らず、「俺は酒中の仙人である」などと豪語している。
張旭は、三杯飲めば草書の聖と言われている。帽子を脱いだ頭の髪の毛で
書く字はまるで雲か霞のようである。
焦遂は、5斗くらい飲んだところが一番頭がすっきり冴えるようだ。
その講談雄弁ぶりは聴衆を驚かすほどだ。
<鑑賞>
杜甫の名詩「飲中八仙歌」いかがでしたか?
八酒仙はそれぞれが独自の才能を有し、それぞれ違った生涯を送ったよ
うですが、酒と詩の世界は共有していたようです。詩聖と称された杜甫
にしてこの名詩有り、いやあ、それにしても酒はいいものですね。
酒は飲むほどに酔うほどに人の心を楽しませ和ませるもの、もちろん狂
気の沙汰は論外です。最近は皆健康専一で、この名詩に登場する八酒仙
のような豪傑が少なくなったのは少々残念ではあります。
では次回またお会いしましょう。
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