「オンライン古本屋」にて、『徒然草』を読む。 RSSを登録する

女好きでない男はダメ、独り寝するなんて粋じゃない…そんな兼好法師さんが、退屈に身を任せてお書きになった『徒然草』。 「オンライン古本屋」の番頭が、つれづれなるままに読み、書き作ります。

最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
2005/05/19

『オン・つれ』 第百九十一段 〜 「夜であってこそ」

この記事を取り寄せる

 [本の紹介・夏目書店]          2005.05.19.(木)
 http://www6.ocn.ne.jp/~natume/ _________________________



   「オンライン古本屋」にて、『徒然草』を読む。


 ________________________________________________________


          第 百九十一 段


  「夜に入りて、物の映えなし」といふ人、いと口惜し。

 万のものの綺羅・飾り・色ふしも、夜のみこそめでたけれ。

 昼は、ことそぎ、およそすけたる姿にてもありなん。 夜は、

 きららかに、花やかなる装束、いとよし。 人の気色も、夜

 の火影(ほかげ)ぞ、よきはよく、物言ひたる声も、暗くて

 聞きたる、用意ある、心にくし。 匂ひも、ものの音も、た

 だ、夜ぞひときはめでたき。

  さして殊なる事なき夜、うち更けて参れる人の、清げなる

 さましたる、いとよし。 若きどち、心止めて見る人は、時

 をも分かぬものなれば、殊に、うち解けぬべき折節ぞ、褻(け)

 ・晴なくひきつくろはまほしき。 よき男の、日暮れてゆす

 るし、女も、夜更くる程に、すべりつつ、鏡取りて、顔など

 つくろひて出づるこそ、をかしけれ。

                         (全文)

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 ● 訳 ○

  「夜になって、物の見映えがしない」と言う人は、じつに
 情けない。 あらゆるものの美麗さ、装飾、きらびやかなこ
 とも、夜であってこそ美しく見映えがするのである。 昼は、
 簡素で、地味な姿でいてもよいだろう。 夜は、きらびやか
 で、派手な改まった服装でいるのが、とてもよい。 人の容
 姿も、夜の燈火に照らされているその様子が、立派なのはな
 お立派に見え、物を言った声も、暗いなかで聞く、その心を
 配るのが、実に奥ゆかしい。 香りも、楽器の音色も、ただ、
 夜こそがひときわ優れている。

  これといって格別なことのない夜に、夜がふけてから高貴
 なお方のもとへ参上した人が、さっぱりした身なりをしてい
 るのは、とてもよい。 若い者どうしで、意識して見る人は、
 時の区別なくいつでも見るものだから、とくに気を許してし
 まいそうな機会には、ふだんの場合と改まった場合との区別
 なく、身だしなみをよくしてほしいものだ。 身分のある立
 派な男が、日が暮れてから、髪のみだれを直すために、髪に
 鬢水(びんみず)をつけてなでつけ、女も、夜がふけるころ
 に、そっと席をはずして、鏡をとって、顔などを整えなおし
 てもとの席へ改めて出てくるというのこそ、情趣が深いので
 ある。


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 ○ つれづれなるままに ●

  タイトルを忘れてしまったのだけれど、水族館で働いてい
 る男が主人公の映画があって、その男の日課が、仕事の帰り
 に電車を一駅乗り越して、その駅を降りたところに広がる海
 辺のベンチで、しばらくの間佇むというものだった。

  ある日偶然に電車を乗り越して、その“海辺の駅”を知る
 女。 男の隣のベンチに腰を下ろして、ひとり言のようにつ
 ぶやく。


  「一駅向こうに行くだけで、こんな所があったなんて…」


  しばらくの時が流れて、男もまた、夕暮の水平を眺めたま
 まにつぶやく。


  「一日のうち、少しの間でもこういう時間をもつことが
  大切だと思うんだ。」


  夕暮れどき、地下鉄に乗って神楽坂へ。 ゆるやかにつづ
 く下り坂をのんびり味わいながら、いつもの場所へ向かう。

  カナルカフェ。 水と空、風と木々に包まれた心地よい空
 間。 一日のうち、少しの間でもこういう時間をもつことが
 大切だと思うのである。

                          (留)

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 ●カナルカフェ
   http://www.canalcafe.jp/
 
  いつの間にかホームページが出来ています。 見たら行き
 たくなると思います。 行ってみたら「東京にもこんなとこ
 ろがあったのか」と思っていただけることウケアイです。


 ●近ごろ観た映画
 
  ボン・ヴォヤージュ
  〜「できることをやるさ。」
   http://www6.ocn.ne.jp/~natume/eiga/von-voyaju.htm


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 ◎ 編集後記 ◎

  またまた久しぶりの発行になってしまいました。 このメ
 ルマガをお忘れの方も、さぞいらっしゃることと思います。
 忘れちゃイヤヨ。
  だいぶ前に青年海外協力隊を受けたことをチラとお伝えし
 たのですが、また今年の春も受ける予定です。(応募しまし
 た。) 前回、不合格をメルマガでお伝えしたときに何人か
 の方からメールを頂き、なかでも協力隊OGの方からは熱烈
 な、心のこもった応援メールを頂いたのでした。
  勢いで受からなかった分、開発学や(識字)教育学、英語
 などもボチボチ勉強をはじめ、またこの一年で成長できたと
 ころもあるので、かえってよかったのかなと今では思ってい
 ます。
  前回ひっかかってしまった不整脈 も“異常なし”という
 状態まで回復し、今回は受かるといいなあ…と、カナルカフェ
 に泳ぐ魚を眺めながら、あるいは夜空に輝く月を見上げなが
 ら思ったりしております。

                         (店長)

 ●青年海外協力隊
   http://www.jica.go.jp/activities/jocv/

 ●カナルカフェ
   http://www.canalcafe.jp/


=============================

 「オンライン古本屋」にて、『徒然草』を読む。  191/243
                    
         『オン・つれ』は“つれづれなるままに”
                  お届けしております。
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ◇参考文献◇
 『新訂・徒然草』岩波文庫 (西尾実・安良岡康作、校注) 
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ●読者割引● 「夏目書店」の本を注文するときに「メルマ
 ガ読んでます」などと書いて頂ければ、送料を「300円」に
 オマケいたします。
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 このメールマガジンは『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/
 を利用して発行しています。
 @配信の中止・変更はこちらまで。
 http://www6.ocn.ne.jp/~natume/00-ture.html
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 〔発行〕 夏目書店  http://www6.ocn.ne.jp/~natume/
 〔文章〕 松本留五郎
〔メール〕 tomegoro@athena.ocn.ne.jp
=============================

この記事を取り寄せる
最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る