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女好きでない男はダメ、独り寝するなんて粋じゃない…そんな兼好法師さんが、退屈に身を任せてお書きになった『徒然草』。 「オンライン古本屋」の番頭が、つれづれなるままに読み、書き作ります。

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2004/09/20

『オン・つれ』 第百八諸ェ段 ? 「大事を急ぐ」(その1)

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 [本の紹介・夏目書店]          2004.09.20.(月)
 http://www6.ocn.ne.jp/~natume/ _________________________



   「オンライン古本屋」にて、『徒然草』を読む。


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          第 百八十八 段

            (その1)

  或者、子を法師になして、「学問して因果の理をも知り、

 説教などして世渡るたづきともせよ」と言ひければ、教のま

 まに、説教師にならんために、先づ、馬に乗り習ひけり。 

 輿(こし)・車は持たぬ身の、導師に請ぜられん時、馬など

 迎へにおこせたらんに、桃尻にて落ちなんは、心憂かるべし

 と思ひけり。 次に、仏事の後、酒など勧むる事あらんに、

 法師の無下に能なきは、檀那すさまじく思ふべしとて、早歌

 (さうか)といふことを習ひけり。 二つのわざ、やうやう

 境に入りければ、いよいよよくしたく覚えて嗜(たしな)み

 けるほどに、説教習ふべき隙なくて、年寄りにけり。

  この法師のみにもあらず、世間の人、なべて、この事あり。

 若きほどは、諸事につけて、身を立て、大きなる道をも成じ、

 能をも附き、学問をもせんと、行末久しくあらます事ども心

 には懸けながら、世を長閑(のどか)に思ひて打ち怠りつつ、

 先づ、差し当りたる、目の前の事にのみ紛れて、月日を送れ

 ば、事々成す事なくして、身は老いぬ。 終(つひ)に、物

 の上手にもならず、思ひしやうに身をも持たず、悔ゆれども

 取り返さるる齢ならねば、走りて坂を下る輪の如くに衰へ行

 く。

  されば、一生の中、むねとあらまほしからん事の中に、い

 づれか勝るとよく思ひ比べて、第一の事を案じ定めて、その

 外は思ひ捨てて、一事を励むべし。 一日の中、一時の中に

 も、数多(あまた)の事の来らん中に、少しも益の勝らん事

 を営みて、その外をば打ち捨てて、大事を急ぐべきなり。

 何方(いづかた)をも捨てじと心に取り持ちては、一事も成

 るべからず。

  例えば、碁を打つ人、一手も徒(いたづ)らにせず、人に

 先立ちて、小を捨て大に就くが如し。 それにとりて、三つ

 の石を捨てて、十の石に就くことは易し。 十を捨てて、十

 一に就くことは難し。 一つなりとも勝らん方へこそ就くべ

 きを、十まで成りぬれば、惜しく覚えて、多く勝らぬ石には

 換へ難し。 これをも捨てず、かれをも取らんと思ふ心に、

 かれをも得ず、これをも失ふべき道なり。

                     (1/2・全文)

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 ● 訳 ○

  ある者が、子を法師にして、「仏教を勉強して因果応報の
 道理を知り、説教などをして生計を立てる手段ともしなさい」
 と言うと、その教えのとおりに、説教師になるために、まず、
 馬に乗ることを習った。 輿や牛車を持たない身分で、導師
 として招かれたような時、馬などを迎えによこされて、乗馬
 が下手で落馬してしまうようでは、情けないことであろうと
 思ったのである。 次に、仏事の後、(檀那が)酒などを勧
 める事もあるだろうけれど、法師がまったく芸がないのでは、
 檀那が興ざめに思うだろうと、早歌というものを習った。 
 二つの芸が、しだいに熟達の境地に達したので、ますますよ
 く技芸を身につけて準備を整えたころに、説教を習う暇がな
 くて、年老いてしまった。

  この法師だけでなく、世間の人に、ひろく、この事がある。
 若いころは、いろいろな物事について身を立て、大きな専門
 の業をなしとげ、芸能をも身につけ、学問をもしようと、長
 い将来にわたって、計画することの数々を心中にもっている
 ものの、自分の一生をのんびりしたものと思って努力を怠り
 ながら、まず差し当たっている、目の前の事にのみ紛れて、
 月日を送れば、どのことも達成することがなくて、わが身は
 老いこんでしまう。 結局、一つの道の上手にもならず、思っ
 ていたようによい暮らしをも持てず、悔いても取り返すこと
 のできる年齢でもないので、あとは走りながら坂を下ってい
 く車のような勢いで衰えていく。

  したがって、一生の中で、大事だと望んでいる事のうちに、
 どれが最も大事なものかとよく思い比べて、第一のことを考
 え決めて、その他のことは思い捨てて、一つの事を励むべき
 である。 一日のうち、一時のうちにも、数多くの事がやっ
 てくる中で、少しでも益が勝るような事を行なって、その他
 のことは打ち捨てて、大事を急ぐべきである。 どちらも捨
 てないと心で執着していると、一つの事も成し遂げることは
 できない。

  例えば、碁を打つ人は、一手も無駄にせず、人より先に、
 小を捨てて大きいところを打つようなものである。 それに
 ついて、三つの石を捨てて、十の石を取ることは易しい。
 十を捨てて、十一を取るのは難しい。 一つでも勝る方を取
 るべきところを、十くらいまでになると、捨てるのは惜しい
 と思って、それをより多く勝る石に取りかえるのは難しい。
 これをも捨てない、あちらをも取りたいと思う心に、あちら
 をも得ず、こちらをも失う道がある。


 ※ 早歌(そうか)… 鎌倉期から室町期にかけて流行した謡
          い物。 宴席でも謡われたので、近世に
          入ってから、宴曲とも言われた。

    
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 ○ つれづれなるままに ●

  日本のように文明化されていない社会で、一年でも二年で
 も、生活してみたいという漠然とした希望をもっていた。
 
  言葉の問題もあるし、仕事の問題もある。 だけど、それ
 らをクリアするピッタリの仕事を偶然にみつけた。

  私が希望したのは、タイの山岳地帯に住む少数民族の村に
 入り、農民の一員として仕事を手伝いながら、村人が生計を
 立てていくための可能な活動を見出すというもの。

  求められているのは、肉体的・精神的なタフさ。 異文化
 に溶け込む適応性。 枠にはまらない柔軟な発想と行動力。
 そして、できることは何でもやるという心がまえ。

  この世に自分あることを知って書かれた、ラブレターかと
 思った。

  三ヶ月ほどに及ぶ選考試験に取り組み、先日、その結果が
 出た。 1次の筆記を通り、2次の面接では「健康面で問題
 なければ」という手応えをつかんでいた。

  その、まさかの健康面で引っ掛かってしまった。

  たいした病気ではないのだけれど、治すには時間がかかる
 らしい。 あるいは、ずっと治らないこともあるという。

  だけど、治さないことには選考には通らない。 医者の言
 葉にしたがって、薬を飲み、生活を改善することにした。

  酒・タバコはもとより、コーヒーや緑茶も控える。 夜更
 かしをしない。 ストレスになるようなことを避け、怒った
 りするなど感情的にならないようにする。

  そして、いの一番に注意されたのが「男であること」。 

  20代の男にはちょっと笑える。 でも、笑ってばかりも
 いられないので、この難敵を手なずけるいい機会にしようと
 思っている。

                          (留)

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 ●青年海外協力隊
   http://www.jica.go.jp/activities/jocv/


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 「オンライン古本屋」にて、『徒然草』を読む。 188-1/243

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 ●後記●

  メルマガ創刊以来の長いお休みを頂きました。はじめての
 方もいらっしゃるかと思います。どうぞよろしくお願いいた
 します。
  不整脈だそうです。考えてみれば心臓にわるいことばかり
 やっていたような気がします。市場での仕事中は浴びるよう
 に緑茶を飲み、午後はコーヒー(カフェインのとりすぎ)。
 夜更かしなんてあたり前。夜中の3時に寝て、早朝4時半に
 起きるなんてのはザラでした。医者の言うには「できるだけ
 ボーっとしてなさい」とのこと。文章を書くのも神経を使う
 ので、なるべく控えめにするつもりです。
  休刊中、メールをくれた方、あえてメールを控えてくれた
 方もいらっしゃること、承知しております。ありがとうござ
 いました。
                        (店長)

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 ◇参考文献◇
 『新訂・徒然草』岩波文庫 (西尾実・安良岡康作、校注) 
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 〔発行〕 夏目書店  http://www6.ocn.ne.jp/~natume/
 〔文章〕 松本留五郎
〔メール〕 tomegoro@athena.ocn.ne.jp
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