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女好きでない男はダメ、独り寝するなんて粋じゃない…そんな兼好法師さんが、退屈に身を任せてお書きになった『徒然草』。 「オンライン古本屋」の番頭が、つれづれなるままに読み、書き作ります。

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2004/06/26

『オン・つれ』 第百八十六段 ? 「吉田と申す馬乗り」

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 [本の紹介・夏目書店]          2004.06.26.(土)
 http://www6.ocn.ne.jp/~natume/ _________________________



   「オンライン古本屋」にて、『徒然草』を読む。


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          第 百八十六 段


  吉田と申す馬乗りの申し侍りしは、「馬毎にこわきものな

 り。 人の力争ふべからずと知るべし。 乗るべき馬をば、

 先づよく見て、強き所、弱き所を知るべし。 次に、轡(く

 つわ)・鞍(くら)の具に危き事やあると見て、心に懸る事

 あらば、その馬を馳すべからず。 この用意を忘れざるを馬

 乗りとは申すなり。 これ、秘蔵の事なり」と申しき。
  
                         (全文)

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 ● 訳 ○

  吉田という馬乗りの申しましたことは、「それぞれの馬ご
 とに手ごわいものである。 人の力では馬の力と張り合うこ
 となどできないことを知るべきだ。 乗ろうとする馬を、ま
 ずよく見て、強い所、弱い所を知ること。 次に、轡(くつ
 わ)・鞍(くら)などの道具に危ない所があると見て、気に
 かかる事があれば、その馬を馳せるべきではない。 この用
 意を忘れないのを、馬乗りと申すのである。 これは、大切
 な秘訣である」と申した。


 ※ 轡(くつわ)… 馬の口にふくませる金属製の器具。
          手綱をつけ、馬を御するのに用いる。

    
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 ○ つれづれなるままに ●

  今晩は外食にしようと、フランスパンをスライスして、コ
 ンビニで小さな牛乳を買って、神田川沿いの遊歩道に出かけ
 る。 周りを木々にかこまれ、その木々が風に揺れる涼しげ
 な場所。 4つあるベンチのうち2つは、すでに先客に占め
 られていた。

  先客のひとり三毛猫は、ベンチに横たわったまま毛づくろ
 いに余念がない。 もうひとつのベンチを占める黒猫は、作
 務衣に雪駄履きの“珍入者”の様子をうかがっている。

  残されたベンチのひとつに腰を下ろして、フランスパンの
 紙袋をガサゴソさせると、いつの間にかこちらをうかがって
 いた黒猫の姿が消え、消えたかと思ったら半分近く距離をつ
 めて、こちらの方をジッと見ている。

  そ知らぬフリをしてフランスパンをもぐもぐしていると、
 また少し距離を縮めて、こちらの方をジーッと見ている。 
 “やれやれ、俺に気でもあるのかな ” なーんて思いつつ、
 フランスパンをちぎって放ってみると、待ってましたとばか
 りに食いついた。

  しばらくモゾモゾやっていたと思ったら、ふたたびこちら
 を向いて、まーるい目をクリクリさせてジーッと見つめてい
 る。

  そんな目で見つめられてはカナワナイ。 ちぎっては放り、
 ちぎっては放り、たまには自分でもかじりながらしているう
 ちに、フランスパンはなくなり、黒猫もまんぷくした様子で、
 もとのベンチへと戻っていった。

  猫にモテても仕方がないのだけれど、モテないよりはいい。
 もっとも、モテていたのはフランスパンのような気も、しな
 いではない。

                          (留)

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 「オンライン古本屋」にて、『徒然草』を読む。  186/243

         『オン・つれ』は週1回(土)の発行です。
          ( ※今週から土曜日にしてみました。)
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 ◇参考文献◇
 『新訂・徒然草』岩波文庫 (西尾実・安良岡康作、校注) 
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 〔発行〕 夏目書店  http://www6.ocn.ne.jp/~natume/
 〔文章〕 松本留五郎
〔メール〕 tomegoro@athena.ocn.ne.jp
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