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2008/11/25

太田ジオメールマガジン[132]~防災ミニ格言、の巻~

◆太田ジオメールマガジン第132号!!!◆

本格的な冬が目の前です。地盤技術者が鳥インフルエンザのパンデミックに感じ
る怖さは、普通の方が自然災害に感じる怖さに通じるものがあるのでしょうか。

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 Ohta Geo mail Magazine 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
          ━ Vol.132 ━ 2008.11.25 ━

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┏━━━━━INDEX━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃★防災に関する今の時代の「ミニ格言」
┃ 防災に関する格言は昔からありますが、生活様式が相当変わっていますので
┃ 具体性を感じ、行動を起こせるようなものを考えていく必要があるでしょう。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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■防災に関する今の時代の「ミニ格言」
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格言はひと言で重要なことを伝えるのに適した短文です。寺田寅彦の「災害は忘
れた頃にやってくる」などは皆さんよくご存じです。しかし、過去の防災格言な
どは教養として知っていても、防災行動に結びつかなくなっているような気がし
ます。時代がかわり、生活様式が激変しているのでしょうがないのかも知れませ
ん。といっても自然現象は極めて規則正しく繰り返し、それが人間生活に影響を
与える「災害」に化ける確率は都市化の進展や「便利」によってどんどん高くなっ
てきています。災害を回避するためには、評論的・文学的格言よりも、役にたつ
格言を造っていった方がよいのではないかと思います。

ネット検索してみたら、現在の日本の総理大臣がかつて次のような名言を言われ
ています。「地震は、金持ちだから来た、貧乏だから来た、ということはなく、
みんな極めて公平にばんと来る。(by麻生太郎)」。これは自然現象は人間の都
合とは関係なく来るという意味でしょう。自然現象が災害に変わる場合には、公
平ではなく選択的になり「地震は貧困に襲いかかる(byいのうえせつこ)」とな
ります。万一災害に遭った場合、災害前の暮らしに戻れるかどうかは「総資産
5000万円の壁がある(by高坂健次)」。ということです。

「貧困」に災害が襲いかかるのはなんとなく理解できますが、その貧困はどの程
度からいうのかというと、元の生活に戻れるかどうかを基準にすれば総資産5000
万円がそのボーダーラインだということだそうです。大半の人(日本社会の7割)
が貧困だと言うことに他なりません。

進む階層化社会のなかで「被害の階層性」は克服できるか
――総資産5000万円の壁をどう考えるか―― 
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2005/12/190.html
”社会の階層化が進んでいる。また、進む方向で政治は動いている。平常時には
なんとかやりくりできたとしても、「万一」のことがあった場合、その被害もま
た、しわよせられて押し寄せる。社会調査によって、災害後に、災害前の暮らし
に戻れるかどうか、の分岐点は、どうやら災害前総資産5000万円が境目になると
判明した。日本社会のほぼ七割は、このボーダーラインの下に位置している。そ
して災害は「万一」ではなく必ずやってくる。われわれは、その意味をどう考え
るか。”

総資産5000万円というのはどういう意味か考えてみます。ふつう所有している家
屋や宅地は「資産」だと思いがちですが、実は災害で壊れると同じ金額を投じて
再建しなくてはならないので、災害で壊れるような資産は実は「負債」だという
ことになります。負債を一気に返せるような個人資産をもっている人が「元の暮
らしに戻れる人」ということなので、実は話自体は簡単です。

当社のトップページのアニメーションGIFを更新しました。
http://www.ohta-geo.co.jp/image08/20081124/20081124.html

トップページなのでインパクト重視ですが、技術の会社のものなので説明を付け
ました。そしてそこに、当社独自のミニ格言をつけてみました。

ミニ格言と写真の説明
http://www.ohta-geo.co.jp/image08/20081124/20081124.html

ミニ格言その1:”盛土は地震で「船」になる”
盛土工は、法面の急傾斜部を安息角近くまで緩くすることで盛土内破壊を起こさ
せないという考え方で管理されていました。低角度の盛土底部、地山境界がすべ
り面となって盛土全体が変動することなど夢にも思っていないなかったというい
うことです。地震時の液状化、過剰間隙水圧を甘く見ていたわけです。その戒め
をこのミニ格言で表現してみました。

ミニ格言その2:”地震で壊れる資産は負債である”
これは先に説明しましたので省略します。

ミニ格言その3:”知らなくても「無過失責任」がある”
意外に知られていないことで、先日朝日新聞の「わが家のミカタ」にこの話を載
せてもらったところ、電話がじゃんじゃんかかってきました。災害に関わる評論
や制度改正は、そのほとんどが「事後処理」なので、実は「防災」と呼ぶにふさ
わしくありません。「防」は予防のことですから。予防は自分の意志でやるしか
ありません。自分の命を天に任せるのは自由です。しかし、他人に災いをもたら
したら、過失が無くても損害を賠償しなければならないということを知っておく
ことも大切です。

ミニ格言その4:”道路はつながっていないと役にたたない”
道路には、時々壊れても直せば良い道路と、決して壊れてはならない道路があり
ます。緊急輸送道路は後者に当たります。自然科学を学んだ技術者としては地す
べりや落石といった地山の現象に興味があるのですが、緊急輸送道路で問題とな
るのは、人工的な橋梁、盛土です。人間の造ったものがヤバイのです。その理由
は、それらが谷底に落ちてしまうと復旧に長期間を要するからです。そんな道路
は緊急時には存在しないも同然です。


((((((( 編集後記 )))))))
”生き地獄”という言葉があります。災害に関して「命だけは守る」という言葉
を聞く度に、それは違うと感じてしまいます。回避すべきは生き地獄です。総資
産5000万円の壁から推定すると、その予備軍が全人口の7割いるということなの
で、やるべきは「被災しないこと」になります。被災しなければつぎ込む個人資
産もいりません。地震があっても生活が変わらないだけの頑丈な資産保全をして
おくことこそが防災ということになります。「被災後の美談」からの脱却が必要
です。かつて高名な先生に尋ねられたことがあります。「どうして日本で防災が
進まないのかわかるか?それは防災産業がないからだよ」。健全な防災産業をつ
くっていくことが一番の早道なのかも知れません。(H.O)


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