太田ジオメールマガジン[111]〜中越沖地震被害調査、の巻〜
◆太田ジオメールマガジン第111号!!!◆
台風5号は大丈夫でしたか?
〓〓〓〓〓〓〓〓〓 Ohta Geo mail Magazine 〓〓〓〓〓〓〓〓
━ Vol.111 ━2007.8.4 ━
***********************広 告*******************************************
地震は予防でしか被害を防げません。宅地盛土の耐震化は方法があります
http://www.ohta-geo.co.jp/reports/002/takuti_kouji2.html
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錆びない破断しない保孔管(豪雨や地震時の斜面崩壊予防工に最適)
http://www.chiyoda-kizai.co.jp/PN/index.html
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日経コンストラクション「太田英将の建設IT御意見番」のページ
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/const/column/ohta/
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★新潟県中越沖地震調査報告
7月16日に発生した新潟県中越地震の調査に、7月22日に土木学会斜面工学研究
小委員会の調査メンバーとして行ってきました。その簡単な報告です。
★これか被災地調査をされるかたへ
兵庫県南部地震で被災した有馬温泉の旅館のご主人が、「被災地だから騒がず
遠慮がちに」というのは大間違い、と話されています。
★福井周辺の災害現場巡検
土木学会の委員会で、福井で技術フォーラムを開き、その翌日福井の災害現場
跡地の巡検を行いましたので、その写真等のご紹介です。
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■新潟県中越沖地震調査報告
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2007年中越沖地震の調査に行ってきましたのでご紹介します。
現地写真一覧
http://www.ohta-geo.com/siryou39/tyuuetuoki.html
地震波は地震計に記録されますが、実は土にも記録されるということが今回初め
てわかりました。。。部材によって波長が違います。このような土の記録は、地
震動が大きかったことと、地盤が軟らかだったこと、何らかの原因(たぶん水圧
の消散)でこの形が固定されるという条件が重なったために生じたのではないか
と想像します。
http://www.ohta-geo.com/siryou39/DSC03016.html
谷埋め盛土の造成地では、変動のため家屋に著しい傷みが出ています。これは、
兵庫県南部地震、新潟県中越地震のときと基本的には同様です。ただ、今回の地
震では滑落するという現象はなかったので、住民の方々が「盛土地盤」であるこ
とが原因だったとは気がつかなかったかもしれません。
住宅地(盛土)の被害
http://www.ohta-geo.com/siryou39/takuti_kouyoutyou.pdf
http://www.ohta-geo.com/siryou39/DSC03045.html
テレビで繰り返し報道された青海川の崩壊は、地史的に一度のものではないよう
です。段丘面が過去の地震で滑落し、斜面の途中に留まっていたものの一部が、
今回の地震でJR路線上に滑落したようです。
http://www.ohta-geo.com/siryou39/DSC03201.html
http://www.ohta-geo.com/siryou39/DSC03195.html
このように崖近くで地盤が沈下したかのように滑落し、斜面上に残存するという
ことは、岩盤斜面でも見られます。下記の岩盤上面の平坦面は、言うまでもなく
もともと同じ高さにあったものです。(アメリカ、アイダホ州)
http://www.ohta-geo.com/x/ohta/Hagerman/DSC00223.html
http://www.ohta-geo.com/x/ohta/Hagerman/DSC00221.html
柏崎市の市街地は、砂丘の上にあります。地震に強い地盤として自然堤防や砂丘
砂州が例としてあげられることが多く、実際地盤が安定しているため古くから集
落が発達しているところが多いようです。しかし今回の地震では都市の発達した
砂丘上に被害が多く発生しています。
【中越沖地震】砂丘や旧河川と建物被害の関連を指摘、土木学会と地盤工学会の
速報会
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20070724/510051/
「街なかに見られる5cmや10cmといった小さな亀裂でも家屋への影響は大きくな
る」ということは特に重要です。家屋は年々強くなってきていますので、建て替
えが一周すれば、家屋耐震化の問題は自ずとなくなります。いまは危なくても、
いずれ時間が解決する問題とも言えます。それに対して地盤の問題が解決の難し
い問題となってくるでしょう。
砂丘上に発達する市街地の被害の特徴
http://www.ohta-geo.com/siryou39/DSC03286.html
http://www.ohta-geo.com/siryou39/DSC03280.html
砂丘は海側に比較的急傾斜で、山側に緩い傾斜地を形成しています。今回の被害
は、家屋など重心の高い構造物が斜面の高い方に向かって倒壊するという特徴が
あったように思います。また、地震の際には非常に倒れやすいと言われる墓石の
倒壊が意外なほど少ないという印象を持ちました。「そういう揺れ方をした」と
いうことから、「では事前にどういう手を打ってあればこの被害が防げたのか」
ということを考える必要があります。現象を都合の良い理論や実験で再現するだ
けでは不十分です。
砂丘の浅いところで横方向の移動現象が起きたことは、砂丘の高い側で一般に引っ
張り亀裂が発達し、末端部で圧縮変状が顕著であることから推定されます。
末端部の圧縮現象
http://www.ohta-geo.com/siryou39/DSC03335.html
砂丘の丘の部分には引っ張り亀裂
http://www.ohta-geo.com/siryou39/DSC03249.html
せん断面をもつような地すべり的変動もあったようです
http://www.ohta-geo.com/siryou39/DSC03318.html
柏崎市周辺が砂地盤主体であることから、変状の多くの原因として「液状化」が
報告されているようですが、現地を見た限り噴砂を伴うような顕著な液状化現象
は多くないという印象でした。
それ以外にも、いろいろな現象がありました。短い時間の視察でしたので詳しく
はよくわかりません。見ただけ、行っただけでわかることはあまり多くはありま
せん。いままで自分が経験したことのある現象と調査結果の組み合わせの引き出
しからよく似た組み合わせを選んでいるだけです。しばしば、それで「現象を理
解した」と誤解しそうになるので注意が必要です。
先日、オーストリアへの視察に行った際に、あのアルプス山脈をかかえ構造地質
の発祥の地ともいえるところでとられている砂防対策の基本的考え方に感銘を受
けました。団長の丸井先生が、かつて治山という雑誌に書かれていることを引用
します。
「日本では、出来うる限り理論的、物理的な説明に基づいた評価を指向している
のに対し、オーストリアでは実際問題上の困難性の認識に基づき、理論的な説明
を無理に追求せず、実証可能な経験的知見による評価法を重視しながら行う。」
彼らは、対策を考える場合の優先順位として次のようなことを決まり事としてやっ
ています。
1.chronicle :災害の記録
2.hazard indicator:要因
3.Data:データ
4.air photos:空中写真
5.interview :聞き取り
6.calculation modeling:計算モデル
最後の計算モデルは、それ以外のものが手に入らないような場合のinstead tool
(代わりのツールとして)として使われるとのことです。地盤が複雑だと認識し
ているものを、過度に単純化して計算したりしないという自然に対する謙虚さを
感じました。「土質力学の父」であるテルツアーギを生んだ国でさえそうです
(テルツァーギ自身も単純な計算を鵜呑みにしてはならないことをしばしば講義
の中で力説していたそうです)。最近の日本でしばしば見受けられる「根拠病」
「計算病」にはこうした謙虚さが必要なのではないでしょうか。
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■これか被災地調査をされるかたへ
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被災地へいくと、当然のことながらそこには被災者がいらっしゃって、そんなと
ころでお酒を飲んで騒いだりしたら不謹慎だ、というのが日本人の思いやりの心
だと思います。しかし、実際に被災した有馬温泉の旅館のご主人は、それは入ら
ぬ気遣いだとおっしゃいます。有馬温泉は、兵庫県南部地震の際、あまり報道は
されませんでしたがホテル等で甚大な被害が発生していました。
その理由は、聞いてみればなるほどと納得させられるものです。「災害義援金を
いくらもらっても立ち直る気にはならない。仕事で収入を得ないと立ち直れない。
だからこそ、そういうときこそ被災地に行って、いつもより多めに飲んで、お金
を落としていって欲しい。仕事で得られた収入は、義援金よりも何よりも一番の
立ち直りに役立つ。」ということでした。
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■福井周辺の災害現場巡検
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7月20日に福井で技術フォーラムを開催し、翌日福井周辺の災害現場跡地を巡検
して回りました。前日の技術フォーラムは以下のようなものです。これもアウト
リーチの一つなのだろうと思います。
http://www.jsce.or.jp/committee/jiban/slope/070720/fukui_forum2007.html
技術フォーラム後の巡検は下記のようなものでした。
http://www.jsce.or.jp/committee/jiban/slope/070720/070720-21report.pdf
その際に撮影した写真をまとめました。興味のあるものがあればご覧下さい。不
安定岩塊処理をしているところで撮影に成功した落石の映像は、いろいろ考える
のに役立つように思います。
http://www.ohta-geo.com/siryou38/fukuijunken.html
巡検して回った箇所は以下の通りです。
SITE-1:足羽川左岸破堤跡(平成16年7月)
SITE-2:安居山地すべり跡(昭和47年12月)
SITE-3:国道305号呼鳥門
SITE-4:越前岬岩盤崩壊箇所(平成元年7月16日)
SITE-5:R305号線最近発生した岩盤崩壊現場
SITE-6:モルタル吹付工背後の岩塊が変動
SITE-7:大谷トンネル内の地すべり
SITE-8:国道8号道の駅「河野」建設時の地すべり
((((((( 編集後記 )))))))
日本技術士会から、技術士の名義貸しの続報のチラシが入っていました。「沖縄
総合事務局は、建設コンサルタント登録規定に違反しているとして、沖縄県内登
録業者131社中40社45部門の登録を事実上取り消す消除の措置を取ったとのこと
です」とのことです。政治資金も1円から領収書の開示が必要になるような時代
です。過度な潔癖性が必ずしも良いとは思いませんが、今はそういう時代だとい
うトレンドを意識しておかなければならないでしょう。この信用失墜行為の禁止
違反(技術士法第44条違反)に対して、どういう対応がなされるのかということ
をじっと見られているということも日本技術士会は意識しておく必要があると思
います。無作為も見られている時代です。おそらくそれが「IT革命」なので
しょう。(H.O)
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KK-050008 3D-SLIDE−地すべり・崩壊3次元安定解析システム−
KK-050007 EVS−地盤空間環境データ3次元可視化システム−
-----------------------特許等---------------------
斜面安定化工法;土塊をブロック化し、側部抵抗力を有効にした斜面安定化工法
地すべり抑止工法;側部抵抗を有効に利用した地すべり防止工法
耐震構造;地下水排除・間隙水圧消散、並びに地盤補強による地盤の耐震化工法
受圧板付き補強管、及び地表面の崩落防止工法、並びに斜面の補強工法
その他実用新案、特許申請中数件
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