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アメリカからソーシャルビジネス(企業の社会的責任ーCSR、NPOの活動)や社会起業家の具体的事例をレポートし、そこからの学びをまとめます。また、米国で子育てをする親の視点から、身近におきた環境に優しい出来事などについても紹介していきます。お楽しみに!

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2009/09/06

【アメリカ発 ソーシャル・ビジネス】ホームレス支援事業

★★アメリカ発 ソーシャルビジネス・ニュース★★
~社会責任ビジネスで社会を良くし、楽しく儲ける~

第53号 2009年9月6日


----------------------------------------------By ASU International LLC

こんにちは、米国在住ASU Int’lの斎藤 槙です。私の住んでいるサンタモニ
カ市はホームレスに優しい街ということで米国でも有名な場所です。カリフォル
ニア州の中で、人口一人当たりの割合で言うと、ホームレス対策費用、シェルター
のベッドの数などはなんと全米一!!実際、海岸通りで、週2回ホームレスにご飯
を提供する炊き出しもやっています。

過去に、ダンナがヒッチハイクするホームレスを車に乗せてあげたことがあるの
ですが(笑)その時、「毎年冬が終わるとフロリダからバスに乗り、ホームレスに
優しいサンタモニカに引越し?をする」といったそうです。

そのサンタモニカ市のホームレスの取り組みに関する地元LAタイムズ紙の最近の
報道から、ホームレス、そしてソーシャルビジネスについて考えされられることが
ありました。今日は、まず、サンタモニカ市で行われているホームレスに対する取
り組みをご紹介しましょう。どうぞ、お楽しみください。

■■■今日のテーマ■■■
行政とNPOそして営利企業の協働でホームレスに優しく

●一人の想いが社会を良くする●
サンタモニカのホームレス対策について語る際、忘れてはならない組織があります。
そのひとつがStep Up on Secondという組織です。Step Up on Secondは心の病を
患う人たちのリハビリ施設、救済の場として1984年に設立されました。そのきっか
けは、心の病を患う息子を持つひとりの女性の想いに遡ります。息子を治したい一心
で試行錯誤を繰り返し、たどりついた方法がアートセラピーや職業訓練あるいは、
何かの技術を身につけるといった生産的活動を行うことによって周辺の環境を改善
していくということでした。心の病とホームレス問題は切っても切り離せないことは
言うまでもありません。

現在は、1,200人を超える心の病を抱える人のケアを行い、34の住居を提供してい
ます。コミュニティのさらなるニーズに応えるべく、Step Up on Secondから3ブロ
ック離れた場所を新たに確保し、Step Up on Fifthという名のもと46部屋を持つ
5階建てのビルを建設しました。

入居者の条件は、ホームレスであること、そして恒常的な心の病を抱えていること
です。入居者にランク付けをするわけにはいかないので、入居は申し込み順にして
いるそうです。この建設にあたってサンタモニカ市は勿論のこと、さまざまな営利
企業も協力をしました。

そのひとつが、ビルの設計を担当した環境に優しい建築会社のPugh + Scarpa 
Architectsです。Step Up on Fifthも環境に優しい建築ですが、設計に当たって
Step Up on Secondの社長のTod Lipkaから以下のような注文を受けました。

●誇りに思える家●
「居住者が守られていると感じるような内部空間にすること。同時に建物全体が
コミュニティであり、他の居住者と繋がっていると感じさせるようなデザインにす
ること。さらに、建物内だけでなく、外部の大きな世界との繋がりも持たせること。」

それを受けた設計者側は、まず大きくて広々とした中庭を作り、そこから入居者の
部屋にまでアクセスできる階段を考えました。また全ての部屋にはミニ・キッチンが
付いているのに加え、2階、3階にはフル装備のコミュニティ・キッチンを設置し、
入居者が和気あいあいと料理を楽しむことができるようにしました。

さらに入居者同士の親睦の場としてのコミュニティルームを設置。そして、アルミ
パネルを施したファサードは、プライバシーを守り、セキュリティ上の安心感も与
えるだけでなく、サンタモニカ市の町並みを楽しむことができるよう設計されました。
「我々が注力したのは、住む人たちが帰って来るのを誇りに思うような家にすること
でした」と設計事務所のプロジェクトの代表者であるAngela Brooksは語っています。

●トンネルの向こう側の光●
最近のLAタイムズ紙で、あるホームレスの記事が紹介されました。52歳のCraig 
Blasingameさんです。彼は8年間のホームレス生活の後、Step Up on Fifthにたど
り着き、運良く入居することができました。

「8年間トンネルの向こう側にある光を求め続けてきました。いや、そのトンネル
さえ見つけられなかったのが現実でした。でも、今では、サンタモニカの新しいア
パートで、朝起きると折りたたんでしまえるベッドのベッドメーキングをするように
なりました。もちろん、この8年間ベッドメーキングなんてしたことはありません。」
さらに「ここは本当に僕の場所。新しい友達もできたし、楽しい思い出作りもしてい
ます」彼は今では地元のファーマーズ・マーケット(青空市場)で週2回働いています。
「とうとうトンネルの向こう側の光にたどり着けました。ホームレス仲間の間で、言
われているトンネルの向こう側の光にね。」

●ホームレスって本当は誰なんだろうという疑問●
一方、同じホームレスというテーマで考えされられる内容が、別のLAタイムズ紙の
記事に掲載されていました。アメリカ自由人権協会(ACLU)がサンタモニカ市を訴訟
しているという記事です。ACLUの訴えによると、サンタモニカ市警察がハンディキ
ャップのあるホームレスが戸外で寝ていた際、「不当にキャンプをしている」とい
う理由で「立ち退き」及び「サンタモニカ退去」を命じ、その際、ハラスメントや
不当な取り扱いがあったとしています。

サンタモニカ市及びACLUはそれぞれの主張をしており、どちらが正当であるかは分
かっていません。しかし、LAタイムズは、問題の根源はもう少し心理的なところに
あるのではないかと述べています。

我々は、家のない路上生活者のことをひと括りで「ホームレス」というカテゴリーに
入れています。ホームレス問題を扱う際、ホームレスという状況に陥った個人を、
ではなくカテゴリーとしての「ホームレス」をどうするかという考えになりがち。
そして、そこにこそ問題の根源があるのではないかとLAタイムズは指摘しています。

確かに、ある人たちにとって良いことだと思う行動が、同じ状況の別の人にとって
は、やってもらいたくない「嫌なこと」の可能性もあります。カテゴリーの中の99
人にとって喜ばれることも、100人目の人にはそうではないかもしれない、とLA
タイムズは締めくくっていました。

■■■今回の学び■■■
ソーシャルビジネスは社会を良くすること、そしてビジネスもうまくいくこと、を
目標とするものです。でも今回の記事を読んで、良くしていく社会とは一体何なのか、
誰なのか、ということを改めて考えさせられました。社会を構成するのは、人。でも、
今回ご紹介したように、全ての人が同じような方法で取扱われることを望んでいると
は限りません。それを考えるとソーシャルビジネスを行う際、社会を単にマーケティ
ング上の対象者と捉えていいのか、という疑問が出てきます。つまるところ、それ
ぞれの人が本当に何を望んでいるか、考えていく必要があるということにたどり着
きます。そして、ニーズが個人に属するものである以上、ソーシャルビジネスのビジ
ネスモデルは無数にあると考えられるのではないでしょうか。

■■■お知らせ■■■ 
●アメリカ発 ソーシャル・ビジネス・ニュース編集部から                       
編集部では、皆様からのメッセージを受け付けています。記事に関するご意見、
ご感想などがありましたら、遠慮なくご連絡ください。アメリカ発 ソーシャル・
ビジネス・ニュースでは、アメリカからソーシャル・ビジネス(企業の社会的責任
-CSR、NPOの活動)や社会起業家の具体的事例をレポートし、そこからの
学びをまとめています。同テーマに関する投書は、本誌において、掲載対象に
なります。皆様に関するニュースを是非、お知らせ下さい。 
Email maki@asuinternational.com まで。

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