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アメリカからソーシャルビジネス(企業の社会的責任ーCSR、NPOの活動)や社会起業家の具体的事例をレポートし、そこからの学びをまとめます。また、米国で子育てをする親の視点から、身近におきた環境に優しい出来事などについても紹介していきます。お楽しみに!

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2008/01/16

アメリカ発 企業の社会責任ニュース 米国最大のCSR会議BSR総会

===アメリカ発 企業の社会責任ニュース 第43号 2008年1月===

―――――――――――――――――――――――By ASU International

寒中お見舞い申し上げます。皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか?
昨年は大変お世話になりありがとうございました。

皆様は今年をどんな一年にするご予定でいらっしゃいますか?
私は企業の社会責任や社会起業をテーマとした「出版と教育」の一年になりそうです。

4月に講談社から「世界を変える100の方法〜社会貢献ガイドブック(仮)」をテーマ
に本を出します。社会や環境にやさしい生活提案や、ソーシャル・マーケティングの
話から最近、話題を集めている貧困者をターゲットにしたボトム・オブ・ザ・ピラ
ミッド・ビジネスの話まで、私たちの手で世界を変える100の方法をご紹介する予定
です。

9月からは日経BP社から社会起業家をテーマにした翻訳本シリーズを5冊出す予定
です。社会を改善しながら収入を得ることの出来る「価値創造ビジネス」のノウハ
ウを提供できればと思っています。

また、この度、9月から母校の聖心女子大学で講師をすることになり、ボランティア、
共生、グローバリズム、環境、社会貢献、CSRなどをテーマに、学生の方々と一緒
に考えて行きたいと思っています。

今年も、サンタモニカで不良の母をしながら(!)楽しく、日本の皆様と企業と社会
の接点について深掘りできれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

さて最後になりますが、昨年、米国において一番CSR業界の注目を集めたBSR総会の
様子をご紹介しますね。

お楽しみください。斎藤槙でした。


●米国で最大のCSR組織BSR●

 米国で最大のCSR組織といえば、間違いなくビジネス・フォー・ソーシャル・
レスポンシビリティー(BSR)である。
 このBSR、実は1988年に米国北東部・ニューイングランドで、ローカル企業を集
めたニューイングランドBSRという団体が母体となっている。設立者のローリー・ハメ
ル氏は、ボストン地域で1972年以来、健康作りとレクリエーションを通じて、人々
が幸せになり、みんなが充実した生活を送れるような世界を作りたい、という理念を
掲げたスポーツクラブを営んでいる人物である。
 
 そのBSRが現在の形としてサンフランシスコで発足した1992年には会員はわずか
50社ほど。アイスクリームメーカーのベン&ジェリー、アウトドア衣料のパタゴニア、
人工着色料や香料を使わない歯磨き粉で知られるトムズ・オブ・メインなど、中規模
の企業が中心だった。その後、人権や環境といった問題が、対消費者、対投資家
など、様々な側面で事業に影響しはじめているのに気づいた大企業が、次々と
加入することでBSRは急速に発展した。弁護士だったアーロン・クレーマー氏が最高
責任者となったのは2004年のこと。今では、GE、ナイキ、グーグル、ディズニーなど、
世界の名だたるトップ企業が加盟し、日本企業ではソニー、東芝、日立、リコーなどが
含まれており、グローバル企業約240社を会員に抱えている。中国と香港にアジア
事務所、パリに欧州事務所を持つスタッフ70名の国際組織である。日本では日本
経済団体連合会(日本経団連)がパートナーになっていて、社会責任をテーマに
した勉強会などを共同開催している。
 
 BSRの目的は、「責任ある商慣行や事業改革、協力体制を企業側に促進する
ことによって、公正で維持可能な世界を作り出すこと」。具体的には、コーポレート・
ガバナンス、環境保護、社会貢献、情報公開などのテーマに、企業がどのように
取り組んでいけばいいかをアドバイスするほか、同じ課題を抱える企業同士が一緒
に解決策を探れる話し合いの場、ネットワーキングの場を提供する、といった活動
を行なっている。また、それに併せてコンサルティング・サービスや調査サービス
も行っている。

●実業界のリーダーが集まる毎年恒例のCSR総会

 BSRの活動の中でも大きなイベントとなるのが、年一回、4日間にわたって開かれ
る総会だ。過去には、クリントン大統領やアイルランドの元大統領、メアリー・ロビン
ソン氏が基調講演に立ったこともあるというから、注目度の高いイベントである。
2007年で15回目を迎える総会は、「維持可能な未来をデザインする〜今がチャン
ス」というテーマのもと、10月にサンフランシスコで開かれた。私は第7回目から参加
しているが、当時の参加者は約750人。今回の参加者は約40カ国からその約倍の、
約1,300人の実業界およびNPOのリーダーたちというから驚く。いかにCSRが世界の
話題を集めており重要な課題となっているかが理解できる。基調講演は、玩具メー
カーのマテルの会長兼CEO、ロバート・エッカート氏をはじめ、通信会社のBTの会長
のマイケル・レイク氏などが登場し、その他、150人のスピーカーが集まった。
以下、今回のハイライトの一部をご紹介しよう。

1) リコール事件から学べること 
玩具メーカーのマテル会長兼CEO、ロバート・エッカート氏

 2007年の夏、玩具メーカーのマテルは150万個を超える大規模なリコールを
行った。中国製の玩具に規定量を超えた鉛が含まれた塗料が使われていることが
判明したためだ。また、磁石のついた中国製のおもちゃ多数も自主回収をしている。
これは下請け側で不法な作業が行われたのではなく、規格そのもの(小さな磁石を
子どもが飲み込むと危険)に問題があったためだ。鉛のリコールに関しては20カ国
語でニュースを配信し、消費者コールセンターを設け、広告などでも積極的に知
らせた。また、事件後、サプライヤの行動基準や監査の制度を厳しくし、厳格な試
験の導入の決定を行うと共に、国際玩具業界(ICTI)によるケア・プロセスというプロ
ジェクトにも加盟した。これは、特に世界の約7割の玩具を製造するといわれている
中国のサプライヤにおける商品の安全性や労働環境の改善を約束するプロジェク
トだ。エッカート氏曰く「玩具メーカーは商品の安全が何よりも問われている。消費
者との信頼関係を形成するには、言葉では不十分。とにかく行動あるのみ。」

 エッカート氏の熱のこもった講演からは、大企業のみならず、サプライチェーンに
ある全ての企業が協力してCSRに取り組む必要性が読み取れる。BSRが最近、
中国に支部を作ったことからも、特に中国におけるCSRの強化を望む動きがうか
がえる。安全性、透明性を確保する上で、どう効果的にサプライチェーンマネジ
メントを実施していくかが問われているのだ。国境をまたぐ流通システムがある
以上、これは進出しているメーカーだけの問題ではない。進出先の政府やNPO
の協力も不可欠であることは言うまでもないが、同時に、すでにさまざまなプロ
グラムを実施している欧米企業の経験やノウハウを活用させない手はない。今
現在、日本企業がアジアで展開しているCSR活動の多くは、植林や教育支援など
現地の社会貢献プロジェクトへ寄付することに留まっている。今後、CSR先進国
日本としてアジアにおけるリーダーシップを発揮する役割があるのではないだろうか。

2) 企業とNPOのコラボレーション 
グリーンピース・インターナショナル代表のジャード・レイポード氏 

 BSR総会で話す機会を与えられるのは、大企業の幹部だけではない。社会起業
家やNPOからの具体的な話を聞くチャンスも、総会の欠かせない魅力だ。今回は、
グリーンピース・インターナショナル代表のジャード・レイポード氏が壇上に上がり、
千人を超える企業人たちを相手にその歴史、キャンペーンなどについて話した。
グリーンピースは国際的な環境保護団体としてオランダのアムステルダムに本部
を置く、環境保全・自然保護の分野において、世界で最も有名な団体といっても過
言ではないだろう。70年に設立されて以来、核実験や捕鯨について反対運動を起
こし、過激なアピールで知られるようになった。例えば海上核実験を行う現場近くに
船を出して抗議するなどして実験を阻止するなどの活動である。レイポード氏自身、
ドイツで核実験反対の抗議に参加し、逮捕された経歴の持ち主である。最近のグリー
ンピースの活動は、オゾン層破壊の問題、森林問題にも分野を広げている。日本
では、青森六ヶ所村で経済産業省のあるビルの壁にストップ再処理の横断幕を張り
反対運動を行ったことを記憶している人も多いのではないだろうか。

 今回の総会では、NPOと企業のコラボレーションの例として、これまで反企業的と
揶揄されてきたグリーンピースの活動が紹介された。その一つがマクドナルドと共に
行った「熱帯雨林保護プロジェクト」である。この活動によりアマゾンで新規に森林伐
採して生産される大豆の購入の2年間停止(モラトリアム)が合意された。これは、
大豆取引のアマゾンへ与える影響に関してグリーンピースが行った調査とマクドナ
ルドなどがグリーンピースと協力し、大豆取引業者に対して行ったアマゾンの森林
破壊の停止要求の結果である。 

●企業とNPOの関係の変化

 今回のBSRを通じて感じた印象は、企業とNPOの関係の変化である。企業と
NPOが敵対的な関係にあった時代は終わりつつある。少なくともNPOが一方的に
企業を攻撃するという姿勢は昔のものになりつつあるのをはっきりと感じた。かつ
てはBSRもその攻撃の場の一つであった時代もある。というのは、8年前のBSR
総会で、衣料ブランドギャップ社長の講演後の質疑応答で、ある人権NPOが
同社と取引のあるアジアの工場での低賃金問題について攻撃し、会場に緊張
感が走るといった場面があったのを思い出すからだ。社会が構造的に複雑化し、
利害関係者の価値や物事の価値観が単純に善悪や白黒で判断ができなくなり、
企業や企業活動の攻撃や批判ばかりでは問題が解決されないことがNPOも分
かってきたためだ。「罪を悪(にく)んで、人を悪(にく)まず」という言葉も
あるように、NPOの活動が「問題を起こしている企業への攻撃」から「問題への
建設的批判や解決のためのコミュニケーション活動」にシフトしている。同時に、
問題の根本原因を長期的な視点で捉え直すことによって、実はNPOと企業とが
利害関係において同一ベクトルにあることの気づきを与えられることすらある。
その成功事例が今回のグリーンピースの講演であった。企業もNPOも戦略同盟に
よる問題の根本解決を目指すという道を確実に選んでいると言える。
 
 そして、何をテーマにどうコラボレーションできるかという方法論の解決にBSRの
ような中立的組織が大きく貢献している。BSRが提供しているのは言わば「企業と
NPOのお見合いの場」であり、この場での出会いによりこれまで考えもしなかった
シナジーを生み出すこともあるのだ。

●「今がチャンス」
 2007年のBSR総会の副題は「今がチャンス」である。これに象徴されるように、
CSRは現在旬の時期を迎えていると言っても過言でない。マスコミも世論も企業
に期待している。NPOも企業との協調関係という戦略をとり始めている。企業側
はCSRの課題の中から、何を優先課題とし、どことどうコラボレーションを組み
実行していくかをこれまで以上に考える時期が来たと言える。もはや、やるか
やらないかの選択肢はない。問題はどう実行するかだ。そして、BSRにその答え
のひとつがあるようだ。

(以上はCSRコンパス( http://www.csr-compass.jp/)のために寄稿した内容に
手を加えたものです。)

●ASU International 社について
企業も社会もハッピーな結果を生むBusiness For Social Responsibility
(社会責任を果たすビジネス)を目指し、ASU International社はお手伝いいた
します。
● ASU International社のホームページ www.asuinternational.com

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