2004/12/01
企業の社会責任ニュース CSRと「おかげさまの心」
===アメリカ発 企業の社会責任ニュース 第30号 2004年12月=== ―――――――――――――――――――――――By ASU International 皆様こんにちは!ひとつ、お知らせがあります。過去2年半、毎月この 「企業の社会責任ニュース」をお届けしていましたが、来年度から不定期 にし、形式も変えようと思っています。勝手な理由で恐縮ですが、思いの 他、コンサルティングの仕事が忙しく、ご満足いただける内容をまとめる 時間がとりにくく、定期的に出すのが困難なため、そうさせていただくこと に決めました。ご理解いただければ幸いです。 CSR(Corporate Social Responsibility)、SRI(Social Responsibility Investment)、NPOと企業のコラボレーション・・・こういった横文字、カ タカナ言葉が随分、最近マスコミを賑わすようになり、数年前と随分事情が 変わりました。でも、「どこかとっつきにくい」と感じている方が多いので はないでしょうか? 2000年に出した「企業評価の新しいモノサシ〜社会責任からみた格付基準」 (生産性出産 斎藤 槙著)にも書きましたが、私はCSRに込められている 本当の意味は、日本語の「おかげさまの心」だと思っています。 私の尊敬する師で、柔道を国際的に広めた山田専太氏が面白い話をされたこ とがあります。 「日本人は、自然との関係において、神の存在を見出す国民である。そこ には、神から自然を有難く授かったという気持ちがある。また、柔道とい う武道ひとつをとっても、相手を倒すことよりも、勝負をしてくれた相手 に感謝し、自分に打ち勝つことを目的にしている。つまり、日本文化の根 底には、全てのものに生かされているという『感謝』の気持ちがある。し かし、残念なことに、最近はそれを忘れつつある。」 かつて日本人の心に存在した「感謝」の気持ち。それは、ある意味で企業 の社会責任を考えていくうえで根本となる考えです。日本語の「おかげさ ま」という感謝をあらわす言葉そのものがステークホルダーを大切にする という社会責任の考えを反映した世界に誇るべき「日本の心」だと思うの です。 「自分が存在するのは、あなたのおかげ」――それをビジネスの言葉に置 き換えれば「企業が存在するのは、企業を取り巻くステークホルダーの おかげ。そのことに感謝しつつ、彼らも自分も共に成長できるよう、努力 していこう」ということになります。その根底には、日本人が伝統的に暖 めてきた「共生の文化」に共通する概念があります。つまり、社会責任の 概念は、日本人の発想そのものだったということなのです。 こう考えると、随分、CSRが身近な言葉に思えてきませんか?この感謝の発 想を企業活動に活かせるのではないかと思います。企業に関わる一人ひとり が、そんな風に考えることができれば、どんなに平和な企業活動が可能となる のでしょう。日本型社会責任を世界に発信するうえでぜひ、伝えていきたい 価値観だと思っています。それでは今月号もお楽しみ下さい!斎藤槙でした。 PS 今年7月に岩波新書から本を出しました。 「社会起業家〜社会責任ビジネスの新しい潮流」(斎藤槙著) という本です。よろしければ是非、書店を覗いてみてくださいね。 本の説明は以下から見れます。 http://www.asuinternational.com/book2.htm ■公式PR文章 単に収入を得る手段としてだけでなく,自己実現のために, そして環境・人権などの課題に使命感をもつ―このような 価値観をもって働く社会起業家がいま注目されている.社 会責任投資の高まり,企業とNPOのパートナーシップとい った新しい動向を明らかにしながら,アメリカ・日本の社会 起業家の生き方を紹介し,その意義を考える. ●ASU International について 企業も社会もハッピーな結果を生むBusiness For Social Responsibility (社会責任を果たすビジネス)を目指し、ASU Internationalはお手伝いいた します。 ●ASU Internationalのホームページ www.asuinternational.com ■■■目次■■■ 1.日米など13カ国がメタンガスの回収・利用で国際協力 2. ホンダが燃料電池自動車をニューヨーク州にリース販売 3.GM燃料電池車向けサービスステーションがオープン 4.持続可能なデザイン開発のため大学生チームに66万ドルを授与 5. 沖合石油・ガス施設の冷却水取水装置から水生生物を守る規則案を公表 6.UNEPが企業の環境・持続可能性報告書レビュー報告書を公表 7.EPAが粒子状物質の科学的評価に関する最終文書を公表 8.世界貿易センター倒壊による汚染のサンプリング計画に対する意見を募集 9.スターバックスが全米で初めてリサイクルカップを導入 10.ステープルズが電子機器のリサイクルプログラムを開始 11.環境保全科学発展のため、8人に奨学金を授与 12. 世界で活躍する女性達が国際環境会議を開催 13.71パーセントが企業に積極的なエイズ対策を要望 14.コーズリレーテッド・マーケティングの見通しは明るい 15.シスコ、マイクロソフト、インテルがEICCに加盟 ■■■メタンガス■■■ 1.日米など13カ国がメタンガスの回収・利用で国際協力 米国など13カ国は11月16日、メタンガスの回収と利用を促進するために国際 協力を行う「メタン・トゥ・マーケット・パートナーシップ」を締結した。先進国 と途上国が協力して、埋め立て地などから発生するメタンガスの回収、利用に取り 組むもので、米国は途上国でのメタンガス関連事業に対し、5年間で5300万ドルを 拠出することを予定している。参加国は米国の他、英国、日本、ロシア、インド、 中国など。連邦環境保護局(EPA)では、この取り組みにより、2015年までにメタ ンガスの大気への放出量を二酸化炭素換算で年間約5000万トン削減できるとして いる。 (11月16日 連邦環境保護局) ■■■燃料電池自動車■■■ 2. ホンダが燃料電池自動車をニューヨーク州にリース販売 ホンダの米国現地法人であるアメリカン・ホンダモーターは、世界で初めて氷 点下での始動を可能にした燃料電池自動車、「Honda FC STACK」搭載「FCX」を、2 台リース販売することでニューヨーク州政府と合意した。契約は2年間で、1台目 の納車は12月に行われる予定となっている。同社は2002年12月、「FCX」をそれ ぞれ内閣府とロスアンゼルス市に納車して以来、日本では首都圏、米国ではカリ フォルニア州で販売している。今回のニューヨーク州との販売合意により、これ まで困難とされてきた、冬期に氷点下になる寒冷地での販売が実現、販売エリア の拡大により燃料電池車の本格的普及への一歩がまた進んだこととなる。 (11月16日 アメリカン・ホンダモーター) 3. GM燃料電池車向けサービスステーションがオープン シェルの子会社のシェル・ハイドロジェンが、ワシントンDCにある自社のサー ビスステーション(SS)での水素供給を11月中旬に開始すると発表した。SSに水 素供給設備を設置するのは全米初の試み。これは、シェル・ハイドロジェンとゼ ネラルモーターズ(GM)が昨年5月に開始した共同プロジェクトの一環として行う もので、GMの燃料電池自動車6台に水素を供給する。ワシントンのベニング・ロ ードSSでは、既に水素供給設備の設置が完了し、安全装置などのテストが始まっ ている。 (11月8日 シェル・ハイドロジェン) ■■■サステナブル・デザイン■■■ 4.持続可能なデザイン開発のため大学生チームに66万ドルを授与 連邦環境保護局 (EPA) は10月22日、「人、繁栄、地球コンテスト(People, Prosperity and the Planet (P3) Competition)」を通じ、66の大学生のチー ムに対し、計66万ドルの研究補助金を授与した。学生たちはこの資金を活用し、 2004年から2005年にかけての1年間、持続可能なデザインの研究・開発に取り 組むことになる。EPAでは持続可能な発展を、「社会が将来の世代のために天然 資源を保護しながら経済発展を遂げられる発展」と定義付けており、学生たち は環境に便益をもたらし、かつ安価なソリューションを設計することを求めて いる。 (10月22日 連邦環境保護局) ■■■自然生物保護■■■ 5. 沖合石油・ガス施設の冷却水取水装置から水生生物を守る規則案を公表 連邦環境保護局(EPA)は、既存及び新規の沖合石油・ガス施設の冷却用水取 水装置から、魚貝類その他の水生生物を保護するための規則案を初めて提示す る。この規則案は、既存施設に対し、冷却水取水装置に取り込まれる生物の数を 80〜95パーセント削減する性能基準を達成することを求めるもの。また、施設 の位置、取水量、エネルギー発生量に応じて、一定の施設については、冷却シ ステムに取り込まれる水生生物の数を60〜90パーセント削減する性能基準も達 成しなければならないとしている。EPAでは、規則の対象となる施設の規模およ び数にもよるが、年間で3000万から5000万の水生生物が保護されると推測し ている。 (11月3日 連邦環境保護局) ■■■持続可能な開発■■■ 6.UNEPが企業の環境・持続可能性報告書レビュー報告書を公表 有名企業50社の環境・持続可能性報告書をレビューした報告書「リスクと チャンス:非財務報告におけるベスト・プラクティス」が発表された。これ は、国連環境計画(UNEP)とコンサルタントのサステナビリティによる調査 報告書で、今年で6回目を数える。今回からは、格付け機関として知られる スタンダード&プアーズ社が調査に初めて参加し、信用格付けや企業のガバ ナンス、財務関係以外のリスク情報の公開について初めて検証した。報告書 では、投資家やアナリスト、保険会社などに重要な情報となりつつあるのにも かかわらず、環境・社会リスクがバランスシートに及ぼす影響について触れ た環境・持続可能性報告書は、50社のうち、3社しかなかったとしている。 (11月1日 国連環境計画) ■■■大気汚染■■■ 7.EPAが粒子状物質の科学的評価に関する最終文書を公表 連邦環境保護局(EPA)が、大気中の粒子状物質に関する最終的な科学的評 価に関する文書、「粒子状物質に関する大気質基準」を公表した。粒子状物 質は、大気浄化法に基づく全米大気質基準(NAAQS)が設定している6種類 の物質のひとつであり、同法に基づきEPAは、定期的にこれらの基準の科 学的根拠につき検討することとなっている。この文書では、1997年に 粒子状物質に係るNAAQSが改正されて以来公表された、多くの文献が分析 されている。この最終評価文書は、大気浄化科学諮問委員会によるレビュー の対象となっていた。 (11月1日 連邦環境保護局) ■■■同時多発テロ■■■ 8.世界貿易センター倒壊による汚染のサンプリング計画に対する意見を募集 連邦環境保護局(EPA)は10月21日、マンハッタン南部地域において、倒壊 した世界貿易センターによる汚染が生じているかを判定するため、当該地域の サンプリング計画案を公表し、パブリックコメントの募集を始めた。専門委員会 は3月より7回の会合を開き、世界貿易センターが室内環境に与える影響の地 理的範囲を確定するため、サンプリング計画の構想を検討してきた。このサン プリング計画案へのパブリックコメントは、2004年11月19日まで募集する。 EPAは当該計画案の修正にあたり、コメントを検討する予定である。 (10月21日 連邦環境保護局) ■■■資源保護■■■ 9.スターバックスが全米で初めてリサイクルカップを導入 コーヒーチェーン大手のスターバックスは、連邦食品医薬品局(FDA)が飲料容 器としては初めて同社のリサイクル素材使用の紙カップを承認したことを受け、 2005年末までに、温かい飲み物に利用するカップを全面的にこのリサイクルカ ップに切り替える意向を明らかにした。コーヒーチェーンがリサイクルカップを 導入するのは全米初。承認されたリサイクルカップには、リサイクル素材が10 パーセント混入されている。同社ではソロカップ・カンパニー、ミードウエス トバコ、ミシシッピリバー・コーポレーションの3社のサプライチェーンと共 にこのカップを開発、2年前からFDAに承認を求めていた。 (11月17日 スターバックス) ■■■リサイクル■■■ 10.ステープルズが電子機器のリサイクルプログラムを開始 文具・オフィス機器流通大手のステープルズが、「全米リサイクルデー」を 記念し、全米の1100店舗で不要携帯電話、PDA、ポケットベル、充電式電池、 インクカートリッジ、トナーの回収サービスを開始した。同社ではクリスマ ス前の買い物シーズンを目前に控え、今後大量のデジタル機器が買い換えら れると見ており、消費者が簡単に不用品をリサイクルできるシステムが必要だ としている。同社ではまた、インクカートリッジやトナーを1つリサイクル するたびに1ドルを学校に寄付する「ステープルズ・リサイクル・フォー・ エデュケーション」も実施しており、これまでに150万ドルを教育機関に寄 付している。 (11月15日 ステープルズ) ■■■奨学金■■■ 11.環境保全科学発展のため、8人に奨学金を授与 キヤノンの米国現地法人であるキヤノンUSAが、2004年度の「キヤノン・ナ ショナルパークス・サイエンス・スコアラーズ」プログラムにおいて、8人の 博士号取得予定者に各7万8000ドルの奨学金を授与した。同プログラムはア メリカン・アソシエーション・フォー・ジ・アドバンスメント・オブ・サイエ ンス(AAAS)とナショナル・パーク・サービス(NPS)との協業により、1997年 に開始。環境保全や国立公園マネジメントの分野において活躍する次世代の 科学者を養成することを目的に、これまでに62万5000ドルの奨学金を授与し ている。 (11月9日 キヤノンUSA) ■■■女性■■■ 12. 世界で活躍する女性達が国際環境会議を開催 10月11日から13日までの3日間、環境大臣、先住民族の代表、地域住民の 代表などとして活躍している女性が集まり、ケニアのナイロビで、「環境の代弁者 としての女性(WAVE)」会議の初会合が開催された。会議には、60カ国から140人 以上の女性が参加した。この会議は、国連のミレニアム開発目標及びヨハネスブ ルグサミットの持続可能な開発実施計画の実現を目指す取組みの中心に、女性の 問題を据えようというもの。会議では、2004年のノーベル平和賞受賞者であるワ ンガリ・マータイ氏によるスピーチが行われ、「北京女性会議+10」や第13回国 連持続可能な開発特別委員会のレビューに関する話し合いなどが行われた。 (10月13日 国連環境計画) ■■■エイズ■■■ 13.71パーセントが企業に積極的なエイズ対策を要望 産業界におけるHIV/エイズ撲滅活動を支援するNPO、グローバル・ビジネス・ コーリション・オン・HIV/エイズ(GBC)の調査により、企業は積極的にエイズ 対策を行うべきだと考える消費者が71パーセントにのぼることが明らかになっ た。全米の800人の消費者を対象に行った同調査ではこの他、「エイズは深刻 な社会問題である」とする者が97パーセント、「値段が高くても、エイズ撲 滅支援を行う企業の商品を選ぶ」と答えた者が実に67パーセントにのぼること がわかった。同団体ではこの結果を受け、「消費者は企業にエイズ問題解決の リーダーになることを期待しているが、産業界の取り組みは進んでいない」と 話している。 (11月9日 グローバル・ビジネス・コーリション・オン・HIV/エイズ) ■■■コーズリレーテッド・マーケティング■■■ 14.コーズリレーテッド・マーケティングの見通しは明るい 企業広報の専門誌であるPRウィークと大手PRエージェンシーのPRペインが 全米のNPO、107団体を対象に、コーズリレーテッド・マーケティング(社会貢献 を通じたマーケティング)に関する調査を行った。この結果、2001年の同時多発 テロ発生後、激減していた企業のNPO支援が昨年から増加傾向にあると答えた団体 が61パーセントにのぼることがわかった。また、売上の一部をNPOに寄付する コーズリレーテッド・マーケティングに対するNPO関係者の期待は大きく、今後 1年でコーズリレーテッド・マーケティングによるNPO支援額が17パーセント のびると見ていることが明らかになった。 (10月27日 PRウィーク/PRペイン) ■■■行動規範■■■ 15.シスコ、マイクロソフト、インテルがEICCに加盟 シスコ・システムズ、マイクロソフト、インテルの3社が、ヒューレット・ パッカード、デル、IBMが10月に結成した「エレクトロニクス業界行動規範」 (EICC)に加盟することを決めた。また、加盟6社は企業のCSR活動を支援す るNPO、ビジネス・フォー・ソーシャル・レスポンシビリティー(BSR)の協力 を得て、具体的な行動計画策定に向けたワーキンググループを組織した。加盟 6社は、EICCの目的はエレクトロニクス業界において、グローバルなサプライ チェーンにおける企業の社会責任のあり方の統一見解を模索、具体的な改善策 を導入するためのものと位置づけている。 (11月16日 ビジネス・フォー・ソーシャル・レスポンシビリティー) ■■■編集部から■■■ ●編集部では、皆様からのメッセージを受け付けています。記事に関するご 意見。ご感想などがありましたら遠慮なくご連絡ください。企業の社会責任 ニュースは、アメリカでの社会・環境・倫理・人権・NPO、社会責任投資など のテーマを中心にニュースをお送りしていますが、同テーマに関する投書は 、本誌において掲載対象になります。皆様のニュースを是非、お知らせくだ さい。 Email info@asuinternational.com まで ●ASU Internationalのホームページwww.asuinternational.com ●このメールマガジンの購読を中止したい場合は、まぐまぐ上の http://www.mag2.com/m/0000090131.htmから解除をお願いします。アドレスの 変更は、登録解除後、新しく配信を希望するアドレスを登録してください。


