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青年フリーライターと小料理屋の若旦那がおとどけする酒と肴、季節風物あれこれ。ときにはちょっと和やかになったり、ふと何かを発見したり。日常のなかの何かを食と酒に求めて。。。

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2007/10/31

STREET JOURNAL

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          ☆★☆ STREET JOURNAL ☆★☆
                                
                                2007/10/31
====[今日のメニュー]========================

■美味にまつわるエトセトラ:Thirsty Soul 〜 田楽談義
■美味しい街パトロール:“鉄ちゃん”と“KY”と私
■シアターコラム/映画『自虐の歌』・不幸だからこそ分かる幸せ?
■私的日記: さらっと、再び
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■美味にまつわるエトセトラ:Thirsty Soul 〜 田楽談義
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  秋ですなあ。。。

 
 
 
 秋深き 隣は何を するひとぞ     松尾芭蕉

 
 
 などというほのぼのとした秋には、この東京は無縁に近い。街路樹の黄葉と朝晩の冷
え込みくらいが関の山で、日中は上着を着ていると汗ばむほどの陽気であったりする。
神戸の田舎にいたころには、この時期では毎日のように霧が出たのに、都会に慣れたこ
の頭と体は、今ではそんなこともすっかり忘れてしまっている。
 

 
 
 秋きぬと おどろかれけり窓ちかく いささ群竹 かぜそよぐ夜は    藤原実定

 もれ出づる 今ひときはのさやけさに 空こそ月の 光とは見れ     後水尾院


 
 
 確かに風は涼しく、ちょっとした空気の香りや空の高さ、月明かりの硬くしまった感
じなどに秋の深まりを感じることはある。それでもそのような感覚はなんともあいまい
で頼りない。秋の訪れを何に求めようか、というところではやはり食材ではなかろう
か?食欲の秋。天高く馬肥ゆる秋。実りの秋、豊穣の秋。黄金色に染まる稲田を思い浮
かべながら、今月のエトセトラ、まずは新米の話題からいってみましょう!
 
 
 最近はブランド米がブームということだ。
 やはりトップブランドは魚沼産のコシヒカリだということで、デパートなどに行くと
それこそ生産者の顔写真まで貼り付けてあって、お値段もびっくりするほどである。サ
サニシキやアキタコマチなどもよく聞くブランド名だが、はてはてそんなにたくさん作
っているものかね?この東京の市場だけで、いったい何トンのブランド米があることや
ら。どこぞやの地鶏ではないけれど、ここ最近の一連の食品業界の不祥事が、農作物な
どにまで及ばないのを願うばかり。消費者は生産者と販売元への信頼によってしか物を
選べない。信義は欠くべからざるもの、と思う。
 
 
 そういう意味では、新米はすぐわかる。
 だって香りがいいし、みずみずしいし、なんたっておいしい。子供のころはそれこそ
これからの時期に、農家の大叔父さんあたりから新米が届いたりすると、子供心にもお
いしくていつもよりは一、二杯は御代りが進んだ。
 
 
 新米はおいしいですね。どんなブランドでも関係ない。搗きたてならなおさら、い
い。いつもよりも水加減を抑えなくてはならないほど、米そのものがしっとりとしてい
る。噛めば噛むほど、甘い。パクパクホクホク、それこそおかずなんかいらないのだけ
れど、秋刀魚の塩焼きとお味噌汁なんかあれば、それこそこの上ない贅沢である。
 
 
 月末は西洋で言うハロウィンで、仮装パーティーやらで盛り上がるのだろうが、日本
にもこの時期にはきちんと「秋祭り」というものがある。なかなかに収穫祭という言い
方はないが、その年の収穫をやれ山の神様や田圃の神様、稲の神様や太陽の神様、水の
神様に感謝しつつ、来年の豊穣を祈願するもの。お月見だって、そもそもは五穀豊穣の
祈願を月に祈るものであったのだ。人種や宗教が違っても、人間はこうして自然に生か
されてきたのだから、その自然の力に畏怖するのは当たり前のことなのだろうな。
 
 
 さて、その豊穣祈願のお祭りであるが、田植えのころや収穫のころに、神様を喜ばせ
ようと御神輿が担がれたり、神社に奉納相撲があったりするが、その中でかつては田植
えのころの豊穣祈願に「田楽舞い」というものがあったそうな。白袴に色羽織、そして
「鷺足」と呼ばれる一本足の竹馬のようなものに乗って踊る訳だが、この姿を「豆腐
(白袴)に味噌(色羽織)などを塗って竹串(鷺足)に刺したもの」になぞらえて「豆
腐田楽」なるものが生まれたのが江戸時代のころらしい。この田楽が、これからの季節
にはなかなかいい酒肴である。
 

 
 別に豆腐に限ることはなく、たとえばコンニャクでもよい。コンニャクは噛み切りや
すいように、あらかじめ包丁で切れ目などを入れておくと食べやすい。そのほかにこの
時期にすきなのがサトイモの田楽である。
 サトイモをふかして皮をむき、ちょっと甘めの味噌を練ってあぶり焼きにする。家庭
でなら、魚を焼くグリルに入れてもいい。ちょっと味噌が焦げたくらいが食べごろで、
やはり酒は日本酒といきたいところ。あれやこれやと酒肴をそろえて宴会をするのもい
いが、一品二品のつまみあたりでじっくり酒を飲むときには、豆腐や芋などが、やはり
酒肴としてはふさわしいようである。

 
 
 白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしづかに 飲むべかりけり  若山牧水
 

 
 とか何とか言いつつも、バリエーションのあるつまみはやはり楽しいものでもある。
田楽つながりでいくなら「おでん」かな。

 これも本当は「煮込み田楽」を称して「おでん」というようになったという説もある
もので、様は、串に刺して焼くのではなく、串に刺して煮るというだけのもの。確か
に、大根やコンニャクなどを白煮にして味噌をつけて食べると旨い。これから寒くなる
とおでんが流行りになってくるが、昨今ではトマトやらキュウリやらのおでんもあると
か。さてさてそのあたりの好みは各々自由だが、私としてはやはり豆腐や竹輪などの伝
統の具材に軍配を上げたい。とくに、大根が大好物である。
 
 
 さてさて、ともかくも秋の深まり行く今日この頃。巷では気の早いインフルエンザウ
イルスがチョコチョコと出回っているとか。医食同源は私の口癖だが、結実の秋のこの
食欲は、冬に備えての体力づくりのための本能の表れでもある。しっかり食べて体を整
え、来るべき冬の味わいに向けて備えなくてはならない(笑)
 では皆様もよい酒食のひと時を。来月あたりは、もうちょっとお酒の話題に触れてみ
ようかな、、、と。

 
   
 
 

  
                RYO.S/小料理&Bar「菊水」マスター   
    
 



     
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■美味しい街パトロール:“鉄ちゃん”と“KY”と私
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 最近、楽しいお酒を飲ませてもらっているお店がある。

 
 人形町(正確には日本橋堀留町)にあるコップ酒・缶詰バーの「キハ」。
 鉄ちゃん、鉄子ならこの名でピンと来ると思うが、鉄道ファンの集う店である。

 
 まず、看板からしてそれがわかる。
 踏切りの信号に見立てた看板の信号がチカチカしていたら営業中だ。
 そして、中に入ると店長ならぬ助役が「ご乗車、ありがと〜うございます」。
 と迎え入れる。300円の乗車券(お通し代)を購入したら、お酒、つまみを
 注文する。

 
 内装は推して知るべし。廃線になった鉄道列車の行き先案内板が飾って
 あったり、今や珍しい切符を切るハサミがあったり(名刺交換すると、
 助役は自分の名刺をハサミで切って渡してくれた)。当然、天井からは吊革が
 ぶら下がっている。さらには、日刊の鉄道新聞まであったのには驚いた。
 月刊でも、週刊でもなく、毎日鉄道ネタだけの新聞が存在するという事実に
 感心する。

 
 まあ、こんふうに、JR(旧国鉄)、東京メトロ、ローカル線各地の鉄道部品
 などが店内に程よく転がっていて、吊革につかまりコップ酒を飲んでいると、
 いつの間にか、旅に出ているような錯覚を覚えさせてくれるのだ。
 店内のBGMに「ガタンゴトン、ガタンゴトン」と列車が鉄道を走る音が心地よく
 流れていることもあり、見渡すと店内の客が妙な一体感を持ちながら、
 安らぎを感じていることがわかる。

 
 ちなみに私は、鉄道オタクでも、鉄道ファンでも何でもない。
 そんな私でも浮くことなく楽しめているのは、
 鉄道オタクの社交性に助けられていることを2、3度通ううちに実感した。
 普通、オタクのコミュニティというと、閉鎖的なメンバーや、身内で盛り上がる
 空気で構成されていて、そうでない人間にとっては居心地が悪いもんだ。

 
 しかし、鉄道オタク全般に言えることなのかどうかは分からないが、
 少なくともキハに通う常連さんは、鉄道に詳しくない人でも、あたたかく
 迎え入れてくれる。そして、こちらから話を振らない限り、うんちくをたれたり
 鉄道話を強要したりはしない。つまり、KY(空気読めない)な人がいないのである。 

 
 みんな乗客が心地よく車内(店内)で過ごせるように、最低限のマナーを
 心得ているのだ。それでいて、帰る時には、常連さんや駅長(店のオーナー)が、
「よく私たちの店に来てくれました、これからも来てくださいね」と言葉にこそ
 出さないがそんな表情で、送り出してくれるのだ。

 
 そういえば、振り返ってみると私の周りにも「昔は鉄ちゃんだった」という
 隠れ鉄道ファンが多いことに気がついた。彼らは、やっぱり控えめで
 普段はそんなそぶりを見せないが、少し取材してみると、相当詳しかったり
 マニアだったりする。

 
「能ある鷹は爪を隠す」なのか、シャイな人が多いだけなのかよく分からないが、
 なんだか、鉄道ファンならぬ「鉄ちゃんのファン」になってしまった私である。

 
                       ライター/長友 慎治

<今月のパトロールメモ>
・「キハ」は1階がカウンター(吊革付き)だけだが、
 2階は山手線の車両そのもの。座席シートがあり、網棚があり
 車内さながらの雰囲気が味わえる。

・2階の車両内の中吊りには、広告が出せる。一月A4サイズ1枚
 3000円、網棚の上は、B4サイズ1枚5000円。
 




 


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シアターコラム/映画『自虐の歌』・不幸だからこそ分かる幸せ?
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私の祖父は16歳くらいで戦争を経験しているせいか、
衣食住に関して決してなにも文句を言わない人だった。
例えば私たち孫の誰かが「味噌汁が冷めている」などと文句を言えば、
必ずそれを諌め、そしていかにも美味そうに、
さきほどまで私たちが文句を言っていた冷たい味噌汁をすする。




そんな祖父の姿を見て、子供心に「冷たい味噌汁が美味しいわけないのに……」と
不思議でしかたがなかった。
祖父からしたら「冷たかろうが温かかろうが味噌汁は味噌汁」だったのだろうが、
戦争をまったく体験していない私たちには、
いくら繰り返し言われても冷たい味噌汁のありがたみが分からなかった。




今回の映画「自虐の歌」の主人公は「どんだけ不幸なんだよ!」と
叫びたくなるような薄幸な女・幸江。
そんな彼女の内縁の夫・イサオは元ヤクザで現在は無職。そして酒とギャンブルが大好き。
でも、この幸江はどれだけイサオにちゃぶ台をひっくり返されようが、
生活費をむしりとられようが、「それでもアンタを愛してる!」と叫んで、ついていく。
となりに住むおばさんに「あんたほかにもっといい人がいるよ」と言われても、
パート先の食堂のオーナーに惚れ込まれて結婚を迫られても、
それでも夫を愛し続け、「自分は幸せだ」と言い放つ。




ただのドMなのかと思いきや、彼女がそんな状況でも幸せを見出せるのは
彼女がこれまで育ってきた生い立ちにあった。
超・ド貧乏の家庭に育ち、母親はおらず、頼りのはずの父親はイサオと一緒で無職の上、
酒とギャンブルが大好き。貧乏と容姿が理由で小さいときからイジメられっ子。
あげくのはてには彼女が高校生の頃に父親がソープの女に入れ込んで、銀行強盗をおかしてしまう。
そして地元にはいられなくなり、高校卒業と同時に上京。
まともな就職もできずに立ちんぼになってシャブにはまって……などなど、
本当に絵に描いたような不幸な女なのだ。




正直、この映画を観れば大多数の人は彼女のあまりの不幸っぷりに笑いを感じるとともに、
「あ、なんて自分は幸せな人生を送ってきたのだろう」と痛感すること間違いない。
一方で、「不幸を経験してきたからこそ、分かる幸せ」というものも確実に存在する。
空腹な人と満腹な人では、目の前に置かれた一膳のご飯の喜びが違うのと同じことだ。




今まで一人ぼっちでいたからこそ、人一倍愛する人と一緒に暮らす喜びが分かる。
彼女ほどの不幸体験はできればしたくはないけれど、
その「不幸だったからこそ分かる幸せ」を知らないままでいるのも少し残念なような気もする。

                                                          ライター/風味絶佳


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          私的日記: さらっと、再び
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 さらっと。。。
 
 
 そう、後書きなんだからさらっといきましょうよ。。。
 
 
 密度の濃い文章は似合わないやね、なんていいつつも、またそのうちあれこれとえら
そうに書き出すかもしれないけれど、、、とりあえず今回はさらっと・・・
 
 
 秋だから気候がよくて気持ちいい。お酒もおいしいし、暑くて寝苦しいこともない。
 秋は文化人になるのですよ、みんな。
 本読んだりしながらね。
 
 
 映画もいいなあ。風味サマのお薦めの一本を見ながら、さすがにコップ酒はどうかと
思うので、まあワインかビールあたりで。
 
 
 そうそう、野球青年のコラムが復活しました。こちらも読みごたえがありますよ。



 http://blog.mag2.com/m/log/0000138731/ 
 
 まあともかく、今月はさらっと。。。









 さらっと。。。



















 毎年暖冬で困るねえ。。。        (白)

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