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今、時代は大きな転換期にあると思います。この時代の性格と、今後わたしたちに何が問われているかを、世界や日本の主な出来事の分析を通じて考えます。

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2009/07/08

インターナショナル64

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
                  ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
【月刊ニュースレター:メール版】 イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル
                 ┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
 メール版第64号(通巻188号)      2009年7月8日発行
 発行所:MELT
     ホームページアドレス http://www014.upp.so-net.ne.jp/tor-ks/
          Eメールアドレス   melt-ks@jn3.so-net.ne.jp
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
わたしたちはいま、大きな時代の転換点に生きているのではないでしょうか?
だから今とは、人間の自立と自律や民衆の自治という新しい民主主義のあり方
と、旧い代行民主主義の葛藤の時代でもあるのでしょう。 
 次々と起きるいろいろな事件や社会現象の分析をとおして、そんな問題を考
えてみたい人たちのためのメールマガジンです。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
今号の内容:
1:私たちの世界は(世界):●「国有化」されたGM
    過剰な信用供与に依存した米自動車業界の虚栄が崩壊
      -楽観的にすぎる短期再建のシナリオ-
2:運動と組織のありかた(労働):●待遇格差とどう闘うか
      均等待遇・「同一労働・同一賃金」を目指して
      ー太平洋炭鉱、広島電鉄-その闘いの教訓ー
3:【時評】日本の新型インフルエンザ狂想曲
   ●政府・厚生省の自己保身とマスメディアのミスリード-
4:夏季一時金からのカンパを訴えます  

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1:●「国有化」されたGM

     過剰な信用供与に依存した米自動車業界の虚栄が崩壊

       -楽観的にすぎる短期再建のシナリオ-

▼製造業最大の経営破綻

 6月1日午前(日本時間同日夜)、アメリカ自動車メーカーの雄・GM(ゼネ
ラル・モーターズ)は、日本の民事再生法にあたるアメリカ連邦破産法11条
(チャプター11)の適用を申請し、ついに経営破綻した。
 3月末の負債総額は1728億ドル(約16兆4千億円)にのぼり、昨年9月に共に
破綻した投資銀行リーマン・ブラザースの6910億ドル(約65兆円)と貯蓄貸付
組合(S&L)ワシントン・ミューチュアル(WANU)の3279億ドル(約31兆円)
に次ぐ3番目の規模である。また同じく3月末時点のGMの資産総額は822億ド
ル(7兆8千億円)だが、破綻企業の資産総額の比較でもリーマンとWANU、
そしてIT企業ワールドコムの破綻(02年)につづく4番目の規模で、製造業
としてはもちろん史上最大の経営破綻となった。
 この莫大な負債を圧縮しようとした債権者との交渉は、政府が突き付けた最
終期限の5月末を待たずに不調に終わり、GMは自力での再建を断念し、結局は
アメリカ政府が60.8%、GMの工場があるカナダ政府とオンタリオ州政府が11.7
%の株式をもつ事実上の「国有化」によって再建をめざす、破産法の申請に追
い込まれたのである。
 GMは今後60日から90日をメドに再建手続きを終了し、年内の黒字化を目指
す短期再建シナリオを公表、オバマ大統領も同日、「GMは実行可能な再建策
を策定した。実現にはかなりの額の資金が必要でそれを提供できるのは政府だ
けだった」と述べてGM再建に期待を表明した。
 だが、こうしたオバマ政権の楽観的展望には、疑惑の目が向けられている。

▼GM再生への期待と現実

 そのひとつは、GMがチャプター11を申請した「タイミングの良さ」である。
 というのは当日は、先にチャプター11を申請したビッグ3のひとつクライス
ラーが裁判所から再建計画の了承を得、わずか1カ月で再建手続きを完了した
からである。
 オバマ大統領も当日の会見でクライスラーの再建手続き完了に幾度も言及し、
同社の5月新車販売台数が4月を上回ったのは「国が早期再建に全面的にかかわ
ったおかげだ」と述べ、GMの短期再建シナリオに対する楽観的期待の現実性
を強調したが、それはごまかしだからである。なぜなら、クライスラーの5月
販売台数が増加したのは、最大6000ドル(約57万円)もの値引きをした「在庫
一掃セール」を行ったからに過ぎず、このセールが同社の再建にとってどれほ
ど効果があるのかは疑わしいからだ。
 GMの経営破綻に合わせたかのようなクライスラーの再建手続き完了は、た
しかに「出来過ぎ」の感が否めない。そして仮に「GMショック」を和らげる
ことが優先されてクライスラーの再建計画がぞんざいに扱われたとすれば、い
ずれそのツケは、再度の経営破綻として回って来ることになろう。
 だが何よりも悩ましいのは、チャプター11申請で莫大な債務を削減し、同時
に3つの工場の操業停止や、少なくとも11の工場を閉鎖して数万人規模の従業員
を解雇するなど、強烈なリストラで財務体質を改善することは可能でも、それ
なりの利益を上げる企業として再生するのは、政治の介入によっては不可能だ
ということである。
 それは、総額約500億ドル(4兆7500億円)もの公的資金をつぎ込んだあげく、
GM再生に責任を負う筆頭株主となったオバマ政権が、収益性の回復と投入し
た公的資金の棄損との間で、今後かなり難しい決断を迫られることを意味して
もいる。
 GMは今後、裁判所の管理下で主力ブランドや優良資産を受け継ぐ「新GM」
と不採算事業を引き継ぐ「旧GM」に分割され、シボレーやキャデラックなど
優良な4つの主力ブランドを受け継ぐ新GMは、事業規模を現在の60%程度に
まで絞り込み、2012年までに14車種のハイブリドカーを発売するなど、将来の
命運を賭けて「環境車」に投資を集中するとしている。だが環境車の目玉商品
である電気自動車「シボレー・ボルト」は、29億ドル(約2700億円)を投じて
2012年に発売する計画があるだけであり、しかも肝心の電池は韓国企業から調
達するという他社だのみ弱点も抱えている。
 グローバリゼーションの時代に、純粋に経済的効率や企業の収益性を考えれ
ば、いっそのこと電池を供給する韓国企業と合弁会社を設立し、賃金の安い中
南米で電気自動車を生産して輸入する方が収益性は高く、大株主のオバマ政権
も投入資金を早く回収できるだろう。だがもちろんこの方法ではアメリカ国内
の雇用が失われ、GMを「新たなグリーン製造業」として再生しようと国有化
までした意味が無くなるのも明らかである。
 はたしてGMの新経営陣は、オバマ政権のこうした期待に応えられるだろう
か。
 オバマ大統領の後に会見したGMのヘンダーソンCEO(最高経営責任者)
は、「造る車はすべて世界レベルを目指す。5車種当たることを見込んで15車種
造るようなやり方は終わりだ」と意気込んでみせたが、それは図らずも、グロ
ーバル企業GMの企業文化が作り出した、博打(ばくち)まがいのずさんな経
営戦略を暴露するものだった。
 株式時価総額など目先の利益の最大化を追い求め、「売れる自動車」の開発
と生産ではなく、より多い利益の出る高級車の販売を偏重し、当面の増収・増
益のために「自動車ローンのサブプライム版」まで編み出し、それによって業
績を維持しようとしたGMの経営は、文字通りの意味で金融バブルの申し子だ
ったと言えよう。

▼自動車版サブプライムローン

 08年暮れの12月31日、GMの経営危機という大事件の陰に隠れて日本ではあ
まり報じられなかったが、GMの金融関連会社GMACファイナンシャル・サ
ービスに、連邦政府による50億ドルの資本注入が発表された。12月初めに174
億ドルのつなぎ融資を行ったのにつづく2度目の救済であり、12月25日にFR
B(連邦準備制度理事会)が、同社の「銀行持ち株会社化」を承認したのを受
けての新たな措置であった。
 GMACは、その名のとおりGMの自動車ローンを取り扱うGM出資100%の
金融子会社だったが、アメリカの住宅バブルがピークを越えた2006年11月、株
式の51%がサーベラス・キャピタル・マネジメント(SCM)に売却され、GMの
保有株式は49%になった。ちなみにSCMは、ブッシュ政権の財務長官だった
ジョン・スノーが会長を努め、アメリカの年金基金など機関投資家の資金運用
を引き受ける、日本で言えば「投資信託会社」であり、日本では、おぞら銀行
(旧日本債権信用銀行)が傘下にある。
 昨年末のこのニュースが重要なのは、GMの経営危機が、単にリーマンショ
ックを契機にした北米自動車市場の縮小と新車販売台数の急減によるだけでは
なく、自動車ローンを扱う金融子会社と一体の危機であることを明らかにする
からである。
 自動車ローンの大手であるGMACは、実は8年前の2001年頃から住宅ローン
市場にも参入し、04年には、1919年の設立以来の最高益となる2724億円を記録
し、「GMの最優良子会社」として、GM全体の当期利益の64%を占めた金融
部門の大黒柱でもあった。つまりGMは、優良な金融子会社の稼ぎに支えられ
て世界最大・最強の自動車メーカーの地位を保ってきたと言っても過言ではな
いが、その優良子会社の株式の過半を2006年に手放さざるを得なかった事実の
中には、製造業としてのGMの経営危機が、当時すでに抜き差しならない事態
に陥っていたことが端的に示されている。
 現実に、GMをはじめアメリカのビッグ3と呼ばれる自動車メーカーの業績
は、日本車メーカーによるアメリカ現地生産の本格化に押されるように、90年
代の半ばから悪化しはじめた。GMも97年ごろに急速な業績悪化に直面したが、
その打開策が「自動車ローンの証券化」だったのである。
 当時、GMのディーラー(販売業者)には、「5項目の申請書」と呼ばれた書
類がローン会社によって大量に配られたが、それは自動車ローンを希望する人
の名前、住所、生年月日、社会保険番号、職業の5つを記載するだけのローンの
申請書で、年収など査定に必要な支払い能力に関する情報を、まったく客に求
めないものだった。
 このローンの販売促進効果は、絶大であった。あるデトロイトのディーラー
は、300万から800万円もする高級車が1日3台、年間では700台も売れた時期があ
ったという。なにしろ5項目を埋めさえすれば、たとえ失業中で無収入であろ
うと、ほぼ自動的にローン契約が結べたのだから当然だろう。だがこんなディ
フォルト(債務不履行)のリスクが高いローンを組んで、ローン会社が破綻す
る危険はないのだろうか?
 このジレンマを解決してくれたのが、住宅ローンでも多様されていたCDO
(債務担保証券)という、デリバディブ(金融派生商品)を組成する金融技術
だった。
 GMACは、契約した自動車ローンを証券化してウォール街の投資銀行など
に売りさばいたが、それはローンの貸し出し資金を回収した上に手数料も稼げ
るという、まさに一石二鳥の荒稼ぎであり、「自動車版サブプライムローン」
に他ならなかった。しかもこれに味をしめたGMACは、前述のように住宅ロ
ーン市場にも参入して自ら住宅ローンの証券化と販売にも乗り出し、04年には
史上最高益を上げたのである。
 もっとも、こうした新たな金融商品の開発を歓迎し、その大量販売に精を出
したウォール街にとって、GMというブランド名のおかげで「AAA(トリプ
ルA)」、つまり最も優良で安全な証券という格付けを得たGMACのCDO
は「売れ筋商品」として人気を博したのであり、こうした背景なしにはGMA
Cの「成功」もあり得なかった。

▼ホームエクイティローン

 こうしてGMはいったんは息を吹き返したが、2001年の同時多発テロとその
後の原油高でふたたび売上の減少に直面した。そこでGMが頼ったのは、また
しても金融の力だったのである。ただ今度は、リースという新たな手法が導入
された。
 この方法では、新車を購入するのは客ではなくGMACである。GMACは
購入した新車を客に貸し出してリース料を受け取り、リース契約が終了すれば、
この車を中古車として格安で客に売るのだ。これなら客の支払いは半額程度に
押さえられ、さらに2年ごとにリース期間を更新すれば、また新車に乗り換え
ることも可能という触れ込みである。そしてもちろん、このリース契約も証券
化して売りさばいたのである。
 しかしより重要なことは、GMACがこの頃に住宅ローン市場に参入したこ
とである。金融で利益を上げるためには、自動車ローン以外で最も魅力的な住
宅ローンも手掛け、これを両輪にして顧客を増やす戦略だったと言われるが、
その住宅ローン市場では、03年頃からサブプライムローンが急増しはじめてお
り、同時に「ホームエクイティローン」が、まるで「預金をしなくてもよいATM」
(ニューヨークタイムス)のような、安易な消費資金の調達方法として持て囃
されるようになっていたからである。
 ホームエクイティローンは、一般に「住宅の資産価値から住宅ローンを差し
引いた実質価値(ホームエクイティ)を担保にして組まれたローン」のことで、
アメリカでは子供の大学進学費用の調達などに利用されてきた方法ではある。
だが当時のそれは、住宅バブルによる価格上昇をあらかじめ見込んだ過大な差
額をホームエクイティローンにして消費に回すといった、アメリカの「過剰消
費」を支える「ATM=現金自動支払機」と化しはじめていたのである。
 GMACの住宅ローン市場への進出が、こうした事情と無縁だったはずはな
い。急増しはじめていた「サブプライムローン」にまでホームエクイティロー
ンを追加融資して高級車を売りつけるビジネスモデルは、自動車と住宅という
2つのローンを同時に扱う最大の利点だったに違いないからだ。
 だが言うまでもなく、これは「過剰な信用膨張」、要するに「実際の需要」
を上回る売上を達成するための「需要の先食い」に他ならないし、それが経営
戦略として成立するためには、住宅価格の継続的な、しかもローン金利を上回
る利回りで値上がりがつづく資産インフレが、文字通りの意味で不可欠の前提
条件であった。
 そしてもちろん、それは長くはつづかなかった。住宅バブルが破裂してCD
O市場が崩壊したとき、住宅ローン市場に遅れて参入した分だけ多くのサブプ
ライムローンを抱え込んでいたであろうGMACは、たちまち資金繰りにも窮
する事態に陥ったのだ。昨年のリーマンショックを機にGMの経営が一挙に悪
化したのは、GM本体が吸い上げてきたこの金融子会社の利益が吹き飛んでし
まったからに他ならない。
                        *
 GMの、「5車種当たることを見込んで15車種造る」博打的経営戦略は、こう
した信用膨張を前提にしてのみ可能だったとすれば、その「製造業としての再
生」は、やはり容易ならざる難事業と言う他はない。
 なによりも10年以上にわたって金融バブルに依存してきた巨大企業が、年間
数百万台の新車を飲み込む北米自動車市場(これ自身が異常な経済構造と言え
るが)が縮小しつづけている環境の下で、事業規模を6割に縮小したとはいえ、
「過剰な信用膨張」に頼ることなく、しかも「短期間で」利益のあがる企業に
変身できるというのは、どう考えても楽観的に過ぎるだろう。それが明白だか
らこそ、オバマ政権はGMACに資本を注入し、自動車ローンの信用収縮に歯
止めを掛けざるを得なかったのだから。
 こうしてオバマ政権は、過剰信用膨張に依存した業績の「V字回復」か、時
間は掛かろうとも「まともな製造業」としての再生かのはざまで動揺せざるを
得ない。
 はたしてオバマ政権は、後者の困難な道を選択する「勇気」を示し、短くは
ないその困難な時間を人々が受け入れるように説得することができるだろうか。
(6/30:さとう・ひでみ)
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2:●待遇格差と どう闘うか

     均等待遇・「同一労働・同一賃金」を目指して

     ー太平洋炭鉱、広島電鉄-その闘いの教訓ー

 非正規労働者の全労働者に占める割合が、3割を大きく超えて久しい。賃金
を見るなら、かつて我慢の限界のように言われた年収300万円での生活は、現在
の非正規労働者にとっては夢物語になっている。さまざまな格差が取りざたさ
れているが、「自助努力」では突破できない。現在社会問題になっている賃金
格差の解消は、大幅なベースアップで解決されなければならない。 
 最近、労使で賃金格差是正の挑戦が開始されている。経営者も職場の軋みを
感じているのである。実際、労働組合が均等待遇・「同一労働同一賃金」の要
求を掲げて実現に至らせるのは簡単ではないが、それぞれの労働組合が成功の
経験を共有し、社会運動としてさらに大きな取り組みに挑戦することが急務と
なっている。

▼広島電鉄-格差縮小への挑戦

 2007年3月、『朝日新聞』は「労働運動再生/広島電鉄の好例に学べ」の見出
しで、広島電鉄の格差縮小に向けた挑戦を紹介した。
 広島電鉄では2001年、契約社員制度が導入された。1年ごとの契約更新で、月
額賃金は何年働いても昇給しない。その後、組合の要求で「契約社員としての
契約3年後に、契約期間の定めのない正社員に登用する」ということにはなった
が、ただ「正社員2」という身分が増えただけで、その他の労働条件は他の契
約社員と同じだった。
 06年秋闘で、広島電鉄の労使は「正社員・契約社員の賃金体系と労働条件の
統一を目指す」方向を合意した。組合の見解は、「労働条件は必ず低い水準に
並んでいく。契約社員が多数になれば、労働条件は契約社員の方にそろえられ
る。契約社員の組織化は正社員にとっても死活問題なのだ」という視点で労組
が取り組んだ成果だという。
 組合はボーナスの決定に際して、正社員の賃上げ分を契約社員に加算させる
ことで格差を少しは解消させてきた。
 そのような中で今年の3月、06年の労使合意を踏まえた3年にわたる交渉の結
果、労使は契約社員全員の正社員化、賃金・労働条件の一本化を今年度中の早い
時期から実施に移すという合意に至った。1)年功と能力を加味して昇給する
賃金制度に一本化する、2)定年を5年延長して65歳とする、3)正社員の中に
は賃金が下がるものもいるが、調整給を支給しながら10年かけて穏やかに減額
する、などの内容である。これで人経費総額は4%増になったという。
 本来、職務に大きな差はない。06年秋闘のころは中途採用者が多く、若年労
働者が先輩で、生活が切迫する齢上の契約社員が後輩というような構造も登場
し、正社員と契約社員の溝は深まり、不満と生活不安が増大していた。契約社
員はやりがいを失い、せっかく人材を養成したのに依願退職者も増え、人材確
保が難しくなった。この状況を何とかしなければならないと捉えたのが、労働
組合の側だった。
 今回の合意に向けての組合の挑戦は、組合員の長期の生活保障と平等観をも
たらし、お互いの理解と信頼関係を回復することができた。それは仕事に対す
る満足度を高め、経営者にとっても生産性の向上に結びつく。

▼「月給制にしたらヤマの事故はなくなる」

 後藤正治著『はたらく若者たち1979~81』(岩波現代文庫)は、北海道・北
炭夕張新鉱の情況を紹介している。
 81年10月16日、北炭夕張新鉱でガス突出事故が発生し、死者93人を出した。
 「夕張新鉱は、75年に開鉱した全国でも最も新しいヤマだった。その採炭技
術と機械力においては最新鋭のヤマだった。炭もカロリーの高い原料炭である。
カロリーの高い炭ほど、炭にふくまれるガスの含有量も多い。
 最新の採炭技術と機械力の資本投下と同じように、悪い自然条件に対応する
ための保安面における設備投下はおこなわれたのだろうか。事実は、採炭部門
の設備投資と逆比例するかのように、保安面は手抜きされていた。・・・では、
そのような保安上の問題について、現場の労働者はなぜ声をあげなかったのだ
ろうか。この点は各方面からも指摘されている。・・・答えは、馬の鼻づらに
ニンジンという請負給制度にある。・・・どのヤマでも、収入の6割以上は請
負給という仕組みになっている。さらに北炭のばあいは、切羽請負のほかに、
ヤマごとの全山請負という他のヤマでは例をみない特異な二重の請負制度がし
かれている。
 『請負給やめて全部月給制にしたらヤマの事故の大半はなくなるよ』―村上
清人・三井砂川炭鉱労組書記長はいいきる。
 「唯一月給制がひかれているのは、釧路にある太平洋炭鉱である」
 太平洋炭鉱は、日本で最後に閉山になったヤマである。ガスが少ないので事
故が少なかった、機械の導入が早く、早期に合理化を進めることができたので
他の炭鉱に勝つことができたなどの理由が言われてきた。しかし人事政策が、
一番の理由である。

▼賃金抑制で定額給を導入

 では、唯一月給制がひかれている釧路にある太平洋炭鉱は、どのような経緯
で月給制になったのだろうか。
 「1953年に太平洋炭坑では完全請負給は廃止された。作業の基準量に追いま
くられる請負給の廃止は、労働者の年来の要求であったが、他のヤマに先がけ
ていちはやく実現したのは、資本の側にもカッペ採炭の本格化と切羽集約によ
って大幅な能率の上昇ができ、しかも将来の機械化を展望すれば、能率の上昇
にともなってどんどん上がっていく請負給よりは定額給にしておさえたほうが
得策だという太平洋資本の独自の蓄積の方向にもとづく事情があったためであ
る。」(太平洋炭坑労働組合編集『太平洋炭坑労働組合/三十年史』)
 1950年頃からアメリカやドイツ製の機械が導入され始め、特にドイツ製で発
達したカッペ採炭法は大手炭鉱で採用された。これにより切り羽の出炭量は増
えたが、請負給も増加した。経営者は人件費を抑制するために、定額給を導入
したのである。労働者は実質的な賃下げになった。しかし労働組合は、見積も
り単価を決定する際には職場代表を交えて決定せよという要求を掲げて交渉し、
一旦は下がった単価を上げさせた。この闘いが、職場闘争の端緒となった。
 1954年8月31日、ガス爆発事故が発生して、39人が犠牲となった。この事故
を機に、職場闘争は本格化した。
 それまでの職場保安自治会は会社の協力機関だったが、職場の大衆的な力で
保安委員会や自治会の決定事項を実行させ、それを闘いの場へ変えていった。
組合は、それまで有名無実だった各抗口、抗外の職場闘争委員会を再編成する
とともに、抗口に労働部担当執行委員を常駐させて指導を強化した。そして各
抗口に集まる要求を組合でまとめ、会社との交渉に当たっていった。
 経営者にとっては、機械化をはかっても職場闘争が発展し、生産性向上には
障害となった。そのため職制支配を強め、職場規律の確立を推し進め、さらに
石炭のコストを引き下げるため、坑外の付属施設を切り離して独立部門にする
などの提案を行った。
 西で三池闘争が闘われている最中、北でも反対闘争が繰り広げられたが、資
本の攻撃は続いていった。

▼「災害をなくすことはできます」

 三池闘争の敗北後も、太平洋炭坑では合理化反対闘争が闘われていた。しか
し62年4月から災害が相次いだ。この年の4月から11月までに7人が死亡し、1日
あたり6件強の災害が発生した。合理化に災害は付いてくる。まさしく人災で
ある。
 63年1月27日、労働組合は重大災害に抗議して1時間ストを決行した。ストに
際し、執行委員会は幹事会に文書を提出した。
 「われわれの内部にも、炭鉱には災害がつきものという観念があります。本
当に炭鉱から災害をなくすことはできないのだろうか。いやできます。それは
科学的技術的に可能です。われわれはそのためにこそ保安第一を唱え、技術的
対策を要求してきました。これまでの災害について〃労働者を人間として尊重
しているのかどうか〃という観点から分析してみると、真の原因が本人の不注
意とか不可抗力によるものはほとんどありません。われわれのなかに、災害は
カンと経験だけで防げるという考えやまちがった度胸と誇りや責任をもったり、
作業要綱や対策を正しく運営する積極的な姿勢を欠いているところに問題があ
ります。今度の抗議ストは保安確保への会社にたいする抗議と、われわれ内部
の意思統一を目指しておこすものです。」

▼差別と無権利のなかで事故は起きる

 63年11月9日に三池三川坑で451人、65年2月に北炭夕張で62人、6月に山野で
237人がガス爆発事故で死亡した。
 66年には太平洋炭鉱でも死亡事故が続いたが、この年の死亡者4人はすべて社
外員と呼ばれる下請労働者だった。低賃金を個人で克服するために長時間労働
を行っていた。そして危険とわかっていても、改善要求が出来ない従属関係の
もとで沈黙を続けていた。事故は、直轄労働者との大きな差別のもとで、低賃
金と無権利の状態が引き起こしたことは明らかだった。
  ♪「地の底から 地の底から 
   怒りが燃え上がる
   この切羽で この切羽で 
   仲間が息絶えた
   金のためなら 人の命も奪い去る
   やつらに怒りが燃える」
 この『人とし生きるために』の歌は、このときの情況を歌ったものである。
 労働組合は、「同じ坑内に働いていて死んでからも社外員という差別で弔慰
金が少ないのでは、労働者の結束はない」と弔慰金を炭労と同額にすることを
要求しストライキを構えて獲得した。労働組合は、以後もこの姿勢を貫いた。

▼労組が賃金体系案を提案

 66年、経営者は賃金体系を変更し、人事考課を折り込んだ「新職能給」制度
を提案してきた。これに対して労働組合は月給化の方向をめざす要求をまとめ、
勤続・年齢に基づく「基礎給」の新設を勝ち取り、部分的ではあるがはじめて
月給制を実現させた。
 68年、経営者は第3次長期計画を提起した。機械の高能率化のなかで、人員
体制のアンバランスが生じていた。
 これに対して労働組合は「なすがままにして、なし崩しに『合理化』を受け
るより、私たちの力でそれをくい止めてできるだけ労働条件を引き上げる」方
針を選択し、「大職種制」と、それにともなう賃金体系の改訂に取り組んだ。
 「大職種制」は、機械化の進展によって各職種の人員と作業範囲にアンバラ
ンスが生まれ、基本的には切羽から人がはじき出され、間接職種は切羽の作業
スピードについていけない状態にあったのを、人員はそのままにして作業範囲
を大幅に改訂し、協業部門を取り入れることによって解決しようとするもので
ある。
 これに伴なって、賃金も職種給の改定や生活保障給の賃金体系要求がおこな
われた。それは、1)年齢・勤続給を大幅に引き上げて「基礎給」とし、この
月給部分を大きくして完全月給化を目指す、2)職種を少なくすることによっ
て低賃金職種の賃金引下げを重点的に行い、これにともなって高賃金職種の引
き上げを行う、3)職種・職場ごとに分断され、尻をたたかれる制度(集団職
能給)、出勤が少ない時の罰金制度(精勤手当)をなくし、工数払いの手当と
する、という基本要求にまとめられた。交渉では、組合の要求がほぼ受け入れ
られた。
 経営者の労務課長は後日、次のように述べている。「今回の大職種編成のよ
うな問題は、普通、学者やコンサルタントに頼んで、面倒な職務調査や職務分
析を経てつくりあげられるのが常識であるが、当社の大職種編成は、実際に毎
日坑内の現場で働いている労働者自らの手によって組み立てられた。ここに私
は大きな意義があると思う」。
 組合員の一部からは「労使協調」と批判されたが、労働組合が具体的対案を
提出して改善を勝ち取っていった。労使協議を経営者のヘゲモニーで行なわせ
るか、労働組合が仲間作り、心身ともに働きやすい職場環境作りの方向から取
り組むかでは、結果が大きく違ってくる。

▼お互いを認め合う仲間づくり

 後藤正治著『はたらく若者たち1979~81』はつづける。
 「炭鉱で爆発事故があっても、炭鉱労働者は『ヤマがあるかぎりヤマで働き
たい』・・・。石炭産業がどんなに不安定な産業であったとしても、なおひき
つけるものがここにはある。・・・早くヤマに見切りをつけたいという声は意
外にもまったくなかった。その理由として彼らがあげたものを整理すれば、稼
ぎがいい、暮らしやすい、人間関係がいい、の3点になるだろう。」(『はたら
く若者たち1979~81』)
 経営者は、使い勝手のいい労働力を大量に登場させている。
 労働者は、かつての金に支配されて労働力を売るというレベル以上に、労働
に支配されている。時には高価な機械の肩代わりを、安価な労働力が担わされ
ている。
 現在「雇用格差」は、「賃金格差」を初めとする重層的「格差」を作り出し
ている。特に非正規労働者は、自助努力では克服が無理な情況に落とし込めら
れている。労働の尊厳が失われている。グローバル化は、資本主義の基礎であ
る私的所有関係を破壊し、労働者の団結を破壊し、市民社会を破壊した。その
なかで、人権も破壊された。
 労働の尊厳は、「勝ち組」においても、エンドレスの「マネーゲーム」によ
って失われている。
 炭鉱労働者にかぎらず、労働者は「稼ぎがいい、暮らしやすい、人間関係が
いいところで働きたい。そして安全なところで働きたい」という「安定・安心」
の労働を希求する。安定が存在しない状況下だからこそ、自分だけが「勝ち組」
になることで安堵を得ようともがく労働者も登場してくる。
 しかし「安定・安心」と「勝ち組」はイコールではない。 
 経営者は分断管理を行い、不満や不安が解消できない状況下で労働者間の対
立を煽る。だから労働者は、同じ場所、時間帯に働いていても人間関係作りは
簡単ではない。しかし労働者は、経営者の支配体制下に留まる必要はない。
 では「安定・安心」の実現のためには、何が必要か。
 「安定・安心」は個人の労働者の中に存在するものではなく、多くの仲間と
一緒に職場や社会で築き上げるものである。
 そのためにもう一度、労働者同士がお互いの存在を認め合い、労働とは何か
の討論の中から団結・連帯・共生を探り出していかなければならない。お互い
の立場からの問題提起や、不満を出し合う中から相互理解を勝ち取り、仕事の
平等感、満足感を追求する雇用構造を要求していかなければならない。
 そしてその要求は、社会的運動として展開しなければならない。それに人々
が呼応する可能性の萌芽は、年末年始の年越し派遣村へのボランティアの参加
でのなかにすでに覗うことができる。
 仲間の存在こそ「安定・安心」の第一条件であり、その要求は均等待遇・
「同一労働・同一賃金」に至るだろう。
 その挑戦は、困難さを経ながら、太平洋炭鉱や広島電鉄で成功している。
(7/3:いしだ・けい) 
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3:【時評】日本の新型インフルエンザ狂想曲

    ●政府・厚生省の自己保身とマスメディアのミスリード-

 新型インフルエンザが、じわじわと広がっている。これまで首都圏では国内
での人から人への感染例は確認されていなかったが、それが6月になって、最
近の渡航暦のない高校生や中学生・小学生に感染者が相次ぎ、それも同じ一つ
の学校の中で大量の感染者が見つかって、首都圏でも国内感染がすでにかなり
前から進行していたことが裏付けられた格好である。
 舛添厚生労働大臣は、新型インフルエンザの発生以来、繰り返し「正しい情
報に基づいて冷静に対応してもらいたい」と表明してきた。しかし正しい情報
を発信せず、冷静に対応するのではなく、むしろパニックと言うべき対応をし
たのは、政府・厚生労働省の方であったといわなければならない。
                         *
 4月の末に、メキシコ政府が新インフルエンザの発生と流行を内外に宣言し
て以来、日本国政府は、メキシコ、アメリカなど流行地域からの直行便の乗客
を対象に、空港を中心とした検疫に力を入れ、日本は水際で新インフルエンザ
の侵入を阻止して時間を稼ぐから、冷静に対応し、準備を怠らないようにと繰
り返し宣言した。
 そして多額の資金を投じて乗客の体温を測定する高価な装置を導入し、もと
もと不足している検疫官を補うために多くの医療関係者を検疫業務へと投入し
た。
 しかし、メキシコ政府が新インフルエンザの発生を宣言した直後に、国内の
人工透析を行っているある医療機関は、患者に対して、すでに新インフルエン
ザは国内に侵入しており、外出はなるべく避け、やむなく外出する際には人ご
みでのマスク着用、うがい、手洗いの励行を推奨し、少しでも熱があった場合
には、透析のための来院を拒否するとの通知を出していた。
 つまり空港などでの検疫では、感染しても潜伏期間中の人をあぶりだすこと
は不可能だし、直行便以外で乗り継いできた患者を見つけだすこともできない。
しかもメキシコ政府の発表そのものも、新インフルエンザの発生直後のことで
はなく、すでに数週間たってのものと推測され、その間にも新インフルがメキ
シコ以外に広がっていることを、検疫の実態と感染症の実態を知っている人は
予想していたのである。
 しかし、このような正しい情報をマスメディアが流すことはなく、メディア
は政府の発表と、政府寄りの発言を繰り返す医療関係者の発言だけを流し続け
た。だが、事実その後の検証で、メキシコでの新インフルエンザの発生は遅く
とも3月末であることが確認され、日本国内での感染も、遅くとも4月の末で
あることも確認されている。政府の出した情報そのものが間違っていたのだ。
                          *
 しかもその後の報道で確認すると、豚インフルエンザがカナダにおいて人に
感染している状況は、世界保健機関(WTO)によって1月には把握されており、
こうして生まれた新インフルエンザが「弱毒性」であることも予測されていた。
 このため欧米諸国では、すでに弱毒性新インフルエンザ流行への対応マニュ
アルも策定されていた。そして弱毒性といっても、強毒性のように全ての内臓
に感染してすぐさま人を死に追いやるものではないものの、呼吸器官にかなり
のダメージを与えるもので、さらには誰にも免疫がないのだから、かなり大規
模に流行するものであり、患者数は膨大になるとの予測に立ち、罹ると重篤に
陥る人への対応も含めて、一般病院での充分な診療体制が準備されていた。
 だから、メキシコでの発症に続いて合衆国などでの感染が確認されたとき、
各国政府は空港などでの検疫は実施せず、すでに新インフルエンザは国内に入
ったものとして、個々人が充分に注意することと、学校や幼稚園・保育園の閉
鎖や企業の業務停止などは、その場所で大規模な流行が起こっていない限り行
わない対応をし、大量感染に備えて一般病院での対応をしたのだ。
 だが厚生労働省を中心とした日本政府は、このような対応をまったく準備せ
ず、対応マニュアルは、強毒性に対するもののままであった。それは国内で人
から人への感染が確認された段階で、学校や幼稚園・保育園さらには企業活動
の閉鎖などの措置を取る対応であり、治療についても、感染者が少数との前提
に立った、「発熱外来」が設置された特定の医療機関だけに限るという、間違
った準備のまま新型インフルエンザの流行を迎えた。
 したがって5月の始め、兵庫と大阪で初めて国内での人から人への感染が確
認されたとき、兵庫、大阪、京都などでは学校と幼稚園、保育園の大規模な閉
鎖が行われ、企業活動にも深刻な影響を与えるほどの強力な措置が取られたの
である。
 ところが、経済活動へのダメージのあまりの深刻さに驚いた橋下大阪府知事
を先頭にした地方政治家たちは、「弱毒性」であることを強調し、「たいした
ことはない」のだから様々な活動制限を解けと政府に強力に圧力をかけ、政府
もその圧力に屈して人の活動の制限を解除した。しかし結果は「弱毒」である
ことだけが強調され、かえって人々の新型インフルエンザへの備えを弛緩させ
る役割しかはたさなかった。
 だが新型インフルエンザは、弱毒性とはいえ通常の季節型インフルエンザに
比べて数倍の感染能力があるので感染者は急速に増え、発熱外来はパンク状態
で、多数の患者が治療されずに放置される状態すら現れた。
 しかもこの時点に至ってもなお、弱毒性インフルエンザの感染でも確実に深
刻な状態に陥ることが分っている人工透析患者など、慢性病患者や妊婦などへ
の対応はまったく取られず、これらの人々は、新型インフルエンザ感染への恐
怖に苛まれたまま社会的に放置されたのだ。
                          *
 厚生労働省を中心とした日本国政府の新型インフルエンザへの対応は、以上
のごとく異常なものであり、国会での委員会審議に呼ばれた現役検疫官からさ
え「政府は検疫官に無理を強いて、本来意味をなさない空港での検疫を過大視
して、政府は頑張っているとの姿勢を国民に見せる看板に検疫を利用した」と
指弾されたのだ。
 厚生労働省の異常な対応は、自らが弱毒性の新インフルエンザへの対応策を
まったく策定しておらず、しかも大流行への対応もまったく策定していなかっ
たという根本的なミスを隠すために、空港での水際作戦という派手な目立つ行
動だけに世間の耳目を惹きつけ、自らの誤った対応に世間の目が行かないよう
な〃保身のための対応〃に終始したと言う以外にはない。間違った情報を流し
たのは厚生労働省だったのであり、舛添大臣は官僚の単なるスポークスマンと
して行動し、官僚の無策をチェックする政治家としての任務を放棄したのだっ
た。
 そしてマスメディアもまた、政府の間違った対応を暴露し批判して正しい情
報を流すのではなく、政府発表を戦時中の大本営発表のごとく信奉し、新型イ
ンフルエンザへの間違った対応をさらに広げ、社会的な混乱をもたらしたのだ。
ここには、北朝鮮の核実験やミサイル発射に対応した政府とマスメディアの、
ためにする大騒ぎと同質の、無責任な態度が見られる。
 新型インフルエンザは、秋にはもっと大規模に広がることは確実である。こ
のままでは日本は深刻なことになるに違いない。(K)
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4:夏季一時金からのカンパを訴えます

 読者そして友人のみなさん。
 昨年の麻生・自民党総裁の誕生以降、いくども取り沙汰されてきた総選挙が、
いよいよ間近に迫ってきました。
 本紙でも繰り返し指摘してきたように、今回の総選挙は「政権交代」の可能
性もさることながら、自民・民主両党を貫く政党再編の流動をはらんだ、戦後
日本政治を画する意味をもつ選挙と言えます。
 しかも今回の政党再編は、細川連立政権の成立が象徴した90年代の政界再編
とは、その背景も様相も大きく異なっています。
 90年代の政界再編が、半世紀に及んだ東西冷戦の終焉を背景に、「55年体
制」と呼ばれた自民・社会両党の二大政党制が動揺し、ソ連・東欧の社会主義
政権が次々と瓦解する中で「総評・社会党ブロック」が解体に追い込まれたと
すれば、今回の政党再編の国際的背景は、第二次大戦後の世界資本主義の繁栄
の一時代が、文字通り終焉を迎えたことにあると言えるからです。
 自民党という、「国民政党」を自認してきた戦後日本の保守政党が目を覆う
ばかりの混迷に陥っているのは、この党が、戦後世界資本主義の経済的繁栄の
申し子として、その日本における政治的体現者だったが故に、政党としての統
一的基盤を失いつつあることの反映に他ならないのです。
 他方で、同じような国民政党でもある民主党が攻勢的なのは、この党が「戦
後の成功体験」に束縛されず、だからまた「自民党政治に代わる」打開策があ
ると考えることのできる、若くて未経験(未熟)な、雑多な政治傾向を含んで
いるからなのです。
 にもかかわらず、自民・民主両党を貫く政党再編が不可避なのは、「繁栄の
一時代の終焉」という歴史的転機が、いやおうなしに民主党内の路線的分岐を
も促進するに違いないからなのです。
 こうして、社会変革をめざすわたしたちの選択も問われることになります。
 もちろんわたしたちは、戦後世界資本主義の歴史的転機を自覚し、今日の危
機を招いた「マネタリズム」や「グローバリズム」を排撃し、金融資本の暴走
を統制できる「反資本主義」的社会システムの構築に挑みつづけようとします。
 と同時にわたしたちは、そうした社会変革を実現するために、今なし得るこ
と、そして今しなければならないことが、具体的で効果的な実践として求めら
れていることも自覚しない訳にはいきません。
 来る総選挙でわたしたちは、政党再編の進展を見すえて、民主・社民・国民
新「連立政権」の内部に、労働者・民衆の社会的生存権を擁護し、あらゆる軍
事同盟に抵抗して非妥協的に闘う勢力を「埋め込む」ために、可能なすべての
ことを実践します。
 読者そして友人のみなさん。
 間近に迫った総選挙を、こうした闘いの一里塚として共に闘うために、夏季
一時金からのカンパを心から訴えます。

        ****【カンパの送り先】****
          ●郵便振替:00180-0-355270 メルト
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【お知らせ】遅くなりましたが09年6月号を配信します。今月末には7・8月合
併号を発行する予定です。
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                ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
【月刊ニュースレター:メール版】イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル
                ┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
 メール版第64号(通巻188号)      2009年7月8日発行
 発行所:MELT
    ホームページアドレス http://www014.upp.so-net.ne.jp/tor-ks/
         Eメールアドレス   melt-ks@jn3.so-net.ne.jp
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発行しています。解除は http://www.mag2.com/m/0000089504.htm からでき
ます。
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