2007/10/31
インターナショナル52
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓ 【月刊ニュースレター:メール版】 イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル ┗━━━━━━━━━━━━━━━┛ メール版第52号(通巻176号) 2007年10月31日発行 発行所:MELT ホームページアドレス http://www014.upp.so-net.ne.jp/tor-ks/ Eメールアドレス melt-ks@jn3.so-net.ne.jp ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ わたしたちはいま、大きな時代の転換点に生きているのではないでしょうか? だから今とは、人間の自立と自律や民衆の自治という新しい民主主義のあり方 と、旧い代行民主主義の葛藤の時代でもあるのでしょう。 次々と起きるいろいろな事件や社会現象の分析をとおして、そんな問題を考 えてみたい人たちのためのメールマガジンです。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 今号の内容: 1:私たちの時代とは(日本):【安倍政権の崩壊】 戦後保守政治の終焉 −保守理念の再生を挫折させた、自民党の旧構造− 2:【時評】孤立したのは日本だった―6カ国協議と安倍政権の誤算 3:私たちの時代とは(世界):【サブプライムローン問題】 「根拠なき熱狂」をあおった米住宅バブルと債務担保証券 −生産的投資から逃避し、投機に奔走する金融資本− 4:運動と組織のありかた(政党と民主主義):【旧社会党系2つの集会】 ●浅沼稲次郎●江田三郎両氏をかつぎ出す思惑と限界 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1:【安倍政権の崩壊】 戦後保守政治の終焉 −保守理念の再生を挫折させた、自民党の旧構造− ▼安倍辞任の衝撃 これは「第三の敗戦」ではないのか。 1990年代、バブル崩壊で「第二の敗戦」が語られたのは、まだ記憶に新しい。 慢心した「経済大国」の夢が破れ、それでも何とか必死に「再生」への道を求 めていた頃のことだった。しかし今はもはや、その意志もなくしたかのようで ある。 * この一節は、月刊誌『諸君』(文藝春秋社)11月号に掲載された、中西輝政・ 京都大教授の「真正保守勢力を結集し、福田政治に対峙せよ」の冒頭部分であ る。 自称「保守派」の月刊誌『諸君』は11月号で、「福田康夫でいいのか」と題 する緊急特集を組み、中西の他にも、安倍のブレーンと目されてきた評論家の 西尾幹二、ジャーナリストの櫻井よしこをはじめ、佐々淳行(初代内閣安全保 障室長)、八木秀次(高崎経済大教授)ら、右派論客による「安倍政権崩壊」 についての論評を掲載した。 これらの論評に共通しているのは、「憲政史上最悪」とまで言われた安倍の 政権投げ出しに衝撃を受け、戦後レジームの脱却を目指した改憲が頓挫した要 因が「日本人の精神的劣化」にあると嘆き、安倍を辞任に追い込んだ元凶を、 「自民党の旧体質」と共に「美しい国」を破壊した小泉改革に求めてこれを強 く批判し、自民党の旧態依然たる派閥政治と小泉後継という制約のために、靖 国参拝や従軍慰安婦問題で「安倍カラー」を鮮明にできなかった「安倍の悲劇」 を嘆息するという論調である。 さらにこれらの論者たちは、1:アメリカからの「自立」を含む日中協調ア ジア外交の転換、特に対北朝鮮強硬路線の堅持、2:靖国神社への首相参拝の 実現、要するに大東亜戦争を正当化する歴史の再評価、3:現行皇室典範の堅 持、つまり女性天皇容認論に反対することなどが安倍政権に託した期待、その 戦略的骨格だったことも吐露している。 これらの論評が、90年代半ばから台頭した「復古的ナショナリズム」の、い かなる現実を示しているのかという分析は別の機会に譲るとして、本稿では、 前述の右派論客たちも言及せざるを得なかった、安倍の首相としての「資質」 の問題を糸口にして、戦後保守勢力の人材の枯渇と小泉改革の関係や、「世襲 議員」という旧い基盤と「安倍の悲劇」の関係を考察してみたい。 ▼ねじれ自民党と論争の衰退 周知のように、安倍政権の要職に就いた議員の多くは、安倍自身を含めて世 襲の二世三世議員であり、当初から「経験不足」を指摘されてはいた。実際に も、彼らの言動の軽率さや説得力の薄弱な信念への過信などは、党内闘争で鍛 えられて「実力者」と呼ばれた歴代の首相や閣僚と比べ、「危うさ」が際立っ ていたと言っていい。 そして結局はこの「危うさ」が、相次ぐ閣僚たちの政治資金疑惑や年金記録 問題での対応の遅れと迷走の要因となり、政権としての危機管理の無能を露呈 して政府・与党への不信感を助長し、参院選の歴史的大敗という破綻に帰結し たと言えるだろう。 だとすれば、「自民党をぶっ壊す」と称して「改革」を推進した小泉の、後 継政権としての安倍内閣の「危うさ」は、いったいどこに原因があるのだろう か。 * これまでも繰り返し指摘してきたように、小泉自民党総裁の登場は、戦後日 本の保守政治の戦略的破綻の結果であった。 右肩上がりの経済成長を無条件の前提にして、地域ボスと癒着した利益誘導 によって政権を独占する自民党の政治は、90年代初頭のバブル景気の崩壊とと もに、国家財政の膨大な赤字の累積によって行き詰まった。と同時にそれは、 密室の談合によって政治利権を分配するシステム、つまり田中・竹下時代を通 じて構築された「再分配システム」への不信を噴出させ、党内でも急速な主流 派離れを引き起こした。 ところが「党内の」主流派離れは、利権を失う野党転落への危機感と、反対 に恣意的利権分配に対する党内外を貫く不満という、2つの側面を持った現象 だったのであり、この矛盾した主流派離れが、自民党の防衛のために、その自 民党を「ぶっ壊す」と絶叫する党総裁を選ぶという、「ねじれた自民党」を出 現させたのである。 こうして小泉は、「脱派閥」を掲げて「旧主流派(=守旧派)たたき」を推 しすすめ、その利権分配機能と派閥間談合機能を弱体化させることで自民党内 外の支持を獲得するのだが、それは同時に、高い内閣支持率を背景にした「ト ップダウン」によって改革を推進する、政権基盤の強化にもなった。 この「脱派閥」と「トップダウン」の手法は、5年におよぶ小泉政権の特徴 だったが、それは小選挙区制導入と政党助成金によって格段に強化された党首 の権限、つまり公認候補決定権を含む強大な自民党総裁の権限ともあいまって、 すでに弱体化していた派閥政治の無力化を加速した。だがそれは反面、自民党 内の政策をめぐる論争の活力を奪うことにもなったのである。 なぜなら自民党内の派閥抗争は、派閥領袖の独断で歪められているとは言え、 政策をめぐる自由な論争を保障する「党内民主主義」の一形態と言えるし、そ の論争は自らの政策を貫く意志(胆力)や説得(駆け引き)など「政治技術」 の伝承を含めて、諸政策を収斂する過程でもあったからである。 断っておくが、私は派閥政治の復活が必要だと言いたい訳ではない。 ただ「脱派閥」と一対になった「トップダウン」の政策決定という小泉の手 法が、自民党内の活発な政策論争の衰退を加速し、同時に自民党の人材育成シ ステムを無力化したのであり、それが安倍とその閣僚たちの「経験不足」の、 大きな要因のひとつだったことを確認したいだけである。 ▼旧い基盤と新スタイルの接ぎ木 もちろんこれは、人材育成システムの衰退に止まらない問題である。という のも、小泉によるトップダウンの改革は、首相直属の諮問会議を設置してその 答申を政策化することで推進されたが、それは諮問会議の「民間議員」になっ た財界首脳と、中央省庁の官僚が合作した答申をほぼそのまま閣議決定するこ とで、自民党内談合システムの要であった政策調査会を有名無実化した。 それは、派閥の衰退による低調な党内論争とあわせて、「包括政党」と言わ れた自民党の政策的多様性を狭め、抽象化された象徴的な政治理念を大衆に直 接訴える、「理念型党首」の下に一元化された党へと自民党が変貌する過程で もあった。 こうして、すべての派閥が、反主流派として次期政権の獲得を目指すことが ますます困難になり、何らかの形で主流派に、つまり党首を支持する「安易な 総主流派体制」へとなびく自民党の一元化が進展した。昨年の「郵政選挙」で、 反対派が駆逐されたことでこの傾向は一段と強まり、それがまた自民党政治の、 ひいては戦後保守政治の「劣化」を加速したと言えるだろう。 つまり「脱派閥」と「トップダウン」方式という小泉の手法は、自民党内部 の活発な政策論争と政策的多様性を奪い、結果として、戦後保守政治が築き上 げてきた政策的収斂過程を著しく劣化させ、同時に新人議員たちを政治的に鍛 える機能の低下を加速したことは疑いない。 しかも安倍政権の場合は、小泉が採用した新たらしい政治スタイルが、政治 利権の継承を目的とする「世襲議員」という、旧い基盤に接ぎ木されたのであ る。というのも自民党の世襲議員たちは、たとえ当人が利権まみれではなかっ たとしても、その支持基盤は「利権を失う危機感」と「恣意的利権配分への不 満」とに引き裂かれた「旧来的な自民党の基盤」にほかならず、「保守理念の 復権」といった大事業を遂行する準備も、意志もなかったからである。 右派論客たちが嘆く「安倍の悲劇」、つまり安倍政権が「安倍カラー」を鮮 明にできなかったのは、旧い自民党の利権構造の上に、絶大な権限を持つ「理 念型の党首」が接ぎ木されたという、自民党の構造的矛盾に起因していたので あり、さらに言えば安倍が、旧構造に依拠している自らの現実に、あまりに無 頓着だった結果なのである。 ▼安倍の挫折に重なる戦後革新の敗北 ところで、小泉政権の登場とその後継としての安倍政権の崩壊は、いわゆる 戦後保守政治の終焉を画すものである。 なによりも、理念を軽んじた利権の分配という、戦後日本の経済成長と共に 顕著になった利益誘導政治の破綻の果てに、理念の再構築を追求した政権が崩 壊した現実は、戦後保守政治の求心力が、いずれの方法でも維持も回復もでき なかったことを物語るからである。自民党の「人材の枯渇」とは、歴史的に蓄 積されてきた戦後保守政治の、「政治的予備力の枯渇」の現れだったのだ。 こうして戦後保守勢力は、政治理念の再構築と共に、その理念を入れる新し い器=新党結成という二重の課題に同時に直面することになったのであり、こ こに「小泉新党」の客観的基盤が在る。 その上で確認しておきたいのだが、現時点で、戦後保守勢力が直面している 戦略的な分岐は、必ずしも「理念の重視か、利権の維持か」ではないというこ とである。 つまり小泉政権の「改革」を通じて提示された「当面する」戦略的分岐は、 グローバリゼーションの圧力の下で、いわゆる中産階級が没落しようとも、多 国籍資本の国際競争力を強化し経済成長の持続を追求するのか、あるいは増税 など高負担があっても所得再分配システムを再構築し、中産階級という保守的 政治的基盤を防衛するのかという選択として現れていると言えよう。 もちろん保守勢力が、こうした戦略的分岐を明確に自覚している訳ではない。 それでも小泉が推進した「改革」は前者であり、郵政造反組は、迷走しながら も後者に向かおうとする傾向ではあった。その意味では、「小泉後継」を自他 共に認める安倍政権が、郵政造反組の復党を平然と認めた事実は、この政権が、 「当面の」戦略的分岐にそれほどの重要性を見いだしていなかったばかりか、 「小泉後継」の意味を正確には理解していないことを暴くことになった。 もっとも安倍は、国際競争力の強化か再分配システムの再構築かという当面 する戦略的分岐を「飛び越え」て、経済主義的な国民統合つまり利益誘導によ る国民的多数派を形成してきた保守政治から「脱却」し、民族主義的理念によ って国民を統合し、「思想的にグローバリゼーションを補完する保守潮流」の 形成という、より本質的な保守政治の転換を目指したのであろう。 そしてこれが、安倍を奈落の底に突き落とすことになったのだと、私には思 える。安倍とその支持者たちの目指した転換がどれほどラディカルだったとし ても、自らの存立基盤の矛盾する現実を直視することなく、現に直面している 戦略的分岐とは乖離した「本質的転換」を提唱するのは、人々にとって最も中 心的関心事である選択肢を軽視する主観主義であり、悪しきエリート主義と言 う他はないからである。 * だが振り返って、参院選で敗北した「護憲派」もまた、「人々にとって最も 中心的関心事である選択肢を軽視する」ように、9条改憲阻止に一面化された 主張に終始しはしなかっただろうか。 懸命に働いても生活が成り立たないワーキングプワが増加する現実は、日本 国憲法25条に規定された「社会的生存権」が現にいま踏みにじられている証拠 であり、格差というよりも貧困の問題である。こうした現実を前にして、反戦 ・平和を掲げながら生存権を脅かす貧困との闘いを語らないのは、客観的には 「人々にとって最も中心的関心事である選択肢を軽視する」主張と受け取られ ても、やむをえないだろう。 この戦後保守勢力の右派と革新勢力の挫折に通底する「ラディカルさ」は、 戦後日本の政治体制であった「55年体制」の崩壊が言われて久しい今日、改め て変革主体の再生に関する大きな課題を突き付ける。少なくとも私は、故・清 水慎三氏の「中衛論」を思い起こさずにはいられない。 それは「革命的前衛党」の理論に対して、地域や職場の人々の現実=歴史的 に形成された文化や風俗に根付いた現実=に寄り添い、その日常の中に「当面 する」切実な必要を見いだし、それに依拠した、あるいはそこから始まる変革 主体の形成過程を「共に歩む」組織論だからである。 これは、戦略的思考の否定ではない。それはただ人々の現実から出発するこ とで、はじめて「多数者による社会変革」が可能だという、基本的問題の再確 認である。 (10/22:きうち・たかし) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2:【時評】孤立したのは日本だった―6カ国協議と安倍政権の誤算 安倍首相の突然の辞任後、対テロ特措法にもとづく海上自衛隊のインド洋で の給油活動の行方が政治焦点になったが、防衛省元事務次官の贈収賄疑惑の浮 上も手伝って、福田新内閣が提出した「新テロ特措法」の成立も絶望的になっ た。 給油活動の継続を唱える自民党は、海自の活動中断は日米関係を悪化させる と大騒ぎだが、その日米関係が、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核開発 にかかわる6カ国協議で、文字通り大きく揺らいでいることには目を塞いでい るようだ。 北朝鮮が核実験を強行して以降、アメリカの対北朝鮮政策は明らかに対話路 線に転じ、「核の完全放棄」よりも「核の封じ込め」を優先し、「テロ国家指 定」取り消しという取引の可能性が強まっている。この転換は、単独の経済制 裁継続を決定するなど、依然として圧力強化一辺倒の日本を、6カ国協議の中 で孤立させるだろう。 しかも北朝鮮の核開発は、日本にとって最も身近な安全保障問題であり、そ こで日米間に齟齬があるのは、給油活動の是非よりずっと深刻な外交的課題の はずだ。 ところが皮肉なことに、日本は「拉致問題の解決なしに日朝関係正常化はな い」という主張を「踏み絵」にしたことで、「北朝鮮の核は、日本にとって直 接的脅威だ」と言う主張すら置き去りにし、頼りのアメリカに見放されて自ら 孤立を深めている。 * 経済制裁の発動に際して、「対話と圧力」なる用語がよく使われたが、それ は外交的には一般的な手段に過ぎない。こうした主張にはお叱りもあるかもし れないが、外交上の「対話と圧力」は所詮「アメとムチ」の使い分けを意味す るだけであり、むしろ肝心なのは、「対話と圧力」の最も効果的な「順序や程 度」であろう。 圧力を使う以上は、具体的な獲得目標の設定が不可欠だが、その獲得目標が 相互に妥協可能な現実的事柄でなければ、それは最後通牒となって逆に自らの 手を縛り、その後の柔軟な選択を困難にする。「国民政府を相手にせず」と大 見得をきり、泥沼の日中戦争にはまり込んだ近衛内閣の失策(1938年)は、そ の歴史的教訓である。 もちろん、「拉致問題の解決なくして日朝関係の正常化はない」という主張 は、間違いではない。だがこれを「踏み絵」にして事実上対話を拒否すること と、多様なアプローチを試みながら、「拉致問題の解決がなければ日朝正常化 と経済援助はあり得ないぞ」という「圧力」を、中国や韓国を介して金正日に かけることは、同じではないのだ。 「金正日が最も強い圧力を感じる事態は、日中韓3カ国の共同歩調なのであ る。この3カ国の緊密な連携があればもちろん経済制裁も決定的となるが、中 韓両国がそれを認める可能性はない。だが3カ国が協調して拉致事件の解決を 求めれば、そんな強硬手段に訴えるまでもなく、金正日は真剣な対応を迫られ るのだ」。本紙151号(04年12月号)に掲載された、経済制裁に反対する記事の 一節である。 今やアメリカは、「国益」に沿って圧力から対話へと転換し、北朝鮮との取 引を選択したのだが、はたして日本は、それこそ拉致問題の解決に向けて、ブ ッシュ政権の圧力政策に便乗した強硬路線を転換し、効果的で柔軟な選択がで きるか否かが鋭く問われているのである。 それは、日米関係を重視する伝統的親米保守派である福田政権の正念場であ る。(Q) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 3:【サブプライムローン問題】 「根拠なき熱狂」をあおった米住宅バブルと債務担保証券 −生産的投資から逃避し、投機に奔走する金融資本− ▼警告されていた破綻 フランスの最大手銀行・BNPパリバが、傘下のファンド(投資基金)で、サブ プライムローン(信用度の低い個人向け住宅融資)関連投資で焦げ付きが発生 したとして、その凍結を発表したのは8月9日だった。 フランスの経済誌『ル・フィガロ』が、このニュースを「ジュディー・ノワ ール(暗黒の木曜日)」と報じたのは、これが引き金になってヨーロッパとア メリカ、そして日本などの主要金融市場で株価が急落、クレジットクランチ(信 用収縮)の危機が瞬く間に世界に伝染したからである。 だが一方で、各国・地域の金融当局の対応も、極めて迅速であった。 欧州中央銀行(ECB)は即日、欧州市場に15兆3千億円(950億ユーロ)の大規 模な緊急資金供給を実施、翌10日にも9兆8千億円(610億ユーロ)を供給、2日 間で計25兆1千億円(1560億ユーロ)の緊急資金供給を行った。これと連動して、 アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)も、9日に2兆8千億円(240億ドル)、つづ いて10日午前に4兆1千億円(350億ドル)、午後にも3千500億円(30億ドル)の 緊急資金供給を実施し、欧米の両金融当局による緊急資金供給の合計は、わず か2日間で32兆円規模に達したのである。 さらに、サブプライムローン関連投資が少ないとされる日本でも、日本銀行 が10日午前、銀行や証券会社など、金融機関に1兆円の資金を供給する公開市 場操作を実施したが、サブプライムローンをめぐる金融不安はその後もくすぶ りつづけ、各国金融当局も、その後ほぼ2週間にわたって断続的な資金供給を 実施したのである。 それでも世界の金融市場が何とか落ち着きを取り戻したのは、8月も下旬に なってからであった。 ところで、こうした金融当局による迅速かつ大規模な市場への協調介入が実 施されたのは、サブプライムローンに端を発する金融不安が、かなり以前から 予測されてきたからである。つまり今回のフランス発世界同時株安の連鎖は、 以前から警告されてきた事態ではあったのだ。 しかも、サブプライムローンに係わる金融不安がこれで終わったとは、金融 関係者の誰も考えてはいない。なぜならサブプライムローンに係わる損失が何 処にどれだけ「埋め込まれているか」は、今では誰にも正確には判定できない からであり、それが市場の不安をかき立てるからである。 * では、サブプライムローン問題とはいったいどんな問題なのだろうか。それ は現代世界経済の、どんな実態を映し出しているのだろうか。 ▼「債権の証券化」と金融工学 もともとはアメリカの、「信用度の低い個人向け」住宅ローンに過ぎないサ ブプライムローンが、世界規模の金融不安の源泉に転化したのは、「証券化さ れた債権」という新たな金融商品が広く売買される、いわゆる「ローン債権の 流動化」が世界中で推進された結果にほかならない。 いま、一般に「サブプライムローン」と呼ばれているモノは、正確には「住 宅ローン担保証券」(MBS)の形で、他のプライムローンつまり優良なローン債 権と束ねられて証券化され、さらにそれらが「債務担保証券」(CDO)の形に束 ねられて再証券化され、世界中の投資家に販売された「証券」のことであり、 言わば「雑多な債権の束」とでも呼ぶべき証書のことである。 これらの担保証券は、いわゆる金融規制緩和がグローバルスタンダード(世 界基準)として世界経済に押しつけられ、それとともに金融工学という、資本 効率に関する精密な計算技術を駆使した新型の金融商品が次々と開発される中 で登場した。こうした新型金融商品は、サブプライムローンのような「ハイリ スク、ハイリターン」の投資、要するに債務不履行(デフォルト)によって証 券が紙くずと化す危険も高いが、その分だけ高い金利を稼げる投機を、世界中 で「手軽に」行えるようにしたが、それは反面で、国際金融市場に広範な、そ して未知の不安定要因を埋め込むことになったのである。 しかもこの証券化と再証券化は、新型金融商品の開発競争に明け暮れる世界 中の金融機関によって繰り返された結果として、「債務不履行の危険性の高い MBS」が文字通り世界中にばらまかれ、「損失が何処にどれだけ埋め込まれてい るかは、今となっては誰にも正確には判定できない」事態が蔓延することにな ったのである。 したがって、担保証券を大量に保有していたBNPパリバ傘下のファンドが、保 有証券価格の下落で巨額の損失を被って閉鎖に追い込まれるという、それ自身 はどこにでもある投資の失敗が瞬く間に世界中に伝搬したのは、「何処の誰が、 どれだけの損失を被ったか判らない」という不安に、世界中の投資家たちが囚 われたからであった。 この投資家たちの不安が、担保証券価格を急落させ、それが担保証券を保有 する金融機関の株価下落に連動し、さらに損失回避の資金の引き上げに伴う為 替相場の乱高下を誘発するといった、一連のパニック(恐慌)の連鎖を引き起 こしたのである。各国中央銀行の迅速な資金供給が、とりあえずクレジット・ クランチ(信用収縮)の拡大を阻止しても、サブプライムローンの不安が拭い 去れないのはこのためなのだ。 しかもこうした不安の背景には、アメリカの住宅販売の低迷と中古住宅価格 の下落という、昨年から顕著になった、アメリカ経済低迷の予兆があった。 そもそも、サブプライムローンが急増し、それと共にローン担保証券売買高 が急増したのは、アメリカの住宅販売ブームに乗って、住宅ローン融資の対象 が低所得者層にまで広がったからである。債務不履行の危険性が高いことから、 それまでは住宅ローンの融資対象外だった低所得者、極端な場合は失業中で収 入のない人々にまで、住宅ローン融資が強引に進められたのである。 こうした、リスク管理を無視した融資が拡大したのは、住宅価格の値上がり がつづく限り、債務不履行が起きても担保住宅を売却すれば融資は回収できる という、住宅資産バブルに寄りかかった融資合戦が過熱したからである。とこ ろが、これを「新しい経済成長モデル」にまで高め、投資家の期待を煽ってサ ブプライムローン投資の急増に一役買ったのが、「資本効率に関する精密な計 算技術」である金融工学であった。 サブプライムローン債権を証券化して販売すれば、住宅ローン会社のリスク が多数の投資家に分散され、たとえ損失が生じても個々の投資家の損失は少額 で済むという金融工学に基づく論理が、投資家たちのバブル懸念を払拭し、1 %でも高い利潤を懸命に捜し回る金融資本のサブプライムローン投資に拍車を かけたのである。 例えばデフォルト率(=債務不履行になる確率)がそれぞれ20%の債権を4 本束ねてCDOにした場合、そのデフォルト率は0.16%(20%×20%×20%×20 %)になり、損失を被る確率は格段に低下する。 だが「最小のリスクで最大の利潤を得る」ことを可能にし、融資会社も投資 家も皆ハッピーになるという夢のような論理は、実際には「計算上の確率」だ けを根拠にした、あの「ニューエコノミー」の焼き直しに過ぎなかったのだ。 8月9日の「ジュディー・ノワール」は、アメリカの住宅バブルに依存した、 この新版ニューエコノミーによる「根拠なき熱狂」のツケの噴出であった。 ▼繰り返される金融不安 サブプライムローンの不安が最初に顕在化したのは今年3月、アメリカの大 手住宅金融会社「ニュー・センチュリー・ファイナンシャル」が、経営破綻の 懸念から株式上場が廃止となり、さらに同大手の「ピープルズ・チョイス・ホ ーム・ローン」をはじめ4社が、同月20日までに連邦倒産法に基づく資産保全 申請を行い、同業の20社も業務停止に追い込まれた時である。 中古住宅価格の下落で、担保物件住宅の売却では融資資金が回収できなくな り、また当初は低い金利の返済を条件に融資するサブプライムローンの特徴ゆ えに、金利が数倍に跳ね上がる2〜3年後からローンの延滞率が急上昇して、住 宅金融会社の経営を圧迫しはじめたのである。 しかしより深刻な問題は、住宅価格の下落と延滞率の急上昇にともなって、 金融機関のリスクを分散化する「魔法の杖」であったローン担保証券価格が下 落し、住宅金融会社のみならず、ローン担保証券に投資してきた銀行やファン ドにまで経営難が伝搬しはじめたことであった。 サブプライムローンの悪循環が露呈したこの頃から、この問題は各国メディ アでも取り上げられ、日本でも3月下旬、「焦げ付くアメリカの住宅ローン」 が報じられた。いまやサブプライムローン問題は、いつ何処で爆発するのか判 らない、国際金融市場の時限爆弾と化したのである。 そして7月30日、それはヨーロッパに飛び火した。ドイツの中堅銀行IKB産業 銀行が、サブプライムローン関連の損失で資金繰り難に直面したのである。そ れはまだ「ドイツの問題」に過ぎなかったが、激震の予兆と言える小さな破綻 がヨーロッパに伝搬し、8月9日の破綻に至るのである。 * しかし問題は、これほどの「ハイリスク金融商品」が、なぜこんなに持て囃 され、広範に流通したかを解明することであろう。なによりも、サブプライム ローンを組み込んだ担保証券がもたらす「ハイリターン」は、アメリカの住宅 資産バブルに依存しており、証券化と再証券化が繰り返された担保証券は、そ れ自身としてかなりリスクの高い金融商品であることは、金融のプロたちには 始めから明白であった。 にもかかわらず、世界中の金融のプロたちが競ってこの証券投資に走り、予 測どおりの破綻に直面した現実の中に、今日の世界経済の本質的危機が示され ている。 ところで今回の世界同時株安に限らず、繰り返し現れる国際金融市場の動揺 は、一般にはグローバリゼーションによる金融資本の自由な、逆に言えば野放 図な投機にあると指摘されてきた。先のG7(7カ国金融蔵相会議)でも、EU諸国 がヘッジファンドの規制を提案したが、そうした規制はアメリカの反対によっ て実現しなかった。 こうした、ヘッジファンドに象徴される国際金融資本の投機は、1970年代後 半以降に顕著になった需要不足、つまり戦後四半世紀に及んだ資本主義経済が 典型的な過剰生産に陥ったことと関連している。 少し乱暴に言えば、自動車や家電に代表される耐久消費財生産への設備投資 では高い利潤率を確保できなくなった金融資本が、より多くの利潤を求めて、 金融市場や商品市場への投機にシフトチェンジしたのが、現在の金融投機の源 流と言える。それは、労働者大衆の消費生活を新たな市場にして大量生産と大 量消費の好循環を作り出し、一時期の経済的繁栄と安定を作り出した、後期資 本主義の危機の始まりでもあった。 ▼「歴史的金余り」の転機 それでも当時のシフトチェンジは、第二次大戦後に普及した金融規制に阻ま れ、あるいはITインフラの未整備もあって、その規模は、実態経済とは大きく 乖離した現在ほどには至らなかった。 転機は85年の「プラザ合意」、つまり機軸通貨たるドル暴落の危機を回避す る金融政策の国際的協調の合意と、その後の「人為的ドル高」の維持だが、サ ブプライムローン問題の直接的な契機は1995年、クリントン政権のルービン財 務長官の下で「強いドル」政策が採用されたのと併せて、住宅政策が推進され たことであった。 それは「強いドル」、つまり他の通貨より高い金利を維持して世界中の資金 を「ドル買い」へと誘導し、それによってアメリカに流入する資金で巨額の財 政赤字を賄う(ファイナンスする)ことを目的としていたが、ドル高による輸 出不振を補う国内景気の刺激策として、国内個人消費に大きな波及効果を持つ 住宅政策が同時に推進された。 事実この時期、80年代のバブル景気で溜め込まれたジャパンマネーをはじめ、 世界中の資金がドル買いを通じてアメリカに流入したが、それがアメリカ国内 に過剰流動性つまり「金余り」状態を作り出し、ITバブルや株式バブルなど、 次々とバブル景気を生むほどの絶大な金融緩和効果をもたらし、それがまた国 外からの直接投資を呼び込む経済的好循環が生み出されたのである。 しかも、このアメリカを軸とする経済的好循環は、今日では、過剰流動性に 依存するアメリカの過剰消費が中国などアジアの輸出産業の活況を支え、その アジアの好況が、欧米からの活発なアジア投資を促して世界経済を牽引すると いう、世界経済にとって欠かせない条件にまでなっていると言って過言ではな いだろう。 ということは、アメリカの住宅バブルの破綻とサブプライムローン関連投資 の損失拡大とは、95年以降に築き上げられた「強いドルによる外貨の導入→過 剰流動性の創出→住宅政策による好景気→アメリカの消費拡大による世界経済 の牽引」というプロセスが、本格的な転機に直面したことを意味しており、だ からまた世界経済に打撃を与える懸念でもあるということなのだ。 そしてこれこそが、サブプライムローン問題の最も深刻な本質なのである。 ▼金融投機の規制とトービン税 「機軸通貨ドル」の防衛を契機にはじまった「歴史的金余り」と、これを背 景にして、金融市場や商品市場で投機が横行する事態がサブプライムローン投 機の破綻に行き着いたとするなら、つづく懸念は「アメリカからの資金の流出」 つまり「ドル安」である。 だがそれは同時に、世界経済の牽引車であった「アメリカの個人消費」を賄 ってきた外貨の流入が減少し、それと共にアメリカの輸入を減少させることで ある。言い換えれば、アメリカの「過剰消費」に依存する対米輸出の減少が、 世界経済全体の成長を鈍化させる懸念を呼び起こすのである。 だが問題はこれだけではない。ここ10年にわたってアメリカに流れ込んでい た巨額の投機資金が行き場を失い、商品市場や為替市場へと大規模にシフトチ ェンジすることで新たな「根拠なき熱狂」を演出し、石油や原材料価格を急騰 させて世界中にインフレの種が蒔かれる懸念ともなる。現実に石油市場では、 1バレル=90ドルを超える高値相場が現れてもいる。 こうした金融資本の投機は、もちろんヘッジファンドを先兵にして展開され ることになるが、必要な規制はファンドの投機行為のみならず、社会的必需品 の生産から逃避し、投機に向かう資金の流れそのものにブレーキを掛けること であろう。 その意味で、国際的な金融取引全般に課税し、その税収を途上国への援助や 投資に回すという「トービン税」のアイディアは、これまで言われてきた「南 北問題」の緩和という枠組みを越えて、跋扈する金融投機の制御も視野にいれ たアイディアとして、改めて評価してみる必要があると思うのだ。 (10/10:さとう・ひでみ) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 4:【旧社会党系2つの集会】 ●浅沼稲次郎●江田三郎両氏をかつぎ出す思惑と限界 10月12日に旧社会党系の2つの集会が行われた。1つは「9条改憲反対 故浅 沼稲次郎委員長追悼集会」、もう1つは「江田三郎没後30年・生誕100年を記念 する集い」。 この日は1960年、浅沼社会党委員長が右翼の少年に刺殺された命日に当たる が、「なぜ今さら浅沼稲次郎・江田三郎なのか?」と疑念を抱く人も多いと思 う。 まずは2つの集会の概要を報告した上で、その点を明らかにしたい。(文中敬 称略) ▼9条護憲への特化と危惧 12日午後、国会議事堂脇の憲政記念館で開かれた「9条改憲反対 故浅沼稲次 郎委員長追悼集会」の呼びかけ人は、土井たか子、村山富市、伊藤茂、江田五 月、久保田真苗、清水澄子、藤田高敏、槇枝元文、矢田部理、山口鶴男、横路 孝弘の11人。民主党出身の江田参院議長、横路衆院副議長、元新社会党委員長 の矢田部を含めて、全員が旧社会党籍の人々である。 集会には、旧社会党員を中心に全国から400人近くが参加したが、ほとんどの 人が60歳代後半以上。清水慎三が命名した「社会党・総評ブロック」の解体か ら18年が経過したのだから、高齢化は当然のことではある。社民党衆院議員の 保坂展人、同・辻元清美の司会で始まった集会では、2つの発言がこの集まり の特徴をよく示していた。 前社民党党首の土井たか子は「民主党の参院選勝利で9条改憲が遠のいたよ うに報道されているが、敵をなめるべきではない。2年後の国民投票に向けて、 準備が着々と進められていると考えるべきである。47年前のこの日、演説中の 浅沼委員長は右翼の少年に刺殺されたが、その演説の結びが9条改憲阻止だっ た」と語った。 一方、衆院副議長の横路孝弘は「憲法問題で9条が重要であることは事実だ が、25条の『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有す る』も、今日の格差社会では重要な位置を占めている」と、憲法問題を9条の みに特化することへの危惧を表明した。 おそらく「9条改憲反対 故浅沼稲次郎委員長追悼集会」は、国民投票法成 立に危機感を抱いた旧社会党の人々がかなり早くから企画し、今秋の臨時国会 で、安倍内閣の右翼的路線が一層露になることを想定して集会を実現させよう としたのであろう。したがって旧社会党内の左派、右派を超えた共通のシンボ ルである浅沼稲次郎追悼を掲げ、旧社会党系の総結集による「9条改憲阻止」 をアピールすることに最大の眼目があった。 だが、参議院選挙での自民党の「歴史的敗北」と安倍政権の自壊によって、 当初の目的からすれば、政治的焦点になるはずだった9条改憲阻止が、必ずし も情勢とはマッチしないことが露呈した感がある。 横路による25条の強調は、この集会の隘路を指摘したと見ることができる。 ▼「江田ビジョン」めぐる思惑 同じ日の夕刻から、プリンスホテル赤坂で開かれた「江田三郎没後30年・生 誕100年を記念する集い」の発起人は、小沢一郎、菅直人、河野洋平、榊原英資、 田英夫など。江田五月が参院議長に就任したこともあって、旧社民連を含む民 主党と、自民党系リベラルが並ぶ構造となっている。また連合初代会長の山岸 章も実行委員長として名を連ね、第2部のレセプションでは挨拶も行った。 この集まりの特徴は、岩見隆夫司会のシンポジウムにおける菅直人、山口二 郎、加藤タキ、江田五月の発言にある。 その発言の特徴は次の2点。第1は、今日的な社会民主主義との関係で江田 ビジョン(1962年発表。「アメリカの高い生活水準、ソ連の徹底した社会保障、 イギリスの議会制民主主義、日本の平和憲法」を戦略とする多数派形成)の持 つ先見性、そして第2が、江田五月参院議長の実現に示される、民主党政権成 立目前という政局のリアリズムと、江田三郎を民主党の源流の1つに位置付け たいという思惑である。 とくに2点目では、菅直人と江田五月が江田三郎の色紙、「議員25年 政権 取れず 恥ずかしや」を引き合いに出しつつ、「親子二代かけて、ようやく政 権獲得目前まで来た」と感慨深げに語った点が目立った。だが、当時の社会党 が陥った限界と江田三郎の挫折に言及する発言はなく、歴史的視点を欠いた思 惑先行が目立った。江田五月参院議長就任祝い的な集まりの性格からすれば、 そこまでは望むべくもないということか。 また1千人が集ったレセプションでは、山岸以外にも小沢一郎、榊原英資、 横路孝弘、河野洋平らが挨拶。民主党政権樹立に向けた決起集会の様相を呈し ていた。 ▼旧社会党系勢力の岐路 この2つの集会は、対照的である。片や9条改憲阻止に向けた大同団結のた めには、47年前に刺殺された浅沼委員長を担ぎ出さざるを得ない旧態依然の旧 社会党系に対して、かたや60年安保闘争の限界を超えるために提唱された「江 田ビジョン」の再評価を掲げたものの、民主党と社会民主主義の位置付けを明 らかにできない旧社会党、社民連系。 現在の政治との関係で言えば後者にリアリズムがあるのは明らかだが、たと え江田ビジョンの再評価を掲げたとしても、今日に通じる理念喪失に陥ってい ることを否定することはできない。その意味では集会における「江田賛歌」と は裏腹に、江田三郎の魂は宙に浮いたまま、いまだに虚空をさまよい続けてい るという印象を深くした。 この旧社会党系が陥っている2つの限界を克服する方策をどのように導き出 すのか。それは戦後左翼全体の問題でもあるだろう。 そうした点を痛感させられた2つの集会であった。(10/18:荒井高良) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【お知らせ】おそくなりましたが10月号を配信します。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓ 【月刊ニュースレター:メール版】イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル ┗━━━━━━━━━━━━━━━┛ メール版第52号(通巻176号) 2007年10月31日発行 発行所:MELT ホームページアドレス http://www014.upp.so-net.ne.jp/tor-ks/ Eメールアドレス melt-ks@jn3.so-net.ne.jp =================================== このメールマガジンは、『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ を利用して 発行しています。解除は http://www.mag2.com/m/0000089504.htm からでき ます。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


