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Servus(セアヴス)とは、ウイーンの方言で[今日は]と言う意味です [フォークロア] とは、民間伝承、民俗学、と訳されています。食に関するあらゆる、フォークロアな事柄をお届け致します。

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2007/01/20

Servus AKIの「食卓のフォークロア」

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        ★☆★Servus AKIの『食卓のフォークロア』★☆★
                                    2007年1月20日  発行
【060】樽
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  Servus(セアヴス)とは、ウイーンの方言で[今日は]と言う意味です
       [フォークロア]とは、民間伝承、民俗学、と訳されています。
      食に関するあらゆる、フォークロアな事柄をお届け致します。

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【弟子】  師匠、新年明けましておめでとうございます。本年はいじめない
      で下さいね。

【師匠】  誰がいじめているだって?

【弟子】  いえいえ、本年も始まりましたね、と、言ったんです。
      いや、さすがに師匠のお宅には正月から、美味しいお酒が並んで
      ますね。日本酒は分かるんですが、何で正月からワインやシャンパ
      ン、リキュールが並んでいるんですか。

【師匠】  ああ、それは年賀の挨拶にきたものが、わしの酒好きのことを聞
      き及んだのぢゃろう、それで持ってきたものぢゃ。
      お主も飲むか?

【弟子】  いいんですか?頂いても。

【師匠】  何を言っておる、わしが言わなくても勝手に飲むんぢゃろ。

【弟子】  すいませんね、それでは何か珍しいものでも有りますかね。
      やはりお正月でもあるし、そこにある薦(こも)被りを頂きます。
      と、いうか普通の家に薦(こも)被りの樽酒が置いてあるなんて
      珍しいんではないですか。

【師匠】  そうぢゃな、こんな大きな酒は一人では飲めきれんが、正月には
      いろいろと人が尋ねてくるから以外となくなるもんぢゃ。

【弟子】  そんなもんですかね。
      ただ単に師匠が飲みたいだけだったりして・・・。

      そういえば師匠、酒を樽詰にすることは古くから行われていたん
      ですか?ワインもやはり樽に入れますが、やはり古いんですか?

【師匠】  何か言ったか?
      樽の話か。そこにある酒は「○正宗」ぢゃ、樽の材質は杉ぢゃな。
      この香りがなんともいえん。
      吉野の杉ぢゃ。

【弟子】  ほんとにこの香りがたまりませんね、そういえばウイスキーも樽
      で味が左右されると聞いていますが・・・。

【師匠】  そうぢゃな、ウイスキーに限らずブランデーやリキュール、ワイ
      ンなども樽のおかげであの独特の味が醸しだされておるのぢゃ。
      この樽作りの技術は人類の歴史でも非常に重要な出来事ぢゃ。
      樽の中に入れた液体は絶対に漏れない作りになっておるが、液体
      を漏らさないという樽作りは人類の大発明の一つぢゃろうな。
      なんといっても、逆の事を言えば木造の船を作っても水漏れしな
      い技術ぢゃから当時の人類にとっては大変な技術だったんぢゃ。

【弟子】  そういえばそうですよね、昔はワインや液体なんかは壷に入れて
      保存していたと聞いています。

【師匠】  そうぢゃな、昔はアンフォラや手つきの壷で保存していたことは
      知られておる。

【弟子】  なんですか、アンフォラって。

【師匠】  アンフォラを知らんのか。ギリシャ、ローマ時代の人々は手つき
      の大きな壷のことをいったんぢゃが、今の花瓶の陶器状のものに
      取っ手をつけた形ぢゃな。「両側」と「運ぶ」を意味する言葉が
      その語源となっておる。

【弟子】  わかりました、このことはまたいずれということで今回は樽の話
      で願います。

【師匠】  壷は輸送が困難なんで山羊などの動物の皮袋を使用したそうぢゃ
      が、若いワインは醗酵途中の事もあって皮袋の破裂も結構あった
      ようぢゃな。
      樽の原型も、この皮袋状のものをヒントにケルトやバビロニアあ
      たりで発明されたようぢゃ。

      初めの頃は木製容器の中に皮袋を敷き詰め膨張してもすぐには破
      裂しない作りになっていたようぢゃがこの技術にしてもたいした
      ものぢゃな。

【弟子】  これはまだ樽にはなっていないんですね。

【師匠】  樽と呼べるものには「かんな」の発明があってからぢゃ。
      この「かんな」が発明されてから船作りの進化とともに樽作りに
      も進化があったものと考えられている。

【弟子】  なるほどね、水が内側にあるか外側にあるかの違いですものね。

【師匠】  お主でも理解できるか、少しは利口になったようぢゃな。

【弟子】  その位分かりますよ、ところで材質はなんですか。

【師匠】  木材はオークがベストぢゃな。オーク材は水を通さない構造をも
      っており今でもフレンチオークが樽材として一番ぢゃな。
      しかし、昔の人はこのオーク材を見つけるまでは沢山の木を試し
      て見たのぢゃろう、先人に脱帽ぢゃ。

【弟子】  いまでも樽の用途は多いんですか。

【師匠】  今ではワインなどステンレスなどのタンクが多く、樽の需要が減
      っているかのようぢゃが、本物の酒を造るにはオーク材で作った
      樽にかなうものはないとされておるな。年月を経たものは樽の持
      つ独自の風味が付き、なんとも言えん味わいになるようぢゃ。
      しかしオークが樽材として使用可能な大きさになるのにフレンチ
      オークで150年から200年、アメリカンオークで100年はかかると
      されておる。無駄には出来んな。

【弟子】  そんなに時間がかかるものだとは・・・・。

【師匠】  ワイン樽はよく知られておるが、フランスのワイン瓶でボルドー
      とブルゴーニュではボトルの形が違うことは有名ぢゃが、樽も形
      が違うのぢゃ。

【弟子】  これも樽を見てボルドーとかブルゴーニュとか分かるんですか?
      あっ、そうか。形が変れば味にも影響されるんぢゃないんですか。

【師匠】  鋭いな、その通りぢゃ。
      ブルゴーニュ型はずんぐりしており、板の厚さもあるのに対し、
      ボルドー型は細身で板は薄いのが特徴ぢゃな。
      このため、熟成するときにボルドーは力強さ、ブルゴーニュはス
      パイシーさを出すのが特徴なんだが容量も問題ぢゃ。
      一般的にはワインは220リットル強の樽ぢゃが中には300・400・
      500Lの樽によっても味が変ってくる、大きいものは熟成がゆっ
      くりとなり、樽の成分が溶出して味わいとなってくる。

【弟子】  ワイン以外では何がありますか。

【師匠】  皆がよく知っているものにはシェリー酒樽があるな。それにポー
      トワイン樽ぢゃな。一番忘れてならないのがスコッチウイスキー
      の樽ぢゃな。もちろんバーボンも同じぢゃ。

【弟子】  なるほどね、これは有名ですね。
      それから必ずオーク材が使われるのですか?

【師匠】  そうとも言えん。「バルサミコ酢」はクリやトネリコ、桜、桑、
      ニセアカシヤなど等があるな。
      イタリアのグラッパもアカシア、トネリコの木が使われておる。

【弟子】  やはり自然の木の樽が最高なんですね。

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