2009/11/30
ILO駐日事務所メールマガジン【No.90】
■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ILO(国際労働機関)駐日事務所マガジン 2009年11月30日号 No. 90 駐日事務所(日本語・英語) http://www.ilo.org/tokyo 本 部(英語) http://www.ilo.org ◎お問い合わせはこちらまで ilo-tokyo@ilotokyo.jp ◎等幅フォントでご覧下さい。 ■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ :::::::::::<目 次>::::::::::::::::::::: :《1》数字で見る国際労働基準(2009年11月1日現在):::::::::::: :《2》長谷川真一ILO駐日代表雑記-高い目標を先に立てること::::::: :《3》ILO駐日事務所お知らせ-IPEC専門家TV出演 ほか::::::: :《4》ILO新聞発表-第306回ILO理事会 ほか ::::::::::::: :《5》新刊紹介-国際労働研究ジャーナル ほか::::::::::::::: :《6》ILO事務局ニュース-ILOの歴史情報資料集 ほか::::::::: :《7》トピック解説-国際労働安全衛生情報センター(CIS):::::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::::::: □■□■□■ 数字で見る国際労働基準 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□ (2009年11月1日現在) ◇加盟国数..183 ◇日本の批准条約数.......48 ◇条約の数..188(うち撤回5、棚上げ25)◇加盟国の平均批准条約数....42 ◇勧告の数..199(うち撤回・置き換え37)◇OECD諸国の平均批准条約数.74 □■□■□■□■□ 長谷川真一ILO駐日代表雑記 □■□■□■□■□■□■□ ★ ☆ 高い目標を先に立てること ☆ ★ 日本でも若い人たちを中心に児童労働問題への関心が高まってきました。NGOや 労働組合などで構成する児童労働ネットワークの活動も活発になっています。東南ア ジアなどのサプライチェーンで児童労働がないかどうか注意する日系企業も多くなっ ています。そんな中、日本テレビの「世界一受けたい授業」にILOの児童労働の専 門家が出演することになりました(本メルマガ「お知らせ」参照)。来年は4年に一 度のILO児童労働グローバルレポートが5月に発表になる予定で、世界的な運動で 児童労働が撤廃に向けて大きく前進することが期待されています。 ところで、1999年に採択されたILO第182号条約(最悪の形態の児童労働禁止) は史上最高のスピードで批准が進み、既に9割以上の加盟国が批准をしています。し かし残念ながら、実際には世界でまだ1億人以上の児童が最悪の形態の児童労働に従 事しています(2004年ILO推計)。 実態がそうなのに、何故こんなに多くの国がILO条約を批准できるのでしょうか? そもそも現実を離れてILO条約を批准することに意味があるのでしょうか? ILO条約を批准すると批准国には条約の内容を遵守する国際的な義務が生じます。 したがって、ILO条約を批准しようとする国はまず、条約の内容に反しないように 法制度を整備し、実態もほぼ問題がないと考えてはじめて条約を批准する、というの が今までの一般的な考え方です。国内の整備が先で、批准は最後の結果です。日本政 府がILO条約を批准するときには、まさにこの考え方に立って検討が行われていま す。 一方、途上国の一部には、従来からILO条約をまず批准して、ILOの支援も受 けながら条約の内容の実現に向けて取り組みを進めるという考え方がありました。I LOも批准国に対する遵守義務の監視活動だけでなく、条約の内容の実現に向けた技 術協力活動も進めてきました。 条約の批准は国としての強い政治的コミットメントです。国(中央政府)の明確な コミットメントがあることで、ILOのみならず、国内の様々なアクターの活動も活 発化します。そして、条約の批准が実態の前進に役立つのであれば、条約の批准の意 味は十分にあるとILOも考えています。一番大事なことは、ILOの条約の内容 (例えば、児童労働の撤廃)ができるだけ早く実現することにあるからです。これは、 条約の批准が先で国内の整備が後というアプローチです。児童労働に関してはこのア プローチが成功して、実態が進みつつあると思います。 最近高い目標を先に立てるこのアプローチが多くなっているように思っています。 鳩山首相はCO2の25%削減を言いました。オバマ大統領は核兵器の廃絶です。こう いう政治的コミットメントは国際的にはわかりやすい。 日本もILO条約の批准について、細かなところに問題が残っていても先に批准し てしまうというアプローチも検討していいように思います。条約を批准する以上きち んと国内の整備を済ませるという日本の誠実な態度も重要なのですが、特に基本的な 条約については、批准していないと全体の水準が条約の内容に達していないと国際的 に誤解されかねないし、また、日本の批准はアジアの国々などへの波及効果も大きい のです。 □■□■□■□■□ ILO駐日事務所お知らせ □■□■□■□■□■□■□■□ ◆◇アジアの課題とILO連続講義(東京・2009年12月3日/2010年1月7日)◇◆ ILO駐日事務所は、青山学院大学と連携し、世界銀行東京開発ラーニングセンター の協力を得て、ILOの活動に対する理解を幅広く深めていただくため、ILO本部 (ジュネーブ)及びアジア太平洋総局(バンコク)の専門家を講師とする連続ビデオ 講義を10月より東京開発ラーニングセンターにおいて木曜18:00~20:00に開講して います。次回は12月3日にILO本部男女平等局の専門家による男女(ジェンダー) 平等の講義が行われます。入場無料。先着30名様まで。 プログラム・参加お申し込み-東京開発ラーニングセンター・ウェブサイト-----> http://www.jointokyo.org/ja/programs/catalogue/lecture_series_with_ILO/ ◆◇「世界一受けたい授業」IPEC専門家出演(2009年12月12日)◇◆ 来る12月12日(土)19時56分から放送予定の日本テレビの番組「世界一受けたい授 業」の中で児童労働が取り上げられ、ILO児童労働撤廃国際計画(IPEC)のメ アリー・リード副部長が出演します。児童労働に従事する子どもたちは世界全体で2 億1,800万人と推計されます。ILOは1992年にIPECを設け、この問題に取り組 んでいます。 世界一受けたい授業-日本テレビ・ウェブサイト-----> http://www.ntv.co.jp/sekaju/ IPEC(英語)-----> http://www.ilo.org/ipec/lang--en/index.htm 児童労働-----> http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/ipec/index.htm ★ILO駐日事務所からのお知らせは、What's Newページをご覧下さい-----> http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm#information ★ILO会議・行事予定-----> http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/index.htm □■□■□■ I L O 新 聞 発 表 □■□■□■□■□■□■□■□■□ (10月30日~11月30日発表分) ◆◇2009年10月30日(金)発表ILO/09/54◇◆ ★職業病一覧表(第194号勧告)改訂専門家会議(ジュネーブ・2009年10月27~30日) 2002年の第90回ILO総会で採択された職業病の一覧表勧告(第194号)は、仕事 によって引き起こされる疾病の予防、記録、届出、そして該当する場合には補償のた め、職業病の一覧表を定めることを加盟国に求めています。勧告はさらに、この表に 含めるべき職業病の一覧を附属書として掲げ、附属書を最新のものとするための仕組 みも規定しています。これに則り、2005年には一覧表の改訂を検討する最初の会合が 開かれました。2005年の会合の議論を引き継いで今回開かれた2回目の会合では、新 しい職業病一覧表が採択されました。この表は、2010年3月に開かれる第307回IL O理事会に提出され、理事会の承認を得次第、現行の第194号勧告附属書の表に置き 換わることになります。 会議では、国内及び国際的に認識が高まった職業病、新しいリスク要因、診断技術 の向上をもとに政労使三者の協議を経て開発された職業病一覧表案を検討し、化学的 因子、物理的因子、生物学的因子を原因とする疾病から呼吸器系疾患、皮膚疾患、筋 骨格系疾患、職業がんに至る、国際的に認められている一連の職業病を含む新しいリ ストを採択しました。精神疾患及び行動障害に関する一節も新たに加えられました。 新聞発表本文(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Press_releases/lang--en/WCMS_116459/index.htm 職業病一覧表(第194号勧告)改訂専門家会議-採択された職業病一覧表、討議資料 等(英語)-----> http://www.ilo.org/public/english/protection/safework/health/expmtg09/english/index.htm 職業病の一覧表勧告(第194号)-----> http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/standards/st_r194.htm ◆◇2009年11月3日(火)発表ILO/09/55◇◆ ★新刊-世界賃金報告2009年更新版 ILOは昨年11月に刊行した「Global wage report 2008/09(世界賃金報告2008/ 09年版)」の内容を更新し、「Global wage report: 2009 update(世界賃金報告2009 年更新版)」として、11月に開かれた第306回ILO理事会に提出しました。報告書 は、2008年に世界の実質賃金の伸びは経済危機によって劇的に鈍化し、景気回復の可 能性を示す兆候にかかわらず、2009年にもさらなる落ち込みが予想されると記してい ます。 報告書は、数字が得られる35ヵ国の半数で、しばしば実労働時間の短縮を原因とし て、2009年第1四半期の実質月額賃金が2008年平均を下回ったことを示し、他の経済 指標が景気回復を推測させているのと無関係に、賃金の景観は2009年に悪化する可能 性が高いと記しています。データが得られる53ヵ国のサンプル中央値の国における実 質賃金の平均成長率は2007年に4.3%でしたが、2008年には1.4%に下降しています。 G20諸国中でデータが得られる10ヵ国に限って見ると、2007年の1.0%が2008年には マイナス0.2%となっています。世界経済危機に先立つ10年余り、賃金の抑制が続き、 報告書は、生産性上昇に比して賃金が何年にもわたって停滞してきたことが、格差拡 大とあいまって、借金以外の方法を通じて消費を増大させる多くの世帯の能力を制約 することによって危機に寄与したと考えています。報告書はまた、実際の業績と無関 係な過度の賞与が金融部門におけるインセンティブを歪め、短期的な危険をいとわな い行動を促進することによって危機に寄与したことも指摘しています。 不平等の拡大と低賃金に対する懸念の広がりを反映し、近年、先進国のみならず途 上国でも最低賃金の強化を図る動きが見られ、現下の危機では多くの国が最低賃金を 引き上げる調整を行っています。日本、米国、ロシアを含む、データが得られる86ヵ 国中半数で2008年にインフレ率を上回る最低賃金の引き上げが行われました。報告書 は最低賃金について、「社会的保護のための重要な政策手段」と位置づけ、水準設定 における社会的パートナーの関与を呼びかけると共に、最低賃金を他の所得補助策や 減税と組み合わせることを提案しています。 報告書はまた、賃金に対する危機の影響に関して特に懸念される事項の一つとして 賃金の支払い遅滞を挙げ、ウクライナやロシアのように危機前から問題があった国で 状況が悪化した可能性が高いとしています。 報告書の主執筆者であるマヌエラ・トメイILO労働・雇用条件計画部長は、「世 界的に見られる実質賃金悪化の継続は、景気回復の真の規模、特に政府の総合救済策 の段階的撤去が時期尚早ではなかったかとの深刻な疑問を呈するもの」とし、「賃金 デフレが国の経済から大いに必要とされる需要を奪い去り、信頼性に深刻な悪影響を 与える」可能性を懸念しています。そして、「将来的には、生産性の伸びと賃上げと のつながりを回復することが、経済と社会の持続可能性にとって必須」と唱え、「企 業が労働コストの切り下げではなく生産性の上昇を通じて競争力を達成できること、 そして労働者が自らの賃金を防御できるだけの交渉上の地位を獲得できることが、賃 金格差に取り組む長い道のりを歩む手段となるでしょう」と語っています。 新聞発表本文(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Press_releases/lang--en/WCMS_116503/index.htm 関連広報ビデオ:共著者インタビュー(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Broadcast_materials/Videointerviews/lang--en/docName--WCMS_116790/index.htm 世界賃金報告2009年更新版(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Press_releases/lang--en/docName--WCMS_116500/index.htm ※動画ファイルをご覧になるためにはRealPlayerが必要です。 お持ちでない方は、こちらからダウンロードしてください。 http://jp.real.com/?mode=basic ◆◇2009年11月6日(金)発表ILO/09/56◇◆ ◆◇2009年11月20日(金)発表ILO/09/59◇◆ ★第306回ILO理事会(ジュネーブ・2009年11月5~20日) 世界的な経済危機に対する仕事の世界の対応を検討するため、現在の雇用回復見通 しを評価した上で2009年6月に開かれた第98回ILO総会で政労使の合意によって採 択されたグローバル・ジョブズ・パクト(仕事に関する世界協定)に実効性を持たせ る措置について幅広い話し合いを行った標記理事会は、パクトに盛り込まれている政 策措置を基礎として、世界的な経済危機への対応で雇用を優先させることを呼びかけ て閉幕しました。理事会は、「大規模な失業、不完全就業、所得不平等拡大」の諸問 題は、金融機関の救済と同じくらい優先的に取り組むに値する政策課題とし、「仕事 を失った人々が再び働けるようにし、新たに仕事を探し始める、毎年数百万人にも上 る若者に勤労生活において好スタートを切るきっかけを確保することが、回復並びに 持続可能な成長及び発展に向けて決定的に重要な第一歩」と唱え、「したがって、危 機対応から、より力強く、より持続可能で公平な発展及び公正なグローバル化への移 行を達成するには、中・長期的な雇用優先型の枠組みが求められる」と結論づけまし た。そして、グローバル・ジョブズ・パクトには、「即時の危機に対抗するだけでな く、持続可能な回復に向けた道を定める実用的な措置からなる政策集合」が含まれる として、ILO事務局長に対し、各国のパクト適用に向けた支援を強化し、パクトの 枠組み内の政策イニシアチブに出資する追加資金を探し、南南協力を含み、加盟国政 労使の要請に応える事務局の能力を増強することを求めました。 11月16日に理事会のグローバル化の社会的側面作業部会の会合で基調講演を行った ブラジルのセウソ・アモリン外務大臣は、仕事を基礎とした回復と、より公正なグロー バル化の促進において引き続き主導的な役割を演じることをILOに呼びかけました。 そして、グローバル・ジョブズ・パクトは、景気循環対抗措置と社会的保護を回復努 力の中心に据える特に重要なものと評価し、国連のすべての基金及びプログラムにこ の合意を組み込むよう提案する決議を国連経済社会理事会に提出したことを明らかに しました。 駐ミャンマーILO連絡官の報告書をもとに行われた、ミャンマーにおける強制労 働に関する進展状況の検討においては、理事会は、依然として強制労働条約(第29号) の完全遵守が達成されていないと結論づけ、同国全土にわたって苦情を処理するIL Oの能力強化の必要性に再び注意が喚起されました。また、補足覚書に基づく政府の 公約に反し、強制労働の苦情を申し立てた人々や申立てに関係した人々が多数拘束さ れ続けていることに対し、理事会は深い懸念を表明し、そのような人々の即時釈放に 加え、拘束されているすべての政治活動家及び労働活動家の無条件釈放を求めました。 理事会はまた、結社の自由委員会の報告書を承認しました。委員会は今回、カンボ ジア、グアテマラ、韓国の案件に特に注意を喚起しています。 理事会はほかに、様々な経済部門や賃金に対する世界経済危機の影響、ILOの危 機対応を支援する技術協力、ILOと国連開発計画(UNDP)が主導する、紛争後 の雇用・所得創出及び再統合に向けた国連の新政策などに関する話し合いを行いまし た。また、全国ユニオンがILO憲章第24条に基づき申し立てた、日本の民間職業仲 介事業所条約(第181号)違反については、申立てを受理することに決定し、検討の ための委員会を設置しました。 新聞発表本文(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Press_releases/lang--en/WCMS_116808/index.htm http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Press_releases/lang--en/WCMS_117913/index.htm 2009年11月17日付短信:ブラジル外務大臣講演(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/I-News/lang--en/WCMS_117567/index.htm 第306回ILO理事会(英語)-----> http://www.ilo.org/global/What_we_do/Officialmeetings/gb/GBSessions/GB.306/lang--en/commId--ALL/WCMS_113967/index.htm グローバル・ジョブズ・パクト-----> http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/downloads/09pact.pdf ILO憲章-----> http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/standards/constitution.htm ILO条約・勧告-----> http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/standards/list.htm ※PDFファイルをご覧になるためにはAdobe Readerが必要です。 お持ちでない方は、こちらからダウンロードしてください。 http://get.adobe.com/jp/reader/ ◆◇2009年11月9日(月)発表ILO/09/57◇◆ ◆◇2009年11月12日(木)発表ILO/09/58◇◆ ★経済危機の時代における障害者パネル討議(ジュネーブ・2009年11月12日) 標記パネル討議において基調講演を行ったアカデミー女優マーリー・マトリンは、 「働く障害者の雇用減、障害者の就業能力や雇用に関係した事業計画に対する公共支 出の削減、障害者を雇用する企業の製品に対する需要の低下といった見出しが目につ きます」として、世界的な経済危機によって障害者がますます直面している可能性が ある仕事の世界からの排除に懸念を示し、景気回復を支え、刺激する取り組みの中に 障害者を「算入する」ことを訴えました。 国連と世界銀行の推計によれば、世界人口の約1割に相当する6億5,000万人余り が何らかの障害を持っており、障害者は世界の貧困層の2割を占めるとされています。 マトリンさんは、12ヵ月以上貧しい所得状態にある生産年齢人口の約半数が障害者で あることを示す米国の最近の研究結果を引用し、障害者、特に女性障害者が直面する 貧困リスクを強調すると共に、障害者を職場から排除することによって社会が負担す るコストは危機前でさえ1兆9,400億ドルの年間損失に達していたとする世界銀行の 推計を示しました。 生後18ヵ月で聴力を失ったマトリンさんは1986年にデビュー作「愛は静けさの中に」 で史上最年少の21歳でアカデミー主演女優賞を受賞。アメリカの数多くのTV番組や 映画に出演しているほか、「耳の聞こえない子がわたります」などの児童書や、ニュー ヨークタイムズ紙の自伝部門ベストセラー書に選定された「I'll scream later」と いった書籍も著しています。 フアン・ソマビアILO事務局長は、障害者の権利推進におけるマトリンさんの役 割及びこの分野におけるILOの活動に対する継続的な支援を讃え、「マーリー・マ トリンが示す例、そのリーダーシップと信念は、障害者の障害のみならず、その能力 に広く世界の目を向ける取り組みにおいて不可欠」と評しました。そして、2009年の ILO総会で加盟国政労使の合意として採択されたILOのグローバル・ジョブズ・ パクトが、危機によって最も打撃を受けた弱者を助ける必要性を明記していることに 触れ、「他の労働者同様、障害者も保護し、その力をつけること」を確実にする行動 を求めました。 ホセ・マヌエル・サラサール=シリナチスILO雇用総局長は、「一人ではできな いことも、皆で取り組めば違いをもたらすことができる」として、障害者、特に女性 障害者の労働市場への参加を促すための取り組み、障害者が差別されず、平等な賃金 を受け取れることの確保、障害者の教育・職業訓練の促進、貧困と障害のつながりを 断ち切るための取り組みといったILOの活動を紹介しました。イギリス労働組合会 議(TUC)のピーター・パートン平等・就業権政策担当官、障害者や不利な立場の 人々向けに職業紹介サービスを提供する第三セクター企業としては英国最大のショウ ・トラスト社のバーニー・ジョーンズ国際部長など、他の専門家も障害者に対する経 済危機の影響について警鐘を発しました。在ジュネーブ国連常駐代表を務めるアイル ランドのダヒー・オケリ大使は、途上国における障害者の機会促進に向けたILOの 活動に対するアイリッシュ・エイドの支援や同国の障害者差別禁止法制・政策を紹介 しました。 新聞発表本文(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Press_releases/lang--en/WCMS_116959/index.htm http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Press_releases/lang--en/WCMS_117335/index.htm 関連広報記事-仕事の世界と障害者:ILO障害事項上級専門家インタビュー(英語) -----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Feature_stories/lang--en/WCMS_117224/index.htm 関連広報ビデオ:経済危機の時代における障害者ILOパネル討議模様(英語) -----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Broadcast_materials/B-rolls/lang--en/docName--WCMS_117404/index.htm 関連広報ビデオ:私の職場-マーリー・マトリン(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Broadcast_materials/Ourworkplace/lang--en/docName--WCMS_117385/index.htm 関連広報ビデオ:マーリー・マトリン公共広告(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Broadcast_materials/PSA/lang--en/docName--WCMS_117155/index.htm 経済危機の時代における障害者ILOパネル討議(英語)-----> http://www.ilo.org/skills/what/events/lang--en/WCMS_115119/index.htm ファクトシート-障害とディーセント・ワーク(英語)-----> http://www.ilo.org/skills/what/pubs/lang--en/docName--WCMS_117143/index.htm ★ILO新聞発表の日本語概要-----> http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm ★ILO新聞発表(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Press_releases/lang--en/index.htm □■□■□■ 新 刊 紹 介 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ◆◇「国際労働研究ジャーナル International journal of labour research」◇◆ 英・仏・西語 定期刊行物(年2回刊行) 第1巻第1号-105pp. 2009年刊 4,500円 ILO労働者活動局が世界各地の労働組合研究者や学識者による労働・社会政策に 関する最新の調査研究を概観することを目的として創刊した定期刊行物。「国際生産 体系に向けた労働組合の戦略」をテーマとする創刊号には、2006年5月に労働者活動 局がグローバル・ユニオン・リサーチ・ネットワーク及びハーグの社会学研究所と共 催した国際生産体系と労働組合の役割に関するワークショップの成果物である次の6 本の論文が掲載されています。 ◇いつも通りの仕事?多角的繊維協定(MFA)の段階的撤廃後における衣料品サプ ライ・チェーンの統治:カンボジアの例 ◇金融市場への栄養供給:食品会社と国際生産体系の金融化 ◇仲違い?林業の国際生産連鎖と持続可能な開発 ◇どんな対価を払っても外国投資を誘致すべきか?輸出加工区とナミビアにおけるラ マテックス社の事例 ◇デジタル再組織 ◇グローバル化のハイテク・ゲットーの組織化 第2号のテーマは、「国際資本戦略と労働組合の対応:団体交渉と労働組合の国を 越えた協力」とし、間もなく発行される予定です。 なお、本メールマガジン前号で本誌は「Labour education」誌に代わるものとお伝 えしましたが、同誌は労働教育の動向や戦略を分析する定期刊行物として今後も年1 回のペースで刊行される予定です。お詫びして訂正します。 国際労働研究ジャーナル(IJLR)(英語)-----> http://www.ilo.org/actrav/what/events/lang--en/docName--WCMS_114964/index.htm 書籍等購入方法-----> http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/index.htm 駐日事務所資料室新着図書一覧(2009年10月分)-----> http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/new.htm ILO本部図書館新着図書一覧(英語)-----> http://www.ilo.org/public/english/support/lib/labordoc/newbks.htm ★オンライン無料出版物★ ◆◇「団体交渉:社会正義に向けた交渉 Collective bargaining: Negotiating for social justice」◇◆ 英語 25pp. 2009年刊 1949年に団結権及び団体交渉権条約(第98号)が採択されてから今年で60年が経ち ました。この間、時代は大きく変わったものの、その後採択された1978年の労働関係 (公務)条約(第151号)及び1981年の団体交渉条約(第154号)といった補足的条約 と共に、第98号条約は団体交渉を導く貴重な指針と見なされています。第98号条約の 採択60周年を記念し、11月19~20日にジュネーブのILO本部で、政府及び労使団体 のハイレベル代表が団体交渉に関する世界各地の最新の動向等を話し合う団体交渉ハ イレベル三者構成会議が開かれました。この会議における討議の導入文書として作成 された本書は、団体交渉を巡る国際的な動きを地域別で紹介し、団体交渉の範囲と内 容に関する最近の動向を記しています。労働組合の組織率と団体交渉適用率の一覧も 掲載されています。 より柔軟な労働時間編成の導入、非正規雇用の増加、労働者に求められる技能水準 の上昇、雇用関係の個別化など、今日の団体交渉は様々な課題に直面しているものの、 団体交渉は依然として、所得や労働条件を向上させ、社会正義を前進させるための重 要な手段であり、雇用不安の増大や不平等の拡大といった今日の労働市場の課題に団 体交渉を通じて取り組む革新的な手段が見出されています。柔軟な労働慣行、雇用保 障、就業能力、平等待遇、労働安全衛生、非正規労働者の労働条件向上など団体交渉 で取り上げられるテーマは多様化しています。会議の担当者を務めたILO労使関係 ・雇用関係局のスーザン・ヘイター労使関係上級専門家は広報局のインタビューに答 え、1930年代の大恐慌期に多くの政府が労働協約の適用範囲を広げ、熾烈なコスト競 争によって団体交渉が損なわれないよう保護する措置を講じた例を挙げ、賃金の安定 性維持など、幅広い危機対応の一部として団体交渉が演じ得る重要な役割を指摘して います。 会議の参考資料としてはほかに、危機時の社会対話や、日本の事例研究を含む国際 枠組み協約の普及を巡る問題、中国の労使関係及び団体交渉などを扱った14本のワー キング・ペーパーが作成されています。 書籍本体(英語)-----> http://www.ilo.org/public/english/dialogue/ifpdial/downloads/hltm/intronoteeng.pdf 団体交渉ハイレベル三者構成会議(英語)-----> http://www.ilo.org/public/english/dialogue/ifpdial/events/tripartitemeeting.htm 同会議ワーキング・ペーパー(英語)-----> http://www.ilo.org/public/english/dialogue/ifpdial/events/papers.htm 関連広報記事:団体交渉ハイレベル三者構成会議担当者インタビュー(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Feature_stories/lang--en/WCMS_117793/index.htm □■□■□■ I L O 事 務 局 ニ ュ ー ス □■□■□■□■□■□ (ILOウェブサイト新着情報等より) ◆◇事務局長官房◇◆ ★2009年世界エイズデー(12月1日)ILO事務局長メッセージ フアン・ソマビアILO事務局長は、今年の世界エイズデーに際して発表したメッ セージの中で、治療機会の点でHIV(エイズウイルス)/エイズに対する取り組み には進歩が認められることを評価しつつも予防対策を弱めることはできないと訴えま した。そして、政府、使用者、労働者のユニークな三者構造を取るILOは、予防、 烙印及び差別との闘い、検査や治療を阻む障壁の打破に向けて、他の国際機関等とも 協力して取り組んでいるとし、ILOの取り組みを定めている行動規範の存在、来年 6月のILO総会で仕事の世界とHIV/エイズに関する勧告の形で新しい労働基準 の策定が検討されることを紹介しました。さらに、経済危機の影響は最も弱い人々に 最も激しい傾向があることを指摘し、今年6月のILO総会で採択された、実体経済 の危機対応策であるグローバル・ジョブズ・パクト(仕事に関する世界協定)がHI V/エイズに関する職場内計画を効果的な危機対応の一部とすることや最も貧しい人 たちへの所得移転、誰もが基礎的な社会サービスを利用できる社会的保護の最低線を 唱えていることを挙げ、仕事の世界における約束を守ることへのILOの誓いを新た にしました。 2009年世界エイズデーILO事務局長メッセージ(英語)-----> http://www.ilo.org/public/english/bureau/dgo/speeches/somavia/2009/aidsday.pdf HIV/エイズと働く世界ILO行動規範-----> http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/downloads/hivcode.pdf HIV/エイズと仕事の世界ILO計画(英語)-----> http://www.ilo.org/public/english/protection/trav/aids/index.htm ◆◇技能・就業能力局◇◆ ★グリーン・ジョブに向けた技能事業 ILOはグリーン・ジョブ・イニシアチブを通じて環境に優しい仕事がディーセン ト・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)となるよう働きかけています。現在、 より環境に優しいグリーン経済における技能ニーズについて、オーストラリアやブラ ジルなど、世界15ヵ国を対象とした調査研究を行っています。欧州については、欧州 職業訓練開発センター(CEDEFOP)がフランス、ドイツなど、欧州6ヵ国を対 象としています。この調査研究は、経済のグリーン化に向けた諸国の政策を補足して いる好事例に焦点を当て、環境に優しいグリーン・ジョブに向けて必要な技能と効率 的な対応戦略を明らかにすることをめざしています。報告書は2010年に完成する予定 です。 また、ILO国際研修センターではグリーン・ジョブについての研修プログラムを 随時開講しています。受講者向けのウェブページには各地で実施されているILOの グリーン・ジョブ関連プロジェクト例や関連文献目録、用語集も提供されています。 グリーン・ジョブに向けた技能調査研究(英語)-----> http://www.ilo.org/skills/what/projects/lang--en/WCMS_115959/index.htm 国際研修センター・グリーン・ジョブ研修コース(英語)-----> http://greenjobs.itcilo.org/ ILOグリーン・ジョブ・イニシアチブ(英語)-----> http://www.ilo.org/integration/themes/greenjobs/lang--en/index.htm ◆◇図書館・情報サービス局◇◆ ★オンライン情報資料-ILOの歴史 1919年にできたILOは今年、創立90周年を迎えました。図書館・情報サービス局 はこのたび、この90年の歴史をほぼ年ごとに詳しく記した年表とそれぞれの年に関連 する主な資料のリスト、ILOの歴史について扱った主な文献のリストを作成しまし た。文献の多くは全文をPDF版で公開しています。 オンライン情報資料-ILOの歴史(英語)-----> http://www.ilo.org/public/english/support/lib/resource/subject/history.htm 2009年1月30日付第80号トピック解説:社会正義とILO-----> http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/feature/2009-01.htm ◆◇ILOアジア太平洋総局◇◆ ★広報記事:気候変動と仕事を巡る解消すべき神話 9月28日~10月9日にバンコクにおいて国連気候変動枠組条約の2013年以降の枠組 みを交渉する会合が開かれました。山本幸子ILOアジア太平洋総局長はこれに合わ せて発表した広報記事の中で、低炭素の未来に向かう歩みは必然的に仕事の世界を巻 き込むとしていくつかの神話を解消する必要性を説いています。第1の神話は、環境 に関する行動は仕事にとって悪いニュースだというものですが、過去の経験から労働 市場の構造は変化するものの、上手に設計された環境関連投資は雇用に総体的な利益 を生むことが示されていると説いています。第2は、環境対策はコストを生むだけと いう神話ですが、高エネルギー効率設備の導入や資源の持続可能な管理など、炭素排 出量を減らしつつ投資回収期間の短縮、生産性純増などの付随的な利益がもたらされ るウィン・ウィンの選択肢の明らかな存在を指摘しています。第3は、環境問題を専 門家だけの関心事項とする神話ですが、気候変動がもたらす生産、消費、生計稼得手 段の革命的な変化は経済のあらゆる部門に影響を与え、政府の約束は社会のあらゆる 層の支持を得る必要があるとしています。そして、今年6月のILO総会で政労使の 合意によって採択されたグローバル・ジョブズ・パクトが雇用回復を加速させる手段 の一つとして、環境に優しい低炭素経済への移行を支持していることを挙げ、仕事の 世界は既にこの解決策の一部となる用意があると述べています。 広報記事:気候変動と仕事を巡る解消すべき神話(英語)-----> http://www.ilo.org/asia/info/public/features/lang--en/WCMS_115492/index.htm グローバル・ジョブズ・パクト-----> http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/downloads/09pact.pdf ★2009年10月13日付新聞発表:国際生産網における仕事に関する国際セミナー- 危機と回復(バンコク・2009年10月13日) ILOがタイのタマサート大学と共催した標記の国際会議には、日本を含むアジア 太平洋14ヵ国の専門家及び研究者が出席し、経済危機が国際生産網の仕事に与える影 響に関するそれぞれの研究成果を持ち寄り、アジア太平洋地域における経済回復と ディーセント・ワークに関する政策論議に寄与することをめざし、危機の影響につい て話し合いを行いました。セミナーでは、タイに対する世界金融危機の影響と政府の 講じた措置の評価、経済の向上と社会の向上とのつながり、繊維、衣料、食品、アグ リビジネス、情報通信といった産業部門の国際生産網における仕事に対する危機の影 響などといったテーマが取り上げられました。会議は、ILOアジア太平洋総局が日 本の労働政策研究・研修機構の資金協力を得て1994年から実施しているアジア各国の 労働問題研究機関ネットワーク事業の一環として開かれました。地域の労働問題研究 機関の政策助言能力等の向上を目的とするこの事業は、労働分野の時事的なテーマに 関する共同研究の実施を主な活動としています。過去五つのテーマが選定され、2005 年から取り組んでいる現在のテーマは「アジア太平洋の国際生産体系におけるディー セント・ワークの促進」です。 新聞発表本文(英語)-----> http://www.ilo.org/asia/info/public/pr/lang--en/WCMS_115381/index.htm アジア各国の労働問題研究機関ネットワーク事業(英語)-----> http://www.ilo.org/asia/whatwedo/projects/lang--en/WCMS_099837/index.htm ◆◇コミュニケーション・広報局◇◆ ILOの活動に関わる広報記事が随時掲載されています。最近の記事には次のよう なものがあります。 ★広報記事:一体となって取り組む平和構築-国連紛争後新政策 国連は11月4日に「紛争後の雇用創出、所得創出、再統合に向けた国連政策」を発 表しました。ILOを含む20の国連機関と国際金融機関で構成される「紛争後の雇用 創出と再統合に関する機関間作業部会」において共同開発されたこの政策文書は、紛 争後の状況下における雇用と再統合に関する事業計画の規模を拡大し、実効性の極大 化をめざす国連全体の取り組みを表しています。 この広報記事では、ILO事務局内でこの問題を担当するILO危機対応・再建計 画を管理する雇用総局のホセ・マヌエル・サラサール=シリナチス総局長にインタ ビューし、新しい政策が対象とする人々、この政策が社会にもたらすであろう利益、 政策に含まれる三つの事業計画の内容、関連するすべての利害関係者の再建過程への 関与を確保する方法、この共同努力におけるILOの役割、次のステップなど、新し い国連政策について詳しく尋ねています。紛争後の状況下においては、短期的な安定 性、再統合、社会・経済成長、持続可能な平和のために雇用と所得創出が決定的に重 要です。新しい国連政策は、そのための整合の取れた包括的な戦略の必要性を強調し、 1)安定化、2)帰還と再統合、3)持続可能な雇用創出とディーセント・ワークに 焦点を当てた3段階の事業計画を提案しています。この新たな展開は、国家レベル、 そして国連システムの内外で紛争後の回復と平和構築において「ディーセント・ワー クをすべての人へ」というディーセント・ワーク課題が重要な手段となることを意味 し、ILOは既に、国連開発計画(UNDP)と共に、紛争後の状況下でディーセン ト・ワーク計画の実施を支援する内部能力の育成を国連事務総長から求められていま す。 広報記事:一体となって取り組む平和構築-国連紛争後新政策(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Feature_stories/lang--en/WCMS_116545/index.htm ILO危機対応・再建計画(英語)-----> http://www.ilo.org/employment/Areasofwork/lang--en/WCMS_DOC_EMP_ARE_CRI_EN ★広報記事:全世界的な労働安全衛生基準の実施ILO国際会議 (デュッセルドルフ・2009年11月3~6日) 標記の会議には約60ヵ国から300人を超える参加者が集い、世界的な経済危機が労 働安全衛生に与える可能性のある影響について話し合いを行いました。会議では、数々 の好事例が発表されましたが、その一つとしてドイツのTUV SUD社の職場にお ける健康促進活動が紹介されました。 ミュンヘンに本社を置く民間の規制・安全監督機関であるTUV SUD社の子会 社TUV SUDライフサービス社は昨年、社員の健康にさく予算も人的資源も限ら れていると見られる、社員数50~700人の中小企業を対象とした腸がんスクリーニン グ・キャンペーンを展開しました。先進国におけるがん関連死亡原因の約15%を占め る大腸がんは、ドイツでも2番目に多く見られるがんで、毎年7万人を超える発現者 が出ています。大腸がんは発見が早いほど治癒の確率が高くなりますが、活発な広報 活動と情報センターの開設を通じ、2,327人の従業員が検査に参加し、うち4.4%でが んが発見されました。1866年に創設されたTUV SUD社は「科学技術の悪影響か ら人々、環境、財産を保護すること」を社是に掲げ、約1万社に労働安全衛生に関す るアドバイスを提供しています。TUV SUD及びTUV SUDライフサービス両 社のCEO(最高経営責任者)は共に、経済危機時に労働者の心身の健康及び安全な 職場に向けた投資を削減しないよう会議出席者に強く呼びかけました。 サミーラ・アル=トゥワイーリILO労働安全衛生・環境計画部長は、会議から導 き出される結論として、次のように語っています。労働者の感じる失業の不安とスト レス、安全衛生に割り当てられる人材・資金カットの可能性を考えると、危機の影響 による業務上の事故や負傷、死亡者数、業務関連ストレスの急増が予測されます。情 報過多、業務や時間的なプレッシャーの増大、失業の懸念などはメンタルヘルス面の 問題の増大を引き起こしています。業務関連の事故や疾病に基づく欠勤問題に対し、 最近は疾病休暇を取る勇気のない多くの従業員が出勤して業務を効果的にこなすこと ができないという問題も発生しており、こちらの方がコストは3倍になると推計する 専門家もいます。労働監督は業務関連の事故や疾病を予防する上で重要な役割を担っ ているものの、多くの国でILOの定める労働監督官数の妥当なベンチマークが達成 されていません。危機時の労働安全衛生に関するILOのメッセージは、誰もが安全 で健康的な作業環境を享受する権利があるということ、そして予防は良いビジネス戦 略であるという点と部長は説いています。毎年、世界全体の国内総生産(GDP)の 約4%に相当する1兆2,500億ドルが労働損失時間や労働者に対する補償といった労 働災害や職業病に係わる直接及び間接のコストによって失われているとILOでは推 計しています。企業は労働安全衛生対策を今削ったならば、それほど遠くない将来、 その代価を支払うことになろうとアル=トゥワイーリ部長は警告しています。 広報記事:主要な死亡原因に取り組む-ドイツTUVの職場における健康促進(英語) -----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Feature_stories/lang--en/WCMS_116648/index.htm 広報記事:全世界的な労働安全衛生基準の実施ILO国際会議-ILO労働安全衛生 ・環境計画部長インタビュー(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Feature_stories/lang--en/WCMS_116777/index.htm 全世界的な労働安全衛生基準の実施ILO国際会議(英語)-----> http://www.ilosafetyconference2009.org/ ★広報記事:2009年UPU手紙コンクール優勝者はチェコの女子生徒- ディーセント・ワークがテーマ 万国郵便連合(UPU)は、1971年から青少年を対象とした手紙コンクールを開催 しています。2009年は「ディーセント・ワーク」がテーマとなり、約60ヵ国200万点 以上の応募の中からチェコのドミニカ・コフレロヴァさん(14歳)の手紙が最優秀作 品に選ばれました。11月5日にジュネーブのILO本部で開かれた授賞式にはエドゥ アルド・ダイヤンUPU事務局長とフアン・ソマビアILO事務局長も出席しました。 ザンビアで生産されたフェアトレード・チェコレートの例を用いたコフレロヴァさん の手紙について、審査員たちはその独創的かつ実際的なアプローチを評すると共に、 「フェアトレード商品の購入によって豊かな国がいかにディーセント・ワークに寄与 できるか賢く示したもの」と評価しています。姉から送られたチョコレートに触発さ れて公正な取引を推進するフェアトレードについて調べた結果を示す形を取って、フェ アトレードに参加した生産者のもとで働くアフリカの人々の生活が大きく改善された 話を引用することによって、コフレロヴァさんは、権利と仕事と保護と対話という ディーセント・ワークの諸側面を包括的に盛り込み、この概念の本質を見事に伝えて います。 広報記事:2009年UPU手紙コンクール優勝者はチェコの女子生徒(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Feature_stories/lang--en/WCMS_116744/index.htm 関連広報ビデオ:2009年UPU手紙コンクール授賞式(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Broadcast_materials/B-rolls/lang--en/docName--WCMS_116854/index.htm コフレロヴァさんの手紙-UPUウェブサイト(英語)-----> http://www.upu.int/letter_writing/en/lwc-2009_1st_prize_letter_en.pdf ★2009年11月19日付短信:米国アパレル企業が組んでベター・ワークを支援 ILOと国際金融公社(IFC)はベター・ワーク(より良い仕事)計画を通じて、 グローバル・サプライ・チェーン(国際供給網)における労働基準と競争力の向上を 図っています。去る11月19日、米国国際ビジネス評議会(USCIB)は米国の大手 アパレル企業5社がUSCIBの基金を通じて、ベター・ワークに100万ドル以上拠 出する決定を行ったことを発表しました。参加企業は、ギャップ社、リーバイ・スト ラウス社、ナイキ、ウォルマート、ウォルト・ディズニー・カンパニーの5社。拠出 金は各社のサプライヤー工場を中心とした労働基準遵守評価と研修ツールの開発に用 いられます。ピーター・ロビンソンUSCIB会長兼CEO(最高執行責任者)は、 「測定可能な利益を伴う官民協力の完璧な例であるベター・ワークは、すべての利害 関係者を協力的な手法で結集させることによって持続可能な変化の創出を支援してい る」と評価しています。 短信:米国アパレル企業が組んでベター・ワークを支援(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/I-News/lang--en/WCMS_117828/index.htm 2009年11月19日付USCIB新聞発表-USCIBウェブサイト(英語)-----> http://www.uscib.org/index.asp?documentID=3947 ベター・ワーク(英語)-----> http://www.betterwork.org/public/global ★2009年11月27日付短信:欧州議会、ILO条約批准を加盟国に促す決議を採択 欧州議会は11月26日に、ILOで最新と分類されているILO条約の批准と実施に 向けた努力を新たにすることを欧州連合(EU)加盟国、欧州委員会、新たに選出さ れた欧州理事会議長に対して求める決議を圧倒的な過半数で採択しました。決議は、 自由、人間の尊厳、社会正義、社会保障、平等といった基本的な価値は社会及び経済 の持続可能な発展に必須の要素であるとし、現下の世界的な経済・雇用危機の中での その一層の重要性を強調しています。EU内外ですべての人へのディーセント・ワー クを伴う公正なグローバル化を推進するEUの力強い役割に資するこの固い誓約の表 明をILOは歓迎しています。 短信:欧州議会、ILO条約批准を加盟国に促す決議を採択(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/I-News/lang--en/WCMS_118224/index.htm ILO条約一覧-----> http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/standards/list.htm ★広報ビデオ:私たちの職場-ILO駐ミャンマー連絡官インタビュー この広報ビデオでは、強制労働条約違反が問題となっているミャンマーに2年前か ら駐在しているスティーブ・マーシャルILO駐ミャンマー連絡官に同国における活 動の課題や国際社会が抱いている誤解などについて率直な意見を聞いています。強制 労働は現在、明確に法で禁止されており、被害者はILOに申立てを行う体制が整備 され、申立てに対して政府は真剣に対処しているものの、申立てを行う文化がないこ とを連絡官は問題としています。そして、豊富な天然資源に恵まれたミャンマーは孤 立してもやっていけるだろうが国際社会に留まる気持ちがあるならば、独立した人権 機関の樹立を始め、果たすべき義務があると説き、結社の自由に関する原則も含む新 憲法が採択された同国の近い将来における前進を期待しています。 広報ビデオ:ILO駐ミャンマー連絡官インタビュー(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Broadcast_materials/Ourworkplace/lang--en/docName--WCMS_113808/index.htm ILO駐ミャンマー連絡官事務所(英語)-----> http://www.ilo.org/yangon/country/lang--en/index.htm ★広報ビデオ:児童労働廃絶に向けた最近の取り組み-インド インドでは様々な手法を用いて児童労働廃絶に向けた取り組みが展開されています。 庶民に人気の伝統的な人形劇を用いたプロジェクトもあります。人形劇の脚本は、 児童労働は許容されるべきでないというメッセージを伝えるように作られ、児童労働 を奨励する責任は雇う側と同じくらい子どもを働きに出す側にもあるということを明 確にし、一人一人の子どもが有する教育の権利を強調しています。人形劇は非常に人 気があり、ILOが作成した研修マニュアルは既に国内多くの地域で用いられていま す。 児童労働の原因は複雑ですが、人々にこの問題を理解してもらう最善の方法は実生 活からとった物語を通じて彼ら自身の言葉で伝えることでしょう。観客と一体となっ て演じられる路上劇はこのための有効な手段です。ILOは全国児童労働プロジェク トの会と協力し、「子どもを学校に留め、地域社会ぐるみで児童労働を予防する行動 を起こそう」とのメッセージを伝える芝居の脚本を作成しています。インド全土で250 人以上の演劇関係者が携わり、研修マニュアルを用いた路上劇が毎年何百も奥地の村々 で上演され、観客の総計は既に20万人を超えています。 ILOの支援を受けてカルナタカ州の絹産業で実施されている自助グループ事業計 画は、児童労働者の母親に貯蓄や資金運営、起業家精神、製糸業における最善の慣行 について研修を施し、児童労働の連鎖を断ち切ろうと試みています。かつて自らも児 童労働者であったある女性は、研修後に自助グループからローンを受けて起業し、今 では社員20人の会社を経営しています。幼い頃から糸繰りの仕事をしていた彼女の子 どもたちも、今は仕事を辞め、学校に通っています。娘は教師になる夢を語っていま す。 広報ビデオ:児童労働廃絶に向けたインドの取り組み-人形劇(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Broadcast_materials/Video_News_Release/lang--en/WCMS_114234/index.htm 広報ビデオ:児童労働廃絶に向けたインドの取り組み-路上劇(英語)-----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Broadcast_materials/Video_News_Release/lang--en/WCMS_114207/index.htm 広報ビデオ:児童労働廃絶に向けたインドの取り組み-絹産業の起業家研修(英語) -----> http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Broadcast_materials/Video_News_Release/lang--en/WCMS_114210/index.htm 南アジアの児童労働(英語)-----> http://www.ilo.org/public/english/region/asro/newdelhi/ipec/index.htm 児童労働-----> http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/ipec/index.htm ★スライドショー-国連本部におけるILO創設90周年記念展示会 (ニューヨーク・2009年10月14日~12月4日) このスライドショーでは、ILO国連連絡事務所が現在ニューヨークの国連本部で 開催中の90周年記念展示会の模様を写真で示しています。ディーセント・ワークを通 じて自ら、そして家族のためのより良い生活を希求する世界の人々の姿を示す140点 近い写真パネルのほか、ビデオや文書も展示され、フアン・ソマビアILO事務局長 を始め、多数の来訪者が訪れて連日にぎわっています。 スライドショー-国連本部におけるILO創設90周年記念展示会(英語)-----> http://www.ilo.org/dyn/media/slideshow.curtainUp?p_lang=en&p_slideshow_id=32 ILO国連連絡事務所(英語)-----> http://www.ilo.org/public/english/bureau/pardev/relations/ilony/ilony.htm □■□■□■ ト ピ ッ ク 解 説 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ILOの活動内容、仕事の世界に関係するトピックを解説します。 第90回のトピックは、今年創設50周年を迎えた国際労働安全衛生情報センター(C IS)を取り上げます。 ★記事本文はこちらへ-----> http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/feature/2009-11.htm 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