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2009/10/15

老裏5[106]利用者への搾取(上)

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  老人ホームの裏事情Part5     [NO.106] 2009/10/15

 ~学校では教えない本当の社会福祉~

      ◆エル・ドマドール
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      ◇携帯版 http://www.tamagoya.ne.jp/mobi/sen5-09/

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の姿、そして痛烈な真実。
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第106回

■利用者への搾取(上)

前回の「障害者自立支援法」を読んだ友人にこんなことを言われた。 

「君はいつも利用者側に手厳しいな。確かに利用者側のモラルの問題を挙げる
のは他のメディアがやらないから、それはそれで意義があると思うよ。でも、
利用者が騙されたり、搾取されている実態も現実にあるんだ。それも書かない
とフェアじゃないぞ」

確かに今までのメルマガを見ていると、利用者に対して辛い内容が多いのは否
定できない。友人の意見はもっともだった。そこで今回は公平を期すために利
用者が搾取される現実を伝えよう。

まずは俺の実際の体験を紹介しよう。

まだ俺が特養にいた頃だ。新人女性ヘルパーの金沢有紀はまだ21歳。理想高く、
熱心で元気なヘルパーだった。彼女は岡シズコという85歳の認知症女性を担当
していた。熱心な有紀はシズコの身の回りを世話していた。排泄、食事などの
日常生活援助だけではなく、持っている衣類の整理もしていた。もうすぐ施設
の外出イベントが迫っていた。有紀はシズコが外出に着て行けるような立派な
服がないかシズコの所有物を探してみた。利用者思いの有紀はシズコの外出イ
ベントをより良くしたいと願っていたのだ。しかし、探しても探しても使い古
しのジャージやどこかの高校や中学校の体操服みたいなものばかり出てくる。
中には穴が開いているものやパッチがしてある服まであった。

「なんなのよ?コレ?ひどい服ばかりじゃない」

思わず独り言をつぶやく。どこを探しても、外出イベントに耐えられるような
服はない。名札が付いてあるような体操服姿を街角でさらすなんて冗談ではな
い。きちんとした服を買ってこようかと思ったが、シズコの預かり金がほとん
どないために買えなかった。シズコの金銭を持っているのはあまり面会に来な
い姪だった。この姪が身元引受人だった。有紀は仕方なく姪に電話して服を持
ってくるように要請することにした。有紀は単刀直入にいい服があれば持って
きて頂きたいとお願いした。

「あれ?確か叔母にはこの前、いっぱい服を持っていったと思いますが」
「確かに服はたくさんあるんです。しかし、なんか体操服みたいのばかりで、、
、こういう服はどこで?」
「ええ、バザーでいっぱい安く売っているんで、叔母に見繕っていっぱい買っ
てきたんですよ。中学生や高校生の服ってバザーでも本当に安いんですよ」

能天気な姪の口調だが、有紀はショックを受けた。バザーで二束三文で買った
服を高齢者に着させる?しかも高校生や中学生の体操服を90近いシズコが着て
いる姿は毎度のことながら異様だった。有紀は決して気の長い方ではない。若
く熱心な分、すぐに感情的になりやすい方だ。怒りを我慢しながら聞く。

「もっと外出イベントに相応しい服はないでしょうか?」
「え~~~。そんなこと言われても。家には叔母のはもうないですよ」 
「では、購入して持って来ていただけないでしょうか?」
「いやぁ。私もちょっと最近体調が良くないし、いろいろね?ホラ、私も忙し
いですし」

姪はめんどくさいと言わんばかりの口ぶりだった。有紀はもうひとつお願いを
することにした。

「はぁ。わかりました。お宅にはシズコさんの服はないのですね。何ならこち
らで購入いたしますのでお金を持って来て頂くか、それか小口現金の口座に振
り込みしていただいてよろしいですか?」

利用者の個人的な買い物をするなど、本来施設職員の義務ではない。有紀は姪
の態度にいらつきながらもシズコのために譲歩をしたつもりだった。しかし、
姪の返事はつれないものだった。

「いやぁ、できればそうしたいけどねぇ。でも、最近介護保険料も上がったし、
物価も高いし、、」

「確かシズコさんは年金を受給していますよね?そのお金はあるはずですよね?
」

「まぁ、そりゃ、確かに」

姪は渋々認めた。

「年金から介護保険料と利用料を引いても服を買うお金ぐらいはあるはずです。
今回面倒なのは申し訳ないですが、きちんとした服を買うための費用を出して
いただけますか?」

「いやぁ、私もいろいろ仕事とかもあって、忙しいし・・・」

バザーに行ってあんなふざけた服を買う暇あるなら、お金を持ってくる時間ぐ
らいあるだろ!!有紀は思わず怒鳴りそうになる。しかし、なんとか我慢して
事情を説明する。

「いろいろお忙しいのはよくわかります。しかし、シズコさんのためなんです。
どうかお金だけでも振り込んでください」

有紀の口調は懇願そのものだった。しかし、次の姪の無神経なセリフは有紀の
我慢を吹き飛ばすものだった。

「どうせ叔母は私に会っても誰かわからないし、それにねぇ。どうせボケて体
操服着せられても分らないし平気じゃないですか。ハハハハ」

我慢の限度だった。気付いたら有紀は涙ながらに受話器に怒鳴っていた。

「いい加減にしてください!!シズコさんを何だと思っているんですか!?た
とえ認知症でも人間なんですよ!あなたは自分の肉親にあんなみっともない恥
ずかしい体操服を着せられて平気なんですか!シズコさんの年金はアンタの金
じゃない!今すぐ持ってきて下さい!!」

「わ、わ、わかったわよ。そんなに怒鳴らなくても・・・」

有紀の激発に気押されたのか、良心が痛んだのか姪は2日後に服代を施設に持
ってきた。有紀の熱い正義感が勝利したかに見えた。

ここまで読んで如何だっただろうか?実を言うとこの話には続きがある。次回
にその続きと利用者が搾取される構造を話そう。 


エル・ドマドール

【関連記事】

[69]障害受容するべき人々
http://www.tamagoya.ne.jp/cms/senior5/archives/2009/01/69.php

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