すまいとくらしのア・ラ・カルト vol.153
EDIT DESIGN WORKS エディットデザインワークス メールマガジン
2008.6.10 Vol.153
住まいづくりの6人の専門家が
あなたの暮らしと住まいを
デザインします
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●コラム(家づくり箴言の知恵・名言のヒント)
長寿というのは非常におめでたい話であって、決して惨めなものではない
んです。だから建築家にもぜひ、おおらかに設計してもらいたいですね。
ただ、言われるからするとか、喜んでもらうためにするとか思わないでほ
しい。生命保険に入っているようなもので、そのお世話になるよりも、お
世話にならずに一生過ごせる方が、もっと喜ばしいことなんです。
(吉田あこ・建築家)
これは高齢者のための住宅設計、特に手摺りを付けたり、段差を無くした
りするという所謂バリアフリー設計のお話しです。使いやすさや安全性な
どを高めると、往々にして露骨なデザインになりがち。ですからデザイン
重視?の建築家からは敬遠されることもあります。
しかし、機能性や安全性を確保しながら、その場に相応しい素材や形態を
つくり出すのが、本来のデザインであるはず。それらを包み込むような
「おおらかさ」がデザインの豊かさなのですね。
(笠井義文)
●6人の日替わりブログ日誌もご覧ください(毎日更新しています)。
→http://edit.jugem.cc/
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●エディット広場
エディット仲間の連載シリーズをおとどけしています。
美術発見 2008年6月
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アートを以て、たくさんの人を惹きつけることは確かにできると思うのですが、
それを継続的なもの、何かの力やうねり、運動にしてゆくためには、特定の作
品ではなく、アートに対する気持ちの掘り起こしというのが大切なのではない
でしょうか。そのために、もちろん作品や作家について理解を深めることは大
切です。そして、手っ取り早いのは、アーティストと時間や空間を共有する経
験を持つこと、ではないでしょうか。現代を生きるアーティストたちの中には、
鑑賞者と共に過ごす時間や空間をよく意識した作品を発表したり、まさに鑑賞
者と「時と場を共有する」パフォーマンスに取り組んだりする人がいます。
一般には、パフォーマンスというのは馴染みがなく、縁が薄く、そもそも他人
が何をしようとしているのか知らない行為に対して、どう考えればいいのか、
と思ってしまいがちです。もちろん、非日常の謎のイベントという印象は強い
ですが、実際にパフォーマンスを楽しむには、日常の自分たちの感覚や経験が
とても大切なものとなります。
パフォーマンスを見て、自分の内部で、何がどのように変化したのか、そこに
パフォーマンスを楽しむ一つのヒントがあるようにも思われます。目を凝らし
て見つめると、見えなかった細部のものが見えてきますし、耳を澄ますと、い
つも以上に敏感な自分の集音装置である耳を意識します。そうして、私たちは
あふれんばかりの外界からの情報を、とてもうまく処理して、感知しているの
だなということに気付きます。それだけでも、大きな収穫でしょう。
私の経験からすると、きりりと美しく張りつめた場を共有するパフォーマンス
を鑑賞した後は、自分の全ての感覚器官が鋭敏になっていました。そして、自
分の中で、自分自身と親しく対話していたことにも気づきます。「今の所作は、
きっとこういう場面をイメージしているのだろうねえ」と。静かなパフォーマ
ンスの後には、自分の置かれた現実が、なんと猥雑な音に充ちているか、改め
て気付かされもしました。そういう気分や印象を、その場に居合わせた人たち
が共通のものとして持てるのも、いいところです。ゲームの観戦とよく似たと
ころもあるでしょう。「そのとき、その場に居合わせることの偶然」から始ま
る大きな可能性は、しかしながら、なかなか機会を捉えるのが難しいのも事実
です。
考えてみると、美術の展覧会の会期は大抵一ヶ月前後ですが、舞台、たとえば
オペラなどは、ゲネプロを合わせてもほんの数日ということが多いです。その
舞台に居合わせるということ自体がすでに大変なことです。まして、何かのイ
ベントとして開催されるパフォーマンスは、そのとき、その場の一回限りとい
うことが多く、そういう分かり切った状況下、時空を共有するという「意識」
は、実はとても重要なのです。この意識のもたれ方に、パフォーマンスの成功
がかかっていると言っても、過言ではありません。
それにしても、人が移動する、集まるということには、すべてエネルギーが必
要です。ものを創るのにも、展示するのにも、鑑賞するのにも、同じようにエ
ネルギーが必要です。それは、当然にコストがかかる問題です。そのことに絡
んで、昨今、よく耳にする言葉で、「これほどまでに下品で、教養や知性のカ
ケラもないのか」と情けなく、浅ましさしか感じないものがあります。役所の
人たちが多用していますね。思いつかれましたか?
それは、「ゼロ予算事業」という言葉とその貧困な発想です。前述したように、
いずれにしても、人が何かをするためにはエネルギーを必要とし、そのために
は代償が必要です。エネルギーはかなり高価なものになっていますが、「良い
使い方をすれば、消えない波紋を生み出すことだってできるかも」と文化の可
能性を考えるとき、思うのです。徳島の文化のゼロ予算事業という言葉は、そ
ういう豊かなうねりを否定しているものに思われてなりません。
(玉川稲葉)
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