2007.11.5 メネフネニュースレター
SEAL BEACH、CA.
シール・ビーチはLAXからフリーウェイを使えば約30分。下道でゆっくり走って
も1時間ほどのところにあるこじんまりとしたビーチタウン。私が初めて行ったカリ
フォルニアのビーチはマリブでもなく、ハンティントンビーチシティでもなくこのち
ょっと地味目なローカルタウンだ。なぜシール・ビーチを選んだのかはよく覚えてい
ないが、まだ今のようにインターネットやEメールが普及していない時代、日本から
FAXで家内がぜひ泊まりたいという私には少々ロマンティックなB&Bを予約した
記憶がある。
地図はレンタカーオフィスでもらった大雑把なものしか無くとりあえずl−105か
らl−405へと乗り継ぎ、始めて走るカリフォルニアのフリーウェイのスピードと
広さに圧倒されながら目的地へと向かった。地図の通りに24Bでフリーウェイを降
りたはいいが、右も左も分からない時差ボケの頭で日本からいきなりの右側通行、し
かも初めてのアメリカメインランド。文字通り手に汗握りながらあっちでもないこっ
ちでもないと道に迷っていたのは今から考えるとかなりかっこ悪いトラベラーだった
ようだ。
そんな緊張の中にありながら、シール・ビーチを少し行き過ぎたところにあるサンセ
ットビーチあたりをうろうろしているうちにあたりのゆったりとした雰囲気がすっか
り気に入ってしまった。車通りもほとんどない静かな通りの中央分離帯には植栽が生
茂り、反対車線を挟んだその向こうに並ぶビーチハウスの間からは白く広がる砂浜が
静かに広がっているのが見渡せた。中央分離帯にはシャワーが備え付けられていて、
そこでは海から上がってきた姉と弟らしき2人がロングボードを抱えてシャワーを浴
びていた。
カリフォルニアに着いたばかりの私は、その光景を見てそれまで勝手に想像していた
ちょっと怖そうなカリフォルニアでの波乗りのイメージと緊張が緩んでいった覚えが
ある。海の中でモタモタしていると「Hey! kook!」なんて怒鳴られてリー
シュを切られて岸へ戻され、しょんぼりして車へ戻ってみればドロボウに荒らされて
有金盗まれ…なんてまるでKOOKMYERのコミックみたいなことまで考えていた
のだから。
サンセットビーチですっかりリラックスしてしまった私はそのあたりで庭木の手入れ
をしていたおばちゃんにシール・ビーチってどこ?と聞き、それがすぐ隣街であるこ
とが分かって無事にその日の宿へと到着することができた。
シール・ビーチでの宿からはワンブロック行けばもうビーチだった。民家の間の細い
砂まみれの道を抜けて初めて見た人影もまばらなカリフォルニアの広いビーチ。海へ
と傾き始めた太陽の光に照らされた透明な波のリップとそこを滑る数人の黒いシルエ
ットになったサーファー。身体にタオルを巻きつけ、ビキニからジーンズへとビーチ
で着替えているキュートなカリフォルニアガールたち。「これがカリフォルニア…」
という感動はいまでも覚えている。古そうなピアに行ってみると、海沿いにはレスト
ランやバーがアーリーバードでオープンし、観光地にはないリラックスしたローカル
な賑わいが伝わってくる。ピアの両側では何人かのサーファーが軽いオンショアが吹
く中、夕方のサーフィンを楽しんでいた。ほとんどのボードにはシール・ビーチのロ
ーカルブランドでもあるHARBOURのロゴマークが付いているのが見えた。当時
のHARBOURのライダーはTERRY SIMS。長身のしなやかな身体から生
み出されるマニューバが美しくそしてラディカルなサーフィンで当時のロングボード
シーンを引っ張っていたサーファーの一人だ。(現在は、FORTUNE500に入
るいくつかの企業のCEOをもクライアントに持つ、ハイエンドなサーフトラベルガ
イド&コーチ業を営んでいるらしい)PCHからピアへ真っ直ぐ続いているメインス
トリートの入り口には「HARBOUR SURFBOARDS」の看板を掲げたシ
ョップがあり、その日は休みであったが自分が生まれる前の1962年から続く老舗
のたたずまいにカリフォルニアのサーフィンの歴史の奥深さを感じずにはいられなか
った。
暗くなるにつれてメインストリートの両脇のレストランやバーのテーブルは地元の人
たちで少しずつ埋まり始め、楽しそうな音楽と光が歩道へと洩れてくる。そのときは
週末だったのかはっきりした記憶は無いが、ホットロッド調のカスタムカーや写真で
しかみたことがなかったウディがクルーズし、ちょっとした盛り上がりを見せていた。
家族で夕暮れのピアを散歩する人たち。バーのカウンターでビールを瓶のまま一人飲
んでいるヒゲ面の労働者風の親父。ピアの横では片付けをしているライフガード。ボ
ードを車に載せて家路へと着くサーファー。そんなカリフォルニアの海辺の街の雰囲
気を始めて味合わせてくれたのがシール・ビーチだ。
確かこの旅行のときにはシール・ビーチで1泊だけして、その後はさらに南へ下りラ
ホヤ近辺で何日か過ごしたと思う。最後はロスに戻ってきてベバリーヒルズ近辺のス
ノッブな小さなホテルに泊まった。エンシニータス、ラホヤ、ミッション・ビーチと
行ってみた記憶はあるが、なぜか1番印象に残っているのはシール・ビーチの細い路
地を抜けた先で見た夕日に照らされた広い砂浜。こじんまりとしたローカルな雰囲気
の街だ。刺激を求める旅行者には退屈な街かもしれないが、不思議と落ち着ける街。
シール・ビーチにまた行ってみたいと思う。
2007年11月5日
MENEHUNE BEACH STORE
宮嶋憲士
東京都町田市原町田2-2-5 オードリービル102
Phone&fax 042-732-1206
http://www.menehune.on.arena.ne.jp/
menehune@mbp.ocn.ne.jp


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