2007/10/13
2007.10.13メネフネニュースレター
FISH&BONZER HYDRODYNAMICS LABO 雑誌や映像など多くのメディアに取り上げられ露出が増えたおかげもあって、それま で一部のマニアのものだったフィッシュと呼ばれるサーフボードはすっかり一般的な ボードデザインとして定着した感がある。私自身もこのメルマガや雑誌の記事などで 日本でのフィッシュの普及に一役買った一人だとひそかに思っている。海へ行って隣 に停まっている車の中からフィッシュが出てくるという場面に遭遇することも少なく ないのが今日この頃の海事情の一つである。 一方、フィッシュの対抗馬のように扱われることが多いボンザーというデザインに ついて考えてみると、ボンザーを抱えて歩くサーファーに出会う機会はそれほど多く ないように感じるのは私の少ない経験のせいだけだろうか。 私が所有しているボンザーは現在1本のみ。カツカワミナミサーフボードの9.0と いうボンザーとしては長すぎるかとも思われる少々変わったサイズのボンザーだ。こ のボンザーはカツさんが80年代から使っているショートボード用のテンプレットを 9.0までストレッチしてアウトラインを作っている。ワイデストポイントはボード のセンターより若干前方に置いている。他に比べるサーフボードが無いアウトライン であるが、一番似ているアウトラインはクリス・クリステンソンがシェイプする超長 ロングボードのウルトラグライダーが一番近いように思える。レールはフルダウンレ ール。カツさんお得意のレール形状である。ボトムはフラットに近いごく浅いシング ルコンケーブからほとんど通常のVEEに近くごく浅いコンケーブがVEEの面それ ぞれに入ったシンプルなボトム形状。長さを考えボンザー特有の深いコンケーブは敢 えて採用しなかったのは私のアイデアから。 フィンはキャンベルブラザースの5フィンと同じテンプレットでプライウッドから削 り出したサイドバイトをボンザー特有の角度にグラスオンしている。センターフィン はボンザーフィンを大きくしたようなテンプレットで8.5インチの深さ。大きめの センターフィンだ。以前、あるトレードショーでカツさんはマルコム・キャンベル氏 と話をして「パテントも無いし自由に(ボンザーを)作っていいよ」というお言葉を いただいているので、勝手ながら使わせていただいている。 先日この9.0のボンザーを使ってみた。波は緩い斜面のヒザからなんとかコシとい った湘南の典型的な小波のシチュエーション。このボードがどんな動きをしてくれる のか全く見当がつかなかったので、9.0の長さを考えまずは普通のロングボードの ように扱ってみることにした。テイクオフから波の斜面にレールをセットしてトリミ ングしながらゆったりと滑っていくような乗り方だ。当初の感想は「曲がらないボー ド」「立つ位置が分からない」(イコール、コントロールの仕方が分からないという ことである) 海の上であれこれと考えた末に思い出したのは前方にワイデストポイントがある、い わば70年代のシングルフィンのようなアウトラインのこと。ロングボードのように テイクオフからテールよりに立つと幅が狭いテールのせいで、ノーズが上がってどう してもバタバタとした乗り方になってしまうのは考えてみれば当たり前だ。そこでロ ングボードのピボット的なターンをやめ、気持ち前よりに乗ってスタンスをワイド気 味に取ってみることにした。私の中では9.0のロングボードではなく、5.10の フィッシュに乗る感覚に「切り替え」である。(アウトラインが似ている11.0の グライダーのイメージも少しミックスして…) そんなイメージを頭の中で描きながら乗った、次の1本の波で「もしかすると、使え ないボードを作ってしまったかも?」という不安はあっさり消えて無くなった。 何もかもが今までと違う感覚。ボード全体がバタバタして、テールに余計なフィンが たくさん付いているので曲がらない乗り手の言うことを聞いてくれないボードが一変 した。ボトムの下の水流はフラットな前方のエリアからサイドバイトの間を通り、シ ングルフィンに整えられて勢い良く後方へ噴出して行く感覚。そしてサーフボードが その流れの上に乗って滑らかにすべっていく感覚が伝わってくる。ボトムをスムース に離れて波のトップへ上がって行き、前方に回りこんでくるショルダーへ向かって大 きくトップターンをするとボードがさらに加速していく素晴らしい感覚。波のサイズ はかろうじてコシの高さであるにもかかわらず、ボードにはどんどんスピードが付い てくる。 シングルフィンしか無かった時代、キャンベル兄弟が始めてボンザーをテストしたと きの驚きと感動、そしてボンザーというデザインへの期待感と愛情が想像できる一瞬 にも思えたのは決して大げさな表現では無い。ショルダーの端から波のカールへと戻 る一瞬の動きもスピードを保ったままボードは滑らかに方向を変えスープへと飛び込 んでいくことができる。 正直なところボンザーという乗り物はカジュアルな使い方はできない道具だと思って いた。ある程度サイズがある波で形も整っているある一定のコンディションの下で機 能するものだと思い込んでいた。しかし上で書いた波のコンディションはなんとかサ ーフィンができる…というようなコンディションだ。低気圧通過後や台風のうねりが 入っていたわけでは無いのだが乗る波すべてに波のサイズ以上の満足感があったのは 事実である。まだサイズがある波では使っていないが久しぶりの「マジック」になり そうな5フィンロングボードだ。 このメルマガを書くために9.0のボンザーの感覚を思い出していると、それに近い 感覚をこれまでに経験していることに思い当たった。そのサーフボードデザインはフ ィッシュだ。フィッシュはフィッシュでも6フィート台後半の大きなフィッシュ。フ ィッシュはより短いサイズの方がより機動力が増すがその分、不安定さも増す。私が ビッグフィッシュを好んで使っているのは長いレールで直進安定性を高めたツィンキ ールフィンのラフなスピード感と曲がり難くなった分大きなターンでドライブする感 覚をカジュアルに楽しめるのが理由だと考えているが、これはもしかすると9.0の 長いボンザーに近い感覚かもしれない。違いは、フィッシュはルース感がありボンザ ーはスティフ(安定)な感覚がメインにあること。けれども波を滑って行く感覚は両 者ともに共通している点が多いように思われる。 ロングボンザーとビッグフィッシュが似ているとするなら、通常に作られているサイ ズのボンザーとフィッシュはどうなのだろう?スティフだとされているボンザーにル ースさを加えることはできるのか?そうするとよりフィッシュの感覚に近づくのか? それともボンザーの感覚が失われてしまうのか?これまで全く違うデザインと思って いたフィッシュとボンザーだが、どちらも流体力学から生まれてきたデザインという ことを考えると、意外に同じような感覚で楽しめる乗り物であるということにこの9 フィートのボンザーは気付かせてくれた。 ボンザーの経験は以前所有していたヴィンテージのマイクイートンのボンザー5.8 とこの9.0だけである。残念ながらイートンボンザーはあまり記憶に残るところが ないのだが、あまり深く考えずに作ったロングボードのボンザーがこれだけ楽しませ てくれる(ヒザ波で一度使っただけでも!)のだから他のデザインはどうなのだろう? という好奇心が頭の中に溢れているのが今の状況だ。ボードの長さは?テールのサイ ズや形状、コンケーブは?それぞれの組み合わせでいったいどんなボードが出来上が るのか、まるでマッドサイエンティストの頭の中のようなデザインの世界になりそう な予感に期待が大きく膨らんでいる。 今のところ頭の中で思い描いているデザインは、6.6〜6.8くらいのエッグ系の アウトラインでラウンドピンのような曲線のテールラインとボンザーボトムの組み合 わせ。カツさんのミニがボンザーになったら…?というイメージ。それから幅が若干 広めのダイアモンドテール。直線的なテールのラインとボンザーボトムとの組み合わ せ。これはトラディショナルなボンザーのデザインになると思う。 ベンチューリとベルイヌーイという二つの流体力学の法則を基に理論的に作られた ボンザーデザインと航空技師の理論が基になったフィッシュデザイン。難しい理論は 解らないが実際に波に乗ることで二つのデザインに共通している「水の流れ」を感じ てみたいと思っている。 ************************************** こんにちは。メネフネビーチストアの宮嶋です。先日ほんの小さな力も無い波で乗っ たカツカワミナミサーフボードの9フィートボンザーが素晴らしく、思わず長メルマ ガ書いちゃいました。始めは「なんだか扱い難いボードだなあ」と思っていたのが、 1本の波を境にして「マジック!」と言わせるほどの劇的な変化がありました。ちい さな波のポケットを上下に動くとボードがどんどん加速してくれる感覚。さっきまで の曲がってくれないボードが急にドライブしながら気持ちよくターンしてくれる不思 議。とにかく最高でした。自分の乗り方がどこでどう変わったのかは自分でもいまだ に解らないのですが波のサイズ以上の満足感があったのは事実です。ボンザー、これ から何本か試してみたいと思っています。海に行くときには車の中にいつもフィッシ ュとボンザーが入っているなんて、ちょっと想像しただけでもワクワクしませんか? メルマガのタイトル「フィッシュとボンザー 流体力学研究室」の通りこれからいろ んなアイデアを形にして試してみたいと思っています。 ■メネフネビーチストア入荷情報 ●ジョン・セバーソンサーフアート ファーザーオブサーフカルチャー、ジョン・セバーソンのサーフアート現在準備中で す。今回は1950年〜1970年に撮影されたクラシックな白黒写真がメインです。 サイズも大きめでクラシックな雰囲気のインテリアアートにはばっちりです。それに 新作のアートプリントが2作品。こちらもお楽しみに。 ●バードウェル サーフジャケット 毎度お馴染みのバードウェルのジャケットです。今回はシンプルなナイロンのソリッ ドカラー3色とキャンバス1色。週明けには届くと思います。ソリッドカラーのトラ ンクスのサイズ切れ分も入荷しますので暖かいところへトリップ行かれるかたはもう 少しお待ちください。 ●ニットビーニー 海上がりの潮でバサバサになった髪の毛をまとめて隠してくれるのがビーニー。なか なか気に入ったカラーが見つからないという方にオススメできる4パターンを用意し ました。すべて手編みで1点ずつ編まれているので肌触りが優しく締め付けないので が長時間かぶっていても快適です。こちらも準備でき次第アップロードします。 そんな感じで秋はかなりスロービジネスなメネフネビーチストアですが、そんなこと より今は「波乗りしたい!」が一番です。テストしなくちゃいけないボードは山ほど あるし、新しく作りたいデザインもたくさんあるのでめずらしくワクワクしています。 今年の冬は楽しくなりそう! ではまた次回まで! MENEHUNE BEACH STORE 宮嶋憲士 東京都町田市原町田2-2-5 オードリービル102 Phone&fax 042-732-1206 http://www.menehune.on.arena.ne.jp/ menehune@mbp.ocn.ne.jp


