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ロングボードとクラシックサーフィンカルチャーの情報誌。60年代、70年代のサーフスタイルをメインに、サーフアート、サーフメモラビリア、国内外の最新サーフィン情報をマニアックにご紹介します。

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2007/09/23

2007.9.23 メネフネニュースレター

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1993年2月8日

暗い部屋の中に目覚まし時計が鳴っている。暗闇の中、床に散らばった本や洋服につ
まずかないように注意しながら目覚まし時計の頭を叩くようにしてアラーム音を止め
る。裸足の足に伝わってくるフローリングの床の冷たい感触に少し目が覚める。ベッ
ドへ戻り身体を半分暖かい布団の中にいれつつ上体を起こし、意識が覚醒してくるの
を待つ。時間は午前4時半。遅い冬の日の出まではまだ二時間近くある。冬の朝日に
照らされ繰り返し崩れる波をイメージしていると布団の外の寒い世界へ出て行く勇気
が湧いてくる。

昨夜ベッドへ入る前に用意した分厚いウェットスーツとタオル、冷たい水で使うワッ
クスを車へ積み込む。夜明けまでまだ遠い冬の夜空にはオリオン座がまたたき、鋭い
音が聞こえてきそうな程澄み渡り冷たい空気が顔に突き刺さってくる。車の屋根に載
せたロングボードをストラップで固定している手の感触が無くなってきそうだ。寒さ
で全てが凍り付いてしまったかのように動くものの気配はなく、物音はすべて澄み切
った夜空に吸い込まれていっているような錯覚。夜明け前の一番気温が低い時間。動
いているのは自分と早起きの新聞配達だけ。

暖かいダウンジャケットを脱いで助手席に放り投げ、ドライビングシートに座ってキ
ーをひねる。外気と同じ温度に冷え切っていたエンジンに血が通い、暖かさを取り戻
してくる。ヒーターをかけながらゆっくりと車をパーキングスペースから滑り出させ
る。静まり返った住宅街をゆっくりと通り抜け、左へウィンカーを出し街道を走り始
める。黄色く点滅する信号機。夜明けはまだ遠くだ。

ヒーターが効きはじめた車の中でようやく人心地に戻ってくると調べておいた潮の時
間が頭の中に浮かんでくる。昼間は違法駐車や路線バスで思うように進まない商店街
の狭い道路を数分もかからずに通り抜けていく。緩い坂道を上った先にある見晴らし
の良いカーブの先には、ようやく明るさを持ち始めた東の空が美しい朝焼けを予感さ
せる色に染まっている。海まではまだ遠い道のりだが朝焼けに照らされた眩しい波の
フェイスが目に浮かぶ。南の風がフェイスを乱す前にどのくらいの間、滑らかな水の
斜面を楽しむことができるだろうか?

夜明け前の桜並木、高速道路、トンネル、海に近づき広くなった川幅沿いの道路を走
りぬけ、海沿いを走る道路へ出る信号機が青に変わるのをじっと待つ。タタミイワシ
の直売所の向こうには灰色の海が見えているが波の状況はまだ判らない。真冬の見事
な朝焼けに染まり始めた空をバックに赤く灯る信号機。ラジオからはアメリカの「ベ
ンチュラハイウェイ」が澄んだギターの音色を響かせている。

青に変わった信号機を左に曲がり海沿いの道路へと車を走らせる。左手下に見える海
には誰も乗るものがいない波が幾筋も立ち上がり、崩れたスープが朝焼けに赤く照ら
されている。海沿いに車二台分ほどのスペースが砂浜の上に突き出すようにしてあり、
まだ他のサーファーは来ていないようだ。いつもこの場所へ車を停めるために誰より
も速くやってくるのだ。

隣にもう一台停められるようにスペースを残して車を停め、車の窓から太陽が昇る直
前の赤く染まった東の空を見る。真っ赤な空の下に黒々と横たわる半島の明かりはま
だまばらだ。ドアを開け外の空気に全身を包まれ、思わず身震いをする。腰にタオル
を巻き手際よくウェットスーツへ着替える。ジッパーを上げる前の背中に触れる冷気
に身が引き締まる。柔らかいはずの真冬用のワックスもサーフボードのデッキでゴリ
ゴリと大きな音を立てるばかりでなかなか言うことをきいてくれない。遅い冬の日の
出がようやく低くあたりを照らし始める。腰ほどの高さでくずれる波のフェイスが輝
き始め、ワックスをこすり付ける腕に力がはいる。

彼はサーフボードを抱えた右腕の先に丸く束ねたリーシュコードを持ち冷たい砂浜を
ゆっくりと歩き始めた。


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こんにちは。メネフネビーチストアの宮嶋です。メルマガの到着をお待ちいただいて
いる方々、すっかり間が空いてしまってどうもすいませんでした。本当は真夏に真冬
の波乗りっていいんじゃない?と、7月の末に書いたメルマガなんですが、配信のタ
イミングを逸してしまって、2ヵ月も間が空いてしまいました。


冬の早朝の波乗りはなにか特別なものを感じます。夜明け直前の澄み切った空気は張
り詰めた精神。日の出を迎える色に染まる東の空の美しさは例えようがない自然の色
と光。精神を集中して凍えるような気温の中で脱ぎ捨てる服。分厚いラバーに包まれ
る肉体。冷たい砂浜。海水に一歩足を踏み入れたときの感覚。少しずつウェットスー
ツの中に入ってくる冷たい海水。灰色の水平線を見つめながら待つ波。気持ちが自分
の内へ内へと向かってくるように感じます。

日が昇り緩いオフショアに気持ちの良い冬晴れの空の陽の光に身体が緩んでいく感覚。
冷たく澄んで海底のリーフまで見て取れ、まるで宙に浮かんでいくように水の上を滑
っていくロングボード。ここ数年自分自身すっかり忘れていた感覚です。

波乗りを始めたころの感覚、ワクワクしながら夜明け前の街を車で走り抜け、朝焼け
に感動しながら波に乗れることを感謝する。今年の冬はお店の方は少しスローにさせ
ていただいて、そんな昔の感覚を取り戻したいと思っています。

MENEHUNE BEACH STORE
宮嶋憲士

東京都町田市原町田2-2-5 オードリービル102
Phone&fax 042-732-1206
http://www.menehune.on.arena.ne.jp/
menehune@mbp.ocn.ne.jp

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