2006.7.10 メネフネニュースレター
FISH VS BONZER
表題は日本のロングボードマガジンの草分け的存在である「NALU」誌のNo.
53に書かせていただいたフィッシュとボンザーに関する記述の題名です。今回この
記事を書くことになったのは、同じくNALU誌のNo.45に掲載されている20
04年のカリフォルニアトリップの記事がきっかけになっています。カリフォルニア
でスキップ・フライに会っている私がフィッシュに関するサムシングを持っているの
ではないかというNALU編集部の勝手な推測(笑)から始まりました。もともと文
章を書くことに興味を持っていた私は二つ返事で引き受けた訳なのですが、自分が考
えたことを自由に記述するのと違い、クライアントが存在し、その意向に沿うように
文章をまとめていくのがいかに難しい事かということにすぐに気が付くことになりま
す。
全然、文章が書けないんです。お店のメルマガの勢いとは大違い。カリフォルニアに
行ってスキップに会ったのは事実ですが、ボードとシェイプルームを見せてもらって
握手して一緒に記念撮影して…それだけ(笑)それ以上だったら今頃スキップのグラ
イダーとフィッシュくらい入荷していていいはずです。困った私はクライアントの意
向を意識しつつも、違う方向へ持っていくことにしました。「FISH VS BO
NZER」というテーマではいくら考えても、原稿用紙一行すら書けない…。そして、
「読んで全体がまとまっていて面白ければいいでしょ」という勝手な解釈の下、出来
上がったのがあの文章です。フィッシュとボンザーをVSという言葉を使って対決さ
せても何も生まれてこないので、それぞれのデザインの説明、生まれてきた背景にあ
るもの、それぞれのデザインが辿ってきた変遷、今のサーファーたちに受け入れられ
ている理由などを時系列に沿って、それぞれ記述してみました。
少しだけ文句を言わせていただくと、最初の企画案と出来上がりのチャプターの順序
が違っていて、文章の表現が前後してしまっている点が一つあります。当初の企画案
ではP100の「トランジションムーブメント」から、P104、5の「フィッシュ
とボンザーのボードデザイン」そして、P102、3の「スキップやキャンベル兄弟
らキーパーソン」から最後P106から始まる文章へつながる流れになっていました。
けれどボードデザインとキーパーソンのチャプターがいつのまにか入れ替わってしま
ったので、P105ではスティーブ・リズの名前が出るのが二回目なのに、初めて登
場するような書き方になってしまっています。
もう一つは表題の間違い。P102とP103の題名がなぜか入れ替わってしまい
ました。P100〜P107のページの文章は本文だけでなく、写真のキャプション
から副題まですべて私が書いています。おそらく私が書いた副題やキャプションをペ
ージに当てはめる作業の段階で入れ替わってしまったようなのですが、少し残念です。
P102の「伝統のデザイン」はフィッシュの文に付けたもので、「未来を予感させ
るデザイン」はボンザーに付けたものなので、そう思ってもう一度読み直してみて欲
しいと思います。
ボンザーは非常に高度に計算されたボトムデザインであることを強調しながら、現在
まで辿ってきた遍歴を絡めて「不運な天才」的なイメージで書き、一方のフィッシュ
はスキップ・フライといった特定の人物を通して考えるのではなく、カリフォルニア
のサーファーに大切に守られてきた伝統的なデザインであることをベースにおいて書
きました。そしてフィッシュとボンザーの共通項として「流体力学」というキーワー
ドで二つのデザインを結び付けてみました。
文章について少し補足説明させていただきますと…
まずP100の最後のあたりに出てくる、「ソニーミラー監督のサーフフィルム」
過去にも書いているので、私のメルマガ読者の方々はご存知だと思いますが、「SE
RCHING FOR TOM CURREN」という作品です。
P103 突然登場する「グリノーボーイ ダン・トンプソン」ですが、彼の父マイ
ケル・トンプソンはジョージ・グリノーと同じオーストラリアのレノックス・ヘッド
に住み、グリノーと共に映像制作を行っています。そんな環境でグリノーの感性に影
響を受けながら育ったダン・トンプソンなので、グリノーボーイと呼んでみました。
最高のフィッシュライダーの一人です。
P103 「ボブ・シモンズ」についてはかなり調べました。第二次大戦の時代に独
自の理論でサーフボードだけでなく、ブーメラン、卓球のラケットなどを作っていた
かなりユニークな人物です。そのうちメルマガで特集してみたいと思います。
P103 「1967年スキップがVEEボトムをオーストラリアから持ち込んだ」
とありますが、これはオーストラリアの世界大会へ出場したスキップがVEEボトム
に乗るオージーのサーファーを見て「まるでスターウォーズだった」と言ったほど衝
撃を受け、カリフォルニアでのショートボード革命のきっかけを作ったことを指して
います。映画「FANTASTIC PLASTIC MACHINE」でその時の
映像を見ることができます。
P106 デヴィッド・ヌイーヴァの災難の話しは有名ですが、この世界大会の模様
は、先ごろ亡くなったハル・ジャプセン監督のSURFIN SHORTSという短
編集のビデオで見ることができます。(日本ではなかなか入手は難しいかもしれませ
ん)若―いリノ、ロペス、バートルマン、マイコらも登場します。
P106 「ロケットフィッシュ」フィッシュと同じ意味で使われることもあります
が厳密に言うと、フィッシュ=ロケットフィッシュではありません。ロケットフィッ
シュとは、フィッシュのノーズとテールを絞り込んで、よりショートボードに近づけ
たデザインのフィッシュのことを言います。クライド・ビーティのエポキシのロケッ
トフィッシュが良い例です。
P106 RASS SHORT ボンザーのライダーだったサーファーですが、ジ
ョエル・チューダーも彼のようにサーフしたいからボンザーに乗ると言っています。
http://www.bonzer5.com/pages/People.html
ここで当時の動画が見られます。どれも最高にかっこいいです。ボンザー欲しくなり
ます(笑)
P107 「マーク・リチャーズによるツィンフィンの流行」ツィンフィンによるマ
ーク・リチャーズの活躍は、ツィン→ルースというイメージを作り出します。シング
ルフィンの延長であったボンザーはスティフ(安定)なものと見なされ、ツィンフィ
ンのルースする感覚がもてはやされた時代とは合わないものになっていったのです。
ついでにトライフィンとボンザーの関係ですが、ボンザーは3本のフィンがついた世
界初のボードですが、これが現在のトライフィンの原型になったと考えるのは間違い
です。サイモン・アンダーソンが考案したトライフィンの原型は、マーク・リチャー
ズのツィンフィンの真ん中にフィンを追加するという発想から生まれたものです。
(ということはトライフィンのルーツはフィッシュだ…)
P107 「1982年には5フィンのボンザー」ボンザーは波の強いハワイでの評
価が高かったようです。パット・ローソンなど多くのシェイパーに影響を与えていま
す。
P107 「カフェ・ハレイワ」ハレイワの入り口にあります。ビンテージのボンザ
ーも飾ってあるので、ハワイに行かれる方はどうぞ。
最後になりますが、ボードの画像はすべて、メネフネのお店で撮影したものです。ス
キップとリズのフィッシュ、マイク・イートンのボンザーを快く提供してくださった、
KさんとOさんには厚謝いたします。それと、ダンカン・キャンベルへのインタビュ
ー資料を作っていただいた、江本陸さん、日本におけるニーボーダーの草分け的存在
の方としてもリスペクト差し上げています。ありがとうございました。
MENEHUNE BEACH STORE
宮嶋憲士
東京都町田市原町田2-2-5 オードリービル102
Phone&fax 042-732-1206
http://www.menehune.on.arena.ne.jp/
menehune@mbp.ocn.ne.jp
カツカワミナミサーフボード、クリステンソン、マンダラ、それぞれ4フィンを作っ
ていますが、4フィンかなり調子良いみたいです。作っていただいた方からの良いフ
ィードバックの声が届いています。私も自分用の7.7の4フィンができたので早速
乗ってみます。フィッシュだけでなく、いろいろな形に応用できるのが4フィンの面
白いところです。
今回、NALUという雑誌の紙面を借りてフィッシュとボンザーについて書かせてい
ただきました。すっかり流行の中心になってしまったような感じもするフィッシュや
ボンザーですが、私はやはりマニアックなものだと思っています。「なんとなく気に
なる」というのは流行だと思いますが、フィッシュとボンザーにこだわる必要は全く
ありません。「フィッシュとボンザーが流行している」というものではなく、自分が
好きなボードデザインをチョイスして、その日の気分や波に合わせて使い分けるとい
う行為が時代の流れになってきているんだと思います。
自由に楽しみましょう!


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