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2009/11/01

ショートショート「サルとお母さん」

日刊ショートショート劇場 No.2901

『サルとお母さん』

 サルにはお母さんがいません。
 お父さんにはお母さんは病気で死んでしまったときいていますが、じつはそ
れはウソで、ほんとうはお母さんは別の男のところに走ってしまっていたので
す。
 子どもと夫を捨てたお母さんですが、幸せではありませんでした。
 男は働きもせずお母さんが稼いできたお金で酒を飲むわ博打を打つわでお母
さんはとても苦労していたのです。
 そしてお母さんが病気になると男はあっさりどこかに逃げてしまいました。
 病床の中でお母さんの考えることは捨ててしまった子どものことです。
 お母さんはサルのことを思い出さない日はありませんでした。
「せめて最後に我が子に会いたい……」
 お母さんは無理をしてサルに会いにきました。
 サルは勉強していました。
「うう。すっかり立派になって……」
 お母さんは涙ぐんで影から見ていました。
 サルに友だちが声をかけました。
「やあキミはいつも勉強してるねえ」
「うん。ボクはたくさん勉強して社会の役に立つ立派な大人になりたいんだ」
「なんて立派なっ!」
 お母さんはとてもよろこびました。
 サルに今度はあるおばさんが近づきました。
「あ、お母さん」
「迎えにきたわよ。さあ帰りましょう」
「新しい母親ができたのね。わたしはもう必要ないのね」
 お母さんは半分ほっとして半分さみしく思いました。
 幸せな家庭の様子が見たい、こっそり家についていくと父親はまるで知らな
い男でした。
 お母さんは気づきました。
「人ちがいだった!」
 お母さんは今度こそ本当に我が子を探し出しました。
「あの顔だち、お父さんによく似てる。目はあたし似かしらね」
 お母さんはサルをこっそりと見守りました。
 サルは遊んでいました。
「わーい。木のぼりはたーのしいなー」
 そんなサルに子ネコが声をかけました。
「キミはそんな遊んでばかりだけど将来のことを考えたりしないのかい」
「そんなのどうでもいいよ! 今が楽しければいいじゃない! なんとかなる
なる! 大人になったら女の人にやしなってもらって遊んで暮らすのがボクの
夢なんだから!」
「最悪だ!」
 お母さんはガッカリしました。
 めでたしめでたし。

+かいせつ+

角川文庫の「三銃士」読んでます。
まだ最初の方だけど人形劇から入った身としてはあまりのちがいに戸惑いまし
た。
原作では三銃士はまだまだ血気盛んな若者だし、ダルタニアンは結構頭回って
ます。
人形劇では作品コンセプトを「ダルタニアンの成長」に置いてるんですね。
だから三銃士が経験豊富で落ちついたキャラなのはまだまだ未熟なダルタニア
ンを導き教える役割なんだからだと思います。
3人のそれぞれの価値観がそのときどきでダルタニアンを考えさせ、そしてた
まにダルタニアンの未熟なまっすぐさが逆に三銃士を動かしたりもするんでし
ょう。
子どもはダルタニアンと共感し、大人は三銃士の思慮の深さに学ぶとか、そう
いうのを言うのはウザいんでやめときます。

サイト
http://homepage3.nifty.com/shiki-buton/
メールアドレス
shiki-buton@nifty.com
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