2009/12/18
[RLCE091218] ルビュ言語文化教育 第312号
[2009-12-18] Revue Langue, Culture et Education, n.312 ###################################################################### [ 週刊 ] ル ビ ュ 言 語 文 化 教 育(RLCE) ─312号─ ###################################################################### ■ 312号 もくじ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ◇研究所より:理論と実践の接ぎ木 細川英雄 ◇お知らせ:学会発表募集,新しい論文(2),各種研究会,ほか ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 研究所より ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 理論と実践の接ぎ木 細川 英雄 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 最近は,社会構成主義や生態学的心理学が流行である。日本語教育のなかでも, こうした理論の影響を受けた研究が少しずつ出始めた。 ところが,このところ,いくつかの研究会に参加したり,論文を読んだりしな がら,ある一つの現象が気になっている。 理論的には,社会構成主義や生態学的心理学を標榜しつつも,教育実践の中身 は,従来型の考え方からほとんど出ていないものに多く出会う。 たとえば,社会構成主義は,社会における個人の主観と主観のせめぎあいのよ うなところから間主観性に注目する。そうすると,一つの答えを目指すような 実践は,その理論的帰結とはなじまないものになる。 しかし,教育現場では,たとえば,社会モデルにどう近づくか,そのためにど ういうタスクが必要かというような実践の方法が取りざたされる。 つまり,これまでの認知心理学的な学習観から一歩も出ていないにもかかわら ず,その枕には,社会構成主義や環境心理学の理念が振られるのである。 このように,理論と実践を簡単に接ぎ木するのは,大変に危ないと僕は思う。 この現象は,かつて70年代後半にコミュニカティブ・アプローチが理念であ り思想であると言われながら,いつの間にか実践の方法として定着してしまっ たことと酷似しているように思う。 90年代から起こった「学習者主体」の議論は,それまでの教育パラダイムを 転換させるに十分なインパクトを持っていたが,いつの間にか「学習者中心」 の方法と紛れてしまい,現在の教育現場の関心は,学習者主体の実践はどうす ればいいかというところにシフトしてしまっている。 理論と実践の接ぎ木は,よく考えられた末の,熟慮の産物としてありたい。 前回の言語教育とコーチングの関係についての記事には,大勢の方から様々な 反応をいただいた。コーチング礼賛のように受け止めた向きもあったようだが, 僕としてはむしろ,これをきっかけに,「傾聴」と「主体」の関係について考 えていきたいと思っている。 今年もようやく終わりに近づき,大学もそろそろ冬休みに入る。 しばらくお休みをいただき,来年8日(金)を次号としたい。 少し早めながら,みなさん,よいお年を。 (ほ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 300号企画:リレーエッセイ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 今週はお休みです。 ■ ご意見・投稿お待ちしています ■━━━━━━━━━━━━━━━━━ このメルマガの読者の方々から広くご意見を募集しています。言語教育・文化 教育にかかわることなら何でもお寄せください。この欄への魅力ある提言をお 待ちしています。 ご意見・ご感想等,投稿いただけるかたは,その旨を明記して, info@gbki.org 言語文化教育研究所 までメールでお送りください。300号記念,特集企画リレーエッセイへのご 投稿も受付中。新鮮なアイデア等もお寄せください。 1200名を超える読者があなたの意見をお待ちしています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ おしらせ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ━【本日!!!参加者募集】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2009年12月18日「ことばと文化の教育を考える会」第7回 教室の中と外を結ぶ日本語教育―ある帰国生の学びの軌跡から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●日時 :2009年12月18日(金)18:00~20:00 ●場所 :早稲田大学22号館8階会議室 ●入場 :無料 ●発題者:牛窪隆太(早稲田大学大学院日本語教育研究科)・尾関史(早稲田 大学日本語教育研究センター)・深澤伸子(早稲田大学大学院日本 語教育研究科)・渡貫善華(早稲田大学大学院日本語教育研究科修 士課程修了) ●趣旨:人やモノが移動する現代においては,様々な人が様々な事情で日本語 学習者として教室にやってくる。その中にあって,従来までの日本語教育の枠 組みでは捉えきれない学習者が出てきている。その一例が,幼少期を海外で過 ごし,日本に帰国した帰国生たちである。自らの日本語能力に不足を感じつつ も,周囲からは「日本人」とみなされることの多い彼らにとって,日本語を学 ぶこと,また日本語の教室はどのような意味を持つのだろうか。 本発表では,帰国生を対象に行った「活動型」の授業におけるある帰国生の学 びに注目し,当時の授業記録とその3年後に行ったインタビュー調査の結果を 質的に分析する。 教室活動をきっかけに見出したことは,その後,彼にとってどのような意味を 持ったのだろうか。その軌跡を教室の中と外の連続性の観点から描きだす。 その上で,帰国生にとって教室はどのような場であるべきなのかについてフロ アー参加者とともに考えたい。 直接会場へお越しください。みなさまのご参加をお待ちしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━【全文公開・頒布開始】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ WEB版『言語文化教育研究』8(2)・『言語文化教育研究』7&8合併号 http://www.gsjal.jp/hosokawa/workwgbk.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ WEB版『言語文化教育研究』8(2)が公開されました。掲載論文は, ●森元桂子・金龍男・武一美・坂田麗子「学習者が主体的に参加するとき―総 合活動型日本語教育の初級クラスの実践から」 ●田邉裕理「年少者日本語教育における『学び』の再考」 の2本です。 また,WEB版『言語文化教育研究』7,8(1),8(2)所収論文の完全 原稿を全て掲載した『言語文化教育研究』7&8合併号が公刊されました。 掲載論文は, ●「活動型日本語クラスにおける「活動を認識するための活動」の重要性― 「評価項目決め」活動と「終わりに」執筆活動の実践から」古賀和恵・古屋 憲章 ●「理解される存在,有能感を感じられるような情緒面での配慮の可能性―学 習者の自発的行為の動因分析から」河上加苗 ●「文法的に「正しくない」表現を担当者はどのように扱うべきか―形容詞の 否定形を中心に」松井孝浩 ●「他者との関係づくり」のための教室活動とは何か―「考えるための日本語 1」への参与観察を通して」古川奈美 ●「留学生活を支えるための日本語教育とその研究の課題―社会構成主義から の示唆」三代純平 ●「学習者が主体的に参加するとき ― 総合活動型日本語教育の初級クラスの 実践から」森元桂子・金龍男・武一美・坂田麗子 ●「年少者日本語教育における「学び」の再考」田邉裕理 の7本です。 発行部数が限られていますが,若干の余裕があります。実費+送料(計580 円)にてお分けすることができます。ご希望の方は,下に記載のニュース 「リテラシーズ研究集会「複言語・複文化主義と言語教育」」予稿集頒布・書 籍在庫頒布と同じ要領にてお申し込みください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━【1月5日締切:学会発表募集】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本語教育学会2010年度春季大会発表募集(2010年5月早稲田大学) http://wwwsoc.nii.ac.jp/nkg/menu-kobo.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010年5月22日(土)23日(日)に早稲田大学で開催される,日本語 教育学会2010年度春季大会では,発表者を以下の要領で募集しています。 ●応募締め切り:2010年1月5日(火)17:00事務局必着 ●応募方法:郵送(宅急便含む)または持込による応募のみ (Eメール添付やFAXでの応募は不可) ●応募資格:日本語教育学会員であること(パネルセッションは発表者の60 %以上の会員資格が必要) ●発表規定:日本語教育学会WEBサイトをご覧下さい。 http://wwwsoc.nii.ac.jp/nkg/taikai/tk-kitei.htm ※事務局年末年始休暇期間(12月29日~1月4日)は,入会手続きおよび 大会応募に関する問合せ等できませんのでご注意ください。 ふるってのご応募をお待ちしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━【1月6日:参加のお誘い】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 東京図書「教育研究活動デザインの会 第4回」細川英雄 1月6日(水)『研究が停滞しつつある人のために ― 研究と組織を結ぶ』 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 研究という行為を自分の問題としてイメージを持てない人,研究を職業にした いと考えている人,研究と仕事の間で悩んでいる人,研究が停滞しつつある人, 研究を社会にひらこうと考えている人たちに向けて,研究と教育という観点か ら見えてくる,研究と生活のさまざまな側面を一緒に考えてみたいと思います。 研究と教育という問題をめぐって関心をお持ちの方,さまざまな悩みを抱える 方,お誘い合わせのうえ,どうぞご参加ください。 なお,場所の関係上,人数に制限があります。参加ご希望の方は,事前申し込 みをお願いします。 ●日時:2010年1月6日(水)17:30~19:30 ●場所:東京図書株式会社(飯田橋駅徒歩3分:詳細申込後) ●定員:10名 ●問合せ・申込:東京図書編集部 高山(mtakayama@tokyo-tosho.co.jp) くわしくは, http://www.gsjal.jp/hosokawa/#news0914 をご覧下さい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━【新しい論文(2)】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 細川英雄「動的で相互構築的な言語教育実践とは何か」 2009年8月『社会言語科学』社会言語科学会 http://www.jass.ne.jp/activities_journal.html 細川英雄「ことばと文化を結ぶ教育へ―言語文化教育学構築のための自分誌の 試み」2009年10月『日語学習與研究』中華人民共和国教育部 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このたび社会言語科学会の依頼により「社会言語科学」第12巻1号(2009年 8月)に展望論文を執筆しました。 ●細川英雄(2009).動的で相互構築的な言語教育実践とは何か『社会言語科 学』12(1),32-43. ●細川英雄(2009).ことばと文化を結ぶ教育へ―言語文化教育学構築のため の自分誌の試み」2009年10月『日語学習與研究』第5期(144号). 「動的で相互構築的な言語教育実践とは何か」という,やや抽象的なタイトル ですが,これまでの日本語教育の実践と理論を大きく振り返りつつ,自分自身 の考えてきたことを総まとめしたもので,現在編集中の「早稲田日本語教育学」 7号(2010年3月発行予定)での特集「実践研究は何をめざすか」とも連動す るものです。 これからの言語教育はどこへ行くのか。日本語・国語・外国語ということばの 教育の連携と再編をめざした今後の議論のためにも,各位のご教示・ご叱正を いただければ幸いに存じます。 「ことばと文化を結ぶ教育へ―言語文化教育学構築のための自分誌の試み」は, 上の論文と一部重なりますが,昨年3月の中国北京日本学研究センターでの集 中講義がとりもつ縁で執筆したものです。今まで考えてきたことを研究自分誌 という視点から書いてみたものです。 あわせてご批判いただければ幸いです。 なお,上記の論文2本の抜き刷に若干の余裕があります。 実費+送料(計500円)にてお分けすることができます。ご希望の方は,下 に記載のニュース「リテラシーズ研究集会「複言語・複文化主義と言語教育」」 予稿集頒布・書籍在庫頒布と同じ要領にてお申し込みください。 ■ ご意見・投稿お待ちしています ■━━━━━━━━━━━━━━━━━ 関係の方々の著作・論文について掲載します。情報をお寄せください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━【予稿集頒布・書籍在庫頒布】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リテラシーズ研究集会「複言語・複文化主義と言語教育」 http://literacies.9640.jp/forum.html 『ヨーロッパ共通参照枠』後の言語教育とは。24の挑戦的予稿集152頁 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『ヨーロッパ共通参照枠』(CEFR)で提起された複言語・複文化主義の思 想は,世界の言語教育に対してどのような力を持つことになるのでしょう。ま た,こうした考え方は,言語教育だけの問題なのでしょうか。 この複言語・複文化主義をめぐって,リテラシーズ研究集会「複言語・複文化 主義と言語教育」では,外国語教育,国語教育,日本語教育および言語関係の 政策・制度等の諸分野・諸領域から,24の研究が発表されました。 「複言語・複文化主義」といういわばヨーロッパの理念が,非ヨーロッパ,特 に日本において,いかに受容し文脈化されるのか,最新の知見にあふれた予稿 集を,限定頒布いたします。 残部に限りがございます。先着順となりますことご了承下さい(なお事前申し 込みいただいた方には優先的に確保させていただいております)。 ●お申し込み方法------------------------------------------------------ メールにて,以下の要領でお申し込み下さい。 ・あて先:info@gbki.org ・メールのSubject:予稿集希望 ・メールの記入事項:お名前・ふりがな・郵便番号・住所・電話番号・冊数 ・代金支払:振替用紙を同封しますので,到着後お振り込みください。 1部500円+送料1冊ごとに80円 ★★★ 多数の申し込みをいただき,発送準備が遅くなっています ★★★ 毎週水曜日に発送作業をいたしておりますので,しばらくお待ちください。 なお,ご希望の方が大勢いらっしゃるため,品切れの節はご容赦ください。 本日現在,残部にまだ若干の余裕があります。お急ぎお申し込みください。 -------------------------------------------------------------------- なお,以下の書籍も販売します(書店販売はなくなっています)。 ●『「総合」の考え方と方法』「総合」研究会編(2003年) 1部500円(定価:1200円を58%割引!)+送料1冊毎80円 【メール本文に,「総合の考え方と方法:x冊」とご記入下さい。】 さらに現在,当研究所関連の資料・書籍の在庫整理を行っています。 ●『ことばの教育を実践する・探求する ― 活動型日本語教育の広がり』 ●『考えるための日本語・実践編 ― 総合活動型コミュニケーション能力育成 のために』 ●『考えるための日本語 ― 問題を発見・解決する総合活動型日本語教育のす すめ』 ●『研究計画書デザイン』・『論文作成デザイン』 はじめ,ホームページ等から参照されたもので,ご関心のあるものについてお 問い合わせください。格安にてお頒けします。 http://www.gbki.org/books.html http://www.gsjal.jp/hosokawa/workbook.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━【美術展開催中】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 在日フランス大使館開催[ノー・マンズ・ランド(No Man's Land)」展 解体前のフランス大使館旧庁舎を見る唯一のチャンス! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●開催期間:2010年1月31日(日)まで ●開催日時:木・日:10:00~18:00, 金・土:10:00~22:00 ●入場:無料 ●場所:在日フランス大使館(東京都港区南麻布4-11-44) 東京メトロ日比谷線「広尾駅」1番出口より徒歩7分 ---------------------------------------------------------------------- 大使館が,新庁舎に移転した後,旧庁舎においてがノー・マンズ・ランド開催 されます。国際的に有名な,あるいは頭角を現し始めた,フランスおよび日本 の多くのアーティストが参加します。作品は,そのほとんどが現場で制作され, 事務室,廊下,資料室,階段,地下室,中庭など,屋内外のあらゆる空間に展 示されます。 ヴィジュアル・アート,ファッション,デザイン,建築,パフォーマンスなど, あらゆるジャンルの創作を御覧いただけます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ この新著・新刊がおもしろい! 投稿募集 ■□■□■□■□■□■□■ 編集部に寄せられた情報の中から,話題の新刊を著者の自己紹介の形で紹介す るコーナーです。単行本,論文,報告を問いません。また,自薦も他薦を問い ません。1000~1200字程度で紹介をお願いします。自薦の場合,ご著 書も合わせてお送りいただけるとうれしいです。なお,編集部でコメント等を つけることもあります。投稿いただけるかたは, info@gbki.org 言語文化教育研究所までメールでお送りください。 1200名の読者が刺激に満ちた投稿をお待ちしています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 誌 名:ルビュ「言語文化教育」312号 発行日:2009年12月18日 発行所:言語文化教育研究所 〒169-8050新宿区西早稲田1-7-14 早稲田大学大学院日本語教育研究科705研究室気付 http://www.gbki.org/ 編集,発行責任者:細川英雄 http://www.gsjal.jp/hosokawa/ 配信システム:まぐまぐ http://www.mag2.com/ ─────────────────────────────────── 登録,解除の手続きは,http://www.mag2.com/m/0000079505.html


