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紅茶専門店 TEAS Liyn-an で行っている Liyn-an Tea Club の紅茶の実験結果報告。紅茶の常識に挑戦し、紅茶の真実を明らかにします。

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2008/06/21

Liyn-an Tea Club No.37 結果報告 「カテキン含有量を測ってみよう」

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           ◆ 紅茶の実験室 ☆ Liyn-an Tea Club ◆
                    No.37   2008.6.21
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  TOPICS 1: 第30回 結果報告 『カテキン含有量を測ってみよう』
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結果報告が遅くなりましてごめんなさい。

年々、忘れるのが早くなってますので、早いうちに書いていかなけ
ればいけないのですが。

それはともかく、5月26日、皆さんに集まっていただいて、お茶
のカテキン量の測定をして楽しんでみました。

今回は、実験というより、カテキン量を測って楽しんでみようとい
う会でした。


今回使ったのは、昨年、共立理化学研究所から発売になった、
「パックテスト緑茶タンニン (ZAK-RC)」という試験セットです。
           http://kyoritsu-lab.co.jp/seihin/shin/0710_1.html

同じものですが、買いこんだのがこれです。
http://liyn-an.com/tea_club/28/pactest01.JPG

今回は2セット買いました。

中には説明書と、標準色の比色表と、試薬の入ったチューブが入っ
ています。
http://liyn-an.com/tea_club/28/pactest02.JPG

チューブには、ナイロン?のラインが付いていて、このラインを引
き抜いて出来た穴からお茶の抽出液(濃い場合は薄めた液)を吸い
込みます。
お茶の抽出液を試薬と混合させることによって色が変わりますので、
その色を標準色と比べる検査方法になっています。
http://liyn-an.com/tea_club/28/pactest03.JPG

このパックテストは、緑茶に含まれるタンニン測定の公定法の、
「酒石酸鉄法」という測定法に基づいて緑茶のタンニンを測定でき
るように作られています。

前号でも書きましたが、緑茶では「酒石酸鉄法」で、紅茶や烏龍茶
では、「フォーリンデニス法」という測定方法がタンニン量を測る
ための公定法として定められています。

ですから、本来はこのパックテストでは、紅茶のタンニンの測定は
出来ないんですが、まぁ今回は遊びですから、紅茶も測ってみよう
というところなんですね。


で、今回は強力な助っ人をお呼びしました。

一昨年、私が愛知県の食品工業技術センターで紅茶の研究をしてい
たときに指導していただいた中莖さんです。
中莖さんは今年は愛知県の他部署になってしまったのですが、長年
食品工業技術センターでお茶を専門として研究されてきた、お茶の
専門家です。こういうタンニンの測定は朝飯前、という方なのです。


中莖さんには非常に詳しく説明していただいたのですが、私はそれ
を正確に表現できるほど詳しくありませんので簡単に要約すれば、
酒石酸鉄法とフォーリンデニス法とは、そもそも発色させるメカニ
ズムがまったく違うそうです。



ここで簡単にタンニン類とポリフェノール類とカテキン類の説明を
しておきます。

ポリフェノールとは、前号にも書きましたが、分子内に複数のフェ
ノール性ヒドロキシ基をもつ植物成分の総称です。

それに対してタンニンとは、収斂(しゅうれん)性を持ち、皮をなめ
したりすることの出来る性質を持った植物性物質の総称です。

ポリフェノールは、構造に基づいた分類名で、タンニンは物質の構
造ではなく、物質の性質に基づいた分類名ですから、もともとまっ
たく別の分類方法で、どちらがどうだと言えるものではないのです
が、一般的には、「ポリフェノールとタンニンと呼ばれる物質は、
ほぼ同じもの」と考えていいそうです。

では、カテキン類はというと、これは構造に基づく分類方法なんで
すが、「ポリフェノール(もしくはタンニン)と呼ばれる物質の中
にカテキン類がある。」と言っていいでしょう。

分類の広さという目で見ればこういう感じになります。

ポリフェノール類≒タンニン類>カテキン類

さらにカテキン類の中に、「緑茶タンニン」だとか、「烏龍茶ポリ
フェノール」とか一般に呼ばれている物質が存在しています。


で、酒石酸鉄法とフォーリンデニス法が、主に何を測っているかと
いうと、『フォーリンデニス法は、総ポリフェノール』を、『酒石
酸鉄法は、緑茶タンニン』をターゲットとして測定しているそうな
んです。


というような解説をしていただいて、実際に測定にかかりました。

まず、緑茶タンニンの測定キットですから、やぶきたの新茶を測っ
てみました。


こういう測定というのは、「正確に測れる範囲」というものがあり
ます。
このパックテストの場合は、1〜20mg/100ml が測れる範囲です。
でも、お茶は濃くはいっていたり薄かったり、さまざまですから、
測ろうとするお茶がこの範囲に入っていないと測定が出来ません。

そこで出来る範囲で正確に薄めてから測ります。

ここで中莖さんが電卓を取り出して計算して、「5倍希釈でいって
みましょう。」と言ってくれました。
そこで精密ばかりで測りながら水を足してお茶を5倍に薄めました。

パックテストのラインを引き抜き、その穴からお茶を吸い込みます。
一分ほど待ってから標準色と見比べてみました。

ここでも中莖さんの「見比べ方講座」。^^;
でも、ある程度遠くから見たほうが判りやすいとか、納得できる説
明ばかり。

今回のティークラブは、私自身、本当に勉強になりました。

標準色と比べた結果は、2.5mg/100mlでした。
ということは、5倍に薄めていますから、元のお茶のタンニンの量
は、12.5mg/100ml ということになります。

2煎目も測ってみたのですが、タンニンの量は、1/4程度に落ちてい
ました。

「3煎目がさらに1/4だとすると、1煎目から考えると、1/16。」
「美味しさは別として、カテキンの健康効果は期待出来ませんよね。」
というお話に、「 全員、納得!」 でした。


こういう事をしている間に、ネパールのジュンチャバリ茶園の紅茶
を、公定法に決められた抽出方法で抽出してみました。

共立科学のパックテストは、抽出されたお茶の測定をすることを前
提に作られているため、公定法で定められた抽出方法は書かれてい
ません。

でも、茶葉に含まれるタンニンを測定する場合には、出来る限り多
くのタンニンを抽出して、それも一定の濃さで抽出しなければなり
ません。そのための抽出方法がきちんと決められています。

ネパールの紅茶は、出来る限りその方法で抽出を行ったわけです。

その抽出方法はこうなっています。


   試料採取(三角フラスコ、0.1g)
      ┃
      ┣━━━ 熱水 50〜60ml
      ┃
   加   熱 (80℃ウォターバス中、30分)
      ┃
      ┃
   放   冷
      ┃
      ┃
   定   容 (100ml)
      ┃
      ┃


  以下は、ろ過したり試薬の加え方などが決められています。

抽出温度は80℃。抽出時間は30分です。
長時間抽出させているのは、数分で抽出した場合、抽出の途中で止
めることになり、時間の誤差によって抽出されるタンニンの量が変
わってしまう可能性が高いためです。
30分もかけて抽出すれば、25分でも35分でも殆ど変化があり
ませんから、一定の濃さで抽出することが出来ます。

最初の抽出で、試料0.1gはきちんと決められていますが、熱湯の量
が 50〜60ml と、非常に大雑把です。
「こんな大雑把なお湯の量でいいのだろうか?」と思うのですが、
抽出後、冷却(放冷)してから、「定容」という処置をします。
これは蒸留水を加えて、抽出液の容量を一定にする処置です。

つまり、抽出時にお湯の量を一定にしておいても、30分の抽出時
間のうちに蒸発してしまう水分もありますから、多少濃い目に抽出
しておいて、抽出後に蒸留水を加えて、蒸発分も含めて抽出液の量
を一定にするわけです。

こういう抽出方法を取ることによって、誰が抽出してもタンニンの
量が一定に抽出できるよう工夫された方法が、公定法の抽出法なの
です。


この、「抽出時間を長くして全て抽出させ、後から水分を加えて濃
さを一定にする。」という考え方は、リンアン流のアイスティーの
淹れ方と、まったく同じ考え方ですよね。

http://liyn-an.jp/howtoaffuse/icetea.html


こうやって抽出したネパール・ジュンチャバリ茶園の紅茶のタンニ
ンを測ったところ、約 5mg/100mlでした。



測定方法が判ったところで、今度はいろんな『 紅茶 』を淹れて、
みんなで、タンニンの量を測ってみることにしました。

淹れた紅茶は
  ・ダージリンファーストフラッシュ
  ・ダージリンオータムナル
  ・ウバ
  ・ディンブラ
  ・アッサム(CTC)
  ・キームン

これを今度は20倍に薄めて測定します。

スプーンで紅茶の抽出液を1杯入れて、それから水を19杯入れま
す。

ちゃんとした実験では、メスフラスコを使ったり、ピペットを使っ
たりします。最近では、ダイヤル式で定量が測れる、ピペットマン
なんてものもあったりします。

まぁ今回の実験は、ハッキリ測定できるのは1桁目だけというレベ
ルの測定ですから、スプーンで測るレベルでも充分です。

そうして測った結果はこうなりました。


  ・ダージリンファーストフラッシュ  3mg/100ml
  ・ダージリンオータムナル          3mg/100ml
  ・ウバ                            3mg/100ml
  ・ディンブラ                      2mg/100ml
  ・アッサム(CTC)                1.5mg/100ml
  ・キームン                        3mg/100ml


この結果を見て、みなさん、どう思われますでしょうか?

ダージリンのファーストとオータムナルについては、「その区別が
出来るほどの精度の測定が出来ない。」と考えればいいと思います
が、アッサムなどは、タンニンが多い紅茶の代表格です。

そのアッサムがタンニン量がいちばん少ない結果になっています。

これは何故か?

どうしてこんな、まったく逆の測定結果になってしまうのか?


よく見ると、発酵度の高い紅茶ほど、測定値が低くなっていると思
いませんか?


ここで、もう一度思い出してみましょう。


このパックテストは、緑茶タンニンの量を測定する公定法の酒石酸
鉄法で作られています。

そして、紅茶は、緑茶タンニンと呼ばれている
    エピカテキン、
    エピカテキンガレート、
    エピガロカテキン、
    エピガロカテキンガレート
が酸化重合して、
    テアフラビン、
    テアルビジン
に変化したお茶です。

ということは、発酵して緑茶タンニンが減ってしまっているのです。

それを、緑茶タンニンをターゲットにした酒石酸鉄法で測定したた
めに、発酵が進んだ紅茶ほど、測定値が小さくなったというわけな
んですね。

ネパール・ジュンチャバリ茶園のお茶は、「これは緑茶じゃないの
か?」というくらい発酵度の浅い紅茶です。
ですから、測定結果が、5mg/100mlという値になったのです。

ただ、酒石酸鉄法は、緑茶タンニンだけに反応するのでなく、その
他のタンニンにも反応して発色します。

しかし、その発色の程度は、緑茶タンニンでは一定ですが、その他
のタンニンが混ざっている状態では一定とはなりませんから、この
方法で測っただけでは、発酵が進んでいることは判っても、発酵の
度合いまでは測定できません。

もちろん、タンニン量自体も測定が出来ません。

だからこそ、発酵茶である烏龍茶や紅茶は、発色の原理をまったく
変えたフォーリンデニス法で測定しなければならないということな
んですね。

それにしても、発酵度というレベルで測れないにしても、緑茶のタ
ンニンの測定法で測ることによって、大雑把にでも発酵が進んでい
るかどうかが判るって、面白いですね。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
  ===   編    集    後    記   ===
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編集後記で書くことがどうかは判りませんが、先日、愛知県食品工
業技術センターで去年から保存試験をしている紅茶のタンニンの測
定をしてきました。

きちんとした測定の場合には、分光光度計という装置を使い正確に
測定します。これは、いつも私が使っている分光光度計です。
http://liyn-an.com/tea_club/28/bunkoh01.JPG

そうとう古いです。^^;
どれだけ古くても、原理的には簡単ですので正確に測れます。
もちろんもっと新しい分光光度計も有って、センターの皆さんは新
しい分光光度計を使われる事が多いので、この分光光度計は私専用
に近い状態になってます。

分光光度計という測定器は、安定した光を出すように作られた電球
の光をプリズムによって一定の波長の光だけを取り出し、その光が
どれだけ吸収されるか(吸光度といいます)を正確に測るように作
られています。

試料は、石英ガラスで精密に作られたセルに入れて、分光光度計に
入れます。
http://liyn-an.com/tea_club/28/bunkoh02.JPG

この写真では右側から光が当たり、左側で通過した光の強さを測る
ようになっています。

測定しようとする試料を測る前に、基準となる物質の溶液を作り、
その濃さを変えてそれぞれの吸光度を測定します。

その測定結果から、その基準物質の量と吸光度の関係を示す線(検
量線といいます)を書き、その検量線をものさしにして、「これだ
け光を吸収したから、タンニンの量はどれだけですね。」と測定す
るのです。

緑茶タンニンの測定に使われる酒石酸鉄法は、没食子酸エステルと
いう物質を基準にして検量線を描きます。その1.5倍が緑茶タンニン
の量だということが判っていますので、描いた検量線を元に、計算
してタンニン量を求めます。

没食子酸エステルを電子天秤で正確に測って、標準液を作って、さ
らに正確に希釈して、って、酒石酸鉄法とフォーリンデニス法と、
ふたつの方法で測っていたら、慣れていないこともあって、4種類
測るだけで丸一日かかってしまいました。

それが、今回の共立科学製のパックテストでは、精度が低くても、
実に簡単に測れてしまいました。

是非、皆さんもいろんなお茶のタンニンを測ってみてください。

1煎目と2煎目と3煎目がどう違ってくるか? とか、緑茶を焙じる
と緑茶タンニンはどう変化するか? とか。
煎茶と玉露はタンニン量がどう違うか? という測定も面白いです。

小学校のお子さんのいる方は、夏休みの自由研究に最適ですよ。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
        責任編集:堀田信幸      有限会社リンアン
        488-0837 愛知県 尾張旭 市庄中町 鳥居1820
        TEL 0561-53-8403    FAX 0561-53-8405
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