Liyn-an Tea Club No.35 結果報告 「茶経の謎に挑戦」
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◆ 紅茶の実験室 ☆ Liyn-an Tea Club ◆
No.34 2007.11.1
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TOPICS 1: 第30回 結果報告 『 茶経の謎に挑戦 』
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10月22日 5名の方に集まっていただき、 Liyn-an Tea Club を開催
しました。5名にマダム +私 で総勢7名での実験でした。
今回のテーマは、『 茶経の謎に挑戦 』
世界最初の茶書と言われる「茶経」で、陸羽は、「五之煮」におい
て、お茶を煮るとこんな風になると書いています。
『 第一煮水沸而其沫之上有水膜如黒雲母 』
著名な茶経研究家の故布目潮風(フウはサンズイに風)先生は、その
著書のなかで、
「第一煮(一沸と同じ)は水が沸騰すると、その沫
の上の水膜が黒雲母のようになったのを棄てる。」
という訳文を付けていらっしゃいます。
この 『 水膜如黒雲母 』 は中国でも日本でも、いろんな方が挑戦
されていらっしゃるそうなんですが、そんな膜は出来すに、ひとつ
の謎になっているそうなんですね。
その謎に挑戦しようというわけなんです。今回は。
注目したのは、「五之煮」でも少し前に書かれているこの部分です。
『其水用山水上 江水次 井水下 [舛賦所謂 水則岷方之注 揖彼清流]
其山水揀乳泉石池慢流者上 其瀑涌湍漱 勿食之 久食令人有頸疾
又多別於山谷者 澄浸不曳 自大火至霜郊以前 或潜龍蓄毒於其間
飲者可決之 以流其悪 使新泉涓涓然酌之 其江水取去人遠者 井取
汲多者』
舛 は、クサカンムリが付きます。
曳 は、サンズイが付きます。
漢文に詳しい人以外はなんのことかわかりませんので、布目先生の
訳文を引用します。
> (茶を煮立てる)水は、山水を用いるが上等。江水が次等。井水は
> 下等。[舛の賦に「水は岷山地方から注いでくるのがよく、彼の清
> 流を揖む(くむ)」とある]。
> その山水では、乳泉や石の多い池の慢やかに(ゆるやかに)流れて
> いるのを揀らべば(えらべば)上等。
> その瀑しく(はげしく)湧きたつ急流の水を飲んではいけない。そ
> んな水を飲み続けると頸(くび)の病気になる。
> さらに、山の谷間に多く分流している水は、澄み浸みこんで外に
> 洩れない。そういう水は大火から霜降の時節以前までは、或いは
> 潜んだ龍が毒をそのなかに蓄えているかもしれないから、飲む人
> は水路をひらいて、悪い水を流し、新泉のちょろちょろ流れてい
> るのを酌むのがよい。
> その江水は人里から遠く離れているのを組む(くむ)。
> 井水はよく汲まれるのを組む。
茶経のこの項を引用する場合は、
『山水を用いるが上等。江水が次等。井水は下等』
この部分だけが引用され、「陸羽は山の水が良いと言っている。」
としていることが多いのですが、その後にはもっと重要な事が書か
れているのです。
> その山水では、乳泉や石の多い池の慢やかに(ゆるやかに)流れて
> いるのを揀らべば(えらべば)上等。
ここで、「乳泉」とは鍾乳洞のようなところで、よく石灰で白くなっ
た池のところをきれいな水が流れている風景を見ることがあります
よね。「乳泉」とは、そういうところなのです。
つまり、『 乳泉を流れている水=硬水 』なのです。
それも石灰が沈殿するような水ですから、相当な硬水でしょう。
陸羽は、お茶を淹れる水として、鍾乳洞の硬水が1番だと言ってい
るのです。驚きでしょ。これって。
ということで、陸羽が使っていた水が硬水だとすると、
『 其沫之上有水膜如黒雲母 』
「 その沫の上の水膜が黒雲母のようになったのを棄てる。」
というのが、「ははぁ〜ん。あれのことかな?」と思う人もいらっ
しゃるのではないでしょうか。
イギリスで紅茶を飲んで、翌日までほっておいたら、紅茶の上面に
ドブのような膜が出来ていた。
そんな経験したことのある方はいらっしゃいませんか。
硬水で紅茶を淹れておくと、だんだん黒い膜が出来て紅茶の表面を
覆っていきます。
この膜を専門用語で、「 スカム(scum)」というのですが、この硬
水で出来たスカムのことを、陸羽は、
『 水膜如黒雲母 』 と表現したのではないでしょうか?
ということで、今回の実験となったわけです。
実験は、出来る限り、といっても限界がありますが、可能な範囲で
茶経の通りに再現してみました。
まず、陸羽が使ったお茶がどんなお茶だったのか?
これは茶経の「三之造」に当時の製茶方法が書かれているのですが、
それほど詳しく書かれているわけではなく、その前の「二之具」で、
当時の製茶道具とその使い方が書かれていまして、そこを読むこと
によって、同時、どんなふうにお茶が作られていたかがわかります。
原文、訳文を詳しく書いていると長くなりますので、ちゃんと読み
たい方は、こちらを読んでください。
http://tankosha.co.jp/cgi-bin/bookdetail.cgi?pc=0000001836-000000
茶経の「二之具」では、まず茶摘み籠の解説があり、次に竃(かまど)
について書かれています。
その次が『 甑:そう 』で、これは、「せいろ」の事で、茶を摘んで
から蒸していたことが判ります。
その次は『杵臼:しょきゅう』で、字のごとく、杵(きね)と臼(うす)
ですから、蒸した茶葉を餅のように突いていたことが判ります。
その次は『規:き 』で、これは型の事だそうです。
つまり、杵と臼で突いた茶葉を型に入れて押して整形しているわけ
です。つまり今で言う餅茶、磚茶、沱茶といったような固形化した
緊圧茶だったわけです。
次は『承:しょう』。これは訓読みで「うける」という所からもわ
かるかと思いますが、受け台。つまり作業台のようなものですね。
さらに次は『檐:えん』といい、受け台に敷く布なんだそうです。
次が『比莉:はり』。比は、くさかんむりがつきます。
これは担架のような形で、竹の棒と竹の皮で作られていて、型で押
した茶をこの上に並べて乾かすのだそうです。
次は『檠:けい』。この字でいいのかどうかわかりませんが、こん
な感じの字で、キリの事でだそうです。
キリで乾かしたお茶に孔を開けます。
さらに『撲:ぼく』これは棒の意味なんですが、「茶に通して解き
ほぐす」と言うようなことが書かれていて、どういう使い方をする
のかはっきり判っていません。ただ、キリで開けた穴に通して、お
茶どおしをくっつかないようにしていたのではないかと想像されて
います。
次は『焙:ほう』「あぶる」という漢字からわかるように、要する
に乾燥炉ですね。
固めた茶にキリで穴を開けて棒を通してお互いがくっつかないよう
にしてこの乾燥炉で乾燥させたのではないかと思われています。
でもその次に『貫:かん』が出てきてこれは「串」だとされていま
すので、だったらさっきの「撲」はどうつかったんでしょうか。
焙っている途中でくっつかないようにするための棒?
次が『棚:ほう』。これは字のごとく、「たな」です。
焙(乾燥炉)の上の棚の部分だそうです。
次は『穿:せん』竹を割って作ってあり、焙で乾燥させたお茶に通
してひとまとめにしておくのだそうです。
最後が『育:いく』
これは貯蔵庫のような物なんですが、下に熱い灰や、梅雨時には火
も焚くことがあるようで、今で言えば、カメラのレンズにカビが生
えないように保存する除湿庫みたいなものでしょうか。^^;
まぁともかく、陸羽の飲んでいたお茶はこんなお茶ですから、蒸し
緑茶の緊圧茶(固形茶)の焙煎のかかったものだったことがわかりま
す。
で、こういうお茶を探したのですが、見つかりませんでした。
お茶が無ければ実験が出来ません。
『無ければ作る!』しかありませんので、作ってしまいました。^^;
と言っても、手元に生の茶葉があるわけではありません。
幸い日本の緑茶は、『蒸し緑茶』ということは、煎茶を蒸し直して、
突いて固めて焙煎すれば、比較的近いお茶が出来るということです
よね。
ということで、我が家にあった煎茶を中華せいろで蒸し直し、湯飲
みに入れてすりこぎで突き倒し、布巾で包んで揉みながら絞り上げ
て固めたのがこのお茶です。
http://liyn-an.com/tea_club/27/001.jpg
最後の焙煎は、150度のオーブンに入れて20分火入れをしてあります。
この焙煎はどんな条件だったのか?
全くわかりませんので、「まぁこれくらいでしょう。」というとこ
ろです。
これでお茶は準備が出来ました。
次はこのお茶を陸羽がどうやって淹れて飲んだか?
これは茶経の「五之煮」に書かれています。
陸羽は、ます塊のお茶を火で炙っています。
まず、風のあるところの火のような激しい火ではダメで優しい火で
平均に炙らなければダメだと言っています。
そして結構しっかり炙っています。ただ、
「火で乾かしたのなら火気が熟ったら止め、日で乾かしたのなら、
柔らかくなったら止める。」と書いてあるところを見ると、火で
炙るだけではなく、陽に当てて乾かす場合もあるようです。その場
合、そんなに炙れるわけが無いので、この辺りも謎のひとつです。
で、今回はとりあえず炭火で炙ってみました。
http://liyn-an.com/tea_club/27/002.jpg
要するに保存中に湿気ってしまったお茶では次の工程の粉にすると
きに困るためにしっかり乾燥させるのが目的だろう、という仮定で、
「作ったばかりで元々乾燥してるからこれくらいでいいかな。」
といった感じで炙ってます。
炙った次は、熱くなったお茶を冷まします。
陸羽は、茶葉が至って柔らかい場合は製茶時に突く工程で芽の部分
は残るがそういった場合、力持ちがキリで突いてもくずれない。な
んて事も書いています。
実際に私の作ったお茶の塊は、非常に固く、手ではくずれませんで
したので、キッチン バサミで削りました。
http://liyn-an.com/tea_club/27/006.jpg
その前に熱くなったお茶を冷まさなければいけません。
その固くなったお茶を火で炙ると、赤ちゃんの腕のように柔らかく
なるので、熱いうちに紙袋に入れておくと、香りが逃げなくて良い。
と書いてまして、「四之器」には、紙袋はどこどこの紙がよくて、
とも書いています。
ということで、和紙で紙袋を作って、入れて冷ましました。
http://liyn-an.com/tea_club/27/003.jpg
そして薬研(やげんって、知ってますか?)のような茶研(ちゃげん)
で粉にします。
参考http://www.eisai.co.jp/museum/history/b1000/0100.html
もちろん薬研も茶研もありませんので、すり鉢で粉にしました。
http://liyn-an.com/tea_club/27/007.jpg
どれくらい細かくすればいいかですが、「上等なのは米の粉のよう
で、下等なのは菱の実のようだ」と書かれていましたので、これく
らいまですりました。
http://liyn-an.com/tea_club/27/008.jpg
さて、これでやっと煮ることが出来ます。
ここまででもけっこう大変。お茶を煮るって、大変な事だったんで
すね。
で、どういう釜で煮たらいいのか?
これは、「四之器」に書かれています。
「釜は生鉄(鋳鉄:鋳物)で作る。」となっています。釜をどんなふう
に作るかも書いてあり、磁器や石で作るところもあると書いていま
す。また銀で作ることも書かれていますが、磁器や石では長持ちせ
ず、銀では高すぎるので、結局鉄だろう、と結論づけています。
ここで陸羽が鉄の釜を推奨していたことが判るのですが、これは今
回の実験でも重要かもしれません。
というのは、目的の黒雲母のようなスカムの形成に、鉄分が関与し
ている可能性が否定できないと思うのです。
そうなれば、今回の実験でも、鉄の鋳物の容器を使わなければいけ
ないことになります。
茶の湯の釜を使おうかとも思ったのですが、それでは中が見えない
ので、鉄鋳物のフライパンを買ってきました。
次に問題は、「どれくらいのお湯で、どれくらいの量のお茶を使う
のか?」というところです。
これも「四之器」の「則」のところに書かれています。
この「則」とは茶杓のことで、「水一升を煮るのに粉末にしたお茶
を一寸四方の匙に1杯使う」という事になっています。
当時の一升は、現在の0.6リットルだそうです。
一寸四方の匙というのは、中国で茶器が出土していまして、陝西省
の法門寺博物館に展示されているのですが、すくう部分の長さが約
4.5cmだそうです。つまり、カレーのスプーンくらいの大きさですね。
で、カレースプーンにすり下ろした茶葉を小山にして重さを測って
みました。重さは7.2g
今回使った鉄鋳物のフライパンは、余裕を持つと、0.3リットルしか
お湯が入りません。
ということで、今回は、
湯量 0.3リットル 茶葉(粉末)3.7g(アバウトです。^^;)
で実験しました。
使った水は硬水中の硬水。コントレックスです。
http://liyn-an.com/tea_club/27/004.jpg
硬度は1551度
http://www.contrex.co.jp/docs/what/index_2.html
で、実際の煮方は、「五之煮」に書かれています。
まずはお湯の湧く様子の用語説明です。
細かい泡が出始めた時を、「一沸」と呼んでいます。
泡が連なって釡の縁の湯面がくらくらし始めたときが、「二沸」。
グラグラ煮立っているときを、「三沸」としています。
どの沸き方の時に、どうするかがこの後に書かれています。
初沸(一沸)の時に塩を入れて味を整えます。
なんと塩を入れているのです。
それがどんな塩だったのか? そしてどれくらいの塩味だったのか?
岩塩だったのか、海の塩だったのか?
少なくとも、現在の精製塩(純粋な塩:NaCl)で無い事だけは確かです。
もし、今回の実験に影響するとしたら、塩に含まれるマグネシュウ
ムでしょう。
何故なら、「乳泉の水」鍾乳洞のようなところの水ですから、カル
シュウムは、水自体に相当含まれているはずです。
今回はドイツの岩塩を使いました。
http://liyn-an.com/tea_club/27/005.jpg
この岩塩には、100gあたり、20mg のカルシウムと、10mg のマグネ
シウムが含まれています。
次はその塩をどれくらい入れればいいのか?
それは茶経には書かれていません。ならば試すしかありません。
とりあえず1%の食塩を作り、それを薄めながら味を見て決めまし
た。
まず1%食塩をスプーンに1杯、水を4杯加えます。
つまり5倍に薄めたわけですから、食塩量は0.2%。
これで味を見たのですが、「まぁこんなもんかな。」ということで
食塩量は0.2%に決定。
鉄鋳物のフライパンが0.3リットルですから、岩塩の量は0.6g
これを正確に計って準備。
二沸の時に、お湯を一勺汲み出しておきます。
http://liyn-an.com/tea_club/27/010.jpg
そして竹筴(ちくきょう)でお湯をぐるぐるかき回し、その中心に測っ
ておいた粉末の茶葉を入れます。
http://liyn-an.com/tea_club/27/011.jpg
竹筴とは、竹の菜箸のような物なんですが、先に銀が被せて有った
りします。
その銀の影響も考えられないことは無いのですが、さすがに銀を被
せた菜箸なんて準備できませんから、普通の竹製の菜箸を使いまし
た。ちなみに100円ショップで買いましたから、きっと中国の竹
でしょう。^^;
しばらくしてお湯が沸き立ってきたら汲み出しておいたお湯でその
沸きを止めます。
これ、茶の湯でもしますよね。ただし、茶の湯の場合は水差しに入っ
ているお水ですが。
あの所作は、この陸羽の茶道の名残かもしれません。
ともかく、陸羽はこうしてお茶を淹れて飲んでいました。
今回の実験も、基本的にその通りにしました。
これが三沸の時の煮上がったお茶です。
http://liyn-an.com/tea_club/27/012.jpg
陸羽は炭の火でそれをしているのですが、今回はガスレンジ。
結果として沸くのが早すぎたようです。それがどれだけ影響してい
るのか?
ともかく、『 水膜如黒雲母 』 は出来たのか?
想像したような、硬水の紅茶が冷めたときのような膜は出来ません
でした。
強いて言えばこんな感じの膜が出来ていました。
http://liyn-an.com/tea_club/27/014.jpg
これを『 水膜如黒雲母 』と言えるのかどうか。陸羽はこれに対し
て『 水膜如黒雲母 』と言ったのかもしれませんし、条件次第でもっ
とはっきりとした『 水膜如黒雲母 』が出来ていたのかもしれませ
ん。
それを飲んでみた感じですが、塩が入っていることもあって、
「お茶を使ったスープ」を飲んでいる感じでした。
陸羽は、「お茶は何も入れずに純粋にお茶だけで味わうべきだ。」
と言っています。
それにもかかわらず、『なぜ、塩を入れているのか?』というのも、
茶経の謎のひとつなんですね。
でも、実際に飲んでみて感じたのは、「陸羽のお茶は、現代の感覚
で言うと、『お茶のスープ』ではないか? 」ということです。
陸羽以前は、お茶にいろんな材料を入れて煮込んで、いわば野菜スー
プとしてお茶を利用していました。
もちろん、他の具を入れすに飲んでいる例もたくさん有るのですが、
茶経を読む限り、野菜スープとしての利用が中心だったようです。
そこから余分な具材を抜いていくとどうなるでしょうか?
「 残った材料はお茶だけ。」
有る意味、塩に関しては材料ではなく、入っているのが前提だった
のではないでしょうか?
だとすると、「純粋にお茶だけ(のスープ)で楽しむべきだ。」と書
いたということになります。
塩を先に入れているのも、そういう意味かもしれません。
塩で味を調えたお湯に入れているのは、『お茶だけ』ですから。
さて、今回の実験では、『 水膜如黒雲母 』に関しては、出来たと
も言えるし、出来なかったとも言える結果でした。
これをもう少し科学的に考察してみましょう。
硬水によって出来るお茶のスカムに関しては、独立行政法人 農業技
術研究機構 野菜茶業研究所 の堀江秀樹先生が、2001年の茶業技術
研究会で研究発表をしていらっしゃいます。
その研究発表の講演要旨では、実験結果として、
紅茶>ウーロン茶>>緑茶 の順番に膜の量が多いことが報告され、
考察では、
「油膜状物質は弱アルカリ性のもと、カテキン類ポリフェノールと
カルシウムイオンが共存し、保温されている場合に生成する。」と
しています。
参考文献: 茶業研究報告 第92号 日本茶業技術協会 平成13年11月
これを参考に今回の実験の失敗を考えてみると、陸羽のお茶は、製
法を見る限り緑茶なんですが、蒸すまでにある程度時間が経って、
若干醗酵していたのかもしれません。
その他にも、今回は日本の煎茶を蒸し直して固形茶にして実験して
いるのですが、現代の日本茶はカテキン類の渋味より、テアニン類
の味を重視しています。
そのために、大量の窒素肥料を入れて栽培しています。
これは陸羽の時代はもちろん、現代の中国でも有り得ない栽培方法
です。
そしてそのテアニンは日光によってカテキン類に変わっりますから、
これが『 水膜如黒雲母 』がはっきりできなかった原因かもしれま
せん。
また、今回はガスコンロで煮たため、急激に加熱し、急激に沸騰を
止めていますが、陸羽の場合は炭火ですので、もっとじっくり煮て
いるはずです。
そのため『 水膜如黒雲母 』の形成時間がたっぷり有ってスカムが
形成しているのかもしれません。
こういう点では、容器の関係で今回は0.3リットルで実験したのです
が、本来の0.6リットルであれば、もっと保温性が良く、スカムの形
成も促進されたはずです。
失敗の原因はいろいろ考えられますが、ちょっとだけでも陸羽のお
茶の世界が見てて来たような気がします。
これはもう一度リベンジしてみなければいけませんね。
もう何年も放置された山茶のような茶畑を見つけて、その茶の木の
葉で茶経に忠実にお茶を作って、もっと大きな鋳鉄の釜で炭火を使っ
てゆっくり煮て、それで『 水膜如黒雲母 』が出来るのかどうか?
すぐにはできませんが、そのうち試してみましょう。
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=== 編 集 後 記 ===
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今回のティークラブ、実験も大変でしたが、メルマが書きはもっと
大変でした。
布目先生の茶経詳細のあっちこっちを開きながら原文を書き写して、
でも現在は使わない文字の連続、さらに中国でさえも使われていな
い文字まであって、茶経の原文を引用するのは諦めました。
布目先生の訳文だけでも、とも思ったのですが、これもまたカッコ
の部分が多くて引用しても読みにくい。あまり引用が多すぎると著
作権上問題ですし、もう要旨を書いて、とさせていただきました。
でも、面白かったですね。今まで謎とされていたことが、茶経の通
りに再現することで、多少なりとも絡んだ糸がほぐれて来るのです
から。この続きはいつかどこかで、絶対にやります。出来ればもっ
と大々的に。
さて次回のティークラブですが、次回は2月くらいに開催しようと
思っています。
これから年末年始はとてつもなく忙しくなりそうなので二月ころに。
まだテーマは決めていませんが、面白いテーマを思いついたらまた
このメールマガジンでお知らせしますので、お時間のある方はぜひ
ご参加ください。
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責任編集:堀田信幸 有限会社リンアン
488-0837 愛知県 尾張旭 市庄中町 鳥居1820
TEL 0561-53-8403 FAX 0561-53-8405
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