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紅茶専門店 TEAS Liyn-an で行っている Liyn-an Tea Club の紅茶の実験結果報告。紅茶の常識に挑戦し、紅茶の真実を明らかにします。

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2007/08/14

Liyn-an Tea Club No.34 結果報告 「紅茶の光劣化」 第30回 Liyn-an Tea Club 開催のお知らせ

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           ◆ 紅茶の実験室 ☆ Liyn-an Tea Club ◆
                    No.34   2007.8.14
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  TOPICS 1: 第29回 結果報告 『 紅茶の光劣化 』

  TOPICS 2: 第30回 Liyn-an Tea Club  開催のお知らせ
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8月6日 8名の方に集まっていただき、 Liyn-an Tea Club を開催
しました。4名にリンアンのスタッフ1名、+マダム +私 で総勢
7名での実験でした。

今回のテーマは、『 紅茶の光劣化 』

よく「紅茶を劣化させるのは、 湿気と光 だ。」と言われます。

でも、私の実感としては、湿気は劣化させると言ってもまださほど
気にしなくても大丈夫そうです。

光に関して言えば、これはもう絶対に避けて欲しい。

ただ、紅茶が光で急速に劣化するということはわかっているのです
が、どんな条件でどの程度劣化するのか、どんな色の光で紅茶は劣
化するのか、という事になると、全くわかっていないのが現状です。


「光の害」というと、まず思い浮かぶのが紫外線の影響ではないで
しょうか?

光はその波長が短ければ短いほどエネルギー量が多くなります。
光を虹の七色で説明すれば、紫、藍、青、緑、黄、橙、赤 の順で波
長が 長くなります。
紫の波長が最も短く(周波数が高い)、赤の波長が最も長い(周波数が
低い)です。

実は、この虹の七色 の外側にも人間には見えない光があり、赤の外
側(周波数の低い側)に有るのが、赤外線で、紫の外側(周波数の高い
側)にあるのが紫外線となります。

紫外線は紫のさらに外側ですから、その波長は紫よりさらに短くなっ
ています。
ということで、紫外線のエネルギー量は非常に多く、一般的には劣
化に与える影響が大きいと考えられます。


    さて、本当にそうなのでしょうか?
          紅茶の場合もそうなのでしょうか?


というのが、今回の実験でした。

準備したのはこれだけのサンプル
 http://liyn-an.com/tea_club/25/hikari.jpg


左から順番に

1. 透明ポリ袋入 (HEIKO クリスタルパック OPP)
http://www.shimojima.co.jp/products/kaseihin/index.html

2. 紫外線防止フィルム(サンワサプライ JP-UVA4)
http://www.sanwa.co.jp/product/syohin.asp?code=JP-UVA4&cate=5

3. 赤色セロファン紙

4. 黄色セロファン紙

5. 緑色セロファン紙

6. 青色セロファン紙

7. アルミ箔

2〜7は全て、透明の袋(OPP)で包んでから各フィルムで包みました。

紫外線防止フィルムですが、どんな物を使うか迷った結果、少量で
買えるインクジェットプリントの保護用フィルムを使うことにしま
した。

でも、出来ればどんな風に紫外線をカットしているのか知りたいじゃ
ないですか。そこで数社に問合せした結果、ちゃんと測定データを
出してくれたサンワサプライの製品を使うことにしました。

その測定データはここにあります。
                http://liyn-an.com/tea_club/25/JP-UVA4.gif

見事! と言ってもいいくらい可視光線を通して紫外線領域をカット
していますね。


このセットを3セット作り、

A: 8日間、室内光 暴露
B: 3日間、室内光 暴露
C: 1日間、室内光 暴露

暴露場所は、お店のカウンター内の棚の上です。
光としては主に白熱電球光。一部、電球型蛍光灯(電球色)の光が当
たっています。
直射日光は全く当たりません。


茶葉は、スリランカ・ディンブラ・ストラスペイ茶園を使いました。
http://liyn-an.jp/catalog/452375400744.html


こうしていろんな光を当てた紅茶の葉を、皆で飲み比べたわけです。


評価方法は好きな順番を答えていただきました。

この方法では、紅茶の好みによって順番が変わってしまいますから、
正確なデータにはなりませんが、「どんな紅茶を美味しいと思うか」
も含めて、ある程度の評価にはなります。

「これとこれと、どちらとも言えないよね。」という場合には両方
ともその平均で回答していただいています。


さて、その結果です。暴露は8日間。
┌───┬────────────────────┬───┐
│       \試験者No.                              │      │
│ サンプル\   1   2   3   4   5   6   7  │合計  │
├─────┼──────────────────┼───┤
│      透明│  7    7    7    7    7    7    7   │ 49   │
│        赤│  2.5  4    6    2.5  5    5    5   │ 30   │
│        黄│  4    5    5    5    6    4    2   │ 31   │
│        緑│  5    2    2.5  4    4    2    3.5 │ 23   │
│        青│  6    3    2.5  2.5  3    3    3.5 │ 23.5 │
│紫外線防止│  2.5  6    4    6    4    6    6   │ 32.5 │
│  アルミ箔│  1    1    1    1    1    1    1   │  7   │
└─────┴──────────────────┴───┘


好きな順番ですから、合計点の少ない方が、「美味しい」と判断さ
れた事になります。


飲み比べた結果、正直なところ、「こんなに差が小さかったっけ?」
と感じました。

というのは、以前、クリスマスツリーのオーナメント代わりに透明
の袋に入れて一週間たった紅茶を飲んでみたことが有るのです。
その時は、「こんなに不味くなるんだ。」と感じた事が有ったから
です。

今回はその時より暗い場所だったためか、その時ほどの差は感じま
せんでした。

でも、味の差は前回ほどではなくても、香りの差はハッキリとわか
りました。透明の袋に入れておいて紅茶は、ハッキリと梅干しのよ
うな香りがするのです。けっして美味しそうな香りとは言えません。

香りほど差は無いものの、上のデータを見れば味にもハッキリした
違いがあるのは明らかですね。

参加者全員がアルミ箔に包まれた、全く光の当たっていない物を一
番美味しいと感じ、透明の袋に入れた物を一番不味いと感じていま
す。

今回はブラインドテストではありませんから、この結果を正直に受
け取ることは出来ませんが、それにしてもここまでハッキリ差が出
れば、透明の袋に入れた紅茶の劣化は明らかだといえるでしょう。


赤・黄色の波長の長い光と、緑・青の波長の短い光では、波長の長
い光の方が劣化(不味くなったと感じる品質の変化)が大きいようで
す。


実はこの、「赤い光の方が劣化が激しい。」という結果は、私が秘
かに期待していた事でした。


「紅茶の劣化は紫外線ではなく、赤い光によって起こる。」
私は、こういう結果を期待していたのです。


話は飛びますが、「お茶の葉入りのクッキーは、お茶のカテキンの
抗酸化作用が有るはずなのに、酸化劣化が早い。」という事実をご
存じでしょうか。


これは、愛知県食品工業技術センター の中莖先生の研究の結果で 
判ったことなんですが、お茶の葉は当然、カテキン類だけでなく、
葉緑素(クロロフィル)も持っています。
そのクロロフィルは光が当たると、酸素を活性化させてしまうため、
光を当てるとクッキーの油の酸化が進んでしまうのです。

参考:  茶のサイエンス  武田善行他   筑波書房
      http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-8119-0258-6.html


その時クロロフィルが使っているのは、赤い光なのだそうです。
つまり、葉緑素は当然、緑色。「緑色に見える」ということは緑色
を反射しているわけです。従ってたくさん吸収しているのは、緑色
の補色に当たる赤色。という事になります。


もし、紅茶の光劣化がこのクッキーと同じ現象であれば、赤い色で
の劣化が大きいはず。

そう思って実験結果を楽しみにしていたのですが、予想通り、青色
系の光より、赤色軽の光の方が紅茶は劣化していました。

ということで、もしかしたら、紅茶の葉の光劣化には、クロロフィ
ルが関係しているかもしれません。

と、まぁ、この辺りは期待通りになったのですが、これで、「紅茶
の葉の劣化は赤い光によるクロロフィルの影響だ。」なんて断定は
間違っても出来ないんですね。これだけの実験では。


実験の最後に参加者のお一人が言われた、「でも、何色のセロファ
ンがどれだけの光を通すか判っていないじゃないですか。だからこ
れだけでは赤い光での劣化が大きいとは言えませんよね。」という
発言がこの実験だけで結論を出せないことを象徴しています。

まさにその通りで、赤いセロファンの方が光を通しやすいかもしれ
ません。実際に赤いセロファンと青いセロファンを比べてみると、
青いセロファンの方が暗く感じます。

その上さらに、今回当たっているのは電球の光です。

写真を趣味とされている方はよくご存じですが、光には「色温度」
と言うものが有り、色温度の低い光は赤い成分をたくさん含んでい
ます。

今回は色温度の低い電球の光ですから、どちらかと言えば赤い成分
の多い光なんですね。

もしかしたら、太陽光のような光だったら、青色系の光の方が劣化
が激しかったかもしれません。そういう可能性は充分に有る結果だ
と言えます。


結果は、可視光線内では、たまたま、赤・黄色系 と 緑・青色系で
傾向がハッキリしましたが、試飲していてどちらが美味しいという
ことは判定を付けにくいレベルだと感じました。

明らかに不味くなっているのですが、「どちらがより不味いか?」
というと、「それは難しい。」というレベルです。
不味さの質は違うのですが、さてどちらが. . ...。


赤いセロファン紙は基本的に(可視光線の範囲では)赤い光しか通し
ません。(だから赤く見える)

緑のセロファン、青いセロファンも、基本的には緑の光、青の光し
か通していないはずです。

人間は赤い光と緑の光を同時に見ると、黄色の光と感じます。です
から黄色いセロファンは、赤と緑の光を通している可能性もありま
すが、たぶんそうではなく、黄色の光だけを通しているでしょう。

これらのセロファンの全てで茶葉の劣化が見られたということは、
少なくとも「特定の光ではなく、いろんな光によって茶葉の劣化は
促進される。」ということだけは言えると思います。



今回、紫外線防止フィルムで包んだ茶葉も劣化が見られました。

ということは、「紫外線だけを遮っても、紅茶の保存には適さない。」
ということができます。

その一方で、紫外線防止フィルムで包んだ茶葉と透明な袋の茶葉で
明らかに紅茶の劣化に違いがあるということは、「紫外線もまた茶
葉の劣化の原因になっている。」ということが言えます。


解説が長くなりましたが、今回の結論としては、
「紫外線も含めいろんな波長の光によって紅茶の葉の劣化は進む。」
ということが言えると思います。


ということは、紫外線防止のコーティングをしたガラス瓶でもダメ
だし、色ガラスのビンでも紅茶の保存には適さない。

「紅茶の保存は色にはあまり関係なく、出来る限り光を茶遮った方
が良い。」

という事ですね。
やはり金属の缶が一番いいということだと思います。
  (アルミ箔ラミネートの袋は、金属缶と同じくらい光を遮ります。)

透明ガラスのビンに入れて、光の当たるところに保存することだけ
は、絶対に止めましょう。


8日間の暴露試験品でここまで結果が出ましたので、3日の試験品
はその結果を再確認するために飲んでみました。

3日の室内光でも、やはり透明の袋入りは明らかに劣化しています。
特に香りが悪くなっています。ガラス瓶保存は....。ですね。^^;


1日暴露の試験品は、「やるまでもないね。」ということで、室内
光暴露を続行することにしました。

1ヶ月くらいしたら、また飲み比べてみようと思っています。

そして最後にたくさん余った色セロファンを皆さんにおすそわけ。
緑茶で試験したり直射日光で実験したり、きっと面白い結果がいろ
いろ出ていることでしょう。

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  TOPICS 2: 第30回 Liyn-an Tea Club  開催のお知らせ
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次回の Tea club のお知らせです。

テーマは、紅茶からちょっと離れて、『 茶経の謎に挑戦 』です。

テーマは大きいいのですが、そんな大それた事ではなく、世界最初
の茶書と言われる「茶経」を表した茶聖・陸羽。その陸羽は「茶経」
の五之煮のお茶の淹れ方の項でこんなふうに書いています。

        『 第一煮水沸而其沫之上有水膜如黒雲母 』

茶経と言えばこの人、というくらい著名な故布目潮風(フウはサンズ
イに風)先生の訳文(茶経詳解:淡交社)に寄れば、

      「第一煮(一沸と同じ)は水が沸騰すると、その沫
        の上の水膜が黒雲母のようになったのを棄てる。」

という事なんだそうです。
でも、この部分、黒雲母のような水膜、これが本当に出来るかどう
か、いろんな方が試しているのだそうですが、「こんな膜なんて出
来ない」ということで、茶経の謎の一つになっているそうです。

こういう面白そうな謎は、放っておく方は無い。やってみようじゃ
ないですか。

幸い陸羽はそのヒントを残していてくれます。
この少し前に、「お茶にはどんな水が合うのか?」という事を書い
てくれています。

出来る限り陸羽のお茶に近いお茶を使って、出来る限り陸羽の書い
たお茶の淹れ方で、そして加えて「陸羽の勧めるお茶に合う水」で
陸羽のお茶を再現してみようではないですか。

もしかしたら、先人たちが再現できなかった「黒雲母のような水膜」
が出来るかもしれません。


   ■ 第30回Liyn-an Tea Club ■
  期日       平成19年10月15日(月曜日)
  時間       19:00〜 2時間程度
  テーマ     『 茶経の謎に挑戦 』
  参加費     \1,000-
  定員       8名

  定員になり次第、キャンセル待ちとさせていただきます。

  お申し込みは、件名「ティークラブ申込み」として、こちらへ。

      info@Liyn-an.com


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  ===   編    集    後    記   ===
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
今回の光の劣化の実験、感じただけで、なんの根拠も無い話なんで
すが、赤い光と紫外線では、劣化のメカニズムが違うような気がし
ます。

赤い光で劣化した紅茶と、紫外線や、青、緑の光で劣化した紅茶で
は、味の質、不味くなっている部分が違うような気がしました。

もしかしたら波長の長い赤い光の部分ではクロロフィルの影響によっ
て茶葉が劣化し、波長の短い青い光や紫外線では、普通の光劣化の
ようにその高いエネルギーによって茶葉が劣化しているのかもしれ
ません。

書いていて、それしか考えられないような気もしてきましたが、さ
て本当のところはどうなんでしょう。

こんなところも、突き詰めて研究していくと、どこかの学会で発表
できるレベルの研究が出来そうなんですけどねぇ。

次回のティークラブ、とんでもない巨匠の謎に挑戦します。
とは言っても、その謎のほんの片隅だけなんですが。一応これでも
勝算は有るつもりなんですよ。ただ本当に黒雲母のような水膜が出
来るかどうかは、やってみなければわかりませんからね。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
        責任編集:堀田信幸     有限会社リンアン
        488-0837 愛知県 尾張旭 市庄中町 鳥居1820
        TEL 0561-53-8403    FAX 0561-53-8405
        http://www.Liyn-an.com/ info@Liyn-an.com
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