クラシック音楽夜話 RSSを登録する

クラシックの作品、作曲家、演奏家にまつわるエピソードも書きますが、「音楽を聴きた〜い」という気持ちにさせる呪文みたいなものなので気楽に読んでください。お勉強に利用するのはオススメしません(笑)。さあ、魅惑のクラシック音楽探究の旅に出かけましょう。

最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
2007/04/15

クラシック音楽夜話 Op.199(モーツァルト フルート四重奏曲)

この記事を取り寄せる

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

     クラシック音楽夜話 Op.199 2007年4月15日(日)

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

             春風がそよぐ

Op.199 CONTENTS━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.フルート奏者ヴェルナー・トリップさんのKV.285をもう一度
2.モーツァルト フルート四重奏曲 K.285 ニ長調
【お知らせ】 PODCAST「クラシック音楽夜話ー音声版」始まる

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.フルート奏者ヴェルナー・トリップさんのKV.285をもう一度

PODCAST「エピソードop.198-2」で少しだけ触れたモーツァルトの「フルート
四重奏曲」K.285。

この曲は昔7年間にわたり一緒に仕事で長野県を回ったフルート奏者ヴェルナー・
トリップさんの想い出と重なる忘れられない曲である。彼はウィーンフィルの
ソロフルート奏者を辞め、ソリストとして活動していた。そんな折、長野県へ
招聘されるアンサンブルの一員として選ばれた。

気むずかしそうな人物ではじめ敬遠していたのだが、実際に話をしてみるとユ
ーモアがあるし、思いやりにあふれるナイス・ガイだった。演奏前だというの
に、楽屋で私に米の生産の方法を尋ねたり、作曲家スッペの話をしていると「
ズッペ?スープのことか?」などと冗談を飛ばしたり、私が仕事でウィーンを
訪れると美しい奥様と共に食事に誘ってくれたり。

仕事を変え一年間別会社で勤務していた際、ちょうど来日していたトリップさ
んはわざわざ勤務先まで電話をしてきた。「とても残念だ…」といってくれた
その言葉が心に残り、後ろ髪を引かれる思いで、私は一年足らずで再び元の仕
事に戻った。

そんな暖かな想い出も忘れられないけれど、毎年長野県で行われた演奏会で、
彼が奏でたモーツァルトの「フルート四重奏曲」の音色が忘れられず今でも耳
に残っている。美しく繊細な音色が弦楽器と解け合って会場を包み込んだ。何
度も聴いたのだが、決して飽きることもなく、毎回ステージのそでで私は聴き
入った。

PODCASTでは、この曲のCDもLPも持っていないと語った。今日調べてみたと
ころ、別の演奏家だがLPレコードはあったのである。素晴らしい演奏。けど、
私の耳に残る音とは違うのである。当たり前だ。演奏者が違うのだから。私の
原点はトリップさんのフルート演奏なのだ。これは一生変わらないだろう。

できるなら、あのトリップさんの演奏をもう一度聴きたい。けれど残念だが、
彼は既に数年前に亡くなった。70歳を超えていたとはいえ、健康そのものの
トリップさんにしては早すぎる天国への旅立ちだった。

彼がソロを吹く「フルート協奏曲」ならば、カール・ベーム指揮ウィーンフィ
ルのCDがある。しかし、私が聴きたいのはK.285なのだ。今度、藤沢へ帰った
らテープをひっくり返し探してみよう。出てくると良いのだが…。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2.モーツァルト フルート四重奏曲 K.285 ニ長調

モーツァルトの資料を読むと、彼はフルートという楽器を毛嫌いしていたと、
ある。父親宛の手紙に、「僕は性に合わない楽器のために書かなければならな
い時には無力におなる…」と書いたことがその根拠となっているようだ。実は
私もそう信じていたし、以前、本誌でもそう書いた。

が、今回LPを引っ張り出してきて評論家石井宏さんの解説文を読み目からウロ
コが落ちた。モーツァルトがフルート嫌いなどというのは怪しい、と氏は書い
ている。

就職活動のため各地を旅行して回っていたモーツァルトは、マンハイムにしば
らく滞在する。そこで宮廷音楽家となるべく、精力的に自己アピールする。レ
ッスン、演奏、小曲の提供などである。しかし、思うように話は運ばない。所
持金が尽き旅の費用にさえ困る。そんな彼のため知人がド・ジャンという紳士
を紹介し、モーツァルトはジャン氏からフルート曲の作曲の注文を受けること
になる。報酬は200グルデン。当時としては大金なので彼はこの話に飛びついた。

さて、200グルデンは現代日本においていくら位に値するのか?
モーツァルトの父の手紙に、「ママの食費に一週間3グルデンかかるとして…」
という記載がある。大人の女性の一週間の食費(たぶんこの場合外食だろう)
は現代日本でいくらかかるだろう。一日2〜3千円として週に1.5〜2万円余り。
200グルデンを単純に割ると66週分の食費ということになるから総額100〜
130万円というところか。半分に見積もっても65万円。これが高額か否かは
価値基準によるだろうが、いずれにしてもモーツァルトも父もこれは好条件と
歓迎しているわけだ。

実はモーツァルトは真に金に困っていたわけでもない。マンハイムでもそれな
りの報酬は得ていた。彼はそこで後に彼の妻となるコンスタンツェのウェーバ
ー一家と交流があり、当時は姉に夢中だった。もらったお金は貧しいウェーバー
家につぎ込んだらしい。さらに、遊びにも忙しかった。そのため、ジャン氏の
破格の報酬による作曲依頼を喜んで受けたのだが、実は恋と遊びで作曲どころ
ではなかったのである。だから遅れぎみの作曲について父親に釈明するため
「フルートが嫌い」のようなニュアンスの記述の手紙を書いた、のではないか?
これが石井さんの推測である。

あり得る話だな、と思った。常日頃疑問に思っていた。フルートが嫌いなモー
ツァルトが、なぜあれほどの名曲を書けたのだろう。四重奏曲はもとより、
協奏曲も堂々たる名曲である。特に、このK285は素晴らしい。繊細な中にも
凛としたたたずまいがあり、骨がある。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとの
コンビネーションも抜群。音の明暗も巧みであり、なにより聴き手の心にさわ
やかな風を吹き込んでくれる。春風とはまさにこういう音楽をいうのではないか。

【第一楽章】アレグロ
終始リードをとるフルート(フルート四重奏曲だから当たり前?)の軽やかな
メロディが素晴らしい。第二主題ではフルートと弦の巧みなコンビネーション
が聴きどころ。中間部での陰影を伴う曲想もしみじみといい。

【第二楽章】アダージョ
哀愁おびたフルートのメロディ。サポートする弦楽器は終始ピチカート。楽章
終了と間髪入れず第三楽章へと突入。

【第三楽章】ロンド
生命あふれるメロディ。メロディを支えるヴァイオリンとビオラ、そして根を
しっかりと保つチェロ。軽やかさの中にも堂々としたたたずまいが感じられる
逸品である。特に中間部、長調短調が入り交じる巧みな曲想は圧巻だ。

------------------------------------------------------------------------------------

【私が聴いたLP】
RGC-1139
モーツァルト
フルート四重奏曲全集
フルート四重奏曲 ト長調 K.285a
フルート四重奏曲 ハ長調 K.285b
フルート四重奏曲 ニ長調 K.285
フルート四重奏曲 イ長調 K.298
オーレル・ニコレ(フルート)
ニュー・イスラエル弦楽四重奏団

ニコレと別の弦楽器奏者による演奏CD
↓こちらに情報を記載。
http://www.musiker21.com/cdinfo.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【お知らせ】 PODCAST「クラシック音楽夜話ー音声版」開始

先号で、恥ずかしげもなく自作を公表したSeesaaブログに、音声版「クラシッ
ク音楽夜話」として番組二本をアップしました。火曜日以降に同ブログをご
訪問いただいた皆さんの中には既にお聴きくださった方もおられるでしょう。

そして、この番組がAppleのiTUNESストアのPODCASTディレクトリに正式登
録となり、めでたく正式なPODCAST番組として開始することになりました。

iTUNESをご利用の皆さんは、iTUNESストアの検索窓に「クラシック音楽夜話」
と入力の上、検索をかけるか、PODCASTディレクトリに入り「音楽」ジャンル
を表示してみてください。ロゴ入りの当番組が表示されます。

早速本日、「op.199エピソード」と「モーツァルトフルート四重奏曲KV285
第一楽章前半」をアップしました。iTUNESをご利用されていない場合でも、
次のURLでお聴きいただけます。
http://musiker21.seesaa.net/

メールマガジン「クラシック音楽夜話」は次号でいよいよ200号を迎えること
になります。「配信間隔も長くなったし、そろそろネタ切れだろ?」という憶
測をよそに(笑)、まだこれからも続けていくつもりです。これからは文章と、
声、そしてできれば音楽サンプルとの連動で、より楽しくクラシック音楽を皆
さん紹介していきたいと思っています。よろしくお願いします。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【あとがき】

PODCAST開始です。
録音機の関係で、時々音飛びがあるため、お聞き苦しい箇所がまだあります。
iPODのハードディスクに録音だからでしょうか。今後別機器を使うなど改善
するつもりです。

finaleで「フルート四重奏曲 K.285」の楽譜を作成しました。楽譜作成が目
的ではなく、MIDIで演奏させるためです。デジタル音源の貧弱さ、特にヴァイ
オリン音色に失望していたので弦楽器は再現は無理、とあきらめていました。
PODCASTで触れたましたが、まるで峰君風「ロックなヴァイオリン」になる
のですから。

でも、finaleに付属の楽器の生音に近い音源を使うと、オーソドックスな音色
で表現が可能になったのです。その成果をPODCASTで配信しました。音声版
の配信に音楽を流すのは欠かせませんが、版権などややこしい問題があります。
私がこしらえた楽譜による演奏なら文句はないでしょう。お聴きいただけまし
たら、感想などをお寄せください。
★クラシック音楽夜話 音声版
http://musiker21.seesaa.net/

本当は、ラジオみたいに生の演奏音源を流したいのです。著作権がクリアされ
ている演奏音源を入手するには高い壁がありそうですね。今後の課題です。

また、私の未熟な処女作を聴いてくださった100名あまりの皆様、ありがとう
ございました。身に余る光栄なコメントをくださった皆様にも心から感謝申し
上げます。

さてと…。
次号は、ついにop.200です。足かけ5年半。花火でも打ち上げましょうか(笑)。
では、次号、「op.200記念号」までごきげんよう、さようなら。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

メールマガジン「クラシック音楽夜話」
構成・文:musiker
◆webサイト「musikerの音楽夜話」
http://www.musiker21.com
◆PODCAST「クラシック音楽夜話 音声版」
http://musiker21.seesaa.net/
◆e-mail ご感想・ご意見等は、こちらへどうぞ
musiker21@gmail.com

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★メールマガジン「クラシック音楽夜話」は次の配信システムで発行していま
す。ご講読解除の際は各スタンドよりご自身で行ってください。
アドレス変更は
1.旧アドレスで解除→2.新アドレスで申込
という手順になります。
各スタンドのURLはこちらです↓。
◇E-Magazine◇ http://www.emaga.com/info/musiker.html
◇Melma◇ http://www.melma.com/mag/45/m00047845/
◇まぐまぐ◇ http://www.mag2.com/m/0000078859.htm

この記事を取り寄せる
最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る