2009/08/14
フライデー・ビデオマガジン(No.407)
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 「フライデー・ビデオマガジン」(毎週更新のビデオ紹介マガジン) 【 2009年08月14日号 No.407 】 =================================== !!!今週ご紹介するのは『シモーヌ』 =================================== <D-Column> 3年程前、細野晴臣さんが連載されていたエッセイをまとめた『アンビエン ト・ドライヴァー』(マーブルブックス)が発売されたのを機に、細野さん関 連の書籍をまとめて読んだ時期がありました。その後も、細野さん関連の本 は出るたびに購入して読んでいるのですが...いいんですよねえ。 先日、昨年買いそびれていた『分福茶釜』(平凡社)を購入。この本は、細野 さんの盟友・鈴木惣一朗さんを聴き手に迎えての対話を収めたもの。時にす るどく、時にはぐらかしながら、これも細野さんの人生観、死生観、音楽論 などがじんわり沁みてくる内容でした。 非常に読みやすいのですが、軽さの中にも深みのある言葉が並んでいます。 例えば「人と店と道路」。 「都会には人と人しかいない。個人対個人っていう関係性しかない。それが 不自然に思えてしょうがない」と。で、他に何があるかっていうと、”お店” と”道路”。「本来人と人の間には”空気”があって、自然があって、いろ んな要素がそこにある。人間はそれを全部一緒に呼吸して生きている」と。 確かに、中途半端に都会化する田舎と比べて、人の密度、人間関係の密度が 濃くなってくると、どこか息苦しさに繋がるのかもしれません。それをある 意味緩和してくれているのが自然の空気や温度や湿度なのではないでしょう か。人と人の間に、社会的な関係性だけではなく、五感で感じられるものが 存在することでバランスが取れる。もちろん、細野さんは田舎も同じになっ てきている、と警鐘を鳴らすことは忘れません。 失礼ながら、思わず棒を持って絶妙なバランスで綱渡りをする狸を思い浮か べてしまいました...。 テキスト量を考えるとお値段的には、ちょっとだけ高めかもしれませんが、 まさに”福”を”分”けてくれる、ファンならずともそばに置いておきたく なる一冊だと思います。 それでは今週の1本です。 <作品プロファイル> ・邦題:『シモーヌ』 ・原題:『S1MONE』 ・監督:アンドリュー・ニコル ・脚本:アンドリュー・ニコル ・キャスト:アル・パチーノ、レイチェル・ロバーツ他 ・公開/制作:2002年/アメリカ ・ジャンル:ドラマ ・上映時間:117分 ・評価:★★(評価内容については下記説明をご覧ください) <ストーリー> アカデミー賞にノミネートされた経歴を持つ映画監督、ヴィクター・タラン スキー(アル・パチーノ)も、今は失敗作が続く日々。新作の主演女優であ るニコラ(ウィノナ・ライダー)にも降板され、元妻でプロデューサーのエ レインにクビを言い渡されてしまう。そんな彼に、謎の男ハンクが、起死回 生の秘策を授けに来る。それは理想の女優を作ることが出来るコンピュータ ー・ソフトだった...。 <コメント> 『ガタカ』(1997)のアンドリュー・ニコル監督作品。冒頭からハリウッドス ターのわがままぶりを描写したり、映画制作の裏話的なエピソードを挿入し たり、なかなか毒が効いています。さらにアル・パチーノが演じる主人公の タランスキー監督がNYインディーズ出身を匂わせる設定でもあり、CGの 多用によって映画そのものが衰退していくという、カウンターカルチャー側 からのメジャー批判もあるのかも?と期待させてくれます。CGの俳優が活 躍することによって作品が評価されると言うことは、結局、監督の名声もC G俳優のおかげ、という二重の皮肉になっているところも面白いですね。ま た、映画を作る側だけでなく、それを報道する側が単純にだまされてしまっ たり、情報に振り回されてしまったりするところも滑稽です。 しかしながら、物語は中盤以降、そういった毒は抑えつつ、タランスキー監 督が全世界を席巻するCG女優シモーヌと彼女を出演させた自身の映画を武 器に、元妻との復縁をもくろむと言う、恋愛ドラマにシフトしていきます。 結局、シモーヌがCGであることをどうやって決着するかというところに物 語は収束していくのですが、落しどころとしては中途半端に終わってしまい ました。中盤以降はいろいろと予想を裏切る展開があり、かなり強引な部分 はあるものの、単純にCGの役者が活躍するドタバタ劇に終わらせないよう にしようとする努力が感じられただけに惜しい。アル・パチーノの魅力があ まり引き出されていないところも残念です。彼がパソコン画面のシモーヌと やり取りする場面が多く、これがシモーヌの存在をよりリアルに感じさせて くれるのであればいいのですが、逆にアル・パチーノの孤軍奮闘ぶりだけが クローズアップされてしまい、ちょっと興ざめでした。 ヴァーチャルな存在であるシモーヌを得たことによって、自らのリアルな人 生が変わってしまうという展開は面白いと思いますが、やっぱりCGの俳優 は扱いにくい? by DISK =================================== 「評価」の★の数について 5:これは最高。ぜひ見て欲しい名作。何度でも借りたくなること間違いなし。 4:良く出来た作品。見る人の趣味にもよりますが、とにかく見て損なし。 3:平均的な作品。でも見所はあります。好きな役者が出ていれば迷わずGO。 2:あまり良い出来栄えとは言えませんが、数百円のレンタル料なら許せる? 1:レビューを読んで頂くだけでいいかも。どうしても借りるものがなければ。 =================================== ◆このメールマガジンに関する感想、作品のリクエスト等がありましたら、 発行者宛てメール又は下記ウェブサイト掲示板等からどうぞ。 ・MAIL:d-nakane@dd.iij4u.or.jp ・WEB:http://dmovie.fc2web.com/ ◆全ての文章は個人としての使用以外、転載を禁じます。 ◆このメールマガジンは、以下のサービスを利用して発行しています。 ・『まぐまぐ』http://www.mag2.com/(マガジンID: 0000078785) ・『メルマ!』http://www.melma.com/(マガジンID:00061350) ・『メルマ!』http://www.melma.com/(マガジンID:00152037) 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


