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2009/06/12

フライデー・ビデオマガジン(No.398)

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「フライデー・ビデオマガジン」(毎週更新のビデオ紹介マガジン)  

         【 2009年06月12日号 No.398 】

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!!!今週ご紹介するのは『ロープ』
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<D-Column>
写真家・鷲尾和彦氏が参加している写真展『風の旅人〜今ここにある旅〜』
(新宿コニカミノルタプラザ)を見ました。

”見知らぬ場所を訪れても、自分の眼差しが変わらなければ、旅とは言えな
い。同じ場所であっても、惰性に陥らずに物事をみつめ、新たな発見と触発
を通して自分を入れ替えていく体験は「旅」と言える”
(雑誌『風の旅人』編集長 佐伯剛氏の言葉より)

いいですねえ。”旅”というのは個人的にも大きなテーマですね。私自身も
大学生の頃にいろいろ海外を旅した経験があり、その時に非常に貴重な経験
が出来たと思っているのですが、一方で、基本的に”旅”は自らの見識を広
げ、人間的にも成長できると言うような、ある種一方的な価値観しか世の中
に提示されていないことも気になっています。
つまり”旅をしない”ということにも相応の価値があるのではないかと。も
ちろんここで言う”旅をしない”というのは、ただ単に家を出ないとか、新
たな価値観を獲得しない、外の世界を見ないという意味ではありません。身
体の移動をしないけれども、新たな視点を持って物事を捉える、ということ
や、ある場所に意志を持って留まるというようなことです。

うちのギャラリーの5周年記念に鷲尾氏と一緒に「STAYER」という写
真展を開催したのですが、この「STAYER」と言う言葉には、意志を持
って留まることの強さ、そのために同じ場所にいながら常に新鮮な気持ちで
世界と対峙する姿勢の大切さ、の2つの意味を込めました。会場の説明ボー
ドにはこんな文章を添えさせていただきました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
とめどなく広がり続ける世界と個人。
可能性や高揚感と引き換えに、急速に失われていく皮膚感覚。
立ち止まってみれば、世界はもっと広く、人間同士はもっと近い。
”通過”や”滞在”では見えないもの。
”瞬間”や”短期”ではできないこと。
”場所”という感覚に敏感であれば、
未来は今、この場所から感じられるはず。

今日も僕はここにいます。
明日も僕はここにいます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

以前、作家の村上龍氏がホストを務めるテレビ番組『カンブリア宮殿』で、
ゲストに招かれた大企業の社長(すみません、どこのどなたか全く覚えてい
ません...)が、龍氏の「そんなに忙しいと旅なんて出来ないでしょ」と
いう問いに対して、「何のために?(旅をするのか)」と即答されていまし
た。もちろん、その社長は身体的に移動はせずとも、あらゆる事柄に対して
常に新しい視点で眺めているはずで、そういう意味では”旅をしている”の
だと思います。やはりトップに立つ人と言うのは、確固たる哲学を持ってい
るなあと感心しました。
全てのものには裏と表があり、そのバランスの取り方で価値は変動すると思
います。その分岐点を設定するのはその人自身が何を信じているかによるん
じゃないでしょうか。

ちなみに、鷲尾氏とは写真展を見た後に渋谷で一緒に飲んだのですが、翌日
彼のWebの日記がちょっとパンクな感じになっていたのが嬉しかった(笑)。
お互いロックが好きなので。


・鷲尾和彦Webサイト(http://www.washiokazuhiko.jp/)
※現在『8 Photographers Experiment』@AKAAKAが開催中。
会期は2009年5月30日(土)〜6月28日(日)までですのでぜひ。

それでは今週の1本です。


<作品プロファイル>
・邦題:『ロープ』
・原題:『ROPE』
・監督:アルフレッド・ヒッチコック
・脚本:アルフレッド・ヒッチコック
・キャスト:ジェームズ・スチュワート、ファーリー・グレンジャー他
・公開/制作:1948年/アメリカ
・ジャンル:サスペンス
・上映時間:80分
・評価:★★★★(評価内容については下記説明をご覧ください)

<ストーリー>
大学を卒業したばかりの二人の青年ブランドン(ジョン・ドール)とフィリ
ップ(ファーリー・グレンジャー)は、自らの優位性を証明するために、と
あるアパートの一室で同級生のデヴィッドを絞殺。彼らは、その部屋にある
チェストに死体を詰め、そのまま何食わぬ顔で予定していたパーティを始め
る。やがて招待客が次々と現れる ...。

<コメント>
”サスペンスの神様”アルフレッド・ヒッチコック監督が、1924年にシ
カゴで実際に起きた殺人事件(ローブ&レオポルト事件)を題材に制作した
作品。
本作は、ヒッチコック監督初のカラー作品であったり、リアルタイムで時間
が進行したり、どちらかというと内容よりも実験的作品という成り立ちによ
って語られることが多いように思います。
主演もその後ヒッチコック作品でお馴染みとなるジェームズ・スチュワート
ですし、他にもアパートから見える景色はすべてミニチュアだとか、トリビ
ア的要素には事欠きません。まあ、そういうところがまさにヒッチコック作
品であるわけなんですが。

実際、映画はとあるアパートの一室でのみ進行するわけで、であれば映画で
ある必要はあるのかという問いも生まれますが、カメラワークの妙によって、
登場人物の心情が表現されていたりサスペンス要素が演出されていたりする
ので、逆にこれは舞台では表現できないんじゃないかとすら思わされます。
時間経過とともに揺れ動き、解体されていく犯人たちの心の奥底。まさにサ
スペンス。

ちなみに、この殺人事件はリチャード・フライシャー監督の『強迫/ロープ
殺人事件』(1959)、トム・ケイリン監督の『恍惚』(1992)として、3度映画
化されています。犯人の動機はある種の哲学性を含んでいると思いますが、
そのあたりをさらりとまとめ上げ、サスペンス要素を前面に押し出したのが
ヒッチコック作品ではないでしょうか。単純にドキドキしながら見たいので
あればやはりオススメ。トム・ケイリン監督は、実在の犯人の二人が同性愛
者であったことに注目し、二人の関係に重点を置いています。これも違う視
点で興味深い作品です。リチャード・フライシャー監督作品は個人的に未見
なのですが、彼らの弁護を行う弁護士にオーソン・ウェルズがキャスティン
グされているので重厚な人間ドラマとして仕上がっているのかもしれません。
それぞれを見比べてみるのも面白いと思います。

by DISK
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「評価」の★の数について

5:これは最高。ぜひ見て欲しい名作。何度でも借りたくなること間違いなし。
4:良く出来た作品。見る人の趣味にもよりますが、とにかく見て損なし。
3:平均的な作品。でも見所はあります。好きな役者が出ていれば迷わずGO。
2:あまり良い出来栄えとは言えませんが、数百円のレンタル料なら許せる?
1:レビューを読んで頂くだけでいいかも。どうしても借りるものがなければ。
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