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2009/06/05

フライデー・ビデオマガジン(No.397)

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「フライデー・ビデオマガジン」(毎週更新のビデオ紹介マガジン)  

         【 2009年06月05日号 No.397 】

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!!!今週ご紹介するのは『鬼が来た!』
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<D-Column>
ニューヨーク・インディーズ派の筆頭として、1980年代から独特の映像
世界で映画界を牽引してきたジム・ジャームッシュ監督。彼が2003年に
作った傑作が『コーヒー&シガレッツ』。個人的に一番好きな映画、と言っ
ても過言ではありません。

DVD化された時には真っ先に買いました。さんざん観た後は、自分のお店
(ギャラリー)に置いて、たまに上映会をしたり、人に貸したり。ある日、
たまたま前を通りかかった廃品回収車のお姉ちゃんが車を止めてお店に入っ
てきたことがありました。面白そうな店構えが気になったとのこと。いろん
な話をしているうちにジャームッシュ好きが発覚。『コーヒー&シガレッツ』
をまだ観ていないというので、DVDを貸してあげました。「ありがとう。
来月には返しに来ます」そういってまた車に乗って行ってしまったお姉ちゃ
ん。”これでまたこの映画のファンが増えた”、そうほくそ笑んだ日からお
よそ3年。DVDはまだ返ってきません...(笑)。いや、いいんです。
ある程度そうなる可能性も予測していたわけですから。

しかし、最近またどうにもこうにも観たくなり、あらためてアマゾンで購入。
早速届いたところ、開けてびっくり。DVDのパッケージ写真の上の部分に
派手な装飾文字ででかでかと”おしゃれDVD”の文字が...。書籍の帯
のような取り外し可能なものではなく、完全にパッケージに印刷されていま
した。かなり恥ずかしい...。しかもすごく目立つ。一瞬違う商品が届い
たのかな?と思いましたが、間違いなく『コーヒー&シガレッツ』でした。
廉価版ということだったので、こんなパッケージになってしまったのかとが
っくり。確かにモノクロの映像は”おしゃれ”な感じではありますが...。
しかしよく見ると、”パッケージはリバーシブルになっています”の注意書
き。裏返すと通常バージョンのパッケージに。なるほどそういうことか。
ジャームッシュ・ファン以外にも売るためにつけたコピーだったわけで。
うむー、いろいろ考えるもんですね。
”おしゃれDVD”新たなメディア・カテゴリーの誕生です。

それにしても、この映画の中身を知らずに”おしゃれ”の文字に惹かれて買
った人にとっては、結構シュールな内容だと思うのですが。

それでは今週の1本です。


<作品プロファイル>
・邦題:『鬼が来た!』
・原題:『鬼子來了』
・監督:チアン・ウェン
・脚本:チアン・ウェン他
・キャスト:香川照之、チアン・ウェン他
・公開/制作:2000年/中国
・ジャンル:戦争ドラマ
・上映時間:140分
・評価:★★★★(評価内容については下記説明をご覧ください)

<ストーリー>
第二次大戦末期、中国・華北の小さな村、掛甲台村。ある夜、マー・ターサ
ン(チアン・ウェン)はある人物に大きな麻袋を2つ押しつけられる。1つ
には日本兵の花屋小三郎(香川照之)が、もう1つには通訳の中国人が入れ
られていた。彼らを晦日まで預かるように脅されたマーは、約束通り匿うが、
約束の時を過ぎてもその人物は姿を見せず ...。

<コメント>
第2次世界大戦末期の中国のとある村を舞台に、なぜか敵である日本兵を匿
うことになってしまった村人の数奇な運命を、時にユーモラスに時に辛らつ
に描いた作品。
物語の中心人物となる、日本兵と通訳が入った麻袋をいきなり押し付けられ
る村人役をチアン・ウェン自らが演じ、麻袋に押し込められ、村に連れてこ
られた日本兵を香川照之が演じています。

麻袋に入った敵兵と通訳を押し付けられると言う不条理から始まるこの物語。
前半は、「早く殺せ」とわめき散らす日本兵の花屋、しかし命が惜しいため、
それらの言葉をすべて友好的な言葉に変えてしまう通訳。この二人の掛け合
いとでも言うべき台詞回しが面白く、二人を預かる羽目になった中国人マー
が徐々に心を開いていくプロセスもあり、滑稽な中にもほのぼのとした雰囲
気さえ感じさせる展開となります。
しかしながら、後半〜終盤にかけて、いきなり物語は戦争に翻弄される人間
たちが織り成す寓話へと変貌します。裏切りと殺戮、監督のチアン・ウェン
は、前半からしっかり時間をかけてきた伏線と同様、この凄惨な場面も真正
面から描きます。そして、予想も出来なかったクライマックスへ。あえて、
前半と後半の二部に分けるすると、多少なりともコミュニケーション不在の
中で敵味方が心を通わせた前半こそが真実の姿なのか、それともやはり終盤
の鬼が棲みついた人間が見せる狂気がリアルなのか。何が正しくて何が間違
っているのかわからない状況の中で、人間同士の対立と葛藤は増幅の一途を
辿ります。
公開当時は、香川照之の鬼気迫る演技に注目が集まりましたが、個人的には、
戦争と言う狂気が生み出した運命に翻弄される村人マーを演じるチアン・ウ
ェン監督の、不安と期待、友好と憎しみ、常に二面性を内包したとまどうよ
うな”目”こそ、この作品を象徴しているような気がします。

ちなみに本作は、2000年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールにノミネート、
審査員特別グランプリを受賞しました。

by DISK
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「評価」の★の数について

5:これは最高。ぜひ見て欲しい名作。何度でも借りたくなること間違いなし。
4:良く出来た作品。見る人の趣味にもよりますが、とにかく見て損なし。
3:平均的な作品。でも見所はあります。好きな役者が出ていれば迷わずGO。
2:あまり良い出来栄えとは言えませんが、数百円のレンタル料なら許せる?
1:レビューを読んで頂くだけでいいかも。どうしても借りるものがなければ。
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