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2009/05/15

フライデー・ビデオマガジン(No.394)

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「フライデー・ビデオマガジン」(毎週更新のビデオ紹介マガジン)  

         【 2009年05月15日号 No.394 】

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!!!今週ご紹介するのは『ガッジョ・ディーロ』
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<D-Column>
ちょっと昔の話で恐縮ですが、サッカーの日本代表選手として活躍、引退後
に世界各国を旅して回っていた中田英寿氏。およそ一年ほど前でしょうか、
そんな彼の旅の内容をまとめたドキュメンタリーのテレビ番組がありました。
サッカー界から身を引いてもなお、自分らしい生き方を貫く中田氏の生き方
には共感できる部分が多いものの、ちょっと気になる場面に出会いました。

番組中、中田氏は「日本と違う文化を持つ国で、その国の人たちにいかに溶
け込むことが出来るかが大事」というような内容の発言をされていました。
そして画面は、どこの国かは忘れたのですが、みんなで輪になって打楽器を
打ち鳴らし、その輪の中で一人一人勝手に踊りを披露するという場面に。中
田氏もその場に溶け込むべく、自分なりの踊りを披露していました。興が乗
ってきたのか、その様子を撮影していたカメラマンにも「○○さん(名前忘
れました)も踊りなよ」と声をかけたのです。そして、カメラマンはカメラ
を誰かに預け、そのまま輪の中に入って踊り始めました。その瞬間、中田氏
は「すごいな...」とつぶやいたのです。そう、中田氏のどこか”同化し
よう”という意図が感じられる踊りと違い、いきなり無我を感じさせる踊り
でした。当然、周りからも拍手を受け、そして本人も楽しそうでした。

世の中には、異文化や他者と心を通わせるまでに時間のかかる人もいれば、
一瞬にして通じ合ってしまう人がいます。いずれが勝っているかということ
とは全く関係なく、個人的にもどちらかというと時間をかけてしまう方なの
で、そのカメラマンの瞬発力には目を見張りました。あの時の中田氏の驚嘆
の表情は、カメラや画面というフィルターを通っているとしてもかなりリア
ルだった気がします。あれだけ多くの国を旅しながらもどこか、居心地の悪
さを感じているのではないか、そんな気がしました。もちろん単なる推測な
のですが。

文化や価値観が異なる人々とわかりあうために、本当に必要なことは一体何
なのでしょうか。”心を開く”とはどのような感覚を指すのでしょうか。小
さな出来事ではありましたが、そのシンプルかつ深い問いの入り口にあらた
めて立たされた瞬間でした。

それでは今週の1本です。


<作品プロファイル>
・邦題:『ガッジョ・ディーロ』
・原題:『GADJO DILO』
・監督:トニー・ガトリフ
・脚本:トニー・ガトリフ
・キャスト:ロマン・デュリス、ローナ・ハートナー他
・公開/制作:1997年/フランス、ルーマニア
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:100分
・評価:★★★★★(評価内容については下記説明をご覧ください)

<ストーリー>
死んだ父親の残した1本のカセットテープをもとに、ノラ・ルカという歌手
を探し求めるフランス人の青年フィリップ(ロマン・デュリス)。やがて彼
は、ルーマニアにあるロマの小さな村にたどり着く。寒さのために宿を求め
るが叶わず、結局、近所にいたロマの老人イシドール(イシドール・サーバ
ン)と飲み明かすことになってしまう ...。

<コメント>
自身もロマ人の血をひく(母親がロマ人)トニー・ガトリフ監督が、ロマの
村を舞台に、フランス人の男とロマ人の女との魂の交流を描いた物語。タイ
トルの”ガッジョ・ディーロ”とはロマの言葉で”愚かなよそ者”の意味。
本作では、主演のフィリップを演じるロマン・デュリスとロマ人女性サビー
ナを演じるローナ・ハートナー以外は、ほとんどが本物のロマの人々で、演
技については素人だったため半ば即興的に撮影が進められたそうです。
豊かな音楽の文化を持ち、芸能の民として重宝される一方で、犯罪者扱いさ
れるなど蔑まれているロマ(=国によってジプシー、ボヘミアンなどとも呼
ばれる)の人たち。その重いテーマと現状を人間ドラマを通して、ある種爽
やかに伝えてくれる作品。

主人公のフィリップは、父親が残してくれたカセットに収められたルーマニ
ア人の歌手ノラ・ルカを捜し求める旅人。父親との関係、もしくは因縁など
はほとんど描かれないのですが、いずれにしても彼はこの郷愁あふれる音楽
の虜になっており、その音楽を生み出した文化に触れようとします。
そして、偶然たどり着いたロマの村で、”愚かなよそ者”でありながら幸運
にも受け入れられ、ロマの人々との交流を通して、ノラ・ルカを捜し求め、
行く先々で彼らの奏でる音楽を録音し、収集します。しかし、訳もなく犯罪
者扱いされたり投獄されたり、ロマの人々を取り巻く環境は厳しく根は深い。
フィリップは、そんなロマの人々や文化の上澄みだけをなぞっていた愚かな
自分に気づかされます。

他者を、他者が築いた文化を、本当に理解することなどできるのでしょうか。
旅人は通り過ぎるからこそ旅人たるのかもしれません。また、流浪の民は自
らの血の中に、文化の中に確固たる価値と信念を持っているからこそ漂える
のかもしれません。他者を通して自らを顧みる時、人は初めて自分以外の何
かを理解できるのでしょう。旅をするという行為も、旅をしないという行為
もすべてはそこから始まるのです。

by DISK
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「評価」の★の数について

5:これは最高。ぜひ見て欲しい名作。何度でも借りたくなること間違いなし。
4:良く出来た作品。見る人の趣味にもよりますが、とにかく見て損なし。
3:平均的な作品。でも見所はあります。好きな役者が出ていれば迷わずGO。
2:あまり良い出来栄えとは言えませんが、数百円のレンタル料なら許せる?
1:レビューを読んで頂くだけでいいかも。どうしても借りるものがなければ。
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