福岡発アジア映画行き  RSSを登録する

福岡では毎年「アジア映画祭」が開かれます。劇場での一般公開の予定がない作品が多く、一期一会となってしまいそうなすばらしい作品にたくさん出会いました。映画の感想をこのメルマガで書いていきたいと思います。

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2007/06/28

★福岡発アジア映画行き第22号「マグニフィコ」(その1)★☆★

★福岡発アジア映画行き★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ 
                                 第22号
                                             
                                            発効日2007年6月28日
                               発行部数      73部
                        発行人  Jun Rajini

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 ご無沙汰しています。
 ブログ「福岡発アジア映画行き」の方は、一週間に3〜4つのエントリー記
事を書いています。映画以外の話題も多いのですけど、よかったら、遊びに来
て下さいね。
http://ch01411.kitaguni.tv/
 
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 もうすぐ「福岡アジア映画祭」が始まります。
 ボランティアスタッフが運営しているアットホームな映画祭です。
 ゲストもたくさん来られます。僕はこの時期、忙しくてたっぷりと見られな
い
のが残念ですが、毎年楽しみにしている映画祭です。
 http://www2.gol.com/users/faff/faff.html
 6月29日から始まります。

 先日「福岡市総合図書館」の映像ホール「シネラ」でフィリピン映画
「マグニフィコ」を見てきました。「アジアフォーカス福岡映画祭」で上映さ
れた
作品の上映フィルムを、福岡市総合図書館は買い取って多数保存しています。
 

映画「マグニフィコ」(2003年・フィリピン)その1

 「マグニフィコ」(フィリピン・2003年)もすばらしい作品ですが、日
本では劇場公開には至りませんでした。主役のマグニフィコという名前の男の
子を演じたのは、ジョー・ディマジオ(←いや、たぶん、違ってます。後で調
べて訂正しましょう)という名前の日系人です。母親が日本人、父親がフィリ
ピン人なのです。

 よく脚本が練り込まれた作品です。登場人物がけっこう多いです。

 まず、マグニフィコの家庭から紹介しましょう。
 マグニフィコは、おそらく、小学校4年生くらいだと思います。彼の父親の
セリフの中で、マグニフィコは「頭が弱い」ということがわかります。「頭が
弱い」という表現は差別的なのかもしれません。でも、これは、登場人物のセ
リフの中で語られているのです。リアリティをもたせるために、このような表
現が使われています。

 マグニフィコの父親は、失業中です。フィリピンでは失業率が高いです。今
はどうだかよくわかりませんが、マニラでは50%くらいの人が失業していた
こともあるそうです。だから、この映画の中で父親は、仕事を真面目に探そう
としていませんが、これは、真剣に探そうにも仕事がないのだと考えることも
できると思います。彼は、ルービックキューブでよく遊んでいますが、一年以
上やっているのに、まったく完成させることができません。一面だけ同じ色に
できるのがやっとです。

 
次に、マグニフィコの兄姉を紹介します。彼には兄がいます。頭がよくて、奨
学金をもらっているのですけど、学業不振で奨学金打ち切りが決定してしまい
ます。マグニフィコの家庭は、とても貧乏なので、学校を続けることが困難に
なってしまいました。兄は、近所の仕立屋の娘を惚れさせて結婚してしまえば、
大金が転がり込むと考えます。そこで、惚れているふりをします。仕立て屋の
娘はすぐに彼のことを好きになってしまいます。しかし、彼女の父親は猛反対
です。娘を簡単によその男にやれるか、ましてや、貧乏な家に嫁がせて金をま
きあげられてなるものか、と考えているのです。父親はとても恐いのですが、
二人は密会を繰り返します。

 マグニフィコには妹がいます。妹は小児麻痺のため、半身不随です。また、
言葉を発することができません。食事も水も自分ではとることができません。
そのため、いつも家にいます。食べ物をかむのも大変なのです。母親や父親、
マグニフィコが食べさせますが、スプーンで食べ物を口の中に入れてかませよ
うとしても、嫌いなものだったり、のどに詰まりそうになれば嫌がります。

 マグニフィコには、祖母がいます。糖尿病を患っていて、病気も進んでいま
す。でも、病院に通うお金も、薬代もありません。祖母は屋根から落ちたのを
きっかけに寝たきりになってしまい、病状が悪化していきます。

 マグニフィコの母にとって、このような現状はとてもつらいものでした。
 夫は失業中だから、収入がありません。自分がほそぼそと内職をし続けなけ
ればなりません。メロドラマを見ながら、裁縫をする毎日です。目も酷使しま
す。娘がむずがれば、水を飲ませたり、食べさせたり、あやしたりしなければ
なりません。マグニフィコは活発な男の子ですが、勉強ができるわけでもなく、
IQが低いので、周りの人がかわいがっているに過ぎないのです。また、長男
は勉強はできるものの、他の役には立たず、しかも、奨学金も打ち切りになっ
ているのです。
 祖母は二階で寝込んでいます。食事をほしがったり水が欲しいと声が聞こえ
てくると、妻はいらいらすることもあります。いつまでこのような生活が続く
のだろう。祖母に「しっ!」と強い調子で言って黙らせたりもしました。

 マグニフィコの祖母は、マグニフィコとよく話をします。マグニフィコだけ
がよく二階に来てくれて、話を熱心に聞いてくれるからです。勉強そっちのけ
で、他の人が困っていることには無関心でいられないというのが彼の性格なん
です。
 マグニフィコは「おばあちゃん、もうすぐ死ぬの?」なんてことを尋ねます。
 「そうだよ」という言葉を聞くと、葬式代を稼がなきゃならないね、と答え
ます。そしておばあちゃんが入る棺桶を自分で作ると言い出します。棺桶を買
うと高いので、材木屋さんから廃材をもらいます。材木屋さん=仕立て屋さん
という設定になっているようです。

 でも、マグニフィコは「棺桶をつくるから」とは言いませんでした。だから、
仕立て屋のオヤジも、たぶん、日曜大工でもするんだろ、と思って、廃材を分
けてあげます。マグニフィコが、親友と木材をのこぎりで切っていると、父が
やってきて「お前、何作ってるんだ?」と聞かれます。
 マグニフィコは、メモ帳に描いた設計図を隠そうとしますが、見られてしま
います。
 「何だ、箱か?それなら簡単じゃないか」
 そう言って、父親は、のこぎりで木材を切ってくれました。

 マグニフィコは、葬儀屋をしている初老の女性のところに行きます。彼女は
声がしわがれていて、子供たちから不気味だとからかわれています。彼女は、
墓地のそばに住んでいます。人間嫌いなのです。マグニフィコは、葬儀にどれ
だけのお金がかかるのかを尋ねに行きます。そして、彼女ののどの調子が悪い
のを知り、母親にのどの薬をつくってもらい、何度も届けます。でも、彼女は
おどすようにして、帰れ!と言うのです。

 マグニフィコにはやらなければならないことがたくさんあります。
 まずは、おばあちゃんが亡くなるまでに、棺桶を完成させることです。採寸
をして、箱を作り、やすりをかけて、絵を描いてニスで色を塗ります。山の間
から虹がかかり、黄色くておおきな太陽が顔を出した絵です。
 また、おばあちゃんのために、薬を買ってあげたいのです。
 町のお祭りが始まりました。妹にお祭りを見せてあげたいとマグニフィコは
考えます。でも、歩いていくだけでも大変な距離です。車いすが必要です。だ
から、バスの運転手をしている男に車いすを売ってくれと頼みますが、子供に
とってはとんでもない額を言われてしまいます。

 マグニフィコは、親友と二人で、お祭りの場所で、水とジュースを売ること
にします。大きなプラスチックの容器に、家で作ったジュースを入れて、持っ
ていき、水は2ペソ、ジュースは5ペソで売ります。車いすを買うには300
0ペソが必要です。彼らはラップを口ずさみ、踊りながらジュースを売ろうと
しました。すると、子供たちが集まってきて、ジュースは飛ぶように売れまし
た。一日で306ペソを稼ぐことができました。

 でも、おばあちゃんの薬代、たったの10錠を買っただけで300ペソかかっ
てしまいました。お祭りは残り2日しかありません。車いすを一日借りるのに
300ペソでと、お願いしていたのも、お金がなくなってしまったので、借り
ることができません。
 しかも、翌日、親友と二人で、ポリ容器を持って歩いてお祭り広場までたど
りつくと、女の子二人が同じようにラップを踊ってジュースと水を打っていた
のです。もう子供たちが集まってきていて大騒ぎをしていたところだったので、
あきらめざるを得ないのでした。

 お祭りは残り一日しかありません。

 では、お祭りとはどのようなものでしょうか。
 回転木馬や、観覧車などがあります。観覧車は、半径が五メートルほどと短
く、かなりの速さで何十回転もするものです。ゆっくり景色を見るためのもの
ではないです。これらの施設は、どうやら、移動式のもののようです。組み立
てて、お祭りが終われば、解体して次の町でまたお祭りをするという性質のも
ののようです。
 大人たちは、大きなボール(さいころのような目がある)を転がすギャンブ
ルをやっています。また、わたがしなども売っています。お祭りは少し離れた
ところであっていて、大半の者は歩いて行きます。少し裕福な人は車で行った
り、バスを使って行っているようです。

 このお祭りに妹を見せたいとマグニフィコは思います。でも、車いすは無理
です。
 この辺りで、実は、ストーリーはどん底に近くなっています。
 長男は仕立屋の娘とこっそり会っているところを、娘の父親から見つかり
「娘はマニラの学校にやって勉強をさせる。まともになるまで家には戻らせな
い。お前とは結婚させない」と言われてしまいます。
 兄が自宅に戻って母親に
 「俺があの娘と結婚できれば大金が転がり込むところだったんだ」と大声で、
半ば自暴自棄で言っていたのを、落ち込みつつも彼の家の近くまで歩いてきて
いた彼女に聞かれてしまいます。実は、長男は、本当に娘を好きになっていた
のです。でも、誤解を解くのも難しそうです。

 マグニフィコは「もう明日、あの子はマニラ行きのバスに乗っちゃうよ。謝っ
たら?」と流し台のそばで兄に言います。

 父も、仕立て屋のオヤジから「金目当てで、お前の息子は俺の娘をたぶらか
しているな」と言われたので、カッときています。でも、仕事が見つかるあて
もありません。かなりやけになっています。母親も、自分ばかりが内職をして、
苦労を背負い込んでいてストレスがたまっていて、夫婦げんかをしてしまいま
す。

 というわけで、この辺りが、どん底なんです。

 マグニフィコは、妹を背負って、歩いてお祭りを見せてあげようと、決心し
ます。
 その時です。
 「お祭り、見にいこ」
 と初めて、妹が言葉を発したんです。ここから物語が一気に好転し始めます。

 一気に書いてきて、疲れたので、このくらいにしておきます。この後、どの
ようなストーリーになるか。お楽しみに。

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