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2005/12/30

★福岡発アジア映画行き★★第18号 『シバジ』(イム・グォンテク監督 1986年)

★福岡発アジア映画行き★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
                                 第18号
                                             
                                            発効日2005年12月30日
                               発行部数      60部
                        発行人  Jun Rajini

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 今年も残りわずかになりました。
 発行間隔が長くなってしまい、ごめんなさい。 
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 「シバジ」 イム・グォンテク監督(86年)
 李朝時代の末期に、地方の名家シン家の当主夫婦は子供に恵まれなかった。
 若奥様は28歳。まだまだ、子供を産める年齢ではある。しかしながら、様々なおまじないを試してみたり、縁起を担いでみたりしたのだが、なかなか妊娠しない。


 男系社会の韓国では、名家の家系を存続させるためには、男の子が生まれなければならない。

 このような場合に、「シバジ」を利用していたのだ。
 「シバジ」とは、跡継ぎのない家のために、正妻の了解を得て、夫と性交をして子供をつくる代理母のことである。
 「シバジ」は世襲制がとられていた。
 「シバジ」たちの住む山村がある。貧しい彼女たちは、貴族のために「種受け」をして、妊娠する。

 もし、男の子が産まれれば、多額の報酬を手にすることができる。しかしながら、女子が生まれると報酬は少なく、産まれた子供は引き取らなければならなかった。

 さて、この名家の当主である夫は、「シバジ」を利用することに気が進まなかった。妻を愛していたからだ。
しかし、妻はつらい苦行をしても、子供ができないでいるので、
 「子供ができないと、私はこの家から追い出されてしまうかもしれない」と弱気なことを言う。

 そこで、夫は、大奥様の勧めるように、「シバジ」を利用することにしたのだ。

 どのような「シバジ」が男子を産む確率が高いか。それは、人相でわかるという。
 現代にいきる僕たちからすれば、科学的でないと一蹴してしまうようなことを、本気で信じていたようだ。

 シバジの村に、人相学に詳しい人と、夫の家来(いや、夫本人だったかもしれない)の二人で行ってみた。
 
 シバジが五人くらい並んでいる。
 誰それは、男の子を三人続けて産んだとか、二人目まで男だったが三人目が女だったとか、年長者の女性が、ひとりひとりのシバジについて説明をする。
 三十代くらいまでのやや年齢が高い女性ばかりが並んでいた。

 ところが、人相学に詳しい男は、
 「あの、牛を追っていた女はどこにいる」と言う。名前はオンニョ。十七歳でおてんばの女の子である。
 
 彼女が、旦那と交わるためのシバジとして選ばれた。

 彼女の母も元はシバジであった。母親は腰を痛めている。
 シバジは、産んだ男の子と会うことは許されていない。生まれてすぐに、正妻から子供を取られて、それで謝礼が与えられ、すぐに立ち去らなければならないのだ。
 ところが母は、子供をこっそり見に行った。それで、鉄の棒で百回くらい腰を殴られ、腰を傷めてしまうのだ。
 母親は、オンニョに対して、「シバジは、自分以外の誰に対しても、情を持ってはいけないよ」と忠告をする。

 オンニョを迎えに来る、夫の使いがやってきた。
 彼女は黒い布で目隠しをされて、名家の夫の屋敷まで連れてこられた。

 そして、数々の迷信やまじないごとを守らされて、性交をする日取りが決められた。
 その間、オンニョは狭い部屋で一人、そこから出ることは許されない。

 「種受け」をする晩がやってきた。
 夫が着物を脱ぎ、正妻は着物をたたむ。そして、正妻は戸を閉めて、戸の前にいなければならない。
 夫がシバジであるオンニョと交わり、夫が果てるのを待っていなければならないのだ。

 夫は前戯もせずに、オンニョを激しく突いた。苦痛で顔がゆがむオンニョ。
 
 ところが、夫はオンニョが好きになってしまい。密会をするようになってしまう。
 男の子を妊娠させるために決められた性交の日を守らず、オンニョを抱いていたことが、妻や大奥様や父親にばれてしまう。
 そこで、両手を縛られて、殴られるのはオンニョなのである。ひどいものだなあと思う。

 しかしながら、オンニョは、当主が若奥様よりも自分を好いてくれていることに自信を持ち、自分も彼のことが好きになっていく。

 この後のことは、かなり省略しますが、オンニョには無事に男の子が生まれる。
 しかし、ろくに生まれた子供を見たり抱いたりする猶予もなく、若奥様が入ってきて、子供を取り上げてしまう。お礼の一言も言うわけでもない。

 いきなり、子供と引き離されてしまうのだ。
 子供を産んだばかりだというのに、名家に仕えている者が言う。
 「これが約束の謝礼の五反の土地の権利書だ。すぐに、この屋敷から立ち去ってもらう。土地はここから五百里離れたところにある」

 子供が産んだばかりの女性から子供をとりあげるのみならず、目隠しをしてかごに乗せて、五百里も離れた場所に連れていくのである。

 泣き叫び、人目だけでも子供の顔が見たいというオンニョ。その願いは叶えられることもなく、むりやり、かごに乗せられた。

 「一目だけ見ていいぞ」
 屋敷にいたサンギュ(当主)は、父親からそう言われて、扉の隙間から、オンニョがむりやり屋敷の外に連れて行かれるのを見た。
 さんざんオンニョを抱いたサンギュは、オンニョのことを愛していたのかもしれない。
 しかし、家を守るため、ご先祖様から続いてきた系譜をまもるためには、何もできないのであった。

 オンニョと彼女の母親は、かごに乗せられ、目隠しをされていたので、いったいどこかもわからないところで、かごから下ろされた。
 「ここで静かに暮らすがよい」
 山奥の雑木林の中に二人を放り出し、名家の家来達は足早に帰っていった。

 「私はモノじゃない。人間なのよ」と泣き叫ぶオンニョに母親が言う。
 「人間は、人間らしい扱いを受けて初めて人間になるの」

 一年後、オンニョは首をつって死んでしまった。(完)

 できれば、この作品を映像で見て欲しいです。
 衣装もすばらしかったし、信じられていた迷信の数々など、男の子を産むために、どんなことをしていたのかが、かなり詳しく描写されていました。
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