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福岡では毎年「アジア映画祭」が開かれます。劇場での一般公開の予定がない作品が多く、一期一会となってしまいそうなすばらしい作品にたくさん出会いました。映画の感想をこのメルマガで書いていきたいと思います。

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2003/02/09

★福岡発アジア映画行き 第10号 『忘れな歌』(タイ)★★★

★福岡発アジア映画行き★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
                                 第10号
                                             
                                     発効日2003年2月9日
                                発行部数      73部
                        発行人  Jun Uwo(うを)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
 みなさま、こんにちは。『福岡発アジア映画行き』の Jun Uwo です。
 やっと10号まで、なんとかたどりつきました。
 前回の発行が昨年の10月20日。その時の発行部数が72部で、現在73部です。
初めてこのメルマガが届いた皆様、(おそらく2人です)はじめまして!登
録解除なさらなかった皆様、ありがとうございます♪
 昨日、『わすれな歌』と言う、タイ映画を博多駅のそばにある、『シネリー
ブル博多』で観てきました。残念ながら、東京では、すでに上映が終了してい
るのですが、全国各地で上映が予定されています。上映予定については、『わ
すれな歌』の公式サイトのリンク先と合わせて、このメルマガの最後に載せて
いますので、興味のある方は、ご覧になってくださいね。
 今回のメルマガは、映画の「あらすじ」を紹介しています。映画をご覧にな
る予定の方で、「ネタバレはやだ」と思われる方は、このメルマガを読まずに
、直接、「公式サイト」をのぞいてみてくださいね♪

 
 
 『わすれな歌』 2002年・タイ映画
 舞台は、タイの田舎の村。川沿いにあって、サダウと言う17,8ほどの女性は、
父と二人暮らしをしていました。
 後先のことを考えないのんきな男(ペン)が、サダウと言う女性を好きにな
り、頑固な親父も、2人の熱意に負けて2人は結婚。ところが、ここから、ペ
ンには、とんでもないことが続くのです。
 まず、村の中で兵役にひとり出さなければならなくなり、くじに当たってし
まう。
 妻は懐妊しているのに、遠く離れた場所で新兵のための訓練をしなければな
らない。新兵の訓練は、とてもつらいものでした。銃を持って塹壕での訓練。
体の厚さすれすれのところに、有刺鉄線が張られている中を仰向けのまま、は
って前進をしていく訓練…。ペンは、手紙をサダウに書き続けていました。

 半年くらい兵役を続けていた時、基地の近くの歌謡募集コンテストでペンは、
、優勝してしまう。それで、基地を脱走し、ボスのもとで歌手を目指す。とこ
ろが、ボスは、彼に「辛抱が大事」と言いながら、27ヶ月間も雑用係ばかりさ
せる…。ペンは脱走兵だったのですから、もともと、警察に捕まれば、死刑は
必至だったわけです。ボスはそのこともわかっていて、彼をタダ同然の賃金で
雑役夫としてしか扱う気はない。

 妻サダウが、しびれを切らして、興行中の彼に会いに行きます。高齢の父と
二人で、畑を耕す毎日。「持ち物」と言えば、結婚する前にペンからもらった
、ラジオくらいしかありません。
 「おみやげ」は、ペットボトルの空瓶に、雨どいから集めた「おいしい水」を
1本だけ。
 
 なんと、その日、たまたま、歌手の一人が逃げたため、ペンに急きょ代役が
たてられ、妻が観ているなかで歌うのです(笑)観客は大喝采。
 ボスは、サダウを「追っかけ」と勘違いします。そして、2年以上、用具室の
すきまに寝かせていたペンをいきなり自宅(トロフィがずらっと並び、虎の毛
皮の敷物などがある豪邸)に呼び、ビールを飲ませて、「写真を撮ろう」と言
って、ペンをブリーフ1枚にさせます。そして、レイプを始めます。(ボスも
男です)ペンはそれを手で押しのけたのですが、打ち所が悪くて、ボスは死ん
でしまう。

 ペンは、逃げました。警官を恐れて、「人集め」をしている軽トラックに乗
ってしまいます。トラックは、時速100キロで走ったために降りられず、たど
りついたところは、プランテーションの農場。またもや搾取される立場となっ
てしまいました。農場では、ペンは、黙々と一所懸命働いていました。毎晩の
ように夜に行われるトランプの賭け事にも参加しません。
農場主に、管理を任されている、人を殺したこともある乱暴な男が、ある夜、
彼に敵対している労働者に4000バーツ負けてしまいます。管理人は、それをご
まかそうとしたので、ペンは、見ていられず、彼を殴ってしまうのです。それ
で、2人で農場を逃走。

 働くところもない2人は、都会まで出てきてさ迷い歩きます。
 上流階級のパーティで、いかに貧乏な人に似せた服装をしているかを競う「
貧乏人コンテスト」に出場しようとしたのですが、ゲストではないとバレてし
まい、蹴りだされます。

 サダウは、幼い子どもと二人で貧しい生活を送っていました。父は他界した
ので、一人で、畑を耕す毎日。ラジオも、砂ぼこりに風化して、時々叩かない
と音が出ません。夫とはずっと音信普通。

 サダウは川沿いの集落にすんでいます。ある時、ペンと同じくらいに、いい
加減な若者が、船に乗って薬売りにやってきます。
 「食べても食べてもおなかがすく。これはあなたが悪いんじゃない。虫がい
るんです。薬を飲めば明日には出るよ。僕の方がいいって?薬をのめば、僕は
タダさ」
なんて、おかしな口上を言っている。虫下しを飲んだ子供達が、出てきた虫を
ビンに入れて持ってくると、「6匹で2バーツ」で買い取るのですから、商売
上手だなあ…笑ってしまいました。彼はサダウに目をつけて、二人は結ばれて
しまいます。
 
 「妻のいる田舎に帰りたい。バス代が欲しい」とペン。
 相棒は、女性の金のネックレスをひったくって、ペンに渡します。
 ペンは、閉店間際の質屋の店主に向って、道路の向こう側から、「お〜い!
閉めないでくれ!」と大声でどなります。そのそばでは、駐輪違反を取りしま
る警官がいたのですから、なんともついてない。(この「ついてなさ」は、彼
の「のんきさ」と今のことしか考えていない行動が呼び込んでいるのですが)
彼は逃走を始めますが、道路を走っていた車に正面衝突し、逮捕されて、「刑
務所行き」となります。

 罪を認めたため、2年の刑務所生活。足かせをはめられ、肥ためから肥を運
ぶ毎日。肥えために落ち込んでしまう場面も…。
 まじめにしていたため、若干刑期が短くなって、釈放されます。
 「もう、ここには戻ってくるなよ」と看守から言われて、「はい」。
 
 ところが、刑務所を出ると、高級車に乗った、かつての同僚が現れます。
 ペンのためにネックレスのひったくりをした男です。(あのネックレスは
金メッキ製で、価値のないものであったことも笑えます)
 「俺と手を組まんか?ドラッグだよ。密売で、家も車も手に入った。妻もも
うすぐ、歌手として再デビューさせる資金もできそうだ。お前も金をもうけて
、妻のところに胸を張って帰れるぞ」
 ペンは、また、糸の切れた凧のようになってしまうのか…。
 
 (ちょっと休憩タイム…。展開を予想して、10行後に進んでくださいね)
 
 S
 P
 O
 I
 L
 I
 E
 R
 
 S
 P
 A
 C
 E
 

 ペンはどうしたのでしょうか。
 体ひとつで、サダウのもとに現れました。
 サダウの側には、2人の子どもが寝ています。
 「2人目は誰の子どもなんだ」とペン。
 「2人とも、父親は、逃げたわ」とサダウ。
 サダウの着ている服はボロボロ。ラジオも壊れて音も出ません。でも、結婚
前に、妹からもらった、青くて可愛らしい感じのするシャツを、紙袋から取り
出すと、それだけは、色あせてなかったのでした。かつて、デートの時に着て
いた服です。
 「畑仕事を真面目にするよ。ずっと一緒に暮らしていきたい」
 「いいけど、食べる分は働いてよ」
 「いいよ」
 「夜は外で寝て、家の番をして」
 「いいよ。でも、吠えるのはヘタだよ」
 肩を抱いたダメ男ペンに、サダウは耐え切れなくなって、泣きじゃくって、
二人は抱きしめあって、めでたしめでたし…。
 いや、二人のことだから、これからも、トラブルを呼び込んでしまうのでし
ょうね(笑)【めでたしめでたし?】

 
 
 それにしても、土曜日の夕方で、博多駅のすぐそばなのに、観客はたったの4
人。素敵な作品なのですが、相変わらず、韓国・中国以外のアジア映画は、福
岡では苦戦しています。
 映画については、洗練されてきたなあ…と言うのが実感です。この作品、な
んと、米アカデミー賞の「外国映画部門」に出品されている映画なのです。
 
 歌われているのは、「ルークトゥン歌謡」と言って、日本の演歌にあたるも
の。日本の演歌は、年齢層で聴くか聴かないかがわかれてしまうものだけれど
、ルークトゥン歌謡は、階層によって、つまり、タイの主に貧しい人々や一般
大衆(大多数の人々)が聴いているのだそうです。
 でも、僕が聴くと、とても新鮮な音楽に聴こえました。映画中にも5〜6曲
のルークトゥン歌謡を聴くことができますけど、まるで、映画のために作られ
た新曲ではないかと思われるくらいに、歌詞と映画のストーリーが親和してい
ました。

 ダメな男は、女性を不幸せにする。でも、ダメ男にひっかかる女性は、自ら
ダメ男を呼び込んでいるのかも…。でも、もし、彼らが幸せなのなら、それが
何より。経営者による労働の搾取…。こうしたシリアスなテーマを、コメディ
にしてしまったベンエーグ・ラタアルナーン監督の個性がよく出ている映画で
す。
 それから、「あらすじ」では書きませんでしたが、タイの田舎の情景を堪能
できる映画なんです。都会ではマクドナルドの店も映っていましたので、田舎
と都会を両方観ることができます。

【Jun Uwo の評定…81点】
  
  50点以上…観て損はありません
  70点台…観づらい点もあるけれど、素晴らしい映画
  80点台…見て楽しめる映画
  90点台…価値観をゆさぶられるすごい映画

 『忘れな歌』の公式サイト
 http://www.klockworx.com/uta/

【『忘れな歌』の公開予定】
東京 シネスイッチ銀座( 12月21日・上映終了)
福岡 シネ・リーブル博多( 2月1日 ・公開中)
大阪 梅田ガーデンシネマ 2月15日 
名古屋 シネプラザ50 2月15日 
福岡 小倉シネシティー有楽 2月22日 
新潟 新潟シネウインド 3月22日 
岐阜 シアターペルル 3月22日 
宮城 仙台フォーラム 3月22日 
名古屋 ヘラルドシネプラザ 未定 
北海道 札幌シアターキノ 未定 
広島 広島サロンシネマ 未定 


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