2002/09/21
★福岡発アジア映画行き(第8号・「映画祭の名通訳者達」)★☆★
★福岡発アジア映画行き★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
第71号
発効日2002年9月21日
発行部数 71部
発行人 Jun Uwo(うを)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ごぶさたしています。Jun Uwoです。
14日から始まった『アジアフォーカス 福岡映画祭』が
始まっています。23日までの連続10日間で、上映される
27本のアジア映画のほとんどに、日英の字幕がついて
います。
フィリピン、インド、香港などのゲストは、映画上映
後の「ティーチイン」で、観客からの質問に英語で答え
てくださるので、とても有意義な時間を過ごすことがで
きます。映画の公式ガイドブックには、上映される作品の
あらすじ、解説、監督からのメッセージが、すべて日英
併記で載っています。130ページで1000円です。郵送でも
手に入れることができるようです。特に、「監督からの
メッセージ」が長く、充実しています。お問い合わせは、
『アジアフォーカス福岡映画祭』の公式サイトまでお願い
します。
今日は、「福岡映画祭」で通訳をされていらっしゃる方々に
ついて書こうと思います。
名前は残念ながら存じ上げませんが、
英、日通訳で、観客がどんな質問をしても、ゲストがどん
なに長い回答をしても、顔色を変えずに細部
にわたって、一字一句漏らさず、通訳される方がいらっ
しゃって、惚れ惚れしてしまいます。
フォーラム『映画で観るイスラム世界』を聴いた時には、
さらにびっくりしました。映画評論家の佐藤忠男さんが
20分間話し続けるのを、フィリピンの映画監督アバヤさん
の耳元で同時通訳をしていらっしゃいました。
ゲスト最初のアバヤ監督が「暴走」し、何と、25分も話し
続けました。アバヤ監督の話は、「段落」が長いので、5分
以上話が続くことが多いのですが、それも、漏れなく通訳していかれ
ました。他の国の、ノイズの多い英語でも、まったく動
じるところがありません。さらに、「『ジハード』を"holy war"と
訳したのは、キリスト教側の誤訳です」とイランの監督のマ
イクを奪うようにして、アバヤ監督は、約20分のイスラム教の
講義?し続けましたが、それにも、きっちり対応されました。
タフな実力者だなあと思いました。
一方、「イラン、日本語間」の通訳は、イランと日本の合
作映画の『旅の途中でFarda』で「日本語が話せるイラ
ン人」役を演じている青年、オースマンさんがしてくだ
さいました。「6年間日本で働いて日本語を覚えた」と
のこと。この映画は、10月から全国各地で公開されると
思いますので、是非、映画をご覧になって、彼のきれい
な日本語を聴いてみてください。ピーター・フランクル
のような、ちょっぴり、もこもこした感じのする温かい
日本語を話します。
観客の中には、評論家のように、自分の感想を1〜2
分のべた後で、「……この点について、監督は何か意識
されて映画を撮影されましたか」と尋ねる方もいらっしゃる
んです。「…」の部分は、僕達日本人は、聞いていて、
「なるほど〜、深く観ているなあ」とか、「よく分析し
ているなあ」とか思って聴いていると思います。でも、
通訳者泣かせの質問です。と言うのは、「…」の部分を
ほぼ完璧に訳さないといけないわけですから。
イラン映画の通訳には、オスマン君が引っ張りだこでした。
でも、「…(長い感想)…+この点について監督は意識
されましたか」式の質問がいくつもでたんです。
オスマン君は、穏やかな笑顔で時折質問をする観客に
あいずちをうちながら、メモをとり、監督に小さな声でイラン語
で「通訳」をします。
ところが、監督の「回答」がまったく、観客の質問の答えになっ
ていない時があるんです。
監督がおっしゃるテーマが素晴らしいだけに、オース
マン・ムラマドバラストさんが、どういう誤訳をしたか、見
事に想像できます。そのズレが非常に面白かったです。
会場の沈黙が続くと、「ティーチイン」が早く、お開
きになってしまうので、僕も質問をしました。
「イランでは、『未婚の母』を支援する、政府や民間
や、イスラム教の団体はありますか?」と尋ねると、
監督からは、まったく見当ハズレだけども、素晴らしい
答えが返ってきました。観客たちから、温かい笑い声が
漏れました。
司会の方が、僕に向かって、「いいですかぁ?」と
笑顔でマイクを通しておっしゃいました。これじゃあ、
オスマンがかわいそうだと思い、質問を言い直すことに
しました。
そこで、「主人公が別れた夫のお母さんが働いていた
、未婚の母親を支援する組織は"みんかん"(←ここをゆ
っくり言いました)ですか」と質問しなおすと、彼はに
っこり笑って、見事に通訳してくださいました。
「支援する組織には、政府の組織と、民間の組織が
あります。彼女は、民間の組織に勤めていました。
民間の組織も、政府からの援助がもらえますが、審査が
厳しく、活動も制限されています」
監督は、1問目の僕の質問にきっちり答えてくださった
わけです。質問する方も、通訳にわかりやすい聞き方を
しなきゃなあと思いました。
映画が終わって、会場を出て西鉄福岡駅の構内で、映
画祭のポスターの写真をデジカメで撮っていると、オス
マン君が監督たちとやってきました。
「さっきはありがとう」と、オスマンに話し掛けました。
「僕の通訳がへたで、すみませんでした。もっと時間
があればよかったのですが…」と、笑顔で、もこもこした
温かい日本語が返ってきました。
「いやいや、日本語うまいですよ。どうやって勉強し
たのですか?」
「日本で働いて勉強しました」
「僕も10年以上英語を勉強しているのだけど、あなた
の日本語の方がずっと上手ですよ」
「話されている国に行くのが一番ですよ」
「そうですね。やっぱ、度胸だよなあ…」
すると、映画監督が、僕の方を向いて、にっこり笑顔
で、手をあげて別れの挨拶をされました。映画の応答の
時は、腕組みをされて、あまり笑わなかったのと対照的
で、素敵な笑顔でした。とっさのことだったので、笑っ
ておじぎをするのが精一杯でした。別れは突然訪れます。
映画祭のプログラムを見ると、イラン映画のゲスト付
上映は、今日が最後の回でした。もっと、彼の通訳を聞
きたかったなあ…。そうすれば、もっと「通訳者に優し
い質問」ができたのに…。
帰りの列車に揺られている時、気づきました。フォー
ラムの時、どうしてイランの映画監督が、ずっとしかめ
っつらをしていたのかを。佐藤忠男さん(映画評論家)
の20分の「日本語攻撃」を、オスマン君が一所懸命に通
訳されていたのですから。
オスマンは、緊張していながら質問をしている観客に、要所
で大きく笑顔で頷きながら質問をするんです。僕も、そ
の笑顔のおかげで、質問をする時に、どれだけ、緊張が和らい
だことか。彼は、「素晴らしい」通訳者でした。
それから、『男人四十』と言う香港映画を観ました。
主演女優は、松島奈々子とビビアン・スーを9:1の
割合でミックスして、高校生にしたような感じの方でし
た。映画上映後に、サイン会がありました。僕は、サイ
ンをもらうと、もう会えないような気がするので、あま
りもらわないことにしています。でも、彼女は、とても
きれいな英語を話すのです。16歳までカナダにいて、お
母さんが台湾人と日本人のハーフなんだそうです。何し
ろ、サインを求める人の列が長いので、何と英語で言お
うか考えていました。そして、列の最後尾の僕の順番に
なりました。
"Thank you very much for your kind answer."
"Oh! Thank you."
"I hope we can see you in Japanese movie."
"Thank you."
"I'm studying English. (Please) study more harde
r than me."
"わたし、日本好きです。勉強しています"
"Thank you very much."
結局口をついて出てきたのは、中学英語です。緊張し
ますね。果たして、"Please"をつけたかなあと、もしか
したら言うのを忘れてしまったかなあと少し気がかりでした。
「俺よりもっと日本語を勉強しろ」じゃあ、あまりにひどい。
でも、このMLの皆様ならすでにお分かりのように、少なく
とも、
"movie→movies"、"more harder→harder"、"me→I"と
三つも間違っているのです。これなら、(私の方が、ha
rderだわ)と思ってくれるだろう…と思い、ほっとしま
した。オスマン君じゃありませんが、ホント、「もっと
時間があったら…」と思いました。
それにしても、高校生役の彼女の格好は、ブレザー
の制服に、タータンチェックのスカートを短く着こなして
います。かばんには、小さな、ぬいぐるみをつけているし、
ゲームセンターの雰囲気も日本と見分けがつきません。
もちろん、中華料理を食べるシーンもありますけど、
香港って、日本って、流行っているものが、かなり似てきて
いるのかなあ?
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