2010/01/31
◆i哲学067◆【オリコン訴訟3】インターネットを活用した個人が大企業に勝訴
l■■■■■■■■■■■■■■■■■@■■■■■■■■■■■■■■■■■l インターネット哲学【ネット社会の謎を解く】 No.067 2010.1.31. 諸野脇正@インターネット哲学者 l■■■■■■■■■■■■■■■■■@■■■■■■■■■■■■■■■■■l ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 【オリコン訴訟3】インターネットを活用した個人が大企業に勝訴 諸野脇 正@インターネット哲学者 【e-Mail】 ts@irev.org 【Web Site】 http://www.irev.org 【Blog】 http://shonowaki.net ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 個人が大企業に勝訴 オリコン訴訟は、初めてのインターネット裁判だった。 大企業を相手に個人がインターネットを武器に戦ったのである。 詳しくは次の文章を読んでいただきたい。 ● インターネットはオリコンを倒せるか http://www.irev.org/shakai/oricon-net.htm この初めてのインターネット裁判で、烏賀陽弘道氏がオリコンに勝訴した。 オリコンが「請求の放棄」をおこなったのである。「請求の放棄」とは自ら敗 訴を認めることである。オリコンは自爆したのである。(注1) つまり、初めてのインターネット裁判で烏賀陽弘道氏が勝訴したのである。大 企業ではなく、個人が勝訴したのである。インターネットを武器にした個人が勝 訴したのである。 これは画期的なことである。 そして、インターネットにとって喜ばしいことである。 ■ 個人だけを訴えていいならば、次はブロガーが訴えられる 先の文章で私は次のように書いた。 オリコンの行為は、インターネットに対する脅威である。 だから、インターネットはオリコンを倒さなくてはいけない。 そして、インターネットはオリコンを倒せるはずなのである。 なぜ、オリコンの行為はインターネットに対する脅威なのか。 オリコンがブロガーを訴える可能性があるからである。インターネット上の情 報発信の脅威になる可能性があるからである。 オリコンは、烏賀陽弘道氏個人に五千万円もの高額名誉毀損訴訟を起こした。 個人だけを訴える高額訴訟をためらわなかった。 個人だけを訴えていいならば、次に狙われるのはインターネットである。ブロ ガーである。(注2) インターネットこそ、個人が単独で情報を発信しているメディアであるからで ある。 例えば、私はブログ・ホームページでオリコンの行為を厳しく批判している。 また、影響力も大きい。 グーグルを検索すると私の文章が一位になっている。 「オリコン訴訟」〔一行文字数の制限で改行が入ってしまっています。直接入力して見て下さい。〕 http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz= 1T4GGLD_jaJP311JP311&q=%e3%82%aa%e3%83%aa%e3%82%b3%e3%83%b3%e8%a8%b4%e8%a8%9f 「小池恒」(オリコン社長) http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4GGLD_jaJP311JP311&q=%e5%b0%8f%e6%b1%a0%e6%81%92 「笹浪雅義」(オリコン側弁護士) http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4GGLD_jaJP311JP311&q=%e7%ac%b9%e6%b5%aa%e9%9b%85%e7%be%a9 オリコンは個人を訴えるのを躊躇しないのだから、私が五千万円訴訟を起こさ れても不思議はなかった。 ■ オリコンはネット上の「強姦魔」になりかねなかった しかも、私は、私がインターネットで批判をした事実をオリコンにメールで伝 えているのである。 正々堂々と行動したかったのである。(批判したらその事実を相手に伝えるの が学問の世界の常識である。) しかし、よく考えると相手は普通の相手ではない。 強姦魔に自分の住所を教えるようものである。(苦笑) 私が五千万円訴訟で「強姦」されても不思議はなかった。 私以外の多くの人もインターネットでオリコンの行為を批判した。そのような 人は皆、SLAPP(口封じ訴訟)を起こされても不思議はなかった。 オリコンは、個人だけを対象に高額訴訟を起こした。それならば、インターネ ット上の情報発信に対しても、高額訴訟を起こす可能性がある。 つまり、オリコンはインターネットに対する脅威なのである。 ■ オリコンは「ネット上の批判」に負けた だから、インターネットはオリコンは倒さなくてはならなかった。 そして、見事にオリコンを倒したのである。 オリコンは一審で勝訴したにもかかわらず、「請求の放棄」をおこなった。つ まり、自ら敗訴を認めたのである。自爆したのである。無惨な負けである。 インターネットがオリコンを倒したのである。「高裁協議」の様子からオリコ ンが、なぜ自爆したのかを見てみよう。その内容を烏賀陽弘道氏自身が詳しく報 告している。(注3) 黒津裁判官「TBSの取材がオリコンに入ったそうだ。ネット上でも取り上 げられているし、収束したほうがいいという判断にオリコンは傾いている。 ……〔略〕……」 黒津裁判官「〔オリコンは〕ネット上の批判も強くなってきたので、矛を収 めたい」 オリコンは「ネット上の批判」に気にして、裁判を止めたのである。これ以上 「批判」が「強くな」るより、敗訴を認めた方が得策だと「判断」したのである。 これは〈企業が「ネット上の批判」を気にして裁判を止める「判断」をした〉 初めての事例であろう。「ネット上の批判」が企業を倒した初めての事例であろ う。 ■ 世界は烏賀陽弘道氏にお礼を言うべきである 初めてのインターネット裁判でインターネットが勝利した。インターネットを 活用した個人が勝利したのである。 私達は、烏賀陽弘道氏にお礼を言わなくてはならない。 誰もが、SLAPP(口封じ訴訟)と戦い抜くことが出来る訳ではない。 やはり、訴訟を続けるは苦しいのである。訴訟に多くの時間を取られ、実質的 に無収入に近い状況に追いつめられるのである。 その苦しい時、相手は次のようなことを言ってくるのである。 一言謝れば、提訴は取り下げる。 「悪魔の誘い」である。一言謝るだけで楽になれるのである。 このような状況で耐えられる人は少ない。 自分だけの損得ならば、その条件を飲んだ方が得かもしれない。 しかし、烏賀陽弘道氏は、最後まで戦い抜いてオリコンを敗訴に追い込んだの である。SLAPP(口封じ訴訟)が成功する前例を作らせないためである。烏 賀陽弘道氏は、自覚的にオリコン訴訟をSLAPPと位置づけた。自覚的に言論 の自由を守るために戦ったのである。(注4) 世界は烏賀陽弘道氏にお礼を言うべきである。 また、インターネットは烏賀陽弘道氏にお礼を言うべきである。 ブロガーは烏賀陽弘道氏にお礼を言うべきである。 烏賀陽弘道氏は、言論の自由を守るだけでなく、インターネットをも守った のである。 烏賀陽弘道氏は、インターネット上の個人の情報発信を守ったのである。 ■ これでオリコンもブロガーを訴えると何が起こるか分かっただろう 烏賀陽弘道氏のおかげで私達ブロガーはオリコンから五千万円訴訟を起こされ ずに済んだのである。(苦笑) 個人を狙いうちにしたSLAPP(口封じ訴訟)が大きな「ネット上の批判」 を引き起こすことをオリコンは理解したであろう。 もし、オリコンがブロガーに対して高額訴訟を起こしたら、大きな「ネット上 の批判」が起こるであろう。 オリコンもブロガーを訴えるリスクをこれで理解したであろう。SLAPP (口封じ訴訟)のリスクをこれで理解したであろう。 オリコンの事例を見ていた他の企業も同様に理解したであろう。オリコンの敗 訴は、SLAPP(口封じ訴訟)を起こそうと考えていた企業に対する大きな警 告になったであろう。 ■ インターネットが個人に大企業と対等に戦える力を与えた 日本初のインターネット裁判の結果は、インターネットを活用した個人の勝訴 であった。(注5) 個人がインターネットを活用することで、大企業と対等に戦えるようになった のである。 こう考えると分かり易いであろう。 もし、インターネットが無い状態で、オリコン訴訟が起こったらどうなった か。 たぶん、我々はオリコン訴訟の存在すら知らなかっただろう。 マスメディアは、この訴訟の危険性をほとんど報道しなかった。このSLAP P(口封じ訴訟)の危険性をほとんど報道しなかった。 インターネットが無ければ、オリコンを厳しく批判する文章が多く発表される ことはなかったであろう。オリコンに不利な証言が多く出てくることもなかった であろう。 インターネットによって、それらは多くの人の知るところとなったのである。 インターネットが個人に大企業に対抗できる力を与えた。 まずは、この事実を喜ぼう。 我々は、楽しい時代に生きているのだ。 (注1) 次の文章を参照のこと。 ● 【オリコン訴訟】烏賀陽弘道氏の勝訴で終結 ――オリコン(小池恒社 長)が自爆せざるを得なかった理由 http://shonowaki.net/2009/08/post_76.html (注2) この論点は、横山哲也氏が次の文章で論じている。 ● ブログのリスク http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20080508/300931/ (注3) 烏賀陽弘道氏の「高裁協議」を具体的な報告している。 裁判での「協議」の内容が公開されることはほとんどない。非常に貴重な報告 である。 引用部分は次の文章にある。 ● 10.高裁協議詳報/オリコン「もう裁判やめたい」「負けてもいい」 http://ugaya.com/column/091009kaisetsu10_kyogi2.html 「高裁協議」の全体像を理解するためには次の文章もお読みいただきたい。 ● 9.高裁協議の詳細公開/オリコン敗訴宣言は烏賀陽の要求に屈した結果 http://ugaya.com/column/0911169kaisetsu9_kyougi1.html (注4) 烏賀陽弘道氏は、早い段階からオリコン訴訟をSLAPPと位置づけている。 http://ugaya.com/column/070217beginners2.html 「『言論・表現・報道の自由』への挑戦状」と位置づけている。 (注5) インターネットが烏賀陽弘道氏を救い、烏賀陽弘道氏がインターネットを救っ た。 美しい構造である。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ メールマガジン インターネット哲学【ネット社会の謎を解く】067号 登録・解除・バックナンバー閲覧は次のページから。 http://www.irev.org/file/touroku.htm この文章は、転送、転載、烏賀陽氏へのお礼、大歓迎です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ──────────────────────────────────── ● 年に二度は出していただけると…… ──────────────────────────────────── 次のようなメールをいただきました。 「年に二度は出していただけると、うれしいです」 すみません。すみません。 今年はがんばります。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ◆ インターネット哲学 【ネット社会の謎を解く】(週刊を目指して) ◆ 転載、転送、研修などでの利用、大歓迎です。 【筆者】 諸野脇 正 (しょのわき ただし) 【e-Mail】 ts@irev.org 【Web Site】 http://www.irev.org/ 【Blog】 http://shonowaki.net/ 【登録・解除】 http://www.irev.org/file/touroku.htm  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ----------------------------------------------------------------------- このメールマガジンは,インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して 発行しています。( http://www.mag2.com/ ) マガジンID 75412 -----------------------------------------------------------------------



