2008/10/31
★インド・ガネーシャ通信 NO.293★
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インド・ガネーシャ通信 NO.293
2008.10.31
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〜インドをもっと知りたい方 必読!!!〜 <2001年8月3日創刊>
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◆インドを旅したことはあるけれど、インドで生活している日本人はどんな
生活しているんだろう。もしかしたら、旅行者の知らないインドを知ってい
るかも!
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オフィスの石井吉浩をはじめ、インドに駐在している日本人の方々が体験し
たインドを、様々な角度からお届けしております。
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こんにちは! マカイバリジャパンの石井です。
吉野 宏さんの原稿「インド最新事情(連載)第3回」
〜鉄道は国家なり〜の今日はNO.6です。
東京は昨日から寒くなってきました。インドもディワリが過ぎると
急に寒くなり冬になります。10月から翌年の3月まで連日晴天、時
に曇りの日々で観光にはベストシーズンのスタートです。
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◇◆ ニューデリー駐在員便り ◇◆
byーニューデリー在住 吉野 宏
インド最新事情(連載)第3回
〜鉄道は国家なり〜 NO.6
2.1 【インドのメトロ計画】その4
さて、デリーメトロ工事が果たした役割はどうであったのか?そのために
デリーメトロの工事で何が起こったのか検証したい。2001年に始まったデ
リーメトロの工事は、結果として7カ月近くも早く開通できたことに注目し
たい。デリーメトロの工事の成功要因は何であったか、インド建設業界に
もたらしたものは計り知れない。これまでのインドの建設工事の殆どは、
大規模、小規模を問わず当初の工期通りに完成していなかった。22年も要
したコルカタメトロ南北線工事は例外としても、工期4年程度の工事では1
年や2年の遅れはざらであった。この事実を正面から捉え、工事開始以前
から「工期」すなわち「納期」の厳守を工事管理にあたっての最重要課題
としてデリーメトロは取り組んだ。具体的に実施した施策は、
●経験ある外国人を中心にした現場組織の組成、
●J/V各社が持つノウハウを最大限に生かす、
●コンクリート供給設備などキーとなるプラントは最新の設備を採用、
●大規模発破掘削工事など専門技術を要する特殊工事は経験ある外国
人スーパーバイザーの監督による直接施工、
●機械化施工を積極的に導入する、
などであった。このような準備のもと工事が始められたが、工事が始まって
すぐにこのような準備だけでは工期を守ることは到底無理だと知らされた。
まず第一に、想像以上に専門業者を含め下請け業者が育っていない事。地下
鉄工事にかかせない地中連続壁工事、ロックおよびアースアンカー工事、
鋼矢板打設工事などの工事ができる業者がいない。勿論いるにはいるが、
期待する品質、工期が全く守れない。労務者賃金が安い為に、勢い人海
戦術ベースの施工となり至る所単純労働者ばかりで、専門業者と言えども
大差なく単純労働者集団の域を出ていなかった。
このような局面を打開すべく行った施策は、インド全土に職員を派遣し、
インド全土から熟練工を探し出して彼らを中心に外国人スーパーバイザー
による直接施工体制で工期と品質を確保することであった。工事施工中は
それこそ毎日「不思議発見」の連続であった。その中でも最も驚いた事は
「スケジューリング(工期工程表)管理」の重要性(というよりも工期そ
のもの)をインド人技術者は全く認識していなかったということである。
こんな事もあった。工事が始まって半年程度経過した頃、ある工事の工期
工程表を担当責任者のインド人スタッフに10日程度で作成するよう指示した。
2週間たっても何も提出されなかった。このスタッフに何故できないのか、
どこまでできたのか? 問い質したところ、彼は真顔で「明日何が起こる
かわからないのに、1年も2年も先の事は分かる訳がない、分かるのは神様
だけだ。」などと主張して全く作業をしていなかったのである。「工期の
厳守」どころか「工期」という意味から教育する必要があった。一事が
万事であり、現場は半ば学校と化した。
デリー地下鉄工事の成功は、施工業者の弛まない努力も勿論大きな要因で
あるが、最大の要因はインドでは珍しく施主側に「時は金なり」というマ
インドがあったことである。このようなマインドはインドの公営企業では
あまりみられないが、デリーメトロ公社の場合はスリーダラン総裁の工期
内に工事を完成させるんだという強い信念とリーダーシップと上意下達の
有能なスタッフがいた。よくあるパターンだが、施主担当インド人技師は
インドでその経験不足にも拘わらず施工業者の経験豊富な外国人エンジニ
アーの提案に耳を傾けることなくただただ自説を押し通すという有様で、
結果的には工事が目に見えて遅れて行った。この様な有様を打開すべく施
主である総裁に直談判し、「このままでは工期を守る事は難しい。そもそ
もデリーメトロが我々のJ/Vと契約したのは、我々の技術、施工能力を認め
たからではないか。我々を信頼して貰いたい。我々の裁量による施工をさ
せて頂きたい。さすれば必ず早期開通を達成する。」と要請した。総裁は、
「分かった。3カ月の時間をJ/Vに与えるから、J/Vの思う通りに工事を進
めて良い。その間に工事進捗の改善が達成できれば、その後も引き続いて
J/Vに任せる。」旨の約束を貰った。この事が引き金となり、インドでは
初めてとなる7ヵ月早い開通を達成できることが出来た背景にある。総裁の
「工期を守る」という強い信念がもたらした成果と言える。
この頃を境に施工業者と施主との間に相互理解と信頼関係が構築されたこと
役目を日系を始めとする海外コントラクターが担うべき時代はまだ終わって
いない。デリーメトロの成功は、それまで数か月、時には数年の遅れに何の
違和感を持たずに受け入れられていたインド建設業界に新風を吹き起こすこ
ととなった。インド人の一般常識は時に世界の非常識であることを理解して
もらった。そして、適切なリソースの配備と適切なプロジェクトマネージメ
ントを駆使すれば、高品質なものを工期通りに安全に完成させる事が出来た
という事実。「夢はいつか叶うものだ。」と多くのインド人関係者が自らの
体験を通じて学んでくれた。デリーメトロの成功は、まさしくインド建設業
の発展の原動力となったと言える。
〜続く〜
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