ある自然災害科学研究者の活動  RSSを登録する

自然災害科学と防災,災害情報を専門にする大学研究者である筆者の研究活動をレポート。筆者ホームページの更新情報、主要豪雨災害の調査報告、筆者の著作、行事紹介など。

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2012/04/14

[disaster-i News]2012/04/14 No.171

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 ●ある自然災害科学研究者の活動●[disaster-i.net News]
  2012/04/14 No.171
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【目次】
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■ 牛山研究室ではみなさまからのご寄付を受け付けております
■ 岩手日報による津波犠牲者の傾向分析
■ 中央防災会議「南海トラフの巨大地震モデル検討会」による報告に思う
■ 私が対応できる講演
■ 平成23年7月新潟・福島豪雨による災害の特徴
■ 袋井市の津波対策施設と御前崎の津波避難タワー
■ 「災害は忘れられるもの」を前提に考えていかないと

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2012年4月 6日 (金)
■ 牛山研究室ではみなさまからのご寄付を受け付けております

牛山研究室では,防災を目的とした調査研究に取り組んでおりますが,
こうした活動を継続するためには,様々な経費が必要となっておりま
す.当研究室で実施している防災研究に対し,「奨学寄付金」として
ご支援いただける企業,団体,個人の方を随時募集いたしております.
ご寄附をいただいた場合は,税法上の優遇措置が受けられます.また,
ご希望がございましたら,当研究室ホームページ(1日平均数千ページ
ビュー),ブログ,メルマガ,twitter等でご寄付をいただいた旨の紹
介をさせていただきます.

●奨学寄付金のお申込み手順
・寄付金に関しましては,静岡大学イノベーション共同研究センター
  の寄付金についてのページをご覧ください.http://www.cjr.
  shizuoka.ac.jp/sanren/kifu.html
・このページの下の方にある「寄附金申込書」に,「寄附金申込書記
  入例」を参考にご記入ください.
・「寄付金申込書」の「研究課題等」欄には,「災害情報に関する研
  究」などと記入してください.また,「研究等担当者所属氏名」欄
  には,「防災総合センター 准教授 牛山素行」とご記入ください.
・「寄付金申込書」を,寄付金についてのページの案内に従い,静岡
  大学イノベーション共同研究センター静岡オフィスにお送りいただ
  くと,しばらくして静岡大学から「寄附金申受書」が送付されます.
  同書に記載の金融機関にお振込みをいただくことで寄付が完了しま
  す.

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2012年4月 1日 (日)
■ 岩手日報による津波犠牲者の傾向分析

少し前になりますが,3月11日付け岩手日報に下記の記事が出ました.

避難せず、犠牲者の4割 本紙遺族取材から推計
http://goo.gl/MzUvB

岩手日報が時間をかけて行った聞き取り調査の結果をとりまとめたも
のです.webには出ませんでしたが,紙面では私のまとまったコメント
を掲載していただきましたので,下記に紹介します.
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■識者談話■
 牛山素行・静岡大防災総合センター准教授 多角的な対策が必要

 犠牲者の遭難場所を見ると「自宅など」「避難場所」の屋内が67
%に上る。筆者の調査では、近年の豪雨災害の犠牲者は屋外約7割、
屋内約3割と屋外で行動中に遭難するケースが目立つ。

 しかし、津波は2メートル程度の浸水で木造家屋が全壊するとされ、
木造家屋への避難では不十分。適切な避難行動は、災害の種類で異な
ることを再認識しなければならない。

 「犠牲になった時の状況」は「寝たきりなどで逃げられなかった」
という、避難困難だった犠牲者が8%。大多数は「避難しようと思え
ば避難できた」という可能性がある。

 今回の津波は、地震発生から津波到達まで30分程度。徒歩でも2
キロ程度の避難は可能だった。海岸と高台が比較的近い場所が多い県
内では、地震直後に高台を目指せば、助かった犠牲者がいた可能性は
ある。

 一方、「避難途中」が20%、「学校や施設などに避難していた」
が8%。3割弱が何らかの避難行動を取っており、少なくとも避難の
意志は明確にあったと考えられる。

 そこで、単に「地震時はすぐ避難」という意識を向上するだけでは
被害をなくせない。▽少しでも余裕を持って高台へ避難▽想定した避
難場所が危険な状況になった時に、さらに高台へ避難できる緊急避難
路を整備する―など、さまざまな対策が必要となる。

 全国の死者、行方不明者数は1万9千人余。明治以降の日本の自然
災害による犠牲者数としては、関東大震災約10万5千人、明治三陸
地震津波2万1959人に次ぐ巨大な被害で、インフラ整備、情報充
実が進んだ現代としては大変重い事実。

 死者(年齢不明を含む)の64・3%が60歳以上、45・5%が
70歳以上であり、高齢者に偏在している。 一方、未成年層は岩手、
宮城、福島3県の沿岸37市町村で、幼児~中学生年代の子どもの9
8%以上、19市町村では99・9%以上が生存したことになる。

 津波浸水域人口に対する犠牲者率は、最大が宮城県女川町の11・
63%で、陸前高田市は11・13%、大槌町は10・97%。 犠
牲者数は厳しく受け止めなければならないが、浸水域人口の8割以上
が難を逃れたことも確か。未成年層の犠牲が比較的少なかったことも
含め、ハード、ソフト両面の防災対策の蓄積の効果があったのではな
いか。

 これまでの対策が無駄ではなく、さらに発展させることを考えたい。
注意しなければならないのは、今回の震災で得られた「教訓」はあく
までも今回の条件下での「教訓」。この教訓だけを重要とするのでは
なく、多角的な視点での防災対策を目指したい。

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2012年3月31日 (土)
■ 中央防災会議「南海トラフの巨大地震モデル検討会」による報告に思う

3月31日,中央防災会議「南海トラフの巨大地震モデル検討会」が,
「南海トラフの巨大地震による震度分布・津波高について(第一次報告)」
という資料を発表しました.

南海トラフの巨大地震モデル検討会
http://goo.gl/BfbKv

筆者の専門である災害情報としてとらえ,この報告に示された情報を
読む立場から考えたことを書き留めておきます.なお筆者は地震・津
波のメカニズムについては専門ではありませんので,この報告による
地震,津波の推定方法や推定結果そのものについては論評できません.

まずこの報告の立場ですが,昨年9月に公表された,中央防災会議「東
北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」
報告に示された「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震・
津波を検討していくべきである」という考え方にもとづき,特に津波
については「発生頻度は極めて低いものの、発生すれば甚大な被害を
もたらす最大クラスの津波」を想定したものです.

この報告で示されている地震による強い揺れの範囲は,従来の想定よ
り広域にわたっており,津波の高さも広く,高くなっています.しか
し,だからといって,

×「この報告で想定されている規模の地震・津波の発生が切迫している」
×「日本付近で発生しうる災害の規模が従来よりも大きくなった」

といった事実はありません.私の解釈・言葉で言い換えると,「従来
具体的に検討していなかった,より規模の大きな現象についても考え
てみよう」というのがこの報告の趣旨かと思いますので,従来の想定
よりも大きな値が出た(というよりは「出した」)ことは当然のことで
あり,報告の趣旨に沿ったものと考えます.

また,従来の「想定」より規模が大きな値が発表されたからといって,

×「従来の想定が間違っていて,新たな想定が正しい」

ということはありません.いかなる「被害想定」についても言えるこ
とですが,想定は,様々な条件設定の上に計算されます.地震・津波
の場合,「どのような地震が起きるか」という条件設定を想定するこ
とが難しく,かつ,条件の決め方次第で結果(震度や津波高)が大きく
変わってしまうものです.このため,「想定されたとおりの現象」が
起きると考えてもらっては困ります.防災計画をたてる上では,何ら
かの目安を設けないと計画することができませんので,「想定」を行
います.「想定」はこのための基礎資料であって,「次に起こる災害
の姿を正確に予想するもの」ではありません.

防災計画を考えていく上では,「想定」に対してすぐに完璧に備える
ことはできません.時間も,費用などの資源も限られていますから,
優先順位をつけなければなりません.「想定」は,この優先順位をつ
けるために活用される情報となります.

今回の報告では,津波の規模として「津波高」が示されています.
「津波高」は,異なる定義の値が混同して使われることがあり,報告
の中では余り明確に書いてないのですが,一般的な意味としては,
「海岸線付近の平常潮位と津波到達時の潮位(海水面の高さ)の差」で
す.気象庁webの図http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/
faq26.html今回の報告における「津波高」もおそらくこれを指してい
ると思われます.従って,よく混同される「津波の遡上高」(陸上に津
波が侵入した際に到達した地点の標高)ではありません.

一般に,広く平野が広がっている地形のところでは,津波が陸上に侵
入するに従って勢いが減衰しますので,「津波高」は「遡上高」より
高くなります.つまり,平野部の場合は「津波高20m」といっても,津
波が標高20mのところまで達すると受け止めることは適切ではありませ
ん(もっと低いところにとどまる可能性が高い).ただし,海岸に山が
迫っているような地形のところでは,津波の勢いがすぐに減衰しない
ので,「津波高」より「遡上高」の方が高くなり,場合によっては数
倍程度高くなることもあります.「津波高」の意味が,地形によって
かなり異なることに注意が必要です.

今回公表されたのは「発生頻度は極めて低いものの、発生すれば甚大
な被害をもたらす最大クラスの津波」です.この規模の現象を防潮堤
等のハード対策で防ぎきることは,コスト的な問題,施設を設置する
場所の問題などからほとんど不可能です.「避難」に期待が持たれそ
うですが,東海以西の場合津波到達時間に余裕がないこともあり,避
難にもかなりの困難があります.中長期的には,危険な場所に住まな
いなどの土地利用の対策も重要になるでしょう.このクラスの津波に
どう備えるかは,全国民に共通するような正解はありません.個人個
人が,それぞれの必要性に応じて考えることです.

まず重要なのは,自分の居住地,活動地が,地震,津波,洪水などの
災害に対してどのような地域特性を持っている場所かを知ることが重
要です.今後,津波による浸水域などが公表されてきますが,あまり
それらの情報を細かく読みすぎることも禁物です.「ここまでが危険,
ここからは安全」といった明確な線引きはできません.「こことあそ
こを比べれば,相対的にはここの方が危険」といったくらいの情報と
して読み取るものです.

災害に関する地域特性として最も明快かつ重要な情報は「地形」であ
り,その最も単純な指標は標高です.津波に関しては,海に近いとこ
ろ,標高が低いところがより危険性が高いところになります.「*m以
下が危険」という線は引けません.あくまでも相対的な話です.

津波にばかり関心が向くことにも注意が必要です.多くの場合,津波
は地震に伴って発生します.いくら津波の避難訓練を一生懸命やって
も,地震で生き残れなければ避難すらできません.建物が壊れて道を
ふさげば,スムースな避難もできません.津波防災の第一歩は耐震化
です.

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2012年3月26日 (月)
■ 私が対応できる講演

webにも書いていることですが,
http://www.disaster-i.net/contact.html
覚え書きとしてブログにも書いておきます.

牛山は,行政機関,企業,各種団体等の主催する講演会等における講
演,話題提供に協力させていただいております.これらのご依頼に関
しましては,当方の業務の都合がつく範囲内で承っております.当方
で対応できる講演の話題としては下記のようなものがあります.

    地域の自然の特徴を知ることが防災上重要であるという話題
    豪雨災害や津波災害に関する避難や防災上の基本的な考え方
    豪雨災害によってどのような人的被害が発生しているか
    さまざまな災害情報とその利活用に関する諸課題
    最近の我が国の豪雨災害・津波災害の実例紹介

恐縮ですが,以下のような話題は専門が異なりますので対応ができま
せん.

    地震災害についての話題
    地震,津波,火山などのメカニズムや将来予測に関する話題
    原子力災害に関する話題
    災害が起きたときにどう行動したらよいか,備蓄,防災グッズといった,防災に関わるハウツー・ノウハウ的な話題
    災害時の企業の事業継続(BCP)についての話題 

なお,講演開催地の個別的な災害危険性の評価(××市の××地区は●●災
害に対して危険である,等)に関する話題提供には,準備時間の制約か
ら対応が難しくなっております.「この講演に行くと××市で起きる災
害について教えてもらえる」といった講演には対応できませんのでご
理解いただきたく存じます.

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■ 平成23年7月新潟・福島豪雨による災害の特徴

下記文献を公開しました.

牛山素行・横幕早季,2012:平成23年7月新潟・福島豪雨による災害の
特徴,自然災害科学,Vol.30,No.4,pp.455-462.
http://www.disaster-i.net/notes/2012JSNDS30-4.pdf

だいぶ時機を失しているのですが,刊行物の都合により今の発行とな
りました.昨年7月末の新潟・福島豪雨についての初期的な解析結果を
とりまとめたものです.「おわりに」を抜粋します.

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 2011年豪雨は,よく似た地域で発生した2004年豪雨に比べ,短時間
降水量,長時間降水量,豪雨域の広がりなど,様々な観点から見ても
規模の激しい豪雨であったと見なされる.しかし,8月上旬時点での資
料によれば,2011年豪雨の被害は2004年豪雨に比べ,人的被害,家屋
被害とも少ない傾向が見られる.特に人的被害が少なかったことにつ
いて,2004年豪雨を教訓とした避難対応が効果をもたらしたといった
趣旨の報道もなされている(例えば8月1日付読売新聞).ただし,浸水
家屋数も少なかったことから,単に避難行動などのソフト対策が効果
を発揮したというより,堤防整備等により市街地への洪水流の侵入が
軽減されるなど,ハード対策との相乗効果である可能性も高い.単純
に成功例として評価するのではなく,避難行動が実際に適切に行われ
ていたのかといった観点からの検証が今後必要だろう.
 死者・行方不明者は数としては近年の日本の豪雨災害事例と比較し
ても多くはなかった.しかし,土嚢積み作業中に洪水によって流され
るという,近年全く見られなかった被害形態が複数確認されたことや,
近年注意が喚起されていた,避難途中の遭難者が生じたことなど,今
後に向けた課題と思われる点も見られた.人的被害の発生状況につい
ては,今後筆者自身も検証を進める予定である.

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2012年3月12日 (月)
■ 袋井市の津波対策施設と御前崎の津波避難タワー

昨日3月11日に訪問した袋井市の津波対策施設と,御前崎の津波避難タ
ワーの写真を整理しました. 
http://goo.gl/photos/ql50fTa4zo 

外階段を建設して津波避難ビルに指定されたコニカミノルタケミカル.
中を見学させていただきました.かなりいろいろ考えられている.こ
の写真から7枚→
 http://goo.gl/photos/bsmIfvBAar

袋井市湊 津波避難用高台(盛土)建設候補地 http://goo.gl/photos/1WFRzUV6wp

御前崎市津波避難タワーの「利用上の注意」.かなりコワイことが書
いてありますよ.
http://goo.gl/photos/vXllp4HssP

避難タワーから100mほどのところには斜面があり,その後方は標高
40m以上の高台.多分いろいろ考えてのこととは思うけど,避難階段整
備が先のような気もしなくもないが・・・ 
http://goo.gl/photos/kJtO7im1IQ

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2012年3月 5日 (月)
■「災害は忘れられるもの」を前提に考えていかないと

3月3日は昭和三陸地震津波(死者・行方不明者3064人)の発生した日で
す.ツイッター上ではいくつか言及している人がいましたが,マスメ
ディア上での取り上げはほぼ皆無.大きな被害が出た災害でも「わす
れない」ことは難しいもの.災害は「忘れられるもの」だということ
を前提に,いろいろな対策を取る必要があるのではないでしょうか.

牛山のツイートを中心にまとめました.

http://togetter.com/li/267478

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ある自然災害科学研究者の活動[disaster-i.net News]
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発行人:
静岡大学防災総合センター 副センター長・准教授 牛山素行
http://disaster-i.net/
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このメルマガは,下記ブログをほぼそのまま配信しています.
http://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/
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このメルマガは,「まぐまぐ」を利用して配信しています。
http://www.mag2.com/
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