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自然災害科学と防災,災害情報を専門にする大学研究者である筆者の研究活動をレポート。筆者ホームページの更新情報、主要豪雨災害の調査報告、筆者の著作、行事紹介など。

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2009/09/17

[disaster-i News]2009/09/17 No.120

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 ●ある自然災害科学研究者の活動●[disaster-i.net News]
  2009/09/17 No.120
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【目次】
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■ 朝日新聞で報道されました
■ 佐用豪雨災害・現地再訪
■ 共同通信にコメント掲載
■ 岩手・宮城内陸地震の犠牲者に関する論文公開
■ 緊急地震速報関係の論文を公開
■ 毎日新聞で報道されました
■ 東京新聞で報道されました

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2009年9月17日 (木)
■ 朝日新聞で報道されました

 9月14日付朝日新聞夕刊で,当方の駿河湾地震に関係する調査の
結果が報道されました.以下に記事を引用します.

 8月下旬に静岡市在住者を対象として行った調査結果の一部です.
これまで筆者は同様な調査を宮城県を中心に何度か行っていますが,
それらの結果とも比較しています.記事中では「全国平均」とあり
ますが,これは少し誤解を招く言葉で,2007年に行った全国のモニ
ターを対象として行った調査結果という意味です.居住地を特定し
ていないという意味で,特に「平均」といった意味合いはありませ
ん.

 この調査に関しては,今週末19日に静岡市内で行われる駿河湾地
震に関しての速報会で紹介するほか,10月24-25日に静岡大学など
で行われる日本災害情報学会で口頭発表する予定です.

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「家具固定」半数満たず 「防災先進県」静岡でも

 駿河湾を震源とする8月の地震で、静岡県では、ものが倒れたり
落ちたりしてけがをした人よりも、揺れに驚いて転倒するなどして
けがをした人が多かったことが県の調べでわかった。東海地震への
備えで「防災先進県」と称される静岡だが、残された課題はまだ多
い。
 地震は、8月11日のまだ多くの人が寝ている午前5時過ぎに発
生。崩れた本などに埋まり、1人が窒息死し、310人がけがをし
た。
 県がけがの原因を分析した結果、最も多かったのは地震に驚いて
転倒したケースで30・4%。次いで、落下物(20・5%)▽割
れた窓ガラス(17・0%)▽ものの転倒(5・8%)――の順だ
った=円グラフ参照。県の岩田孝仁危機報道監は「住宅の耐震性や
家具の固定に不安があるから、強い揺れで慌ててしまった結果だろ
う」と話す。
 では、転倒防止策をとっている家庭はどれほどあるのか――。静
岡大学の牛山素行准教授らが地震後に被災地を対象に行った調査
(回答数543世帯)では、46%の世帯が家具を金具で固定する
など、何らかの転倒防止策をとっており、07年に実施した全国調
査の平均27%を上回った。
 また、懐中電灯やろうそくを用意していた世帯は67%で全国平
均(74%)より低く、東海地震による被害想定を見たことがある
人は2割弱に過ぎなかった。牛山准教授は今回の調査について「他
県に比べて『備え』の実施率が飛び抜けて高いわけではない」とい
う。
 では、なぜ備えは進まないのか――。日本大学の中森広道教授が
静岡市で行った調査(回答者367人、複数回答可)によると、
「金銭的な余裕がない」(38%)「時間的な余裕がない」(31
%)「賃貸住宅なので難しい」(22%)が目立った。
 一方、今回の地震をきっかけに、家具の固定・転倒防止を「徹底
した」「この地震をきっかけに行った」と答えた人が2割強、「近
いうちに行う」とした人が3割以上いた。
 新たな課題も浮かび上がった。民間調査会社「サーベイリサーチ
センター」が被災地を対象に行った調査(回答数692人)では、
今回の地震で困ったことのトップは「携帯電話がかかりにくくなっ
た」の36%だった。調査を監修した田中淳・東大総合防災情報研
究センター長は「大きな地震になるほど携帯電話は通じないと考え
た方がいい。災害伝言サービスの利用や、家族であらかじめ待ち合
わせ場所を決めておくなどの必要がある」としている。
 (大久保泰)

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2009年9月16日 (水)
■ 佐用豪雨災害・現地再訪

 昨日9月15日,8月9日に豪雨災害に見舞われた兵庫県佐用町の現
地踏査をしてきました.今回は聞き取りなどが中心だったため特に
公開資料は用意しません.

 災害から1ヶ月あまりがたち,外見上は町の元の姿を取り戻しつ
つあるように見えましたが,いろいろな問題はこれからというとこ
ろでしょう.この事例は非常に重大な教訓を残していると考えてお
り,今後も調査を進める予定です.

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2009年9月14日 (月)
■ 共同通信にコメント掲載

 9月8日に配信された共同通信の記事中で当方のコメントが紹介さ
れました.以下に記事を引用します.佐用水害から1ヶ月,という
記事の一部です.内容はここのところあちこちで発言しているもの
ですが,水害時の対応の難しさをあらためて喚起するものになって
います.

 共同通信記事ですので,少しずつ体裁を変えていくつかの地方紙
にも載っているようです.
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水位は0・8~1・7メートル 避難住民流された場所
共同通信 2009.09.08) 

 18人が死亡した兵庫県佐用町の豪雨被害から9日で1カ月。避
難先に歩いて向かう途中に住民が流されたとみられる場所付近の水
位は0・8~1・7メートルに達していたことが、県と国土交通省
近畿地方整備局の合同調査で8日、分かった。
 2004年~08年に各地で起きた豪雨被害を分析した牛山素行
(うしやま・もとゆき)・静岡大准教授(災害情報学)によると、
洪水で流されて死亡した人の8割は屋外で移動中に遭難した。
 牛山准教授は「流れる水の中では、水位がひざ下あたり(約50
センチ)を超えると大人でもほとんど動けなくなる」と危険性を指
摘している。
 県などの調査は町内50カ所以上で住宅の壁に残る浸水跡などを
基に路面からの水位を推定。屋内で被災した1人を除く17人の犠
牲者のうち、被害に遭った場所がほぼ判明しているのは9人。8人
が流された本郷地区は0・8メートル、残り1人の佐用地区は1・
7メートルだった。
 いずれも避難したのは夜間だったため、視界が悪く、足元も水に
隠れてよく見えない状態だったとみられる。
 一方、牛山准教授が04~08年の豪雨被害の犠牲者262人を
分類したところ、最多は土石流やがけ崩れに巻き込まれたケースで
約32%。次いで洪水に流されおぼれるなどして死亡したケースが
約28%だった。洪水の犠牲者のうち8割は屋外を徒歩や車で移動
中に被害に遭っていた。
 ただ豪雨の際に逃げずに家の中にとどまるのが最善かというと、
牛山准教授は「一概には言えない」と話す。豪雨によるがけ崩れや
土石流で亡くなった84人のうち72人は屋内で被害に遭っている
からだ。
 牛山准教授は「地形などの条件によってどう災害に備えるべきか
は異なるので、地域ごとの対応が必要。専門家の知恵も生かしなが
ら、行政だけでなく、住民も一緒になって緊急時にとるべき行動を
日ごろから考えておくべきだ」としている。

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2009年9月 9日 (水)
■ 岩手・宮城内陸地震の犠牲者に関する論文公開

自然災害科学28巻1号では,次の論文も掲載されました.

牛山素行・太田好乃,2009:平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震
による死者・行方不明者の特徴,自然災害科学,Vol.28, No.1, p
p.59-66.
http://disaster-i.net/notes/2009JSNDS28-1b.pdf

 こちらも口頭発表はしている内容です.2008年岩手・宮城内陸地
震は,人の生活圏での建物被害などが比較的少なかったのですが,
その割には多くの人的被害が生じました.そのほとんどが山間部の
屋外滞在中の遭難者でした.このような形態はけっして今回初めて
現れたものではないことを指摘しています.また,非常に難しいも
のの,被害軽減の可能性に関しても検討しています.

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2009年9月 8日 (火)
■ 緊急地震速報関係の論文を公開

 少し時間が経ってしまいましたが,自然災害科学28巻1号で刊行
された下記論文をweb公開しました.

牛山素行・矢守克也・篠木幹子・太田好乃,2009:緊急地震速報に
対する情報利用者の認識に関する探索的研究,自然災害科学,Vol.
28, No.1,pp.47-57.
http://disaster-i.net/notes/2009JSNDS28-1a.pdf

 すでに学会口頭発表はしているものですが,これが一応のまとめ
です.緊急地震速報に対する認知は進みつつあるようです.そして,
緊急地震速報の実像である,「地震のごく直前にしか伝えられない
情報である」,「間に合わないこともある」という性質が理解され
るにつれ,そのような情報が現実にはなかなか使いにくいことを実
感している人が多いことが示唆されています.

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2009年9月 4日 (金)
■ 毎日新聞で報道されました

9月2日付毎日新聞で,当方の調査結果とコメントが報道されました.

 「豪雨災害時には,避難途中で遭難することもある」という事実
は,佐用豪雨災害を通じてかなり広く知られるようになったと思い
ますが,私がそのことを強く意識し始めたのは,記事中にある2004
年の香川での事例からです.

 これはまさに「貴重な教訓」です.そして,「打てる手のある課
題」だとも思います.したがって,「けっして繰り返されてはなら
ない遭難形態」だと強く感じています.

 以下に記事を引用します.
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備える:水害対策/8 避難行動中の被災例多く

 04年8月17日、台風接近による豪雨に見舞われた香川県大野
原町(現・観音寺市)で、公民館に避難していた72歳と45歳の
女性が洪水に巻き込まれ死亡した。現地を調査した静岡大防災総合
センターの牛山素行准教授(災害情報学)によると、2人は自宅の
裏山の崩落を心配して公民館に自主避難したが、土石流でせき止め
られた近くの川があふれ、公民館に押し寄せた。公民館は土石流や
洪水の危険性が高い場所にあり、避難所に指定されていなかった。

 牛山准教授の調査によると、04~08年に国内で発生した豪雨
による死者の約1割は、何らかの避難行動中だったとみられる。徒
歩や車で避難所に向かったり、知人宅に身を寄せている最中に、洪
水や土石流に遭ったケースが多いという。

 牛山准教授は「時間に余裕があれば、行政指定の避難所に逃げる
のがベストだが、浸水などの状況によっては、自宅の2階に避難し
た方が安全な場合もある。避難のタイミングや避難先については、
地域の災害リスクなどの情報をあらかじめ入手した上で適切に判断
することが重要だ」と指摘する。

 避難をする際の具体的な注意点は何か。土木研究所の末次忠司・
水環境研究グループ長によると、市区町村の避難勧告・指示には速
やかに従い、避難情報が出ていない場合は原則として(1)自宅周
辺の浸水の深さが50センチ未満で、流速が秒速50センチ未満=
指定避難所へ(2)水深50~100センチ、または流速同50~
100センチ=近所に避難(3)水深100センチ以上、または流
速同100センチ以上=自宅から出ない--との行動をとるべきだ
という。

 浸水時に避難する際は、道路と水路・側溝の境界が分かりにくく
なっていたり、下水道管の水圧上昇でマンホールが外れている場合
があるので注意が必要という。また、末次さんは避難時に最低限持
参する物として▽懐中電灯▽携帯ラジオ▽乾電池▽携帯電話と充電
器▽ロープ▽最低2日分の食料--などを挙げる。

 末次さんは「川や用水路の様子を見に行った人が流される例が後
を絶たない。急激に増水する恐れがあるので、避難時も含め水辺に
は絶対に近づかないでほしい」と訴える。【福永方人】=つづく

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2009年9月 3日 (木)
■ 東京新聞で報道されました

9月2日付東京新聞で,当方の調査結果とコメントが紹介されました.

 避難行動を支援する方法論はたくさんあります.しかし,問題は,
その方法論を誰が使うか,使い手の中に,災害に関する専門知識を
持った人材をどう組み込んでいくかというところだと思います.方
法論がいくら良くても,素人だけで使ったのでは,かえって危険な
対策を立ててしまうことも懸念されます.

 なお,これは以下で紹介されている方法論を否定する意味ではあ
りません.いろいろな方法論が提案され,進歩していくことは当然
必要です.人材がどう関わるか,というテーマは,私自身まだいい
答えが見いだせていません.

以下に記事を引用します.
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電子地図使って避難支援

 この夏、豪雨災害や地震災害が続いた。災害時、高齢者や障害者
ら要援護者の避難が課題だ。障害者の自立を支援する社会福祉法人
「AJU自立の家」(名古屋市)は、電子地図を活用した避難支援
システムを開発、注目が集まっている。 (飯田克志)

 「二〇〇〇年の東海豪雨で、多くの仲間が被災して、要援護者の
支援の必要性をあらためて痛感した」

 AJUで防災企画を担当している水谷真さんはこう振り返る。多
数の人的被害も出た東海豪雨では、障害のあるメンバーが自宅に取
り残され、仲間が救助に駆け付けた。避難所で障害者が利用できる
トイレがないなど、災害弱者支援の課題を実体験した。

 段ボールを利用した間仕切りを開発するなど避難所の運営改善に
取り組み、〇七年に起きた能登半島地震、新潟県中越沖地震では、
現地で要援護者らの支援を行った。

 要援護者支援で国は〇六年、自治体による要援護者名簿の作成な
どガイドラインを策定した。だが、「自治体の名簿整備率はまだ低
い」(水谷さん)。

 AJUは今春、名簿の整備や活用を促すため、要援護者の住所な
どの情報と、地図をコンピューター上でつなぐ地理情報システム
(GIS)を活用した避難支援システムを開発した。

 同システムの特徴は(1)住宅地図データを利用し、住所や氏名
の検索で現住地の地図を表示(2)建物の倒壊危険地域など防災情
報を地図と重ねて表示(3)ノートパソコン対応で避難所でも利用
可能-など。避難ルートも書き込め、要援護者や支援者、避難所の
位置関係も一目で分かり、十七市町村が導入した。

 そのひとつ、静岡県富士市は、障害者だけでなく要介護の高齢者
も含め約二万人分の要援護者情報を網羅するマップ整備に取り組ん
でいる。

 ただ課題もある。静岡大学などが七月にまとめた豪雨災害に関す
るハザードマップの調査によると、回答のあった千二百四十四市町
村の72%が、同マップを作成していた。

 だが作成後、住民向け説明会や講習会などを実施したのは42%。
避難勧告を出した市町村では、実際にマップを参考に避難誘導など
を行った自治体は45%。有効活用されているとはいえない状況だ。

 同大の牛山素行准教授(災害情報学)は「課題にどう対応するか、
行政、住民が専門家も交え検討することが大切」と指摘する。

 「作りっぱなし」問題は、AJUも認識。開発したシステムには
情報項目の更新や追加ができる機能を設けている。地元で当事者や
行政、地域住民、災害ボランティアが参加した図上訓練や、避難ル
ートを歩いて点検するタウンウオッチングも実施。災害時に“使え
る”支援マップ作りを進めている。

 要援護者支援の重要情報となる名簿作りは個人情報保護法が壁に
なり進めにくくなっているが、要援護者本人が防災マップづくりに
加わることで、名簿の整備も進められる。

 さらに、インターネット上の誰でも利用できる地図データを利用
して、自治会などコミュニティー単位で支援マップをネット上に作
れるGISも開発している。

 水谷さんは「当事者の視点から今後も、防災について発信、参加
していきたい」と話している。


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ある自然災害科学研究者の活動[disaster-i.net News]
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発行人:
静岡大学防災総合センター 准教授 牛山素行
http://disaster-i.net/
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