2009/06/09
秘伝-通算247号 「書くことの魔術性について」246号反響
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……・・ ・ ┃ [プロ編集者による] 文章上達<秘伝>スクール ┃ http://www.hiden.jp/ ┃ ┃ 通算247号 「書くことの魔術性について」246号反響 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……・・ ・ ★━…‥…━…‥…━…‥…━…‥…━…‥…━…‥…☆ 『文章王の掌編小説ゼミ』6月度募集  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 時間:2009年6月26日(金) 19時より 2時間程度 場所:東京都豊島区目白3-2-9-4階 料金:4,000円(1400字)or 5,000円(2800字) ◆課題「 ピストル 」 課題の内容に沿って、本当のことに 嘘をまじえて書いてください。 それが上達効果を生みます。 ◆申込締め切り 6月19日 ◆投稿締め切り 6月23日 ⇒詳細Page http://www.hiden.jp/semi-2009/ ★━…‥…━…‥…━…‥…━…‥…━…‥…━…‥…☆ ┏━━━━━━━━━┳★ ┃<文章秘伝> 反響号 ┃- - - - - - - 【今回はQ&Aなしの号です】 ┗━━━━━━━━━┻★ 【著者が売る本屋さん】 小説家の阿川大樹さんのお誘いで、6月14日(日曜)に黄金町(横浜の近く) で『著者が売る本屋さん』というイベントに参加します。 『達磨』を中心に、著書を何冊か持っていこうと思っています。 黄金町というのはかつては売春宿の街であったのですが、今、アートとか、文 化イベントで町おこしをしている面白いゾーンです。お近くの方はぜひ散歩が てらお越しください。 僕のいる時間は午後1時から2時、3時から4時の2時間です。 http://www.agawataiju.com/koganecho/cat42/ 【福岡ゼミ】 ファンの方からお誘いがありまして、この秋に福岡で講演会と文章ゼミのイベ ントをします。詳細は改めて報告しますが、福岡は食べ物がおいしくて、大好 きな土地柄なので楽しみです。福岡近辺の方、決まりましたらぜひご参加くだ さい。 【なぜ達磨なのか】 なんで突然「達磨」の小説? と聞かれることが多いのでお答えします。 その前に、念のため「達磨」はダルマと読みます。火ダルマ、血達磨、攻めダ ルマ、なめだるま親方……と、すっかり日本語になっていますね。選挙で当選 すると目を入れるダルマ、ダルマさんが転んだ、起き上がり小法師、ダルマ落 としなどなど、日本人の生活とごく近しいものです。 しかし、もともとは天竺から中国へと布教に来て禅宗を開いた偉いお坊さんな のです。 禅宗とは、仏教の一つの流れで、日本でも盛んです。臨済宗、曹洞宗、黄檗宗 などがあります。 キリストと同じように死後復活したという伝説があります。 肉体が消滅しても、生命を失わないものを仙人のクラスで尸解仙といいますが、 このレベルかもしれません。ほとんど伝説的、かつ超人的な人物ですが、実在 したこと間違いありません。 日本ではたいへん親しみやすい存在ですが、中国ではもっと見上げるような存 在として尊崇されているようです。 さて、そのダルマをどうして小説に書きたかったのか。 僕もぼうっとして忘れてしまったのですが、2006年7月31日、ミクシィ日記に 次のように書いています。 「ダルマの面壁九年を弟子の立場から小説に書きたいと夢想する。 ダルマは中国に禅をもたらした。また少林寺で座禅したところから、武道の達 人であった、と解釈する中国映画もあった。 その世界を幻視すると、ダルマは一般的ないかつい武張った顔をしていない。 ひげや眉は濃かったかもしれないが、どこか女性的な童顔で、力が抜けている。 九年も壁に向かっていたのは、苦行や意志の力ではなく、三昧の境地に入って いて何の苦もなかったからだ。教えを請う人たちをほったらかして気持ちよく 一人でトランスしていたのだ。 教えないことがダルマの教えだった。 そう考えるほうがずっとダルマは偉く、ストンと僕の腑に落ちる。 今のダルマ像は、会ったことのない人が想像で描いたものが次々に複製された ものであろう」 この頃、よく筆で達磨の絵を描いていたのですが、僕が描くと、なんかとても 優しい顔になってしまうのです。 しかし、水墨画(達磨はじつにしばしば題材になっているのです)で描かれた 達磨像は、目がギョロギョロした、なんか豪傑風、胆の座った人物です。 その微妙なイメージの差の隙間から、ストンと一つのお話が落ちてきたのです。 ぜひ読んでください。 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4944098898/bunshounogakk-22 【『マンガ 禅の思想』】 禅という教えは、奇妙なアイデアやエピソードが詰まっていて、大好きです。 「婆子焼庵」という考案など、検索してください。面白い話です。 でも、ネットに載っている解釈はあまり真に受けないほうがいいです。かなり 理解にバラつきがあります。 僧が娘を抱かなくてもダメ、抱いてもダメ、というアンビバレンツが考案なの です。 試験で○×式解答に慣れてしまった頭には、何のことかわからんものでしょう。 僕にはこの婆さんの気持ちがとてもよくわかります。 こういうのがもし好きなら、 『マンガ 禅の思想 』というのが入門には最適です。『達磨』と合わせて読ん でみてください。 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062562707/bunshounogakk-22 【達磨寺からの便り】 僕は禅の知識がそんなに多いわけではないし、参禅もしたことがありません。 『達磨』の本は、専門家が読んだらどう思うのだろう? と思って、高崎にあ ります有名な黄檗宗少林山達磨寺に、奉納するつもりで送付したのです。 読んでもらえるか、こんなものは邪道だと打ち捨てられるか、わかりません。 たぶん、何の反応もいただけないと思っていたら、副住職さまから、ていねい なお返事をいただいて感激しました。 「このたびはすばらしい達磨の本を送付いただき誠にありがとうございました。 達磨の声が聞こえてくるような達磨のしぐさが見えるようなさわやかであたた かい本ですね。早速少林山達磨寺の図書とさせて頂きお参りの方にも広く読ん でいただこうと思っております……」 達磨ゆかりのお寺の寺報なども執筆している教養のある人に認めていただいた ということで、ひとまずよほどおかしなことは書いていないと胸を撫でおろし たのです。 お返事の写真はここに http://www.hiden.jp/books/ 少林山達磨寺 http://www.daruma.or.jp/ 【火星紳士の『小説出したら』】 火星紳士が、単行本を出したあと何が起きるかを携帯配信で克明に書いていま す。反響をもらったり、書店に営業に行ったり、出版社にモチコミに行ったり。 小説家志望の人は、いろいろ参考になると思います。 まだまだ今後の展開が楽しみです。 携帯に慣れない人は、申し込みちと面倒かもしれませんが、そのあとパソコン でも読めます。ぜひどうぞ。 http://www.mbga.jp/.pc/_novel_view?li=m01&w=12232891 ……で、以下怒涛のPRっ! 【『火星パンダちとく文学』57編の全あらすじだっ!】 『火星パンダちとく文学』はどんな本かっ? http://www.hiden.jp/hidenbook/stories.php 【『火星パンダちとく文学』、書評載りましたっ!】 <世界初のツッコミ入りの小説集> http://bookjapan.jp/recommend/user_review_page.html?br=UR61 【リンク・キャンペーン不発っ!?】 レビューや感想を書いてくれたら、リンクしますよ、と前号で言ったけれども、 あまり反響がありません(泣)。 秘伝のほうに反響ありました。『根付』のすてきなサイトですが、現在はあま り更新されていない、ということです。根付知ってますか? かわいいからぜ ひ見てください。 http://blog.livedoor.jp/tsukishiro2005/archives/599072.html 【『火星パンダちとく文学』アマゾンはここだっ!】 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4944098952/bunshounogakk-22 【『火星パンダちとく文学』の面白ブログはこれだっ!】 未確認迷惑ブンガク物体 http://kasei.panda.chitoku.net/ 【そして、今月ももちろん掌編小説ゼミっ!】 お題は『ピストル』っ! http://www.hiden.jp/semi/ ************************************************* ●246号 「ジャンルは不問」「斬新な作品を求む」とは? の反響 質問者の方から次のような反響メールが来ています。 ---------------------------------------------------------------------- 村松様。 先日、質問をさせていただきました****です。 先日は、私の質問の解答をメルマガに掲載していただき、ありがとうございま した。 非常に丁寧かつ密度の濃い解答をいただき、感謝しております。 いま、解答の文章をプリントアウトして、ラインを引きながら、何度も読み返 しているところです。 私がこの質問をさせていただきました、そもそものきっかけは、各文学賞の受 賞作を読んだときに、「あんまり面白くないなあ」とか「これ、売れるのかな あ」といった作品が、たまに見受けられることでした。 いえ、正直にいいます。たまにじゃなく、けっこうあります(笑) もっとも、「私の好み」という偏った物差しでのみ計測した結果ではあります けれど。 もちろん、とんでもなく面白い作品で、「すごい!」の一言しか出ないものも たくさんあります。内容的にも。あるいは、売れるという意味においても。で も、そうでないもののほうが、多いように感じるのです。 私はそのとき、各文学賞の募集要項に掲げられている、ある文句を思い出した わけなのです。「斬新な作品を求む」「既成の概念を打ち破るような作風」等。 これらの文句は常時掲げられているので(見慣れすぎてしまって)、もう私の 感覚が麻痺してしまったというか、文句は目に入ってはいるが、まったく意識 していないな、と、ふと気づいたわけなのです。 まるで、「まったく新しい性能」とのキャッチコピーの付いた電化製品を、何 ヶ月も見ていたら何の新しさも感じなくなってしまったのと同様に。 もっとも、こんな麻痺状態(?)に陥っているのは、私だけではないかもしれ ませんが。 まあそんなわけで、先日の質問、と相成ったわけなのです。 前置きが長くなってしまって、申し訳ありません。 村松様のおっしゃられる、文学に新たな可能性を導入するための三つの要素。 すなわち、「個人の才能」「人生経験」「取材」の意味することろは、「原点 に返って考えてみろ」と私なりに解釈したのですが、それでよろしかったので しょうか。 結局、奇をてらわない、基本に忠実な修行(?)が、ひいては「斬新な」等の 作品を生み出すのかもしれませんね。 考えてみれば、私は、いや、文学賞に応募しようと考えている多くの人々が、 戦略的なテクニックに偏りすぎているのかもしれません。 出版されている数々のノウハウ本。「こうすれば予選を通過しやすい」とか、 「受賞のパターンを研究しよう」とか……。 それもこれも、とりあえずはやく「物書きという土俵」に立たなければ話にな らない、先に進まない、といった、一種、焦りにも似た気持ちがあるからだと 思います。 まあ、悪く言えば、人間、楽なほうへは簡単に流されてしまう……(汗) なにやら、自分の中で考えがまだまとまっていませんが、とにかく、村松様か らいただいた解答を熟読し、そして、吟味して、「自分は何のために文章を書 きたいのか」という問いに、明確に答えられるようにしたいと思います。 それにしても……。 「自分の好きな本を読み、自分の書きたいものを書く」 ものすごく単純で当たり前のことのように思えますが、実際、できていないん ですよねえ、これが。まったく。 邪道な野心の塊に成り下がってしまったのかも(汗) そういうわけで、私のスタートは丁稚奉公からなのかもしれません。ため息ま じりではありますが、頑張りたいと思います。 どうもありがとうございました。 ---------------------------------------------------------------------- ●村松コメント 小説家になりたい、とか、画家になりたい、音楽家になりたいとかいうのは、 「好きなことをして暮らしたい」という人としての欲求があるよね。 いささかムシのいい考えではあるけれども、そうできたら誰でもうれしい。 小説は、人が最低限必要とする衣食住ではありません。 それを「読みたい」と思わせるのは一つのマジックなのです。 人を酔わせる魔術を身につけるには辛い修行がいる。 それを実現するためには少々の苦労はいとわない。その大望が実現するまでは、 少々貧乏しても仕方ない。そう思って迷いがない人というのは幸せだと思うの です。 書くことが好きで、書いていると楽しくて、夢中になってしまう、そういう人 がいます。そして、読むことが好きで、好きな本を読んでいると時間を忘れて しまう人もいます。 そういう陶酔的な時間自体が本の魔術の入り口なのです。 だから、小説が書きたい人は、大好きなことをしている幸せが芯にあるものだ と僕はずっと思っていました。 >「自分の好きな本を読み、自分の書きたいものを書く」 ものすごく単純で当たり前のことのように思えますが、実際、できていないん ですよねえ、これが。まったく。 ちょっとびっくりです。 「好きでもない本を読み、書きたくないものを書いている」という状況がある ということですね。 音楽でも、絵でも、小説でもやりたいからやる、書きたいから書くのが最高で す。 本人がイヤイヤやっていたら、作品にも迷いが出てしまう。 いまや、就活は当たり前の言葉になって、婚活というのも出てきていますね。 つまり、かつては自然に行われていたことが、マニュアル化していく時代なの です。 小説家になるのも、小説家活、というものを求めている人が多いでしょう。 >「斬新な作品を求む」「既成の概念を打ち破るような作風」 というのは、単純にそういうのはイヤだ、ダメだ、と言っているのです。 マニュアルを知らずに我流で表現すればムダも多いけれども、自分でいろいろ なことを試していくことに有意義な部分があります。そういう遊びの感覚で試 行錯誤していくところから、オリジナリティが生まれるのです。 ムダや非効率と思われているところに、未知の可能性があります。 そういう寄り道や道草が面白いのであって、人が書いたマニュアルを読み、人 が歩んだ道を歩んで最短距離だけを求めると、やっぱり表現は痩せていってし まいます。 煮詰まったときに、いろいろな本を参考にするのはいいですけど、それに囚わ れて縮こまってはいけません。 世の中不景気でなにかと世知辛くなっていますが、せめて想像や創造の世界で は、好きなことにをやりましょう。 書くことは、既存のものの順列組み合わせではないのです。 それは一つの、……魔術なのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……・・ ・ ●質問募集● えー、皆様。村松恒平です。 質問は全てウェルカムです。 些細な質問/巨大な質問/マニアックな質問/初歩的過ぎる質問/鋭い質問/ 鈍い質問/くだらない質問/実際的質問/哲学的質問/個人的質問/普遍的質問/ 珍しい質問/陳腐な質問/具体的な質問/抽象的な質問/短い質問/長ーい質問 などなど、あらゆる質問をお送り下さい。 oshiete@hiden.jp 冒頭に「●質問●」と書いてください。 質問は無料です。送られてきた質問は、無記名とさせていただきます。 都合により、長さ、表現などをアレンジする場合があります。 また村松の著作などに流用させていただく場合があります。 ご承知おきください。 この企画の成否はひとえに質問にかかっております。 よろしくご支援のほどをお願いいたします。 ●感想等は、こちらにお送りください。お待ちしております。 fan@hiden.jp ---------------------------------------------------------------------- ●購読と解除● [プロ編集者による] 文章上達<秘伝>スクール は 下記の配信システムのいずれかによって配信されています。 まぐまぐ http://www.mag2.com/ [ID:0000068978] メルマ http://www.melma.com/ [ID:m00042072] 購読および解除は、ご利用の配信システムより 各自でお手続きくださいますようお願いいたします。 (※このメールに返信しても配信停止されませんのでご注意ください。) こちらのページでも購読/解除できます。 http://www.hiden.jp/free/mailmagazine.php ---------------------------------------------------------------------- [プロ編集者による] 文章上達<秘伝>スクール 通算247号 2009/6/9 発行 講師兼編集責任者:村松恒平 発行:文章学校 http://www.hiden.jp/ Copyright (c) 2001-2009 村松恒平 All Rights Reserved. 禁複製。 転載・紹介ご希望の方はメールにてお問い合わせください。 info@school.club.ne.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……・・ ・


