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2009/02/13

秘伝-通算242号  「『したい』と『する』の間」

  ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……・・ ・
  ┃ [プロ編集者による] 文章上達<秘伝>スクール
  ┃ http://www.hiden.jp/
  ┃
  ┃ 通算242号  「『したい』と『する』の間」
  ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……・・ ・

   

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  § [プロ編集者による] 文章上達<秘伝>スクール」
  §  〓書籍版金言集 No.006〓
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  § ☆★☆-------------------------------------------
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  §  人は滅びても「表現」は生き残る。
  §  そいいう見ようによっては残酷なことでいいのだ
  §  と思っています。
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  § 『書く人 <プロ編集者による>文章上達スクール (3)』
  §  62ページ・【質問】新古書店の存在 より
  §  書籍紹介⇒http://www.hiden.jp/hidenbook/-1.php
  § 



  ┏━━━━━━━━━┳★
  ┃<文章秘伝> 反響号 ┃- - - - - - - 【今回はQ&Aなしの号です】
  ┗━━━━━━━━━┻★


【いよいよバレンタインデー!】

……などというネタは、あまりこのメルマガに関係ありません。
もちろん、チョコは歓迎ですが、お返しとか面倒くさい! 逆バレンタインと
かも面倒くさいですね。
しかし、そういう他愛のない面倒くささをアクセントにして人は生きていくの
でしょうか?(と疑問形でしめてみる)


【それよりも!】

『読めない書道』です。今度の日曜です。今日(13日)もう〆切です。
これを書いている現在、参加者5人です。
少人数なので、終了後、軽い交流会を考えています。
バレンタインより『読めない書道』! (申し込みは13日深夜まで!)
よろしくお願いします。

『読めない書道』
http://art.hiden.jp/shodo/



【今回は2つの反響メールを紹介します】

一つは、人はあるタイミングに多くを理解することがある、ということがよく
わかるメールです。
もう一つは何かが「したい」ということについての大切なこと。


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●その1

【一通の感想メール】

●村松コメント

僕は文章秘伝シリーズで決して薄いとは言えない本を三冊も出していますが、
語っていることは一つです。
一つのことを、いろいろな角度から見たり、違うきっかけや方法で語ったりし
ているだけなのです。

富士山にいろいろな角度から見た絵や写真があるのと同じことです。富士山と
いう立体物は二次元の絵画で書き尽くされるということがありません。
一つの概念も立体物なので、言葉で語り尽くすということができないのです。

このことについて、たいへんうれしい感想メールをいただいたので、ご紹介し
ます。

以下、いただいたメール
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初めまして、村松さん。メルマガ、単行本、併せて楽しんでいます。
僕は今まで村松さんのメルマガを読んでいるだけで満足していたのですが、今
日はメールを送らせていただきます。それは、僕の中で文章に対して革命的な
発見があったからです。その感動をなんとか言葉にしたくて、今とても興奮し
ています。大分長文になってしまいますが、失礼します。

村松さんは以前から文章に関する4つの段階というものについて言及されてい
たと思います。僕はこの「段階」というワードから、これが「階段状」になっ
ているのだとイメージしていました。一番下にテーマがあって、その上に構成、
表現などが乗っかっているのだと。

でも、そうではないと気づいたのです。僕は化学の勉強をしているときに、原
子のモデルを見ました。中心に原子核があって、その周りを電子が回っている
という、同心円の絵です。僕は、これこそが文章のモデルなのだと気づいたの
です。

つまり、文章というものは、言葉が平面的に積み上がっているのではないので
すね。真ん中にある一つの「視点」を中心にして、言葉達が回転運動をするこ
とによって、文章はできている。文章の4つの段階というのは、こういう同心
円で図示されると分かりやすいのではないでしょうか。テーマが最も内側に有
り、外側にいくに従って、構成、表現、校正と、手が加えやすくなっていく。
しかし、あくまでそれらはある中心に沿って運動をしているのです。
言葉というものは、それ自体が生き物で、自由に動き回れるものです。それを、
一つの視点を中心にして、規則的に配列していく。そうやって始めて、言葉は
決まった一つの意味を持つことが出来る。その集まりが文章なのではないです
か。

それは太陽系にも似ているかもしれません。村松さんは文章を書くことは神や
王になることに例えられることがありますが、言葉という惑星でネットワーク
を作り上げるという感覚は、なんとも壮大で敬虔な気持ちになりますね。

また、村松さんの他のいくつもの「秘伝」ともこの考えはリンクします。

村松さんは文章は書き上げるまでは0だとおっしゃいました。原子が正しい電
子の配置をしなければ物質たり得ないように、完結していない文章は不完全な
存在で、物質として存在することすら出来ません。

また、質問文を読むときに村松さんは「この人は誰なんだろう」と読むと仰り
ました。これは、偏在する言葉たちのネットワークから、帰納法的に流れを抽
出して、中心を見極め、質問者の言葉の不足を補っておられるのではないです
か。

一つ一つあげていたらきりがありません。他にも偏在していた秘伝の知識が、
こういう一つの考えに飲み込まれていくとき、凄い感動を覚えました。
きっと、村松さんの中にはこういう形ではなくても、文章に対する直観的なイ
メージがあったのだと思います。そこから法則を、読者に分かるように具体的
に導き出して下さったのは本当に凄いなぁと感心しました。

村松さんからすると基本的なことだったでしょうか。私の中では急に視界が開
けてきたような感覚でした。
この考えが文章をすぐに上達させてくれるわけではないでしょう。でも、これ
を思いついた瞬間、文章のもっている深さというか、可能性というか、そうい
うものの一端を垣間見たような気がするのです。

この新鮮な驚きを忘れないで、文章を書いていきたいと思いました。
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●村松コメント

僕は根っからの文化系で、幾何学も数学、物理も苦手なのですが、最近、ゼミ
で理論的な説明をするときに図を描くことが多いのです。
説明したい概念は立体なので、言葉で説明するより速いのです。できれば3Dで
現したい概念もある。

ですから、原子のモデルで理解していただくことは、ウェルカムです。

ただ、僕はピラミッド構造でイメージしています。
それは文章には一つの目的や方向性があるのに、球体だとあまりに自足的なイ
メージになってしまうのと、読者が実際に応用するときに、段階的にとらえや
すいと思うからです。
球体も、スイカのように切り分けると、ピラミッド構造に近くなりますね。
だから、まあ、どちらでもいいです。

それよりももっと大切なことは、テーマから校正までが相互浸透的である、と
いうことです。
物質の世界では、同じ位置に二つの物質は存在しえませんが、精神の世界では、
相互浸透している、あるいはそのように見える、ということがたいへんよくあ
るのです。

原子のモデルでは、原子核と電子の引力と斥力が均衡している状態でしょう。
よくできた作品というのは、そのような構造を持ちますね。
しかし、そのイメージは実際に制作するときの助けにはなりにくい気がします。

まあ、どちらにしても比喩なので、あまり細かい差異を言っても仕方ありませ
ん。本質をつかんでもらえればいいのです。
文章というのは、あなたが感じられた通り、まさに小宇宙なのです。

美しい文章はすべてが均衡しています。



●その2

【前号「読みたいもの、書きたいもの、書くに適したもの」の質問者の方から】

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「読みたいもの、書きたいもの、書くに適しているもの、は別々か」について、
お答えありがとうございました。

いつも、自分の中での答えがぼんやりしていることに戸惑っていたのですが、
なんだかすっきりしました。
次から、作家志望の方に質問をされた際には、このメルマガを見てください
(併せて、既刊の秘伝三部作も!)と答えることにします。

>自分が書き上げられるもの、という範囲の中で、そんなにたくさんジャンル
があるのなら、あらゆるジャンルに挑戦してみればいいでしょう。
そんなにたくさんの小説を書けないならば、優先順位をつけなければいけませ
ん。
当たり前のことです。

当たり前のことですね。本当に。
村松さんに教えて頂くまで、その当たり前の事がずいぶんとぼんやりしていま
した。
と、いうことは、正直なところ、「わたしの周りの作家志望の人たちは、ずい
ぶんぼんやりしている」と思っていたのですが、わたし自身が一番、ぼんやり
していたのだと思います。

(後略)
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●村松コメント

したいことはどんどんやってみればいいのだ。
田口ランディさんがたしか「『恋がしたい』という女性が多いけれども、だっ
たら、なぜしないのか不思議だ」というエッセイを書いていました。
したいならすればいいじゃん、ということです。

したいといいながら、いろいろなグズグズと条件をつけたり、できない理由を
考えたり、行動しない人は多いのです。
恋ならば、相手もあることだし、若干情状酌量の余地がないこともない、と僕
は思います。
しかし、「小説が書きたい」というならどんどん書けばいいのです。
編集者の立場からリアルでクールに言ってしまえば、小説を書き上げたところ
で、つまらない小説であれば0評価なのです。それ以前の「小説を書きたい」
だけで書かないということになると、0以下でぷすぶすとくすぶっていること
にしかなりません。

そういうことを「考えている」という言葉で言うのが、いちばん悪いのね。
「小説を書きたいと考えている」、と言われたら、あー、そうですか、一生考
えてなさい、としかいいようがないのです。

小説なんてパソコンが一台あれば(なくたって)書けるんだから。
時間がない? 時間というのは人は何かに必ず使っているわけで、何か他の時
間をぶんどってこれないくらいなら、書きたいなんて言わないことだ。
優先順位がいちばんのことを「したい」って言おうよ。
才能がない? 何を書いていいかわからない?
そういう人はじつは別に「書きたくない」のです。
書きたい人はもう書いてる。
「書く」という具体的な行動を起こすときまで、「書きたい」ことはきっぱり
と忘れていなさい。

行動すべきところを行動しないでいると、いろいろな「想念」が浮かんでくる
のです。それを「考えている」と呼ぶのはやめましょう。
日本人向けに「論理学」を書くのなら、まずそれを第一章にしたい。
行動して先に進もうとしてたときに出てくる選択肢を吟味すること、それが考
えるということの完全燃焼形であって、行動しないと想念だけがくすぶるので
す。

ちょいと毒舌に聞こえたかもしれませんが、これは励ましです。
みんなしたいことをしたほうがいい。
「したいことをする」と、じつは「したい」と「する」の間のギャップなくな
って、「する」だけになるのだけれどもね。
日本人には、みんながしたいことをしたら大変なことになる、という意識が何
かあるんだね。
でも、本当はしたいことをしないから、気持ちがくすぶって、鬱っぽくなった
り、イライラしたり、人の足をひっぱったりする。
それが日本の社会です。

したいことしてますか?





〓〓〓〓〓〓〓〓 第二回『読めない書道』道場のご案内 〓〓〓〓〓〓〓〓
 
    日時: 2009年2月15日(日)14時より 
    場所: 東京・JR山手線目白駅より徒歩1分 
    会費: 3,000円(道具は用意します。当日は手ぶらでどうぞ。) 
    申込: メールにて2月13日(金)までにお申込み下さい。
      ◆送信要領
      [メールタイトル] 『読めない書道』申し込み
      [本文] お名前・年齢・性別・ひとこと(自己紹介など)
      [送信先] entry@hiden.jp

    ※自動送信にてメールが届きますのでご確認下さい。
    ※内容詳細⇒http://art.hiden.jp/shodo/



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●質問募集●

えー、皆様。村松恒平です。
質問は全てウェルカムです。

些細な質問/巨大な質問/マニアックな質問/初歩的過ぎる質問/鋭い質問/
鈍い質問/くだらない質問/実際的質問/哲学的質問/個人的質問/普遍的質問/
珍しい質問/陳腐な質問/具体的な質問/抽象的な質問/短い質問/長ーい質問

などなど、あらゆる質問をお送り下さい。 oshiete@hiden.jp

冒頭に「●質問●」と書いてください。
質問は無料です。送られてきた質問は、無記名とさせていただきます。
都合により、長さ、表現などをアレンジする場合があります。
また村松の著作などに流用させていただく場合があります。
ご承知おきください。

この企画の成否はひとえに質問にかかっております。
よろしくご支援のほどをお願いいたします。

●感想等は、こちらにお送りください。お待ちしております。 fan@hiden.jp

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[プロ編集者による] 
       文章上達<秘伝>スクール 通算242号 2009/2/13 発行
 講師兼編集責任者:村松恒平
 発行:文章学校 http://www.hiden.jp/
 Copyright (c) 2001-2009 村松恒平 All Rights Reserved. 禁複製。
 転載・紹介ご希望の方はメールにてお問い合わせください。
 info@school.club.ne.jp

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