2008/11/19
「第3の教育」第111号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「第3の教育」メールマガジン http://www.l-net.com/tshp/mag/ 第111号 2008年11月19日発行 発行: 炭谷 俊樹 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 技術革新の時代での生き方 今道友信 VS 松井孝典 対談 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 技術革新の時代での生き方 今道友信 VS 松井孝典 対談 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 先日興味深い対談に参加してきましたので、そのご報告です。 東京財団主催のフォーラム「現代をどう生きるか〜技術革新の時代に 考えるべきこと」で哲学者の今道友信先生と比較惑星物理学者の 松井孝典先生という異色の組み合わせの対談でした。 私は哲学をきちんと勉強したことはないのですが、今道友信先生の 著書は好きで、「美について」「愛について」「エコエティカ」 「西洋哲学史」といった著書を読んでいました。一方松井先生は 初めて知りましたが、お二人の対談は大変迫力のあるものでした。 お二人の認識で共通する点は、現代、とくに20世紀に入って以降は 技術革新の時代であり、それがゆえに生活が便利で効率的になったのは 確かだが、一方で多大な問題が生じており、われわれ人間は生き方を 考え直さないと大変なことになるという危機意識です。ただそれを まったく違った角度から捉えられていました。 今道先生は倫理の観点から話されました。わかりやすい例えで、 先生が小学校だったころには全員が「肥後守」という刃物を持って いたが、それを使って傷害事件が起こることもなかったし、子どもが それを持つこと自体も問題にされることはなかった。 これに対し現代では大人ですら刃物をもって飛行機に乗ることすら 許されないようになった。これが倫理観の崩壊を端的に示している。 一方で昔の倫理観を取り戻せばよいかというと、そんな単純なもの ではない。昔は「何かを達成するという目標があり、そのために何を なすべきか?」という論理で考えるのが通常であった。が現代では 一定の技術や資源(例えば原子力発電技術)が存在しているという ことが前提となっており、それを使って何をするのかという議論に なりがちである。そういう現代の考え方では目的意識が薄弱であり、 往々にして盲目的に経済的目的を追求してしまい、倫理観は欠如 しがちである。しかしながらわれわれはこういう時代の中での新しい 倫理観を構築する必要がある。具体的には、Punctuality(ポイントを 間違えないこと)、safety(安全),Cosmopolitarism(世界市民)、などが 新しい徳目となるのではないか、といったお話でした。 一方、松井孝典先生はエネルギーの流れという観点から大きく 世の中の仕組みを捉えます。近代の人間の特徴をエネルギーの観点から 捉えると、これまでの生物ではありえなかったレベルでエネルギーを 消費している。これまでの生物は、基本的には自分が生きるために 必要な食物を取り入れるという活動で十分であり、いわゆる食物連鎖 というものが成立していた。しかし人間は農業の発明、さらに近代の 科学技術の発展により、生きるために必要なエネルギーよりもはるかに 大量のエネルギーを消費するようになり、エネルギーの流れが以前の 10万倍に加速しているのだということです。言い換えると今の100年は 昔の1000万年の時間に相当する。 また、具体的な問題としては、地球が太陽から受けているエネルギー だけでなく、地下に蓄えられた化石燃料という形のエネルギーまで 食いつぶしている。同時に、人口も20世紀になってから4倍と爆発的に 増えている。 地球温暖化の現象というのは、このエネルギーの大量消費の結果に 他ならない。このペースのエネルギー消費を継続することを続ける ならば、人類は破滅せざるを得ない。そうならないためには、人口の 増加を止めるか、一人当たりのエネルギー消費量を抑えていくか、 新たな生きる道を模索する必要があるというものです。 このような話をされた後に、お二人の議論があり、迫力がありました。 とくに今道先生はご高齢であるにもかかわらず、吸収力がすごく、 松井先生の難解な話を質問をしながら理解しようとし、新たな視点に 刺激を受けておられることが伝わってきて感銘しました。 以上はあくまで講演時の私の解釈なので、不十分なところが多いと 思います。ご興味の方は是非、お二人の著書を読んでいただければと 思います。以下いくつか参考図書を挙げておきます。 今道友信 著 「エコエティカ」「美について」「愛について」 松井孝典 著 「われわれはどこへ行くのか」「地球システムの崩壊」「わかると 納得する−人はなぜエセ科学にはまるのか」「宇宙人としての生き方」 「編集後記」 「第3の教育」お勧めの書棚をリニューアルオープンしました。 今道先生、松井先生の本も何冊か「知の探究」カテゴリーに アップしました: http://astore.amazon.co.jp/daisannokyoui-22 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■「第3の教育」のホームページ http://www.l-net.com/cat25/b_4/ メルマガのバックナンバーはこちら http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000065743 ■関連サイト ラーンネット・グローバルスクール http://L-net.com/ 東京コミュニティスクール(ラーンネットの提携校) http://tokyocs.org/ ビジネス・ブレークスルー(経営大学院) http://www.bbt757.com/


