2005/12/15
画像認証(Captcha)問題を考える [ホームページバリアフリー度鑑定団]
===================ホームページバリアフリー度鑑定団=================== 2005/12/15発行 前回の発行部数:[まぐまぐ]:351 http://www.sf-dream.com/ ホームページバリアフリー度鑑定団は、だれもが平等にインターネットを楽 しめる環境を実現させることを目的に発行しているメールマガジンです。 ◆◆--------------------------- ホームページバリアフリー度鑑定団 ◆◆ ---------------------------------------------------------------------- 【今回の内容】 ◎WCAG2.0がリリース ◎『まぐまぐ! Books アワード』投票のお願い ◎画像認証(Captcha)問題を考える ◎ホームページバリアフリー度鑑定団からのお知らせ ---------------------------------------------------------------------- ---------------------------------------------------------------------- ■WCAG2.0がリリース ---------------------------------------------------------------------- どうもこんにちは。バリカン事務局のDreamと申します。 またまた半年ぶりの発行になってしまいました。お元気でお過ごしでしょう か? メルマガの方は全く発行できていないのですが、ブログの方は少なくとも週 に数回は記事を書いています。ここでよくアクセシビリティ関連の話題を取り 扱っております。 ・アクセシビリティとPC活用の情報サイト 『Dreamのお好み情報箱』(ブログ) http://blog.sf-dream.com/ ・カテゴリー:アクセシビリティ関連の話題 http://blog.sf-dream.com/archives/cat5/index.html さて、このところのアクセシビリティ関連の動きで大きなものといえば、 WCAG2.0(Web Content Accessibility Guidelines 2.0)が制定されたことで しょうか。英語ですが下記のページでご覧になれます。 ・Web Content Accessibility Guidelines 2.0 http://www.w3.org/TR/WCAG20/ ---------------------------------------------------------------------- ■『まぐまぐ! Books アワード』投票のお願い ---------------------------------------------------------------------- 現在、『第2回 まぐまぐ!Booksアワード』という出版コンテストが行わ れています。 これは各メルマガに対し、読者投票と審査員審査の結果を総合して選出大賞 作品は必ず書籍化され全国書店で発売される「プロへの登竜門」ということみ たいです。 そこで、私が発行しているもう一つのメールマガジン「すぐ使える!インタ ーネット100倍活用テクニック」を、このコンテストに応募してみました。 読者投票が12月7日〜12月21日までということで現在読者投票受付中で す。 というわけで、是非あなたの清き1票をお願いします。 投票は下記のページから行えます。 http://books.mag2.com/dynamic/m/0000118229/index.html ご協力を宜しくお願いいたします。 ---------------------------------------------------------------------- ■画像認証(Captcha)問題を考える ---------------------------------------------------------------------- 上記でご紹介した『まぐまぐBooks アワード』ですが、実はこの投票画面に 不正投票を防止するための画像認証が用いられているのです。そのため、視覚 に障害のある人が投票できない問題が発生しています。 「これは問題だ」ということで、早速まぐまぐに改善の要望を出したとこ ろ、電話による確認を行った上で投票できるようにしていただきました。現在 投票受付ページに「視覚障害をお持ちの方へ」というリンクが設置されてお り、それをクリックすると問い合わせのためのメールアドレスが表示されま す。そこから問い合わせると個別に対応していただけるそうです。 さてこの画像認証、具体的にどのようなものでどのような問題があるのか、 画像認証が導入されるようになったいきさつや、それによる問題点などについ て取り上げてみたいと思います。 ●Captchaの目的 このシステムは現在、Yahoo! IDの取得、Googleアカウントの取得、MSNアカ ウントの取得、楽天の懸賞応募などさまざまなところで使われています。その 目的は主にロボット[*1]を用いて自動的に大量のアカウントを不正に取得し、 サーバーに負荷をかけたり、スパムメールの送信をしたりするのを防止するこ とです。 [*1] 人間がコンピュータの前にいなくても、サイトに訪れてデータを取得 したり送信したりする動作を自動的に行うプログラムのこと。まるでロボット が人間の代わりに操作しているような振る舞いをするので『ロボット』と呼 ぶ。ロボットといっても人間や動物のような形をしたものではない。 サイトを運営している企業としては、自分たちのサーバーに負荷をかけられ てサービスの運営を阻害されたり、大量のスパムメールを送るのに利用される と困るのです。そこでこれを防ぐ手段として考え出されたのが『Captcha』と 呼ばれるシステムです。 このシステムは、メールアドレスの取得や各種の申し込み、投票などのさい に画像の中に表示されているアルファベットや数字をユーザーに入力してもら い、入力されたものが正しい英数字かどうか見分けます。これによりロボット が自動的に操作しているのか、それとも人間が操作しているものかを判別する ものです。このようなシステムのことを『Captcha』と呼びます。 ここで認証ように用いられている画像はランダムなアルファベットや数字に なっています。しかもコンピュータでは認識できません。人間なら視力の弱い 方などはどうか分かりませんが、晴眼者の場合は読むことができるようです。 このようなプロセスでロボットと人間を区別し、自動的にアカウントを取得さ れるのを防いでいます。 ●視覚障害者も防いでしまったCaptcha まずは視覚障害者がどのようにしてパソコンを使っているか簡単に述べま す。 視覚障害者は一般のコンピュータにスクリーンリーダーや音声ブラウザとい ったソフトを組み込んで使っています。このソフトはコンピュータの画面情報 を音声で読み上げたり、点字出力装置に画面の内容を点字に出力する機能があ ります。すなわち、視覚障害者は音声や点字を用いてパソコンを操作している のです。 さて、このスクリーンリーダーや音声ブラウザですがどのような画面でも完 璧に出力してくれるわけではありません。最大の問題は、文字情報(テキス ト)は読み上げることができるのですが画像に関しては全く読むことができな いのです。画像を完璧に読むことは今の技術では不可能です。 例えば、鳥の絵が描いてあったとしますね。これをどうやって言葉に変換し ますか? 画像は人によっても感じ方が違いますから人によって表現はさまざまだと思 います。これをコンピュータが読みとって説明するというのは不可能なことで す。 そのため、ホームページに書かれている画像も読むことができません。画像 を説明する代替テキストが付けられていればそれを読み上げますが、そうでな い場合は読むことができません。 以上のような理由から、Captchaによる認証用画像も読むことができませ ん。従ってCaptchaによる画像認証が用いられていると視覚障害者は使うこと ができないのです。 ロボットを排除するために開発されたCaptchaは、ロボットだけでなく視覚 障害者をも排除してしまう結果になってしまったのです。 ●複雑な問題 この問題は複雑で非常に厄介な問題です。 サイト運営者としては当然自分たちのサイトを不正に利用されたのでは困り ます。迷惑メールは自分たちのサイトだけでなくインターネット全体に被害が 及びます。もし自分たちのサイトがスパムメール送信に利用されれば、ブラッ クリストに登録されたりネットから断絶されたりします。 そうなったのではたまりません。どうにかしてこれを防がなければ…という わけでCaptchaを導入したのです。すなわち、正当な理由があって導入された ものなのです。決して視覚障害者を排除するという意地悪な差別的目的で導入 されたのではないはずです。もし差別的目的であれば容赦なく訴えたいところ ですがそうではないと思います。 ところが、これは皮肉なことに画像を読むことのできない視覚障害者を排除 してしまいました。視覚障害者の立場としては利用できないものを導入され不 当な扱いを受けることになりました。ウェブアクセシビリティが認識されつつ ある今社会問題となっています。 すなわち、セキュリティを高めるためにCaptchaを導入すれば視覚障害者が 利用できなくなり、一方でウェブアクセシビリティの観点からみればCaptcha はアクセシビリティを損なうものになるという、相反する問題が発生してしま ったのです。 ●セキュリティとアクセシビリティの両立 それでは、セキュリティを維持しつつアクセシビリティを損なわない方法は あるのでしょうか?このような状態が社会問題にならないはずがありません。 もちろん、このような試みや研究は既に行われています。 その一つは音声による認証システムです。マイクロソフトが運営するMSNで はこれが導入されています。 どのようなものかというと、画像が読めない場合リンクをクリックすると音 声が流れます。ユーザーはその音声がしゃべっている言葉を聞き取って、そこ でしゃべっている文字を入力します。 ただし、この音声は非常に聞き取りにくく雑音が混じっています。 「それって壊れてるんでないの?」 いえいえ、そうではなくてわざとそうしてあるのです。理由は音声認識ソフ トで認識できなくするためです。ここにもコンピュータに認識されたら困ると いう意図があります。 しかし、雑音が混じっていて聞き取りにくいということはもちろん人間にと っても聞き取りにくいのです。ある実験ではほとんどの人が正しく聞き取れな かったという結果が出ています。 さらに、視覚聴覚二重障害者の場合このシステムも使えません。 他にも電話による認証などいくつかアイディアは出ているのですが、どうも 決定的なものは今のところ出てきていません。 以上、今回は画像認証システムの導入理由とそれが生み出す弊害について概 略を書いてみましたがお分かりいただけたでしょうか。この問題はセキュリテ ィと障害者の権利というどちらも重要で見落とすことのできない問題が複雑に 絡み合っているところに解決の難しさがあります。 さらにこのことについて専門的なことについては下記のサイトなどが参考に なると思います。 ・Proposal for an Accessible Captcha - Standards-schmandards (英語) http://www.standards-schmandards.com/index.php?2005/01/01/11-captcha ・日本語訳:Captchaをアクセシブルにするための提案 http://www.memb.jp/~deq/voice/ss/captcha.html ・Inaccessibility of Visually-Oriented Anti-Robot Tests(英語) http://www.w3.org/TR/turingtest/ ・日本語訳:視覚型アンチロボットテストのアクセシビリティ欠如問題 http://www.memb.jp/~deq/voice/captcha/wd-turingtest-20031105.html ●最後に 今回まぐまぐでも音声による認証を検討したそうです。しかし音声認証にも 問題がありますし、さまざまな事情からこうせざるを得なかったとのことで す。今後どのように解決していくのがいいんでしょうね。 ---------------------------------------------------------------------- ■『ホームページバリアフリー度鑑定団』からのお知らせ ---------------------------------------------------------------------- ★読者投稿募集のお知らせ 『ホームページバリアフリー度鑑定団』では、あなたからの投稿を募集して います。 メルマガをお読みになってのご質問・ご意見・ご感想、Webアクセシビリテ ィに対する御意見、あなたやあなたの属する団体・企業でのWebアクセシビリ ティに対する取り組み、Webアクセシビリティ関連のイベント情報、障害者に 役立つと思われるハイテク機器の情報など、アクセシビリティ関連の話題なら なんでもかまいません。 あなたからの情報をお待ちしております。 ★メルマガ相互広告のご案内 あなたの発行されているメールマガジンと『ホームページバリアフリー度鑑 定団』との間で、メルマガを宣伝し合いませんか? だいたい80桁*5行ぐらいのスペースで相互広告を行いたいと考えていま す。 詳細はお問い合わせください。 上記全ての宛先は『バリアフリー度鑑定団事務局』 mailto:magazine@sf-dream.com までお願いします。 ---------------------------------------------------------------------- ○「ホームページバリアフリー度鑑定団 2005/12/15 編集・発行元:ホームページバリアフリー度鑑定団事務局 mailto:magazine@sf-ream.com 発行責任者:九曜 弘次郎 Web:http://www..sf-dream.com/ 登録解除は下記からお願いします。原則的にメールでは受け付けていません。 http://www.sf-dream.com/mm/hpbar.htm このメールマガジンは、以下のシステムを利用して発行しています。 [まぐまぐ]ID:0000065579 当メールマガジンは内容を改編しない限り、転載・複写等自由にしていただ いてかまいません。お友達、お知り合い等に広めてください。そして是非定期 購読を勧めていただけるとうれしいです。 ---------------------------------------------------------------------- Copyright(C) 2001-2005 K.Kuyou(Dream) All Rights Reserved. ----------------------------------------------------------------------



