2009/12/03
[MM日本国の研究575]「国交省の後出しジャンケンは許されない」
2009年12月03日発行 第0575号 特別 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■ 日本国の研究 ■■■ 不安との訣別/再生のカルテ ■■■ 編集長 猪瀬直樹 ********************************************************************** http://www.inose.gr.jp/mailmaga/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□ ■□■ 『東京からはじめよう』(MXテレビ) ■□■ 12月5日(土)21:00-21:55(毎月第1土曜日) ゲスト:城繁幸・人事コンサルティング「Joe's Labo」代表 「若者はなぜ3年で辞めるのか?」(光文社新書)の著者で、今年、「たった 1%の賃下げが99%を幸せにする」(東洋経済新報社)を上梓した城繁幸さん をゲストに迎え、現代の雇用問題について話し合いました。 ■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■ ◆◇◆ 11月25日水曜日発売! 猪瀬直樹最新刊 ◆◇◆ ◆◇『ジミーの誕生日―アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」』◇◆ ◆◇◆ (文藝春秋)税込1500円 ◆◇◆ 昭和23年12月23日、真夜中の巣鴨プリズン。 時計の針が午前零時を回るとともに、7人の男たちは13階段を 昇り始めた。 東條英機、土肥原賢二、武藤章、松井石根、板垣征四郎、 広田弘毅、木村兵太郎。 「大日本帝国万歳! 天皇陛下万歳!」 最期の声が、凍てつくコンクリートに響いた。 ・・・だが、なぜ彼らはその日に処刑されなければならなかったのか? その日は、皇太子明仁の15回目の誕生日だというのに・・・。 * 猪瀬直樹からのメッセージ。 「これは単なる偶然ではない。 皇太子明仁の誕生日に東條英機が処刑されたという歴史的事実を ひとつの暗号とみて戦後史を読み解くべきではないか」 http://www.amazon.co.jp/dp/4163721304 * 本日3日木曜日発売『週刊新潮』(12月10日号)108ページに、 書評が掲載されました。ぜひ手にとってください。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「国交省の後出しジャンケンは許されない」 鳩山由紀夫首相は「地域主権改革は1丁目1番地」と述べていますが、その 改革のトップバッターである直轄事業負担金改革をさせまいと、国土交通省が 巻き返しを図っています。政治主導なのですから、抽象的な掛け声ではなく、 役人ときちんと喧嘩をして、ひとつひとつの具体的な成果を出すことが期待さ れます。 ■国交省の後出しジャンケン 朝日新聞(11月3日付)から経緯を紹介します。 「国による国道や河川、港湾などの整備事業は『地元も恩恵を受ける』との理 由で、都道府県と政令指定都市も建設費や維持管理費の一部を負担している。 しかし、この地方負担の一部が、国の出先機関の庁舎整備費や同職員の退職 金に使われていた事例が発覚。負担金の明細もなかったことから、大阪府の橋 下徹知事が『ぼったくりバーみたいなもの』と批判。全国知事会は7月、情報 開示がなければ今年度分の支払いを拒否する姿勢を打ち出していた」 建設費に対する地方の負担割合は3分の1、維持管理費の場合は45パーセン トと決まっています。全国知事会は来年度予算から、維持管理の負担金を廃止 するよう求めてきました。 「この問題で、民主党はこれまでも知事会の意向を踏まえてきた。マニフェス トに『直轄負担金の廃止』を盛り込み、国交省と農林水産省は来年度予算概算 要求で、維持管理費の地方負担分(09年度は1735億円)の計上を見送った」 さて、10月15日に取りまとめられた国土交通省の予算要求では維持管理負担 金の「計上を見送った」のに、最近になって国土交通省が「やっぱり払って」 と言いだしているのです。 12月2日水曜日、国土交通省で「直轄事業負担金制度等に関するワーキング チーム」(WT)の会合が開かれました。直轄事業を担当する国土交通省、農 林水産省のほか、総務省、財務省の政務官4人による会議です。配布された国 土交通省の資料に、国交省の本音が記されています。「修繕」という役人用語 を持ちだしていることに注意が必要です。 「地方から、特に直轄事業負担金の維持管理分の廃止について強い要望が出て いることを踏まえ、国土交通省として、維持管理分の負担金収入がないものと 仮置きして、来年度の概算要求を行ったところである」 「しかしながら、維持管理のうち『修繕』は、施設の機能回復・向上を行うた めのものであり、改築に近いものであることから、投資的経費と(略)維持と は性格が異なるものである。このため(略)負担金の対象とすべきものと考え られる」 たとえば国道の維持管理というと、中央分離帯の植栽を剪定したり、清掃車 両で路面を掃除する純粋な「維持」だけでなく、アスファルトを打ちかえたり、 橋を補修したりするような、傍目にみると、工事みたいに見えるものもある。 こういうのは実質的に道路の建設工事と同じで、「維持管理」には当たらない、 だから地方も負担してほしい、というのが国交省の主張です。 ■「あれもこれも」とつけた予算に改革が押し出される 意味不明な役人用語に騙されてはいけません。維持管理負担金1700億円のう ち、国道に関する負担金は1000億円、そのうち「修繕」は600億円にも上り ます。600億円を地方の負担金として残したら、維持管理負担金の「廃止」 にはなりません。 国土交通省は、これまで地方が見てもよくわからない請求をして、「維持管 理」にいろんな工事をまぜ、多額の負担金を支払わせてきたのです。建設事業 の負担金(三分の一)よりも高い45パーセントも負担させてきたのです。自分 たちの都合が悪くなると、「これは維持管理ではない」というのは、役人の屁 理屈というものです。 景気が悪くなって税収が厳しい。財務省も悪ノリしています。同じ会議で財 務省は「異例に厳しい財政状況←→直轄事業量の確保」と書いた資料を配って います。地方への脅しです。財政のお財布はきびしい。もし地方からおカネが 出なければ、そもそも国の直轄工事ができなくなってしまう、それでもよいの ですか、と。 でも、よく考えてください。こういう複雑な仕組みそのものが、国民からチ ェックできない不透明さを助長してきた。これまでも国土交通省は、維持管理 の中身をあいまいにして、国家公務員の宿舎の改修費や退職金などに使って、 「ぼったくり」を繰り返してきたのです。 「建設」と「維持管理」以外にまた新たに「修繕」という名の“魔法のポケッ ト”を残したら、「維持管理」として整理していたものも、どんどんこのポケ ットに入れて、負担金を残すためのツールとして使うに違いありません。 ■議論されていないマニフェストより議論されつくした負担金改革 おカネがないのは、税収だけのせいではありません。高速道路の無料化に60 00億円、子ども手当に2.3兆円とマニフェストに載っている政策をあれもこ れも盛り込んで、これらの政策は公開の事業仕分けにもさらされなかったのだ から。 仮に予算が足りないとしても、何年間で段階的にどうなくすのかという具体 的な道筋を見せることがなければ、一歩でも改革を進めようとする姿勢には見 えません。予算の数字合わせのあいまい決着になれば、笑うのは役人だけです。 原口総務相や前原国交相には、官僚らしい悪知恵にあまり左右されないでほ しい。その思いを猪瀬直樹は11月25日、首相官邸で開かれた全国知事会議の場 で述べてあります。 ●猪瀬○ 直轄事業負担金の維持管理費の問題については、地方負担なし(廃 止)ということであったはずですが、修繕費については地方負担あ りという意見が国交省から出ているようだ。前原大臣、原口大臣、そうはなり ませんよね。 ●原口○ 前原国土交通大臣のところとワーキングチームを作ってやっている わけだが、全廃ということを決めているわけだから、その中途で間 違ってもそれに沿わないような結論を出さないよう私たちとしてつよく求めて いきたい。 前原大臣から答えはありませんでした。自民党の総選挙のときのマニフェス トでも「平成22年度には維持管理負担金を廃止」と言ってきたのに、「地域主 権は1丁目1番地」の民主党政権が来年度やらなかったら、自民党よりも後退 したことになってしまう。ここは決着をつけないといけません。 * メールマガジンの感想をお待ちしております。 「日本国の研究」事務局 info@inose.gr.jp 猪瀬直樹の新着情報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■テレビ出演 ・12月5日土曜日21:00~21:55、猪瀬直樹のトーク番組「東京からはじめよ う」(MXテレビ)。今月のゲストは城繁幸・人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。「若者はなぜ3年で辞めるのか?」(光文社新書)の著者で、 今年、「たった1%の賃下げが99%を幸せにする」(東洋経済新報社)を上 梓した城さんをゲストに迎え、現代の雇用問題について話し合いました。 ■掲載情報 ・12月10日木曜日発売『文藝春秋』1月号に、最新刊『ジミーの誕生日 アメ リカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」』についての論考をよせました。 ・日経BPネットの好評連載「猪瀬直樹の『眼からウロコ』」最新号がアップ されました。「介護業界でも月額40万円の給料は払える 介護の世界に未来 を確信している辻川泰史さんの事例」はこちら。 http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20091130/198111/ ・東京都公式ホームページに、財政再建中の北海道夕張市に派遣された東京都 職員のレポートが公開されました。ぜひご覧ください。 http://www.soumu.metro.tokyo.jp/03jinji/yuubari/index.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ バックナンバーはこちら。 http://www.inose.gr.jp/mailmaga/index.html ご意見・ご感想はメールでどうぞ。 info@inose.gr.jp 配信解除の方はこちら。 http://www.inose.gr.jp/mailmaga.html まぐまぐの配信解除は http://www.mag2.com/m/0000064584.html 猪瀬直樹の公式ホームページはこちら。 http://www.inose.gr.jp/ ○発行 猪瀬直樹事務所 ○編集 猪瀬直樹 ○Copyright (C) 猪瀬直樹事務所 2001-2009 ○リンクはご自由におはりください。ただしこのページは一定期間を過ぎると 削除されることをあらかじめご了解ください。記事、発言等の転載について は事務局までご連絡くださいますよう、お願いします。


