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編集長猪瀬直樹。混迷する現代の諸問題への処方箋を経済を中心に提示します。コンセプトはジャーナリズムと歴史的視点の新しい融合。30歳代の現場人間による寄稿、座談会、書評等で構成しています。

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2009/10/22

[MM日本国の研究569]「2016年東京五輪招致活動を総括する―環境の理念、浸透せず」

                  2009年10月22日発行 第0569号 特別
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 ■■■    不安との訣別/再生のカルテ
 ■■■                       編集長 猪瀬直樹
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              http://www.inose.gr.jp/mailmaga/index.html

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 10月16日金曜日に2010年度予算の概算要求総額が発表されました。過去最大
の95兆円です。一方で税収は40兆円の大台を割り込むことが確実視され、国債
の発行額は50兆円に達すると報道されています。
 安倍政権下の07年度国債発行額25兆円と比べると、実に2倍の発行額です。

 概算要求95兆円には、マニフェストに掲げた重点政策の実現に必要な約7兆
円が含まれています。しかし、国民は必ずしもマニフェスト全項目の実現を求
めているわけではありません。

                 * 

 産経新聞社とFNNの合同世論調査(10月17、18日実施)によると、「温室
効果ガス25パーセント削減の中期目標」や「羽田空港ハブ空港化」に対して
過半数が支持する一方、「高速道路無料化」については72.8パーセントが否定
的で賛成は19.5パーセントにとどまりました。
 さらに「必ず(マニフェストを)守るべきだ」は9.0パーセントで、「状
況に応じて柔軟に政策を実行すべきだ」が50.6パーセントに達しています。

 すでに15日木曜日、鳩山首相はようやく「マニフェスト実現よりも、国債を
これ以上発行してはいけないという国民の意思が伝えられたら、そういう方向
もあると思う」と述べ、公約実現を一部断念する可能性があるとの見解を示し
ました。国債50兆円は異常です。国民の声に応じた柔軟な対応が期待されます。

                 * 

 今週のメールマガジンは毎日新聞10月16日金曜日朝刊に掲載されたインタビ
ュー「2016年東京五輪招致活動を総括する―環境の理念、浸透せず」をお届け
します。東京の敗因はなんだったのか。客観的に分析しています。
 
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「2016年東京五輪招致活動を総括する―環境の理念、浸透せず」 

 東京都が招致に失敗した原因は、まず国内世論の盛り上がりが欠けていたこ
とだ。先月に入り、10代の若者の支持率が約8割という民間調査が出たが、今
年2月に国際オリンピック委員会(IOC)が行った世論調査では、都民の支
持率が55.5パーセントと他の立候補都市に比べて低かった。東京都が掲げた「
環境を重視する五輪」の考え方が都民に十分伝わらず、IOC報告書に低い数
字が残ってしまった。

 石原慎太郎知事は、環境問題について先進的な政策を推進している。ディー
ゼル車の排ガス規制や、大規模事業所に対する二酸化炭素(CO2)削減の義務
化などだ。早い時期からこうした取り組みを「環境五輪」に結びつけ、都民に
もっと理解してもらうべきだった。

 ただ、環境への取り組みの重要性を実感してもらうのはなかなか難しい。私
も講演で環境問題を取り上げることがあるが、参加者の関心は必ずしも高くな
い。環境問題の深刻さを、まだ敏感に感じていないのかもしれない。それなら
ば都は、メディアを含めた広報戦略にもっと重点を置くべきだった。その努力
が十分だったかどうか検証したい。

 都の態勢にも問題があった。招致活動も担当したのは東京オリンピック・パ
ラリンピック招致本部だが、全庁挙げての態勢が必要だった。機運の盛り上げ
や環境五輪の浸透に、どんな行事や企画が効果的なのか。都庁の総力を挙げれ
ば、より多様で優れた知恵が集まっただろう。他部局との風通しをよくして、
新しい意見がどんどん入るような仕組みができればよかった。

「環境重視の五輪」という理念そのものは正しかったと思う。敗戦からの復興
を象徴した64年の東京五輪と違い、成熟した先進都市・東京が提案する五輪の
あり方として「環境」をテーマにすることは当然ともいえる。既存施設を最大
限利用し、先端技術を駆使してCO2排出量を抑制する「カーボンマイナス五輪」
という概念は先駆的だった。IOC総会でのプレゼンテーションは高い評価を
得た。

 さらに、国連総会で「90年比でCO2を25パーセント削減する」と表明した鳩
山由紀夫首相と石原知事が、プレゼンテーションで演説を行ったことで、都と
国が歩調をそろえて環境技術立国を目指す姿勢を国内外に発信することができ
た。これこそ、招致活動の遺産といえるだろう。

 残念なのは、招致戦略を立てる段階から国を挙げての態勢をつくれなかった
ことだ。今回の招致競争で、そのことの必要性を実感した。最近の各国の招致
活動は、国家首脳や外務省、各種の競技団体などが一体となって戦略を立て、
効率的に役割分担をしている。大阪市や名古屋市も、そうだったが、われわれ
の弱点になった。

 広島・長崎が2020年五輪招致の理念に「核廃絶」を掲げたのはよいとしても、
1都市開催が原則だというIOCの見解も、クリアすべき課題だろう。外国の
立候補都市はほとんど首都級の都市であり、国を挙げての招致戦略を組み立て
て臨んでいる現状を直視すべきではないか。

                  (毎日新聞朝刊10月16日金曜日掲載)

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猪瀬直樹の新着情報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■テレビ出演
・23日金曜日25:25~28:25(10月24日午前1:25~4:25)「朝まで生テレ
 ビ!」に出演します。テーマは「激論!若者に未来はあるか?!」です。
 猪瀬直樹のほかには、赤木智弘(フリーライター)、東浩紀(東京工大特任
 教授、批評家)、雨宮処凛(作家、反貧困ネットワーク副代表)、森永卓郎
(経済アナリスト、獨協大学教授)等が出演予定です。(敬称略)

■掲載情報

・日経BPネットの好評連載「猪瀬直樹の『眼からウロコ』」最新号がアップ
 されました。「羽田の国際化は国家戦略上きわめて重要だ 日本は取り残さ
 れ、『各駅停車の国』になってもいいのか」はこちら。
 http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20091020/189694/
 
・東京都公式ホームページに、財政再建中の北海道夕張市に派遣された東京都
 職員のレポートが公開されました。ぜひご覧ください。
 http://www.soumu.metro.tokyo.jp/03jinji/yuubari/index.htm

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         猪瀬直樹新番組・放映開始!
     
    ■□■ 『東京からはじめよう』(MXテレビ) ■□■  

    次回放送:11月7日(土)21:00-21:55(毎月第1土曜日)
 
 第7回(10/3)   ゲスト  藤原庸介・東京五輪招致委員会企画/広報担当委員
 第6回(9/5)  ゲスト 田原総一朗・ジャーナリスト
  第5回(8/1)  ゲスト 渡辺喜美・衆議院議員
 第4回(7/4)  ゲスト 竹田恒和・日本オリンピック委員会(JOC)会長
  第3回(6/6)  ゲスト 増田寛也・安心社会実現会議事務局長     
 第2回(5/2) ゲスト 河野一郎・東京オリンピック招致委員会事務総長
 第1回(4/4) ゲスト 丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長

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       草思社の民事再生第一号です。乞う、応援。

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