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編集長猪瀬直樹。混迷する現代の諸問題への処方箋を経済を中心に提示します。コンセプトはジャーナリズムと歴史的視点の新しい融合。30歳代の現場人間による寄稿、座談会、書評等で構成しています。

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2009/09/10

[MM日本国の研究563]「汚染米で問題の農政事務所は廃止しないのか」

                  2009年09月10日発行 第0563号 特別
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 ■■■    不安との訣別/再生のカルテ
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                 http://www.inose.gr.jp/mailmaga.html

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 9月7日月曜日、地方分権改革推進委員会は全国一律の法令で国が地方自治
体の仕事内容や方法を縛る「義務付け・枠付け」のうち、保育所の設置基準な
ど全体の7割超に当たる881項目を廃止・緩和する第3次勧告の原案をまと
めました。

 国が定める義務付け・枠付けには具体的にどのような項目があるのでしょう
か。
 
 8日火曜日朝刊各紙で、認可保育園への入園を待つ待機児童の数が全国で2
万5000人以上であると報道されましたが、じつは都市部の児童がその8割を占
めています。

 義務付け・枠付けの中には、保育所の設置基準についてハイハイする「ほふ
く室」は乳児1人あたり3.3平方メートル以上などの基準がありますが、地
価の高い都市ではこの基準が高いハードルとなり、保育所不足の一員となって
いるのです。
 
 分権委員会は月内に勧告案を決定し、新首相へ提出する予定です。

                 *                 
 
 汚染米の不正転用事件から約1年を迎えようとする中、農林水産省が組織改
変案を打ち出しましたが、分権委員会が勧告した出先機関の削減案とはへだた
りがあります。
 
 不祥事がつづいた地方農政事務所を廃止して職員700人を削減する一方、
事件の再発防止のためそのほぼ同数の人員を投入して新たに「地域センター」
を設置するとしているからです。
 
 今週のメールマガジンは、7日の分権委員会で猪瀬直樹が農水省の組織改変
案についてその問題点を追及した部分の抄録をお送りします。

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「汚染米で問題の農政事務所は廃止しないのか」


 最近の新聞報道で農水省の組織改変案についていくつか指摘されている点が
あるので、それについて申し上げたいと思っております。いま、お手元に、9
月3日木曜日読売新聞夕刊と9月1日朝日新聞朝刊の切り抜きを配っておりま
す。読売新聞の方はちょっと長いので、先に朝日新聞をご覧ください。

「農林水産省は来秋、地方農政事務所や統計・情報センターなど全国346の
地方拠点を、65の地域センター(仮称)に集約する。31日に発表した『10年度
組織・定員要求の概要』で明らかにした。
 昨年秋に発覚した事故米の不正転売事件で、ずさんな検査で不正を見過ごし、
あり方が問われていた39カ所の地方農政事務所は、北海道農政事務所を除き廃
止する。ただ、職員数は再編後もほとんど変わらない見込みだ。また、農水省
各部署の業務や政策をチェックする60人規模の『農林水産行政監察・評価本部
(仮称)』も来秋、新設する」(朝日新聞9月1日朝刊)

 農林水産省が統計・情報センターの346の地方拠点を「地域センター」65
か所に集約すると言っているが、実際の規模については、定員要求で全然減っ
ていないと言うことなんですね。

 読売新聞は、「700人削減・・・・・・でも新組織に700人」という見出しで
す。

「先月31日に公表された方針によると、8地方農政局等、38農政事務所、30
8の地域課や統計・情報センターなどで構成されている現在の地方組織のうち、
農政事務所と地域課など346組織を来年10月をめどに廃止し、700人程度
の職員を削減するとしている。
 ところが、同時に65か所に『地域センター』を新設し、その下にはさらに『
駐在』(分庁舎)も置く。ここで実施する米トレーサビリティー制度のために
は約1100人が必要で、『他部門の合理化をしてやっと職員数の増減はプラスマ
イナスゼロになる』(同省幹部)という」(読売新聞9月3日夕刊抜粋)

 (権限を地方に移すことで)農政事務所は廃止し、出先機関を縮小していく
という方向性で分権委員会はやってきたが、どうも現在の農林水産省は組織改
編でそれをごまかそうとしている。

 それともう一つ、民主党は地方分権に力を入れると言いながら、若干方向が
違うのではないか。

 新設する「地域センター」で米トレーサビリティーの制度をキチッとやると
なれば、それでまた人が増えるのではないか。

 また、この読売新聞の記事内で、「マニフェストで農家への戸別所得補償制
度を掲げる民主党の筒井信隆・ネクスト農相は、読売新聞の取材に、同制度の
ベースとなるデータを集めるには、今以上に統計部門を充実させる必要が生じ
る可能性もあるとの見方を示し、『この制度をやるためにどんな組織・人員が
要るかゼロから検討する』」と述べていることは、いかがなものか。

 分権委員会が出先機関の廃止・縮小を謳ってきて、とくに、農水省は事故米
の問題もあり、農林統計の部門も非常に人が余っているではないかと指摘して
きた。

 現在の(ギリギリ自民党政権下の)農水省が人を配置替えして減らさないよ
うにしていることはもちろん、これからの民主党政権も農水省の人員削減、地
方移管に否定的であるような態度が見受けられるので、ここはちょっと待って
くださいよと、分権委員会として一言申し上げないといけない、という感じが
します。

               *  

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